片野治雄の天皇賞春展望
<天皇賞展望>
過去10年の勝ち馬のNo.を見ると、00年から04年までをスタミナ型(4.5.8.9.16.23)が、05年から09までを(07年を除いて)スピード型が制しています。これは春の天皇賞が「ステイヤー」ではなく「決め手を持つ中距離馬」が勝っている事を示しており、その根本には長距離レースのポイントを知り尽くした騎手が多数参戦している証明でもあります。それを知ってか知らずか、今年は異例のBコースで施行されます。例年Dコースで行われる天皇賞は緩いカーブの影響か、マクリを仕掛ける馬が多く「最後まで仕掛けを我慢した先行馬」か「インで脚を溜めていた馬」の好走するケースが多く見られました。かつて秋華賞がCコースからAコースに変わり施行された事がありましたが、その時(00年)は逃げ粘るヤマカツスズランを好位のインで脚を溜めていたティコティコタックが差すという展開でした。もちろん内回り2,000mと外回り3,200mを同列に扱うには無理がありますが、施行条件の変化を逆手に取り展開利を得る馬は必ずいると思います。
前置きが長くなりましたが、本命はナムラクレセント[16‐a]。No.16のG1好走ローテである「凡走後の距離延長」で出走できるのは有利ですし、長距離戦には不向きな印象の小牧騎手が跨って(昨年の)阪神大賞典3着なら距離も問題ないと思えます。対抗はフォゲッタブル[8‐f]。有馬記念まではマクリ脚質のイメージが強かった同馬ですが、前走で「脚を溜める」事を学習した今なら、今回は内枠を利しての決め手を発揮できると思います。穴人気になりそうなジャミール・メイショウベルーガはともにデルタブルースと同系。デルタ自身、メルボルンカップを制した名ステイヤーでしたが、本質的には決め手に乏しい洋芝巧者の感があります。ジャミールとメイショウには母父サドラーズウェルズの影響か、デルタには無かった決め手はありますが、反面、距離的には微妙なだけに押さえ評価までとしておきます。
◎ナムラクレセント [16‐a]
〇フォゲッタブル [8‐f]
▲エアシェイディ [4‐r]
☆メイショウベルーガ[3‐d]
△ジャミール [3‐d]
△メイショウドンタク[10‐a]
最後に評価したメイショウドンタク[10‐a]はNo.10の潜在的なスタミナに期待しました。カルストンライトオ[10‐b]やペールギュント[10‐e]などG1好走には短距離戦のイメージのある10号ですが、JCを驚異的なレコードで勝ったアルカセット[10‐c]やホーリックス[10‐d]、昨年 長距離重賞でアッと言わせたモンテクリスエス[10‐a]にマイネルキッツ[10‐e]など勝ち味に遅いタイプが極限のスタミナを求められる場面で潜在能力を発揮するケースが目立ちます。今回ブリンカー着用で単騎逃げが叶えばノーマークの気軽さ+潜在的なスタミナ発揮で、気がつけばイングランディーレの再現まであっても不思議ではないと思っています。