片野治雄のファミリーナンバー予想

<種牡馬の特性?>

 さて、ダービーの見解に入る前にちょっと種牡馬について整理してみようと思います。

先週のオークスではアパパネ・サンテミリオンの2頭が同着優勝という劇的な決着を迎えましたが、この結果を踏まえれば「今の馬場はゼンノロブロイ産駒やキングカメハメハ産駒に向いている」と判断しがちですが、この2頭は共に主要ステップレースを勝ちオークスに駒を進めたという共通点があります。逆に前走、惜敗したタイプの巻き返しは全く見られず、この辺りが「種牡馬ゼンノロブロイ」と「種牡馬キングカメハメハ」の長所でもあり短所でもあるポイントだと思えます。つまりこの2頭の種牡馬の産駒は「常に全力で走ってしまうために、着外に敗れるような事があれば緊張の糸が途切れてしまう」のではないか、と。

ざっくりとした言い回しではありますが、G1において着外からでも巻き返すチカラを[攻撃力]、逆に好調をキープし続けるチカラを[守備力]と位置付けるのならば、この2頭は「守備力が高いが、攻撃力はイマイチ」という表現が当てはまります(他にも種牡馬Giant’s Causewayなどが似た性質を持ってますね)。逆にネオユニヴァースなどは昨年の例だけで見ても「攻撃力は高いが、守備力に不安あり」なタイプと言えます。

もっとも、サンプル自体がまだ少ないので結論付けるのは早いですが、同じ血統馬でも臨戦過程を注視するためのポイントの一例として考えるのは決してムダではないでしょう。

<ダービー展望>

 少々話がそれてしまいましたが、ダービーの展望にまいりましょう。昨日のブログで[スタミナと持久力]に優れたタイプを狙いたいと言いましたが、今回僕が注目しているのがアリゼオ[19]です。No19のクラシック制覇自体は1991年のトウカイテイオー[19-b]まで遡らなければ存在しませんが、近年のダービーでもSS産駒としてダービーを圧勝したスペシャルウィークの2着馬ボールドエンペラー[19-b]や、ディープインパクトの2着馬インティライミ[19]などが持ち前のスタミナで2着争いをモノにしています。

さらにいえば、No19の競走馬は若駒同士のG1に強く、最近でも朝日杯2着のフィフスペトル[19-b]やNHKマイルC2着のレッドスパーダ[19-c]、阪神JF2着のアニメイトバイオ[19]などが活躍しています。ただ、お気づきの通り2着が多いのが特徴で、それはまさに非主流の特性である[スタミナと持久力]に優れた系統の証明だと言えるのです。今回、No19の競走馬としてはコスモファントム[19]も該当しますが、近年のダービー好走馬のトレンドである「主要ステップレースを先行策で押し切った馬」という条件に当てはまるアリゼオを上位評価としました。

そこで「アリゼオが2着候補ならば1着は何か?」となりますが、その答えはペルーサ[6-a]が最適だと思います。確かに能力的にはヴィクトワールピサ[8-d]の方が上位かもしれませんが、冒頭でお話しした通りロブロイ産駒は「守備力が高く」、ネオ産駒は「守備力が低い」と仮定しているので、ペルーサの方を上位にとりました。さらに言えば、最近のG1において鞍上の横山典弘騎手が「先行馬を残した展開」での差し切り勝ちを決めるケースが多いのも大きな理由です。もちろんキンカメ産駒のルーラーシップ[8-f]も高い評価をしますが、同系の活躍馬はトウカイポイント・スーパーホーネット、トーホウシデンにフォゲッタブルと京都巧者が多いので、善戦止まりになる可能性も小さくないだけに次点評価としました。

そんなわけで今回のダービーは、

◎ ペルーサ [6-a]

○ アリゼオ [19

▲ヴィクトワールピサ[8-d]

☆ ルーラーシップ [8-f]

△エイシンフラッシュ[8-a]

△メイショウウズシオ[3-l]

と、位置づけました。

 ちなみにヒルノダムール[4-i]はバテ比べに強い系統なので中山・阪神などの急坂コース向きなタイプと判断し、無印評価に。抽選組のメイショウウズシオ[3-l]は06年サムソン・07年ウオッカ・08年ブラックシェルと同牝系なだけに、万が一を考えて押さえ評価としました。馬券的には<馬連・ペルーサ流し><馬単・アリゼオ2着軸固定流し>を厚めにして勝負したいと思っています。