【小倉2歳S・オマケの消去法】
「ふりむくな うしろには夢がない ウァオ~ン!」
先週、新潟記念のあった日の最終レース。逃げる1番人気のミッキーオーラが、4コーナーで並びかけてこようとする馬にふりむいて噛みつこうとした。と、突如、アフター競馬評論家の鬼野谷が吠えだした。
新潟記念の推奨馬シャイニーブラウンでしこたまやられた(7着)腹いせに、あおったヤケ酒が言わせたのか、とにかく鬼野谷は「酔うと吠える」。
江戸時代の後期に、酒癖の悪い探検家の近藤重蔵が、狂歌師の大田南畝に「ヨフトホヘル」とからかわれたことがあるが、まさに鬼野谷もその手合い。
「ふりむくな うしろには夢がない」は詩人の寺山修司『さらばハイセイコー』の一節で、このあと「ハイセイコーがいなくなっても すべてが終わるわけじゃない」と続くが、ふりむいてばかりいる鬼野谷に、夢はあるのだろうか。
「なに、コチャラタコなこと言ってんすか。夢は神田川が氾濫するほどありますぜ」
アメリカのミネアポリス連邦銀行の総裁コチャラコタ氏の名をいたく気に入って、最近なにかというともじってコチャラタコを連発するが、先月、東京の8月観測史上最多の1時間雨量80㎜が降った日、豊島区の非常事態放送で、神田川が氾濫するおそれがあると聞いて、早速、白夜書房裏手の神田川を見に行った鬼野谷。競馬に大切なヤジウマ根性だけは見直してもいいか。
「先週の予想はしょっぱかったけど、今週のは、すっぱいっすよ」
と言って、小倉2歳Sで推奨してきたのがシゲルスダチ。
「シゲルさんって、すんごいっすよね。2歳馬で、アケビから始まってスイカ、バナナときてリンゴに至るまで50頭ほどもいるんすよ、フルーツ馬名が」
昨年まで、シャチョウ・カチョウやヒラシャインなどのユニークな役職馬名で話題を呼んだシゲルシリーズが、今季からはフルーツのオンパレード。子供にもなじみやすい馬名で、オークスやダービーにサクランボやマンゴーが出てきたら低迷する競馬人気の起爆剤になるかもしれない。
小倉2歳Sのステップ戦OPフェニックス賞出走馬は、OPに格上げされたS60年以降[8-6-13-54]の成績。このフェニックス賞で連対をはたしていた馬の場合は[6-5-4-17]。鬼野谷の推奨するシゲルスダチはフェニックス賞2着馬だ。
フェニックス賞連対馬のうち、
(a)芝1000m戦を経験していた馬のうち、58秒台の時計がない馬は×
(b)前2走内に5馬身以上の圧勝歴ある馬を除き、前走体重6㎏以上増加は×
(c)フェニックス賞でタイム差なしの接戦だった馬は×
(d)新馬・未勝利戦で着順掲示板を外す6着以下だった馬は×
(e)フェニックス賞7頭以下の少頭数競馬で2馬身以上快勝のない馬は×
(f)前2走内に逃げ・先行競馬をしていた場合、そこで2馬身以上快勝のない馬は×
(g)デビュー戦、5頭以下の超少頭数競馬で敗退、Ⅴもハナ・アタマ・クビ辛勝は×
以上の(a)~(g)の7項目をクリアしていた馬は[6-2-2-0]。
「シゲルのフルーツバージョンで、キョホウなんて2歳馬がいるんすけど、パドックで馬っ気出してたら隣の2丁目あたりで黄色い悲鳴があがりそうっすよね」
「下ネタ言ったら終わりだぞ」
「そっすね。それよかスダチとカボスの違いがわかる?」
「オープン馬がスダチで、未勝利馬がカボスだろ」
「そうじゃなくて」
「徳島産がスダチでクセがなく、大分産がカボスで若干苦くて…」
「そうだけど。スダチはアンタ向きで、カボスはオレっす」
「……」
「スダチは糖尿病に効果があるけど、カボスのほうが器が大きいんす」
「そんなこと言ってると、小倉2歳S、S60年以降、3戦以上消化馬で、前走芝のレース良・稍重で負けていた馬[0-1-4-23]と未勝利データが出てくるぞ」
「なら、ウイン5用に白夜のミポリンに教えときますよ」
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!