片野治雄のファミリーテーブル予想

<「秋華賞の反省」と「菊花賞の展望」>

 先週の秋華賞はアパパネ[9-f]が見事3冠を達成。同時に関東馬が上位3着を独占するという今期の牝馬路線を象徴する結果となりました。思えば日本初の3冠牝馬メジロラモーヌもまた[9-f]でした。ベガ[9-f]・ラインクラフト[9-f]ら2冠牝馬たち(ラインクラフトは変則2冠ですが)が3冠目を逸した事が脳裏に浮かび評価は対抗に落としてしまいましたが、本命のアグネスがまさかの「溜め逃げ」でローズSのリピートとなった段階で展開予想は崩壊。自身の予想の甘さを再認識するはめになりました。

03年、スティルインラブ[10-d]が3冠達成した時に逃げたのもまた米国色の濃いマイネサマンサ[22-b]だった事を思い出したのはレース直後。同じ事象が繰り返されたのに見逃してしまったのは完全に自分のミスだけに、この反省を今後の菊花賞・天皇賞にぶつけたいと思います。

 さて今週の菊花賞、出走想定メンバーを見る限り「菊花賞向きの配合馬」は見当たりません。が、それでは話にならないので、現時点で僕が注目している穴馬を何頭かピックアップしたいと思います。まず、ラジオNIKKEI賞勝ち馬のアロマカフェ[7-c]から。セントライト記念はヤマニンのつくった乱ペースに巻き込まれながらも3着に粘ったレースぶりが好内容(ああいう展開では「逃げ馬と追い込み馬」にとって有利なので)。もともと折り合い面は問題なかっただけに、ハイペースでも崩れなかった今走は菊花賞に向けて良い経験になったと思います。01年、大逃げでアッと言わせたマイネルデスポットと同じ牝系の出身だけに春クラシック不出走の無念をはらしてもらいたいものです。

そのセントライト記念で9着に終わったミキノバンジョー[8-f]もまた要注意の1頭です。何度か紹介していますが[8-f]は菊花賞2着のフォゲッタブル・トーホウシデンの2頭を始め、マイルCSのトウカイポイント・スーパーホーネット(2着2回)を輩出している淀G1御用達の系統です。ミキノ自身、セントライトの厳しい流れを強引に捲っての敗戦だけに内容に不満はありません。ただ、配合的に3,000m向きとも思えないので現時点では△までの評価とします。

前走・神戸新聞杯こそ10着に大敗したものの、未だ見限れないのがシルクオールディー[17-b]。秋華賞を除外となった同系のブルーミングアレー同様、シーズンオフの競馬に向くタイプではありますが、米国的な持久力系統が幅を利かす今の菊花賞なら一発あってもおかしくありません。同系でG1級に出世したのはエイシンチャンプやシーキングザパールなどマイル以下のG1が多いのは確かですが、そのエイシンやシーキングの仔ダイヤなどはダートでは2,000m超の距離もこなしているように、潜在的なスタミナはなかなかのものだと思われます。03年のザッツザプレンティのようにスタミナ任せの捲り戦法に徹すれば脚質の違う人気馬たちに一泡吹かせる場面も演出できるかもしれません。

 1番人気が濃厚だったエイシンフラッシュ[8-a]の回避で今年の菊花賞は「皐月賞馬・ダービー馬」ともに不在となりますが、04年・08年ともにクラシック不出走の上がり馬が戴冠を果たしています。しかも相手には春のクラシックを大敗したようなタイプを連れての結果だけに大波乱の気配も漂います。このイメージに該当しそうなのがレーヴドリアン[1-p]で、先週のデイリー杯2歳Sを妹が制したように今の京都の芝は合いそうですし、同系のストラタジェム[1-p]が04年に僅差の5着に健闘した事を思えば軽い扱いはできません。

 他にも魅力的な馬はいますが、最終的な見解は競馬王メルマガで発表いたします。