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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年8月30日 (火)

父母相似配合の母から誕生したエネアド

■土曜新潟5Rの新馬戦は、後方追走の◎エネアド(2番人気)が大外をマクって進出し、直線で鋭い決め手を発揮して快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=R88Nz656B6k

1000m通過が65秒4という超スローペース。そのため上がりが極端に速くなりました。エネアドの上がり3ハロンは32秒5。その前の1ハロンでは後方からマクって位置取りを上げているので、相当長く脚を使っています。ラスト2ハロンの10秒1-11秒1という速いラップで息が上がるどころか突き抜けているので、福永騎手のコメントどおり非凡な資質を備えていると思います。

予想は◎△▲で馬単3030円、3連単14580円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎エネアドは『ディープインパクト×フレンチデピュティ』という組み合わせ。半兄ブレイクランアウトは共同通信杯(G3)の勝ち馬。母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒にはボレアス(レパードS)、メデタシ(桜花賞-4着)などがいる。稽古時計はもうひとつ詰まってこないが、素質の高さを感じさせる配合なのでおもしろそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/

半兄ブレイクランアウトもデビュー前の動きは地味でした。競馬になると変わる血統ですね。2011-12年のPOGでは、赤本でも競馬王でもエネアドを全体の1位に推しました。母キューの鮮やかな父母相似配合に惚れ込み、繁殖牝馬としてかなりの器ではないかと感じていたからです。Smart Strike との交配でブレイクランアウト(共同通信杯)を出せるなら、さらに配合が合うと思われるディープインパクトを相手にすれば……という期待感です。

昨年11月6日のエントリー「ブレイクランアウト種牡馬入り」で以下のように記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-30d3.html

「母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。」
http://www.pedigreequery.com/queue2

簡略化して描くと以下のようになります。
http://www.pedigreequery.com/mitterand
http://www.pedigreequery.com/peroxide+princess

            ┌ Speak John(≒Stage Door Johnny)
          ┌○┤ ┌ Eight Thirty
Mitterand ―――――┤ └〇┘
          │ ┌ Bold Ruler
          └〇┘

            ┌ Bold Ruler
          ┌○┘
Peroxide Princess ―┤ ┌ Stage Door Johnny(≒Speak John)
          └〇┤   ┌ Eight Thirty
            │ ┌〇┘
            └〇┘

こうした凝縮を持つキューに、それとはアウトクロス気味となるディープインパクトを持ってくる配合は、ジグソーパズルの最後のワンピースを埋め込むようなピッタリ感があります。アウトクロス気味の配合は結果が読みづらいのですが、ディープインパクトとフレンチデピュティの相性の良さはそれまでの実績で証明されつつありました。

フレンチデピュティが抱える硬さは、ディープインパクトのトビの大きさや緩慢さを抑制する働きがあり、フットワークの回転の速さ、俊敏さといった要素を生み出しているのではないかと思います。これが「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の好相性を支える理由の一端でしょう。母方の硬さが度を越すと、回転の速いフットワークは掻き込みの強いダート走法となり、素軽さよりもパワーが滲み出てきてボレアスとなります。

弾むようなピッチ走法から繰り出されるエネアドの瞬発力と機動力は、フレンチデピュティ牝馬のなかでも別格といえる母キューの、前述のような特別なパーソナリティに負う部分が大きいと思われます。レースでは随所に幼さを覗かせ、直線ではフラついていたように、まだまだ未完成です。次走の東京スポーツ杯2歳S(G3)まで約3ヵ月あるので、現在434キロの馬体が450キロ台まで成長してくるといいですね。

なお、父母相似配合については、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

望田潤さんのエネアド論評は以下のとおり。「外1800mで抜群に斬れますが2000m以上の持続戦でオープン級かどうかはまだ保留」とのことです。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/e76bbc3e987b8f946bfe1df16edf9501

■土曜札幌1Rの未勝利戦は、2番手追走のスターバリオン(2番人気)が後続をグングン引き離し、大差勝ちしました。

ここまで芝で2戦して6、5着と芽が出ず、今回初めてのダートで大きな変わり身を見せました。ゴールドアリュール産駒らしい抜群のダート適性ですね。過去、2歳戦のダート1700m戦で大差勝ちした馬は、この馬を含めてたった2頭しかいません。もう1頭の名はサクセスブロッケン。のちのG1ホースです。

「ゴールドアリュール×サクラバクシンオー」は過去5頭出走して4頭が勝ち上がり、そのなかにはトップカミング(日経新春杯-2着、青葉賞-3着)が含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。母の父サクラバクシンオーは Nijinsky とニックスの関係にあり、Hyperion 色の強い血とも相性が良好です。ゴールドアリュールの母ニキーヤは双方の特徴を備えています。これが好相性の原因ではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102303/

母カネツプリンセスは Nasrullah=Rivaz≒Royal Charger 5・6×5・6・6と潜在的なスピードが感じられるので、力の要るパサパサのダートよりも脚抜きのいいダートが合っているでしょう。

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父母相似配合の母から誕生したエネアドを参照しているブログ:

コメント

お互い走ってくれないと困る馬だったと思いますので良かったですね~

牧場時代や入厩当初と比べ、デビューが近づくにつれて逆に評価が下がっていくようで不安もありましたが、その不安を一気に吹き払うかのような快勝でしたね。
外枠から終始馬群の外をまわっての勝利でかつ、あの上がりタイムですので、荒削りな内容と強い追い切りが足りない状態でのデビュー勝ちが、更に今後の成長を期待させますね。

ただ逆にキレがありすぎて、脚元や小回りコースへの対応、望田さんがおっしゃるような距離の融通などの不安も残りますが、調教師も大事に育ててくれるとのことで、この先も楽しませてくれそうです。

それにしても今さらですが、同じ馬の血統的な評価であっても、栗山さんや望田さんとで切り口というかアプローチの仕方が違うのは興味深かったです。

まずは第一関門突破です。とはいえ新馬戦を勝ったばかりなので、まだまだこれからです。覚えるべきこと、成長すべき部分は山ほどあります。厩舎の先輩に半兄ブレイクランアウトがいたことは大きいでしょうね。戸田調教師も白紙の状態で接するよりはやりやすいでしょう。

早い時期のディープインパクト産駒は、体力面の影響からか使い減りする傾向があるように思うので、じっくり間隔を開けたローテーションはいいと思います。秋競馬になれば評判馬が次から次へとデビューしてきます。それらに負けないようじっくり成長してほしいところです。

エネアドの上がり32.5の末脚は、凄かったですね。超スローだったので着差はつきませんでしたが、明らかに1頭だけ手応えが違っていました。直線で少しふらついたかなと思って動画を見直したのですが、横の馬に寄られているだけのようですね。
直前の調教がいかにも調子落ちという感じで、戸田師のコメントもトーンダウン、ネット上では夏負け説も出る(先日のチュウキチは本当に夏負けだったようですが)など心配させられましたが、すべて杞憂に終わりました。
ディープ産駒では少数派のピッチ走法で、新潟の外回りコースを大外回しで突き抜けるタイプじゃないような気もするのですが、そこはナスキロの血ということでしょうか。
ところで、エネアドの体型や走法は、ムーンリットレイクにかなり似ているように思います。配合も、ナスキロが濃い点や、エネアドのニジンスキーとムーンリットレイクのザミンストレルがニアリーな点など、いくらか似ている点もあるようです。ただ、ナスキロと米国血脈が中心のエネアドに対し、ムーンリットレイクはハイインローなどもそこそこあるので、そのへんが切れ味のエネアドと好位抜け出しのムーリットレイクとの違いになっているのでしょうか。
次走は東京スポーツ杯2歳Sだそうですが、走法や体型からは中山や阪神でも力を発揮できるタイプのような気もします。

エネアド
http://carrotclub.net/horse/bosyuba.asp?id=1001
ムーンリットレイク
http://www.sundaytc.co.jp/collection/list2001/photo_catalog/83105.html

長く脚を使えてしっかり切れる、というのがこの血統の良さですね。兄もそうでした。母キューにある Speak John≒Stage Door Johnny 4×4の重厚感は、Nasrullah だらけで軽くなりがちな血統のなかで重石として効いているように思います。いい脚が息切れすることなく長続きするのは、このあたりのスタミナが支えているのではないかと考えています。

たしかにいわれてみればムーンリットレイクと走りの雰囲気は似ていますね。エネアドにはムーンリットレイクにおける Sinndar のような血はありません。ただ、Speak John≒Stage Door Johnny もそれなりに重いので、ここが底力としてどの程度機能できるのか、今後のレースぶりに注目してみたいところです。

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