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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年10月26日 (水)

満点のレースぶりで初戦突破レッドエクスプレス

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、中団追走の△タガノグーフォ(1番人気)が直線で大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=1aP7ypvfxxA

ネオユニヴァース産駒は素軽いスピードタイプではないので、芝の新馬戦では1800~2000mなら買えるのですが、マイル以下では人気を鵜呑みにしないようにしています。とくに芝1400mではこのレースの前まで連対率6%。

シルシを△に落としたのですが、アッサリ勝たれました。このメンバーのなかでは抜けた能力の持ち主でしたね。サンデー系と相性抜群のダンシングブレーヴが母の父に入り、Halo≒Drone 3×4というニックスがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104946/

「ネオユニヴァース×ダンシングブレーヴ」は、インペリアルマーチ、グレヴィテーションなどダートに強い傾向が見られるのですが、前者にはブレイヴェストローマン、後者にはミルジョージが入るので、この組み合わせ自体が力馬的な特徴を醸し出すというものではないでしょう。本馬は2代母の父が Caerleon ですから、今回の走りっぷりが示すとおり芝でも問題なくやれるはずです。距離は2000m前後がよく、高い素質が感じられるので昇級戦でも要注意です。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、2番手追走の◎レッドエクスプレス(2番人気)が逃げ馬を交わして抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=wYhmNe7j_H4

予想は◎★△で馬単3380円、3連単44100円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎レッドエクスプレスは『ディープインパクト×シーキングザゴールド』という組み合わせ。アメリカの名門フィップス家が育てた名牝系に属し、2代母ディスピュートはケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した。母アドヴァーシティはブロードウェイ3×4という名牝のクロスを持っているので繁殖牝馬として期待できる。やや硬めのアメリカ血統で構成されているが、父ディープインパクトはダート色の強い繁殖牝馬を料理するのが得意なので、芝適性に関しては問題ないだろう。2代母の父ダンジグはディープインパクトと相性良好。京都芝1800mの新馬戦はディープインパクト産駒が連対率55.6%と得意にしている。」
http://www.youtube.com/watch?v=PnYB4m4x32w

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名した馬で、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価。ソツのないクレバーなレースぶりでした。初戦としては満点でしょう。

母アドヴァーシティが3×4で持っている Broadway は、繁殖牝馬として稀な成功を収めた名牝です。Queen of the Stage(米最優秀2歳牝馬)、Reviewer(悲劇の名牝 Ruffian の父)、Stage Director(フィラデルフィアH)、グレートホワイトウェー(本邦輸入種牡馬)などを産み、孫の代から名種牡馬 Seeking the Gold が誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/broadway

グレートホワイトウェーは大井競馬場のレコードホルダーを2頭出しました。ダ1600mのカツスイセー(1分37秒5=79年8月3日)、ダ1200mのカオルダケ(1分10秒2=80年9月18日)です。前者のレコードは06年のマイルグランプリでアジュディミツオーが1分37秒2を出して27年ぶりに更新されましたが、後者は30年以上経った現在も破られていません。ちなみに、カツスイセーの記録を破ったアジュディミツオーはアジュディケーティング産駒で、アジュディケーティングの母の父はグレートホワイトウェーの半弟 Reviewer です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001104554/

こうした血統的なアウトラインからも分かるように、Broadway はパワーを兼ね備えた抜群のスピードを伝える一方、やや一本調子なところがあります。それを3×4でクロスさせた母アドヴァーシティは柔軟さや瞬発力を伝えるタイプではありません。レッドエクスプレスの2代母 Dispute は、予想文に記したとおりケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した名牝で、前出のアジュディケーティングの全妹にあたります。この点からもアドヴァーシティの個性を類推できることと思います。

レッドエクスプレスは、母が硬質なアメリカ血統で固められているので、距離適性がやや長めのリアルインパクト、といったイメージです。POGで期待できる完成の早いディープインパクト産駒はこのパターンが手堅いといえるでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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レッドエクスプレスと4着のクランモンタナは、当初の予定では翌週の2000mのレースに使う予定だったのを、厩舎事情から1週前倒しで出走したため、どちらも太め残りでしたね(本来はレッドバビロンとヒストリカルが出る予定でした)。結果は明暗が分かれましたが、勝ったレッドエクスプレスも、パドックを見るかぎりでは少しお腹が出ていました。
全姉ブランシェールは、小柄で胴の寸が詰まった感じの体型でしたが、弟のほうは馬格にも恵まれ、胴もある程度の伸びがあり、それなりに距離延長にも対応できそうです。
いかにもダート向きのような母から、こうしたスマートで芝向きな体型の馬を出すのは、ディープらしいですね(姉のブランシェールはダート向きの体型でしたが)。
ただ、ディープ産駒というよりも、むしろネオユニヴァース産駒に多く見られる体型ではないかと思います。
非常に大トビの馬なので、稍重の馬場は向かなかったと思いますが、あっさり勝ってしまいましたね。
一方、クランモンタナは、太め残りだったとはいえ、少し時間が掛かりそうな印象を受けました。
6着のモンクールは、マルゼンスキーの一族ということで気になっていた馬ですが、こちらも仕上がり途上で叩いてからといった感じでしたね。

追伸
レッドエクスプレスの6代母グレイフライトは、以前に栗山さんのブログでも取り上げられていました(「Grey Flight 牝系+Bold Ruler の活力」)。
その記事で、アジュディミツオーが、リゾルヴァー(レッドエクスプレスの3代母)≒ホワットアプレジャー2×4の相似クロスであるということでしたが、ホワットアプレジャーは、アジディミツオーのBMSジャッジアンジェルーチの父父にあたります。
ジャッジアンジェルーチは、種牡馬としては失敗に終わりましたが、BMSとしてはアジュディミツオーを筆頭にかなりの成功を収めています。
とくに、サンデー系種牡馬と相性がよく、小田切オーナーを一躍有名にしたエガオヲミセテ&オレハマッテルゼ姉弟をはじめとして、今年もグレープブランデーがジャパンダートダービーを勝ちました。
なぜサンデー系と相性がいいのかと考えると、やはりボールドルーラー×グレイフライトから生まれたホワットアプレジャーの配合にあるのではないかという考えに行き着きます。
ホワットアプレジャーの血統表を見ると、どうしても目に付くのは、マムタズビガム≒マームード3×2という強烈な4分の3同血クロスです。通常、こういう特徴的なクロスは繁殖牝馬向きと言われますが、ホワットアプレジャーは、競走馬としては1流半といったところでしたが、種牡馬としては僅か2頭しかいないボールドルーラー直仔の北米リーディングサイアーに輝きました。
また『血統ビーム 名種牡馬読本』で栗山さんは、ヘイロー産駒の成功パターンとして、マームードのクロスを持つことをあげ、その根拠としては、ヘイローの持つサンプリンセス≒マームード4×3の相似クロスを継続することになるからと説明されています。サンプリンセス≒マームード4×3の相似クロスは、マムタズビガム≒マームード5×3の4分の3同血クロスとも言えますから、ヘイローとホワットアプレジャーは、配合上のキーポイントが同じということになりそうです。
このことが、ジャッジアンジェルーチとサンデー系の相性のよさにつながっているのではないかと思われます。
ということであれば、ホワットアプレジャーとニアリーなレッドエクスプレスの3代母リゾルヴァーも、サンデー系と相性がいいと考えることが出来そうです。
そして、同書で栗山さんが指摘されているように、サンデーもこの4分の3同血クロスを継続していますが、ディープも、アルザオがマームード≒マムタズビガム5×7・5ですから、さらに継続させていることになります。また、ディープの切れ味の源泉とされるヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスも、両馬のスピードのルーツはお互いが持つマムタズビガム≒マームード5×3の4分の3同血クロスにあり、それを重ね合わせているということになるわけですね。
ということは、「飛ぶような」といわれたディープの走りのルーツは、まさに“フライング・フィリー”ことマムタズマハルの血にあり、と言えなくもないのではないでしょうか。
レッドエクスプレスの母アドヴァーシティに話を戻すと、いかにも米国ダート血脈で固められたような血統ですが、グレイフライトとボールドルーラーだけでなく、シーキングザゴールドやダンジグにもマムタズビガムやマームードの血があり、そのあたりが上手くオンになれば、芝でも切れる脚が使えるかもしれません。
アメリカ屈指の名牝系×ディープの配合から、マムタズマハルが顔をのぞかせるというのは、なかなか興味深いですね。

追々伸
ボールドルーラー&グレイフライトの血は、プリンスキロとも相性がよさそうです。
ボルキロというくらいですから当然かもしれませんが、ホワットアプレジャーの3歳年上の甥ボールドラッド(USA)は、ボールドルーラー×プリンスキロ×グレイフライトの配合で、競走馬としてはホワットアプレジャーよりも遥かに格上の強豪です。
残念ながら、種牡馬としてはホワットアプレジャーに遠く及ばず、日本に売却されてしまいましたが、当初の予想に反して、代表産駒の多くは芝馬でした。海外では仏1000ギニー馬や伊ダービー馬を出し、日本でもシンブラウン(阪神大賞典×2)やタイガーボーイ(セントライト記念)を出しています。
ディープにもリゾルヴァーにもプリンスキロの血があるので、そもそも、この配合は意外に芝向きの要素があるのかもという気もします。

レッドエクスプレス
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/9c/e95086bb690a3d14681f1f64e30156fc.jpg
ヴィクトワールピサ(ネオユニヴァース産駒の例として)
http://www.keibado.com/keibabook/110228/images/pp06.jpg

長文お疲れ様です。興味深く読ませていただきました。Halo の代表産駒は、サンデーサイレンスを筆頭に、Devil's Bag、Sunny's Halo、グッバイヘイロー、Glorious Song、ジョリーズヘイローなど、そのほとんどが Mahmoud クロスを持っているという際立った特徴があります。Halo とニックスの関係にある Sir Ivor を組み合わせると、自動的に Mahmoud のクロスが生じます。このあたりは Halo の影響力の源泉を探ったり、血の発展に関する推理の鍵となる重要ポイントでしょう。

ボールドラッドUSAの産駒で印象的な配合はタイガーボーイとタイガールイスの兄弟ですね。Nasrullah、Mahmoud、Tessa Gillian の関係はおしゃれです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982105008/

What a Pleasure が入るディープインパクト産駒といえばエネアドです。この馬が本気を出した場合の切れ味がどの程度のものなのか、一線級相手に通用する底力があるのか、東京スポーツ杯2歳Sが楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/

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