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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年7月24日 (日)

キングジョージ6世&クイーンエリザベスSは Nathaniel

昨年はハービンジャーが11馬身差で圧勝して話題となりましたが、今年は残念ながら悲劇的なレースとなってしまいました。G1連勝中で三強の一角に挙げられていた Rewilding が最後の直線で骨折し転倒、予後不良となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=vQPa0XjWyC0

勝ったのは5頭立ての4番人気 Nathaniel。出走馬中唯一の3歳馬でした。直線では鞍上の鞭に反応して右へ左へ蛇行しましたが、最後まで脚いろは衰えることなく完勝。勝ちタイム2分35秒07は2000年以降では最も遅いものです。有力馬が牽制しあってペースが上がらなかったことが原因でしょう。
http://www.pedigreequery.com/nathaniel4

1番人気 Workforce は2着。直線でどんどん外側に切れていき、ゴールしたときは外ラチぎりぎり。例えは古いですがサクラホクトオーの菊花賞(89年)を思い出しました。

勝った Nathaniel は5月のチェスターヴァーズ(英G3)でのちの愛ダービー馬 Treasure Beach のアタマ差2着。続くキングエドワード7世S(英G2)を5馬身差で勝ってここに臨んでいました。レース前は“若さと勢いでどれだけ食い下がれるか”といったポジションでしたが、ここにきてグングン成長しているようです。ウィリアム・ビュイック騎手はイギリスで最も注目を集める若手の俊才。レース前日にテロ事件があったノルウェー出身です。

Nathaniel の父は Galileo。またしても……という印象です。ヨーロッパではこの春、Galileo 旋風が吹き荒れており、これで9個目のG1タイトル(このほかアメリカで Cape Blanco が、南アフリカで Igugu がG1を勝っています)。ヨーロッパにおける年間G1勝利数記録は分かりませんが、今年の Galileo は過去の記録に迫るか、ひょっとしたら上回るのではないでしょうか。

・Frankel(英2000ギニー、セントジェームズパレスS)
・Golden Lilac(仏1000ギニー、仏オークス)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー)
・Misty for Me(愛1000ギニー、プリティポリーS)
・Treasure Beach(愛ダービー)
・Nathaniel(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)

父 Galileo もキングジョージを勝っているので、親子二代制覇となります。Galileo の子がキングジョージを制したのは初めてです。

母 Magnificient Style は著名な繁殖牝馬で、現役時代はミュージドラS(英G3)を制しています。「Silver Hawk×Icecapade×Ribot 系」という構成ですから、「Silver Hawk×Northern Dancer(≒Icecapade)系×Ribot 系」のグラスワンダーにやや似ています。
http://www.pedigreequery.com/magnificient+style
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108676/

これまでの繁殖成績は以下のとおり。Nathaniel が5頭目の重賞勝ち馬で、平地G1勝ち馬は2頭目です。

 Magnificient Style(f.1993.Silver Hawk)
  Echoes in Eternity(f.2000.Spinning World)
  │        サンチャリオットS(英G2)
  Percussionist(g.2001.Sadler's Wells)
  │        ヨークシャーC(英G2)
  │        ダービートライアルS(英G3)
  Playful Act(f.2002.Sadler's Wells)
  │        フィリーズマイル-英G1)
  │        メイヒルS(英G2)
  │        ランカシャーオークス(英G3)
  Changing Skies(f.2005.Sadler's Wells)
  │        ザベリワンS(米G3)
  Nathaniel(c.2008.Galileo)
    キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)
           キングエドワード7世S(英G2)

ちなみに長姉のスタイルリスティック(父 Storm Cat)はノーザンファームに繋養されています。

Nathaniel は「Galileo×Silver Hawk」という組み合わせで、Ribot 系の Tom Rolfe も入るため、スタミナと底力は十分。実績どおり12ハロンに向いたタイプです。Galileo は、Sadler's Wells、Miswaki、ドイツ血統と引き出しの多い血統なので、配合次第でマイラー型もクラシックディスタンス型も出します。伸び盛りで勢いがあり、成長力もありそうなので、秋の凱旋門賞では日本勢に立ちはだかる1頭となりそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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