名馬と肩を並べるレッドルゼルの偉大な記録

 先週、当コーナーとみんなの勝負レースに取り上げたレッドルゼルは、カペラSで2着という結果でした。みんなの勝負レース内で懸念した通り、同馬が負けるパターンとしては、前を捕まえられないパターン。結果的にその不安が当たってしまいましたが、道中の位置取りも仕掛けのタイミングも悪かったとは思いません。今後のこともふまえ、同馬がどれくらいの脚を使えるのかをしっかり試せたという意味では大きったと思います。結果的に勝てはしませんでしたが、本賞金が加算され、今後においてレース選択の幅も広がったことを考えれば、価値のある2着だったのではないでしょうか。
 
 それにしても、同馬に対してはキムラヨウヘイさんが以前より、「レッドルゼルは強いと思うけど、人気先行のタイプ」と仰っていましたが、今回のレースでまたしてもそれを証明する形となりました。今回もレース前日まではダンシングプリンスが抜けた形の1番人気でしたが、レース当日に両馬の馬体重が発表され、ダンシングプリンスの馬体重が+16キロであることが分かると、徐々に差が詰まり、遂にはレッドルゼルが1番人気となりました(最終的にレッドルゼル3.0倍、ダンシングプリンス3.4倍)。
 人気になりやすいタイプというのは、配当的側面で見ると美味しくありませんが、レース直前で人気が上昇するというのは捉えようによっては“来るサイン”でもあります。実際、オッズ理論の第一人者である大谷清文さんも、「人気馬に関して言えば、直前でオッズが下がるのは良い傾向」と言っていますし、データ的に見てもオッズが上がる(人気が下がる)よりも、オッズが下がった(人気になる)方が信頼できることは証明されています(そもそも2番人気より1番人気の方が好走率が高いのは当たり前の話)。つまり、直前で1番人気になるということは、配当的には美味しくなくなりますが、来る確率が高まるという安心感を得ることができるわけで、馬券を買っている側からすればちょっとホッとする面もあったりするわけです。

 ところで、このレッドルゼル。「人気先行」に関連したデータで、実は偉大な記録の持ち主だということをご存知でしょうか? それはデビュー以来、“1番人気と2番人気にしかなったことがない”という記録に関してです。「キャリア10戦以上」でこの記録をマークすること自体が至難の業ですが、ここに「5勝以上」という縛りを加えるとさらに厳しくなり、現役馬では何と4頭しか残りません。

馬名        国内成績   国内人気
アーモンドアイ  【10-2-1-1  【13-1-0-0】
クリソベリル     【8-0-0-1】 【7-2-0-0】
タワーオブロンドン【7-3-3-4】 【10-7-0-0】
レッドルゼル   【6-5-1ー2】 【11-3-0-0】

 ご覧の通り、上記条件をクリアした4頭のうち、何と3頭が重賞複数勝ちを収めているGIホース。レッドルゼルがこれらのメンバーと肩を並べている時点で凄いわけですが、注目すべきは1番人気の数。あくまで、「キャリア10戦以上」「5勝以上」「1、2番人気しか経験なし」という3つの条件をクリアした馬の中での話ですが、1番人気になった回数で言えばアーモンドアイの「13回」に次ぐ「11回」。アーモンドアイは既に現役引退を発表しているため、レッドルゼルは実質“現役1位”の記録保持馬ということになります。

 このデータによって未来が約束されるわけではありませんが、レッドルゼルが偉大なるファンから常に絶大な支持を集め、名馬と同じような戦績を辿っていることを考えれば、「重賞複数勝ち」、「GⅠウィナー」になるためのフラグはもう立っている…と捉えても行き過ぎた妄想とまでは言えないはずです。
 同馬は次走、根岸Sの出走を予定しているとのことです。果たして1、2番人気以内の記録は継続できるのか。そして悲願の重賞勝ちは果たせるのか。その行く末に注目したいと思います。