どこよりも早く武英厩舎のメイケイエールに注目していた競馬王②

 競馬王2020年1月号の「グラサン師匠の鉄板競馬」及び「まいこのトレセン探訪」にて登場してもらっている武英智調教師。誌面登場のきっかけは、ある日の食事会で、「来月北海道に向かうのですが、自厩舎に入る予定の1歳馬や、オータムセールの様子を一緒に見ませんか?」という武英先生からの有り難いお誘いがあったから。その言葉に甘えて同行させて頂いたグラサン師匠とまいこが得たものは大きく、日高の各牧場、オータムセール、社台F~ノーザンFと駆け足で巡った濃密な2日間の中で、見せて頂いた1頭の中にメイケイエールがいたのです。

 メイケイエールの馬主は名古屋競馬さん。現役馬はメイケイダイハード、メイケイハリアー、そしてメイケイエールの3頭しかいませんが、その内の2頭が重賞勝ちを果たしているのだから立派なもの。本馬メイケイエールは、武英先生がセレクトセールで一目惚れして、名古屋競馬さんにお願いして購入してもらった馬だそうです。メイケイエールのどの辺が気に入ったのか先生に聞いたところ、パーツの部分とか細かいところもあるけど、何より顔が良くて品があったところだそうです。そしてその品の良さは誰が見ても分かるそうで、ヤンチャなイメージがあるかも知れないけど普段はとても大人しくて可愛い仔なんだそうです。

Photo_3メイケイエール1歳時 写真/まいこ

 小倉2歳Sの出走に関しては、やはり当初はレースに使うかどうかは五分五分だったそうです。短期間で二度の輸送をさせてしまうことは、馬に負担がかかるし馬体が減ることも心配だったとのこと。ところが新馬戦の後こそ馬体を減らしたものの、そこからは驚くほどに馬体が回復したとのことで、精神的にも肉体的にもかなりタフなんだそう。

 新馬戦は中学校(近江兄弟社中学)の先輩であり、懇意にしてもらっている福永騎手に乗ってもらい快勝。小倉2歳Sでは福永騎手に先約があったため(新潟記念のブラヴァス)、どうしようかと思っていたところ、ラッキーなことに大尊敬する偉大なる親戚・武豊騎手が空いていてお願いしたとのことでした。

 レースでは、出遅れたように見えましたが、「ゆっくり出して下さい」とお願いしたとのことで想定内だそうです。それでも、道中に抑えが利かずに暴走気味になった時は少し焦ったそうですが、そこは武豊騎手。ケンカせずうまく折り合いをつけながら外目に出すと、直線は見事に弾けて快勝。

 今は放牧に出ているメイケイエールの次の目標はファンタジーSだそうです。同レースはヨカヨカを始め、強敵が揃いそうですが、武英先生はあまりその点に関して心配してないようで、むしろヨカヨカが出てくれた方が速い流れが見込めるのでこの馬に向くんじゃないかな…と前向きなコメントをしてくれました。

 レースにいって燃えすぎてしまう気性、ここだけ何とかなれば距離ももう少し延ばしても平気なはずと話す武英先生。普段は大人しい馬だけに、どこかでレースというものを理解してくれればたちまち優等生に変身する可能性は秘めています。そうなれば、阪神JFはもちろん、桜花賞まで夢を見させてくれる馬かも知れません。競馬王としては、今後もずっと追い掛け続けたいと思っています。