片野治雄のファミリーテーブル予想
<スプリンターズS展望>
なかなかの好メンバーが揃った今年のスプリンターズS。昨秋から怒涛の4連勝でスプリント王に輝いたキンシャサノキセキ[14]、香港からの刺客2騎、そして夏の上がり馬たちの取り捨てがポイントになりそうですが、彼らの牝系を紐解いて「今回のレースと適合するかどうか?」を解析したいと思います。
■まず前哨戦セントウルSで[出遅れ・内枠・初輸送・59kg]など多くの課題をクリアして2着に健闘したグリーンバーディー[21-a]。「敗れてなお強し」という印象だった前走から1番人気も予想される同馬ですが、同系にはアローキャリー・チアズグレイス・ダンツフレーム、古くはモンテプリンス・タマモクロスという阪神G1勝ち馬がズラリと顔を揃えており、阪神1,200mのセントウルSが今回より適条件であったのは明白。能力の高さと上積み確実の状況から勝っても不思議ではありませんが、本質的にはステイヤー血脈なのでスピード負けする不安も漂います。
■続いて同じく香港馬のウルトラファンタジー[8-f]。同系はオレハマッテルゼを始め、フォゲッタブルやスーパーホーネットなど京都外回りor中京で実績を挙げるタイプが多く、「遠心力を利用して惰性でなだれ込んでくる」競走馬だと推測します。なので高松宮記念ならまだしも、今回の中山1,200mでは好走するイメージが湧きません。
■セントウルSを取り消し、実質的に休養明けでの出走となるキンシャサノキセキ[14]。近親のサクラローレルは無類の中山巧者として知られていましたが、重馬場+野芝のオールカマー圧勝や、5か月ぶりの天皇賞(レコード決着)で見せ場たっぷりの2着など得意条件でのオールマイティーぶりが大きな武器でした。キンシャサ自身もあらゆる条件をクリアしてきた馬ですし、好メンバーが揃いタフな競馬が予想される今回こそ潜在能力をフルに発揮できるステージかもしれません。
■重賞2連勝と勢いに乗ってのG1挑戦となるワンカラット[1-n]。同系には春秋スプリント王のフラワーパークやビービーガルダンら短距離重賞勝ち馬が多く並ぶだけに、凡走はしないと思います。が、1つ不安を挙げれば本質的には「洋芝巧者」なので勝つまではどうか、というところでしょう。先のフラワーパークが制したスプリンターズSは冬枯れの洋芝で施行されたものですし、BBガルダン自身も常に善戦止まりである事を考えれば本命視はできず、2番手グループ評価が妥当だと思います。
☆かつてスプリンターズSを圧勝したサイレントウィットネス[13-a]は同系にナリタブライアンのいる牝系でした。ナリタブライアンといえば朝日杯・皐月賞・有馬記念と中山G1を総ナメにした実績があったので中山向きが想定できたサイレントウィットネスは確勝級と判断できましたが、今回のグリーンバーディーはそこまでのイメージは湧きません。ちなみにテイクオーバーターゲット[2-b]*も同系に有馬記念をレコード勝ちし、野芝開催の神戸新聞杯を圧勝したゼンノロブロイがいる事を考えれば、あの激走はむしろ当然だったのかもしれません。予想は明日の競馬王ブログに掲載いたします。
*テイクオーバーターゲットは一般的には[11-d]というNo.で知られていますが、
13代母Mother Neasham以前の牝系がゼンノロブロイと同一なので(日本軽種馬協会
データベース発表)、[2-b]としてカウントしました。