世界最高峰の舞台で好位を走れ!? 凱旋門賞分析

 こんにちはヒデです。いよいよホースマンの夢を見るときがきました。日本人の誰もが夢を見る最高の舞台、凱旋門賞。果たして馬券的にはどのような傾向が出ているのでしょうか。情報も少ないですが、早速見ていきましょう。それでは本日もよろしくお願いいたします。

日本馬の活躍見込みに関してはこちら

おことわり・・・

 データが少ないため、独自でデータ集計を行ったデータもあります。再三の確認など万全を期してはいますが、若干の抜け漏れがある可能性があります。予めご了承ください。


< 目次 >


1.凱旋門賞が行われるロンシャン芝2400mの特徴を見る!

2.最後の直線までに先行争いをしていなければ厳しい!?

3.若さと牝馬とイギリスと。凱旋門賞ではこれらの要素が重要!?

4.偉大なるガリレオの血。

5.該当馬


1.凱旋門賞が行われるロンシャン芝2400mの特徴を見る!

 日本の競馬場のようにしっかりした楕円形、卵型というわけではないロンシャン競馬場。スタートして斜めにしばらく走った後、カーブ、フォルスストレート(偽りの直線)に差し掛かります。そしてその後緩やかなフォルスストレートの後が本当の直線ということになるのですが、2400mで1周しないというフランスの競馬場の広さを痛感します。向こう正面では2.4%の上り坂、1000mから1600mの間で600m進むごとに10メール取る下がる設計になっています。なお、高低差は10m、直線の長さは東京競馬場とほぼ同じの533m。

□ロンシャン競馬場芝2400mの基本データ

レースレコード2:24.49(11年デインドリーム)

高低差:10m(中山競馬場の約2倍)

スタート地点2コーナー奥のポケット地点

スタート後400mまで→平坦

400m~1000m→最大斜度2.4%の登坂

1000m~1600mまで→10m下る

カーブ後→フォルスストレート(250m)※実際には緩やかなカーブ

最後の直線533m(東京競馬場とほぼ同等)

コースの芝は洋芝。

→道悪では以上に時計がかかり、不良で行われた20年は2:39.30とレコード比+15秒

土曜日時点でコースの大半が稍重(=Good to Soft)判定少し時計がかかる想定がよさそうです。



2.最後の直線までに先行争いをしていなければ厳しい!?

 洋芝を多く使っている欧州競馬、そのため日本の要馬豪快な差しは望み薄です。過去10年の直線の攻防を見ていても直線後方から差してくるような馬はなかなか現れず、差してくるように見えても直線では中団前目に付けている印象を受けます。19頭立てとなった2018年は豪快な差し追込みが決まりましたが、今年は14頭立て。小頭数で最後方から差してきた馬として近年印象的だったのは武豊騎手が2019年に騎乗したソフトライト。すさまじい脚で伸びてきましたが、それでも先団とは遠く離れた6着に終わっていることを考えるとやはり「前目に付ける」はマスト条件ですね。これらの要因やそれまでの高低差、フォルスストレートなどを見ても「人馬のコンビネーション」というのも非常に重要になってきそうですね。これは「大外が伸びない」というというところも影響していそうです。過去20年の直線を見てもやはり大外から伸びてくるというのはそうそうみられるものではありません。一番伸びやすい位置は内から3~4頭目あたりで、17年のエネイブルを見ていても一番いいところから伸びていることがわかります。したがって最内から5頭目位までに付けていたいところでしょう。なお、馬群の大外から伸びてきた馬は1回目に挑戦したオルフェーヴルのみ。いかにこの馬がすごかったかわかりますね。

 これは少し脱線しますが、日本で欧州系といわれる馬は基本的に先行を好みます。これは凱旋門賞などタフな条件を走り勝ち切るために調教された「遺伝」なのではないでしょうか。後方待機していては伸びきれません。瞬発力はいらないという戦法が中心になるということが欧州系種牡馬がサンデー系と比較して日本競馬で苦戦するという要因であることがよくわかります。



3.若さと牝馬とイギリスと。凱旋門賞ではこれらの要素が重要!?

 この競走は若さが最低限必要になるレースという特徴があります。過去3年で見てみると6歳以上は出走が少ないものの【0-0-0-8】で馬券にはならず。5歳以下が良さそうですね。特に4歳以下は素晴らしく、過去3年【4-4-4-43/55】でほとんどの馬券内馬が4歳以下であることがわかります。特に牝馬3歳は斤量面で有利(4歳以上牡馬は59.5kg、3歳牝馬は55キロ)になるため、特に好走しやすいとも言われています。他の条件が揃えば3歳牝馬は魅力的な条件になるようです。

 調教国別に見てみるとイギリス調教馬は無下にできません。過去5年で【2-2-1-7/12】で複勝率41.7%と安定感抜群です。昨年こそ上位馬をフランス調教馬が独占したもののエネイブルが2勝2着1回になるなど活躍し「少数精鋭」が似合う上々の成績を残しています。フランス調教馬は前走もロンシャン競馬場でレースを行った馬が多いので、ロンシャンアドバンテージは確実に存在しているようです。フランス調教馬は前走に注目してみるのが良いでしょう。

 また、過去3年の成績を見て目に止まるのが「前走着順」。ロンシャン競馬場で行われた過去3年は前走4着以下の馬券内は0です。もちろんその中には連勝していたエネイブルも含まれていますが、それでも9頭ともに前走も好走しているのであれば「巻き返しは酷」と考えるのが妥当でしょう。前走は成績を残している馬を中心に考えるのが良さそうです。

この項のまとめをすると

①5歳以下しか馬券圏内に好走していない。特に4歳以下が好成績

②「少数精鋭」のイギリス調教馬が良い。

③フランス調教馬は前走ロンシャン競馬場に出走している「ロンシャンアドバンテージ」を持っている馬を。

④前走4着以下の馬でないと馬券圏内の期待値減少。巻き返し期待は酷



4.偉大なるガリレオの血。

 昨年大きな転換期を迎えました。ガリレオ直系馬の優勝が4年ぶりに止まったのです。17年、シャンティで行われた凱旋門賞でエネイブルが勝利して以降続いていた傾向が止まったのです。これは一つの大きな出来事であると思います。それでも昨年の勝ち馬ソットサスも母父はガリレオなので、ガリレオ系が強いことは疑いようのない事実です。欧州開催ということもあって血統的にはノーザンダンサー系が大きな影響も持ち続けています。前述のソットサスは父リファール系。16年に制したGoden Hornもダンチヒ系とこの3系統が大きな力を示し続けている競走です。ノーザンダンサー系のクロスはこのレースでは鉄板と言うことができるでしょう。ただニジンスキー系の血は苦戦傾向で、最後に馬券になったのが18年2着のSea of Classが最後です。

 ノーザンダンサー系以外は母父系が基本になっています。18年3着のクロスオブスターズは母父キングマンボでこれが直近にノーザンダンサー系以外の血統が父系、母父系に入った例です。父系となるともっと遡り、2015年3着のニューベイ(父Dubawi)が最後。このことからもどれだけ父系ノーザンダンサー以外の馬が凱旋門賞で馬券になるのが厳しいかわかります。基本的にはガリレオ系、ダンチヒ系、リファール系から馬券を組み立てて行くのが良いでしょう。



5.該当馬

それでは凱旋門賞のここまでの条件に合致する馬を紹介したいと思います。

馬番に記載しています。ゲート番号とは異なるのでご了承ください。

2.ディープボンド(ゲート番5)

脚質〇 ロンシャンアドバンテージ〇 前走〇 血統〇

 父キズナはニエル賞1着→凱旋門賞4着が印象的なキズナ、母父キングヘイローの父ダンシングブレーヴは1986年の凱旋門賞馬。これだけの血統でフランスに合わないはずがなく前哨戦のフォワ賞ではCデムーロ騎手の好騎乗も光り、逃げ切りで1着に。今回も内枠発走ということで期待は十分ですね。

10.アダイヤー(ゲート番11)

脚質〇 前走〇 血統〇

 ゴドルフィンが送り出すフランケル産駒です。前走キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは先行から直線で抜け出し、英ダービーに次いで連勝となりました。したがってこのレースは欧州三冠がかかるレースということになります。鞍上はゴドルフィンの主戦騎手ご存じウイリアム・ビュイック騎手。先行馬を直線でどの位置につけさせるのか、これが勝負になりそうです。初ロンシャンですが、血統的にはこなせるでしょう。

11.ハリケーンレーン(ゲート番2)

脚質〇 前走〇 血統〇

 今年のパリ大賞典勝ち馬。そのパリ大賞典では先行から抜け出し残り400mでトップに立つとそこからは圧巻の伸びを見せ快勝。重馬場であれだけのパフォーマンスを出せるのは凄まじいの一言に尽きます。英ダービーでは3着に敗れましたが、それ以降愛ダービーから3連勝中。アダイヤーと比較すると少々厳しい感じもしますが、それでも十分上位候補ですね。

  1. スノーフォール(ゲート番9)

脚質〇 前走〇 血統??

 海外で猛威を奮ったディープインパクト産駒。母父はガリレオです。鉈の切れ味ともいうべき豪脚を繰り出す産駒が多い同産駒ですが、イギリスの名伯楽オブライエン厩舎×母父ガリレオの力は見事に欧州の競馬にアジャストさせました。今回は牝馬3歳ということで斤量も有利。マイペースで走ることができれば十分勝ちも狙えるでしょう。ただやはりそこはディープインパクト産駒、少しの割引は必要になるかもしれません。しかし見たいのはディープインパクトの娘による凱旋門賞制覇、父の悲願を達成することはできるでしょうか。

<ヒデイチオシの穴!>

1.トルカータータッソ(ゲート番12)

脚質〇 前走〇 血統〇

今年のバーデン大賞1着馬です。父は遡るとSadlers Wellsにたどり着く血統です。母父系はハイペリオン系、スタミナで大きな影響力を残した系統です。ドイツ調教馬ということで実力は未知数ですが、血統の額面を見る限り日本の100倍を超えるオッズほど敬遠される馬でもなく、一発はありそうですね。


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今回はだいぶ長くなってしまいましたが、お役に立てれば幸いです。

的中報告、感想等はTwitterもしくは sp@keibaoh.com までお送りいただければ幸いです。

それでは思いっきり凱旋門賞を楽しみましょう!

ヒデ