片野治雄のファミリーテーブル考察
冬場の競馬もいよいよ最終週という事で今年初のG1・フェブラリーSが今週末に行われます。G1連勝中にして断然の1番人気に推されるであろうエスポワールシチー[4-m]のレースぶりに注目が集まりますが、気になるのが例年以上に多い芝の重賞勝ち馬の参戦です。配合的な評価は他の評論家さんに任せて、牝系という角度から検証してみたいと思います(あくまで個人的な見解ですが)。
○ローレルゲレイロ[1-b]
昨年の春秋スプリント王者。マイル戦も実績十分で脚質的にも評価したいところですが、同系のヤマカツスズラン[1-b]をサンプルにとってみると少々不安な点も目につきます。ヤマカツもローレルと同じく先行脚質でマイルG1実績があり複数の重賞勝ちを持つ馬でしたが、距離適性的にはマイルから中距離を得意としていました。にも関わらず、ダート戦に転戦してからは1,400m中心に実績を残しているのです。もちろん他の距離を使っていないので一概には言えませんが、出走する機会はあったはずなのに中距離ではなく短距離に照準を合わせたのは「前向きな気性を持つからこそダートレースに適性はあったが、芝のレースよりダートレースの方がスタミナの消耗度が大きいから距離はこなせなかった」という証明ではないかと思います。つまりこの理屈を当てはめれば、ローレルを過大評価するのは危険という結論に辿り着きます。
○レッドスパーダ[19-c]
昨年のマイルC・2着馬にして現在2連勝中の同馬ですが、配合パターンがメイショウボーラーと同じという事で注目を集めそうな雰囲気です。とはいえ、脚質も違えば牝系の特性も全く違うわけですから同じ評価をするわけにはいきません。19号のイメージとしてはローカル2,000m重賞に滅法強く、その質は不器用さと強烈な決め手を併せ持つタイプというイメージです。ちなみにローカル2,000mの特性は中山外回りとリンクした部分があるのですが、ドリームジャーニー[8-c]の戦績や、ローカルの鬼・ローザネイ一族[1-w]初のG1勝ちが朝日杯(ローズキングダム)であった事を思い出すと、レッドスパーダの戦績も非常に近い事がわかります。つまりレッドは自身の牝系が持つ芝馬としての特性を活かしたロスのない走りをしているだけであり、ローレルゲレイロ同様、高い評価はできません。