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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月26日 (月)

神戸新聞杯はオルフェーヴル

「手合い違い」という言葉がふさわしい楽勝でした。負けるとすれば、大逃げに攪乱されたときか、超スローペースで折り合いを欠いたときだろうと考えていましたが、どちらも杞憂に終わりました。
http://www.youtube.com/watch?v=x1X5UOYyczg

予想は◎〇△で馬単380円、3連単1430円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎オルフェーヴルは『ステイゴールド×メジロマックイーン』という有名なニックス配合で、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟にあたる良血。デビューからしばらくの間はステイゴールド産駒にありがちな気性面の難しさから安定感を欠いていたが、春先からそのあたりに成長が見られ、折り合いがスムーズになってきた。皐月賞と日本ダービーで披露したパフォーマンスは圧倒的。ひと夏越したとはいえ、同世代のライバルたちがこの差を埋めるのは容易なことではない。悪くても2着は確保するだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

オルフェーヴルの馬体は春よりも一段成長していました。16キロ増とはいえさほど太め感はなく、筋肉量が目に見えて増えていましたね。全兄のドリームジャーニーとはだいぶ馬体の印象が違ってきました。父ステイゴールドや母の父メジロマックイーンとも雰囲気が異なります。

思い当たるとすれば4×3でクロスさせているノーザンテーストでしょうか。同馬は筋肉質の小柄な馬体で、父 Northern Dancer の面影を濃厚に感じさせる馬でした。

サンデーサイレンスの系統は総じてスマートで気品があり、細身の馬体から繰り出す瞬発力が最大の武器です。オルフェーヴルもその特長を受け継いで素晴らしい切れ味を誇ります。ただ、その一方で、道悪のダービーを断然のパワーで駆け抜けた図太さも備えています。このあたりは Northern Dancer 的な資質が表現されたものではないかと思います。

要するに、オルフェーヴルはサンデーサイレンスと Northern Dancer のいいとこ取りをしているのではないか、ということです。

ひと夏を越して盛り上がった筋肉を見ていると、イギリスのマイル戦線を制圧している Frankel の姿がオーバーラップします。この馬は Northern Dancer 3×4で、全身が逞しい筋肉で覆われています。Frankel もオルフェーヴルも2008年に誕生したサラブレッドのなかでは傑作といえる存在です。Frankel はオルフェーヴルにないものを持っていますが、オルフェーヴルも Franekl にないものを持っています。そのひとつが中距離向きの瞬発力です。両者の血統的価値は互角でしょう。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

テンションが上がりがちな休み明けでも、折り合いを欠くことなく超スローペースに対応していました。菊花賞の不安材料はひとつ消えました。3000mの距離に関しても、まず心配いらないと思います。筋肉質の馬体は長距離向きのイメージとはズレますが、父ステイゴールドも母の父メジロマックイーンもスタミナに関しては不安がありません。前者は現役時代に天皇賞・春(G1・芝3200m)で2着、後者は同レースを二度制したほか、菊花賞(G1・芝3000m)も勝ちました。全兄ドリームジャーニーは有馬記念(G1・芝2500m)の優勝馬です。折り合いさえつけばパタッと止まる心配はありません。

重箱の隅を突けば、ステイゴールド産駒は阪神コースに比べて京都コースがイマイチという傾向が出ており、オルフェーヴル自身、京都コースでは2回走って勝っていません。

展開面の死角があるとすれば、大逃げを打った馬の残り目ですね。具体的にいえば当レースで4着に敗れた▲スマートロビン(5番人気)です。今回は明らかにペースを落としすぎました。大逃げというのは、ラップの出入りを小さくし、スタートからゴールまでなるべく平均した速度で逃げるということです。今回のように中盤で12秒9-13秒4-13秒7-12秒9というゆっくりしたラップを刻んだり、33秒6という上がりになるようではまずいですね。瞬発力のある馬の餌食になってしまいます。

04年の天皇賞・春を逃げ切った際のイングランディーレは、上がり3ハロンが36秒1でした。道中13秒台のラップが1回しかなく、精密機械のように12秒台のラップを刻みました。もし仮にこんな競馬ができるようなら、スマートロビンが王者に一泡吹かすシーンもないとはいえないでしょう。2代母 Key Dancer はダンシングキイ(長距離に強いダンスインザダークの母)の全姉で、スタミナに関してはいいものを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

2着〇ウインバリアシオン(2番人気)は世代ナンバー2の実力を示しました。しかし、トップとの差は大きいですね。

3着△フレールジャック(3番人気)は思ったよりも頑張ったという印象です。この馬の弱点は折り合いですから、スローペースが予想される2400m戦では引っ掛かる危険性が高いのではないかと思いました。じっさい、道中は力んで行きたがり、後方のインで折り合いに専念するしかありませんでした。それでも最後は3着まで押し上げるのですから能力は高いと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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コメント

強かったです。
果たして三冠馬になれるかどうか…。ここ数年、春のクラシックには無縁だった馬が菊を制してますしね。

春よりトモの踏み込みが強化されて、しなやかなのに力強い走りが出来て三冠はほぼ確実ではないかという走りでした。
今までの三冠馬は三冠全て一番人気だと思います。(セントライトは不明ですが)

皐月は一番人気ではなかったこの馬がもし三冠を取ればちょっと異質な感じがしますね。

告げ口して申し訳ないですが、シンザンって全て一番人気ではなかったような気がします。意外とウメノチカラが人気のある馬でしたし。

>キングトップラン様

たしかにここ3年、菊花賞は夏の上がり馬ばかり勝っていますね。しかも毎年荒れています。この傾向が続くとなると……。人気の件のご指摘ありがとうございました。

>えもしおん様

春の時点であんなに強かったのに、夏の間にさらに成長したのでは反則という感じですね(笑)。リアルインパクトとトーセンレーヴは距離適性を考えて毎日王冠→天皇賞・秋という路線のようですが、オルフェーヴルとの対決を避けて菊花賞を回避する3歳馬がこれから出てくるかもしれません。

ディープインパクトに代表されるように、三冠馬はたいてい皐月賞前の時点で三冠を予感させるものですが、オルフェーヴルに関しては個人的にそういうものは感じませんでした。異質な感じ、というのはおっしゃるとおりですね。

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