炎の国のスターヨカヨカ物語~前編~令和を駆けた名馬たち

  颯爽と現れ熊本産馬初の重賞タイトルをプレゼントしてケガで突然の引退。まさに疾風のようにやってきた九州産の星、火の国のスターヨカヨカ。颯爽と先行し差し切るその凛々しさは九州のみならず日本中のファンを魅了しました。

ヨカヨカ

父:スクワートルスクワート

母:ハニーダンサー

母父:Danehill Dancer

通算:10戦4勝

主な勝ち鞍:北九州記念(’21)



1.調教に入り評価は急上昇

 父スクワートルスクワート、母父Danehill Dancerという血統はダートを主戦場にするような血統構成。5代血統表を見てもサンデーサイレンスもキングカメハメハも入っていないという日本競馬の基本からは外れている異端児的存在の血統です。本田土寿牧場で生を受け育てらたハニーダンサーの18は九州1歳市場でJRAに340万円で落札されJRA宮崎育成牧場に移動、そこから本格的に調教されます。そしてJRAブリーズアップセールに上場されたハニーダンサーの18は公開調教育成馬展示会で2F23秒0、11秒0の調教1番時計をマーク、注目の的となり九州産馬としては異例の1000万越えで落札されました。それでも九州産馬ということもあり「意外だな」という評価が大半を占めていました。しかし、ヨカヨカと名前が決まり栗東の谷潔厩舎に入厩、5月8日にゲート試験に合格すると徐々に評価は上昇。そしてデビューが決まった6月からは本格的に調教を開始、新馬戦前の最終追切では終い1F11.9をマークしその日の古馬も含めての一番時計をマークするなどファンからの評価は上昇していきます。このあたりからファンの期待も高まっていきました。そんななか6月13日に九州産馬限定ではない阪神競馬場の2歳新馬戦を迎えることとなります。



2.デビューから無傷の連勝で中央場所に帰還。初の重賞挑戦へ

 6月13日阪神5レースの新馬戦(芝1200m)でデビューを迎えます。鞍上にコントレイルで2冠達成したばかりの福永祐一騎手を迎えたものの、2人気に。1人気は後に京王杯2歳Sを制することになるモントライゼでした。レースでは4番手に控えて道中追走、直線では上り3F1位の34.7秒をマークする末脚を魅せモントライゼをアタマ差で勝利。3着のブラックアーメットを3馬身半差離していたことからもその圧倒的なパフォーマンスであったことが伺えます。また、熊本産馬というくくりでも1986年以降はじめての九州産限定戦以外のJRA2歳新馬戦勝利ということに。

 続く2戦目は「凱旋」、小倉競馬場の2歳オープンフェニックス賞に出走しました。福永騎手がこの競走との相性が良いということで単勝人気は1.4倍と圧倒的支持を受けることに。開幕初週ということもあって芝の状態は良好、レースでもスタートから先手を取って上り3位で逃げ切り勝ち。そして次走は重賞の小倉2歳Sではなく九州産馬限定のオープン競走、ひまわり賞に出走。57キロとこの時期の2歳馬としては異例の斤量を背負いながら単勝オッズ1.3倍と前回よりも人気を集めました。そんなヨカヨカはここでも逃げの手を打ち、快走。上り2位の末脚を繰り出し他の追随を許さずに3馬身半差の快勝。改めて九州産馬の中では圧倒的な強さを持っていることを自らの走りで見せてくれました。

 3連勝として秋の主場開催へ。次の舞台は初めての芝1400m戦、ファンタジーSに参戦するのでした。



3.一流馬の壁に跳ね返される2歳冬

 秋初戦はファンタジーS。「白毛一族」のメイケイエールとの初対決を迎えました。人気はこの時も2人気で少し人気に翳りがあったものの、それでもメイケイエールの対抗1番手という評価になりました。どれだけ期待されていたかわかります。レースでは新馬戦以来の控える競馬となり、直線で外へ。ただそこからはふらつくなど伸びを欠き、5着に敗戦。暴れん坊ぶりを見せつけたメイケイエールから2馬身少し離される結果になりました。その影響もあってか、続く阪神JFでは10人気の低評価に。

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阪神ジュベナイルフィリーズに出走するヨカヨカ(写真:橋本健)

 阪神JFでヨカヨカは再び先行策に打って出たヨカヨカは直線半ば、残り200mまで先頭で粘りこみ、勝利目前まで迫ったのです。しかし、残り200mで差し馬に飲み込まれてしまい5着に。それでも鞍上の福永騎手は「この馬は先行すればこれくらいの競馬をしてくれる、上位がそれ以上の競馬をしただけでこの馬も最後まで止まってませんでした。」とコメント。陣営は来年以降に確かな手ごたえを感じて2歳シーズンを終えるのでした。



次回へとつづきます。(次回は月曜日更新予定!)