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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年7月

2011年7月22日 (金)

女傑 Time Charter

なでしこJAPANの活躍に刺激された……というわけではないのですが、牝馬関連のおもしろい映像を探して YouTube をグルグル回ったところ、わりといいものが見つかりました。

★Fantastic Fillies (1970's and 80's)
http://www.youtube.com/watch?v=aGj8Tc_jRLg

4分弱の映像ながら内容は充実しています。登場する馬のリストは以下のとおり。

Park Top(1964年生・父 Kalydon)
http://www.pedigreequery.com/park+top
Time Charter(1979年生・父 Saritamer)
http://www.pedigreequery.com/time+charter
Petite Etoile(1956年生・父 Petition)
http://www.pedigreequery.com/petite+etoile
All Along(1979年生・父ターゴワイス)
http://www.pedigreequery.com/all+along
Miesque(1984年生・父 Nureyev)
http://www.pedigreequery.com/miesque
Indian Skimmer(1984年生・父 Storm Bird)
http://www.pedigreequery.com/indian+skimmer
ペブルス(1981年生・父 Sharpen Up)
http://www.pedigreequery.com/pebbles3
Dahlia(1970年生・父 Vaguely Noble)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Allez France(1970年生・父 Sea Bird)
http://www.pedigreequery.com/allez+france

どれもこれも歴史的名牝です。このなかで、実績のわりに知名度が低い馬を1頭挙げるとすれば、Time Charter でしょうか。映像の2番目に出てくる馬です(0:15~0:35)。紹介された映像は7馬身差で牡馬を蹴散らした3歳秋の英チャンピオンS(G1・芝10f)。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな伸び脚です。

Time Charter はほかに、英オークス(G1・芝12f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)、コロネーションC(英G1・芝12f)などを制しており、80年代前半を代表するアイルランドの名牝として知られています。

母 Centrocon はハイハット≒Aureole 2×3という、重厚さとスタミナに秀でた伝統的なイギリス血統。

       ┌ Hyperion
ハイハット ―┤ ┌ Donatello
       └○┘

       ┌ Hyperion
Aureole ―――┤ ┌ Donatello
       └○┘

父 Saritamer はダンサーズイメージを父に持つ無名のアメリカ産種牡馬で、母が持つ組み合わせのクロスを Dawn Chorus≒ハイハット3×3で継続しつつ、Native Dancer、Nasrullah、Royal Charger という超一流のスピードを注入しています。Time Charter は、Sea Bird や Northern Dancer のように、異なる個性がぶつかることによって誕生した傑作です。「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ご参照ください。
http://www.miesque.com/c00001.html

Time Charter の子には、Time Allowed(ジョッキークラブS-英G2、プリンセスロイヤルS-英G3)、Zinaad(ジョッキークラブS-英G2)などがおり、Zinaad は02年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に輝いた Kazzia(英1000ギニー、英オークス)の父となりました。
http://www.pedigreequery.com/kazzia

牝系からはこれ以外にも多くの活躍馬が出ており、日本ではヒラボクビジン(準OP)の3代母にその名を見ることができます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101587/

先日のロイヤルアスコットでクイーンメアリーS(英G2・芝5f)を勝った Best Terms も Time Charter の子孫です。いずれ Time Charter をクロスさせた名馬も出てくるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/best+terms2

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年7月21日 (木)

セレクションセール2011終了

大盛況に終わったセレクトセールとは対照的に、7月18、19日に行われたセレクションセールは、やや低調な結果に終わりました。今年から1歳馬のみのセールとなったほか、上場頭数が約1.5倍に増えたので単純比較はできませんが、売却率、平均価格とも前年を下回りました。社台ブランドとそれ以外との格差が浮き彫りになったといえるかもしれません。

高額落札馬ベスト3は以下のとおり。

■145番 ┌ マンハッタンカフェ
 牡馬 └ トゥインクルレイン(父 Gilded Time)
      落札価格:2520万円(税込)
      購買者:竹園正継
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010101644/

■295番 ┌ ステイゴールド
 牡馬 └ ダンジグジョイ(父 Danzig)
      落札価格:2257万5000円(税込)
      購買者:猪熊広次
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102842/

■373番 ┌ アドマイヤムーン
 牡馬 └ ダイワデリカシー(父バブルガムフェロー)
      落札価格:2110万5000円(税込)
      購買者:(有)ケイアイファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102712/

種牡馬ごとの平均落札価格が高かった順に並べてみます。売却頭数が3頭に満たなかったものは除外しました。

            頭数   平均価格  (昨年)
1位 アグネスタキオン  4  15,093,750(19,250,000)
2位 キングカメハメハ  3  14,630,000(15,120,000)
3位 アドマイヤムーン  11  12,934,090(12,162,500)
4位 ステイゴールド   6  12,705,000( 8,400,000)
5位 フジキセキ     5  11,403,000(15,820,000)

ステイゴールド産駒の上昇が目につきます。一昨年は3頭落札で平均価格は749万円、昨年は1頭のみで840万円。今年の上昇はオルフェーヴルやナカヤマフェスタが頑張った効果でしょう。

2011年7月20日 (水)

ラフレーズカフェ完勝

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1400m)は、○ラフレーズカフェ(1番人気)が3馬身差で逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=vvtG4ko8QOA

今年5月、船橋競馬場で行われた千葉サラブレッドセール(2歳トレーニングセール)において、価格順では9番目の1250万円で落札された馬です。トレーニングセール出身馬らしい仕上がりの良さを活かした勝利でした。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は○◎で馬連810円的中。

父マンハッタンカフェは今シーズンの2歳戦でこれが初勝利となります。母ロリポップガールは現役時代、新潟の二王子特別(500万下・芝1600m)で大外一気の鮮やかな追い込みを決めたレースぶりが素晴らしく、いまだに脳裏に焼き付いています。昇級しても即勝ち負けだろうと思っていたら歯が立たず、その意外さでも記憶に残っています。直線の長いコースを得意とする追い込み馬でした。

ロリポップガールは、Northern Dancer≒Icecapade 4×2、Nearctic≒Indian Hemp 5×3・4。Nearctic は Northern Dancer と Icecapade の父です。父マンハッタンカフェは Northern Dancer の強いクロスを持つ繁殖牝馬と相性がよく、本馬はそうした方向性から誕生した成功例でしょう。今回は内回りコースでしたが、母の特長から考えると外回りコースのほうがいいのではないかと思います。母の父 Trempolino(凱旋門賞)の底力が伝わっているようなら先々が楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106051/

ディープインパクト産駒の今シーズン初勝利を狙った◎エポキシ(2番人気)は、序盤に置かれたのが痛かったですね。最後は差を詰めてしっかり2着を確保したので、能力は確かなものがあるでしょう。レース慣れした次走は大丈夫だと思います。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1200m)は、ダッシュが付かず後方を追走した○ナオミノユメ(3番人気)が大外を回って追い上げ、直線で突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=8JQmBDsbVXc

母クロノロジストはフサイチリシャール(朝日杯フューチュリティSなど重賞3勝)と同血です。母同士が全きょうだいで父が同じ。

           ┌ クロフネ
クロノロジスト ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ ラスティックベル

           ┌ クロフネ
フサイチリシャール ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ ラスティックベル

クロノロジストは現役時代、3歳9月にようやくデビューに漕ぎ着け、経験馬相手に楽勝した素質の持ち主。屈腱炎のため通算2戦1勝で引退しましたが、脚もとが無事ならば上級クラスまで出世していたと思われます。初子のナオミノユメがいい走りを見せたので、繁殖牝馬として今後注目したい存在ですね。

「ジャングルポケット×クロフネ」という組み合わせはやや硬いイメージがありますが、その前の代にサンデーサイレンスが入るので悪くないと思います。ジャングルポケットとサンデーサイレンスはニックスです。距離はもっと延びたほうがいいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106131/

予想は○▲で馬連680円的中。◎シゲルドリアン(2番人気)は6着。1番枠がアダとなり終始馬場の悪いインに押し込められてしまいました。

2011年7月19日 (火)

距離延びて楽しみ、リディルの半弟クラレント

土曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、後方追走の◎クラレント(2番人気)が直線で大外から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=p_1JKX6-MRE

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎▲△で馬単2010円、3連単14450円的中。予想文を転載します。

「◎クラレントは『ダンスインザダーク×ダンシングブレーヴ』という組み合わせで、リディル(デイリー杯2歳S)の4分の3弟にあたる。ヘイロー≒ドローン3×4のニックスを持ち、配合的な完成度は高い。稽古でもまずまずの時計を出しており、ここで勝ち負けするだけの力はあると思われる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105009/

予想文に記したとおり4分の3兄にリディルがいる良血。母エリモピクシーは現役時代に重賞で3着となった活躍馬ですが、エリザベス女王杯を勝った全姉エリモシックに比べるとやや小粒感は否めません。しかし、繁殖牝馬としての資質は姉を凌駕しているように感じます。初子のリディルが重賞を勝ち、2番子のクラレントが新馬戦を快勝。名繁殖牝馬への道を突き進んでいます。ただ、この馬はダンスインザダーク産駒だけに、POGではあまり人気はなかったかもしれません。現3歳世代はついに1頭も新馬戦勝ち馬が出ませんでした。2世代ぶり、1年8ヵ月ぶりの新馬戦勝利です。

レースぶりはまだ粗削りです。大トビなのでダッシュがつかず、序盤は追走に手一杯。ようやくエンジンが掛かった直線でも子供っぽいところを見せていました。それだけに伸びシロはあるでしょう。今回は前に行った馬がバテて展開がハマった部分があり、見た目ほど速い脚を使っているわけではありません。ただ、この時期の2歳馬が芝1400mの新馬戦を1分22秒3で走るのはまずまず優秀。馬場の内側が荒れており、外を回ったことを考えればなおさらです。今回の競馬を見てのとおり、忙しい競馬が向いているとは思えないので、距離が延びてからが楽しみです。

2011年7月18日 (月)

アイビスサマーダッシュはエーシンヴァーゴウ

土曜日の閃光特別(500万下・芝1000m)では内枠の馬が上位に来たのですが、アイビスサマーダッシュ(G3・芝1000m)は外ラチ沿いの馬しかダッシュが利かない感じ。3番枠から先行争いに取り付いて勝った△エーシンヴァーゴウ(1番人気)の力が一枚上でした。
http://www.youtube.com/watch?v=XT5zaNHJnbY

終わってみれば掲示板に載ったのはすべて非サンデー血統。一昨日のエントリー「サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ」で、レース創設以来サンデーサイレンスの血を持つ馬が1頭も連対していないことを記し、今年もその傾向どおりに決まったわけですが、自分で書いておきながら馬券ではこのジンクスに逆らい不的中(◎アイアムマリリン)。う~ん、笑いたいような泣きたいような……^^

エーシンヴァーゴウは「ファルブラヴ×サンダーガルチ」という組み合わせ。父ファルブラヴは、サンデー牝馬との配合ではワイルドラズベリーのような溜めて伸びる産駒を出すことができます。ただ、母方がアメリカ色の強いスピード血統で構成された配合では、あからさまに一本調子のスピード馬を出す傾向があります。エイシンヴァーゴウ、ビーチアイドル、ブルーミンバーなどがそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101300/

エーシンヴァーゴウの母は「サンダーガルチ×In Reality」で、現役時代はダート1200mで2勝。アメリカ色の強いパワー型のスピード血統です。3代母の父 Shecky Greene は、Secretariat がレコードで勝った1973年のケンタッキーダービーで果敢に逃げた馬。これも同様のタイプです。
http://www.youtube.com/watch?v=QyqllleV6WA

ファルブラヴの父 Fairy King は大種牡馬 Sadler's Wells の全弟。クラシックディスタンスに強かった兄の産駒に比べると、マイル前後で持ち味を発揮するスピードタイプが多く、ちょっと単調なところも見られました。最良の後継種牡馬 Encosta De Lago は、短距離王国オーストラリアで2回リーディングサイアーとなり、昨年のスプリンターズS(G1)を勝った Ultra Fantasy の父としても知られています。Fairy King 系はこの方向で発展していくのでしょう。
http://www.pedigreequery.com/encosta+de+lago

エーシンヴァーゴウは直線1000mという舞台で頭角を現してきたので、コーナーのある重賞でやれるかどうかはまだ半信半疑です。馬の充実ぶりは間違いないところなので、次走で答えが出るでしょう。

2011年7月17日 (日)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」Q&A

『血統屋』の新企画「栗山求・望田潤の一口馬主好配合馬ピックアップ」は、おかげさまで予想以上の反響をいただき出足好調です。
http://www.miesque.com/c00006.html

クラブ法人への出資は決して安いものではありません。皆さまが慎重に馬選びをなさっており、また、配合的な指針を求められていたことがよく分かりました。いくつかご質問をいただきましたので、この場を借りてお答えいたします。

Q:対象となるクラブのリストはございますか?

A:以下の15クラブです(アイウエオ順)。

■ウインレーシングクラブ
http://www.win-rc.co.jp/
■キャロットクラブ
http://carrotclub.net/
■グリーンファーム愛馬会
http://www.greenfarm.co.jp/
■サラブレッドクラブセゾン
http://www.saison-tc.co.jp/
■シルクホースクラブ
http://www.silk-hc.co.jp/
■大樹レーシングクラブ
http://www.taiki-rc.com/
■ターファイトクラブ
http://www.turfight.com/
■東京サラブレッドクラブ
http://www.tokyo-tc.com/
■広尾サラブレッド倶楽部
http://www.hirootc.jp/
■ブルーインベスターズ
http://www.blue-investors.co.jp/
■友駿ホースクラブ
http://www.yusyun-hc.co.jp/
■ユニオンオーナーズクラブ
http://www.union-oc.co.jp/
■ラフィアンターフマンクラブ
http://www.ruffian.co.jp/
■ロードサラブレッドオーナーズ
http://www.lord-to.co.jp/
■ローレルクラブ
http://www.laurelclub.com/index.html

Q:1クラブあたり何頭取り上げる予定ですか?

A:とくに決まっていません。クラブごとに募集馬の数がまちまちですし、馬のレベルにも差があります。栗山求と望田潤がそれぞれ出資しても構わないと思う馬を取り上げる、という方針です。

Q:現時点でどれぐらいの頭数を論評されていますか? できればクラブ別の内訳もお願いします。

A:現時点で20頭です。内訳は以下のとおりです。あくまでも現時点での数ですので、これから増える可能性が高く、各クラブから募集馬リストが発表されれば新たに追加していくことになります。

ラフィアンターフマンクラブ……6頭
グリーンファーム愛馬会……5頭
ユニオンオーナーズクラブ……5頭
ターファイトクラブ……2頭
友駿ホースクラブ……1頭
ローレルクラブ……1頭

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年7月16日 (土)

サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ

JRA最短距離重賞であり、なおかつ直線コースで行われる唯一の重賞であるアイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m)。昨年までの過去10回、延べ20頭の連対馬のなかで、サンデーサイレンスの血を含んだ馬は1頭もいません。サイアーラインだけではなく母方に入った馬も皆無です。

わずか20年弱で日本血統を完全に塗り替えた感のあるサンデーサイレンスが、なぜこの重賞だけ攻略できないのかといえば、言うまでもなくレース条件が特殊だからです。

スタートから全力で突っ走る、というレースに求められるのは、ダッシュ力やスピードの持続力であり、溜めて切れるというサンデーの持ち味ではありません。

今回、サンデーの血が入っている馬は以下の6頭。

1番 バイラオーラ(母の父SS)
4番 アイアムマリリン(2代父SS)
5番 サアドウゾ(2代父SS)
8番 マヤノロシュニ(2代父SS)
9番 セブンシークィーン(母の父SS)
10番 ストロングポイント(母の父SS)

内枠の馬が多いので、まとめてバッサリ切ってしまうのもひとつのやり方でしょう。ただ、個人的にはそろそろ連絡みする馬が出てきてもいいころではないか、と考えています。

母の父にサンデーを持つバイラオーラ、セブンシークィーン、ストロングポイントは、いずれもフォーティナイナー系の父を持っています。やはりここに出走してくる馬は、直線1000mで好走するための特徴を備えた血統であることが分かります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102828/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101515/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102163/

サンデーサイレンスの父系から誕生した残りの3頭、アイアムマリリン、サアドウゾ、マヤノロシュニの父は、それぞれマンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、マンハッタンカフェ。

2頭出しのマンハッタンカフェは、短距離に強いジョーカプチーノやアーバニティの父でもあります。フジキセキに似てサンデー系にしては短距離重賞で買えるタイプです。一方、ゴールドアリュールは周知のとおりダートに強いのですが、緩急や柔軟性よりもスピードの持続力が求められるこのレースは、一本調子のダート血統が案外頑張っているという傾向が見られます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103030/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101135/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104486/

以上の6頭はこのレースに向いた資質を備えています。サンデーの血を持つ馬は連対できない、という法則が破られるのは時間の問題であり、それが今年である可能性も十分あると思います。

2011年7月15日 (金)

勝ちっぷりも配合も良好、エイシンキンチェム

今週は取り上げるべき話題が盛りだくさんで、2歳戦回顧をしないうちにいつの間にか金曜日になってしまいました。気が付けばジャパンダートダービー(G1・大井ダート2000m)にも触れていません。勝ったグレープブランデーの配合については2月9日のエントリー「切れ味炸裂、ディープインパクトの近親アフロディーテ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-7f6e.html

さて、先週の2歳戦。どれか1頭取り上げるとすれば、土曜京都5R(芝1200m)を勝った◎エイシンキンチェム(1番人気)でしょう。着差は2馬身半ですが、最後の直線で鞍上が手綱を抑えなければ大差で勝っていたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=qKV2Zd_-3B4

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎★▲で馬単12460円、3連単119430円的中。予想文を転載します。

「◎エイシンキンチェムは『フジキセキ×ミスターグリーリー』という組み合わせ。父フジキセキはミスタープロスペクター系の血と相性がいい。本馬はマイディアガール=トレジャーチェスト5×4という鮮やかな全きょうだいクロスを持っており、稽古の動きも抜群なので、将来性は明るいと思われる。コース条件も合っているだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100946/

フジキセキと Mr.Prospector の好相性については繰り返し述べてきました。母の父 Mr.Greeley は、Mr.Prospector 系のなかでもとくに仕上がりの早いタイプで、早い時期の新馬戦では無類の力を発揮します。産駒の2歳新馬戦連対率は41.2%と抜群の成績。母の父としてもこうした特長を伝えるでしょう。

父がフジキセキで、母方に Mr.Prospector と Seattle Slew を併せ持つ配合といえば、現3歳のサダムパテック(弥生賞、東京スポーツ杯2歳S)とアドマイヤサガス(デイリー杯2歳S-2着)を思い出します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103316/

Mr.Prospector と Seattle Slew は、現代のアメリカ血統のメインストリームを形成する名血です。気性が前向きで、スピードと仕上がりの早さに優れ、当然のことながら2歳戦に高い適性があります。このふたつの血は相性が良く、たとえば Seattle Slew の最良の後継種牡馬である A.P.Indy は、Mineshaft、Pulpit、Malibu Moon、Congrats、Tempera、Tomisue's Delight、Accelerator、Little Belle など、代表産駒のかなりの割合が Mr.Prospector 牝馬から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/mineshaft
http://www.pedigreequery.com/pulpit
http://www.pedigreequery.com/malibu+moon

エイシンキンチェムの配合のポイントとして忘れてはならないのが、予想文に書いたとおり My Dear Girl=Treasure Chest 5×4という鮮やかな全きょうだいクロス。このパターンは少ないサンプルからツクバホクトオー(新潟2歳S-2着)、ビッグファルコン(クリスタルC-2着)などを出ているので注目です。

エイシンキンチェムを生産した浦河の梅田牧場は、配合に関して深い造詣をお持ちです。もちろん偶然の産物ではないでしょう。スピードと完成度の高さを活かせる2歳OP-重賞戦線ではかなりやれそうです。

2011年7月14日 (木)

セレクトセールの救世主

昨年7月14日のエントリー「セレクトセール見聞記(2)」に、以下の一文を記しました。

「ミリオンホースがどんどん誕生していた数年前までがバブルであり、当時を基準に現在の状況をとらえるのはあまり意味がないと思います。今後数年、前年割れの数字が出るのは仕方のないことであり、現状維持なら御の字でしょう。」

景気の低迷、さらに東日本大震災の影響が重くのしかかる今年のセールでしたが、終わってみれば昨年、一昨年を上回る大盛況のセールとなりました。

      当歳落札率 1歳落札率 当歳平均価格 1歳平均価格
2011  73.2% 84.5% 27,622,360円 23,989,848円
2010  67.8% 80.8% 23,680,851円 18,249,133円
2009  64.7% 78.2% 23,735,266円 22,126,230円

5月にセール上場馬が発表されたとき、血統にざっと目を通して、今年はかなりいい馬が出てきているのではないかと感じました。ただ、景気の影響もあるので、正直なところ、どの程度の値が付くのかまでは読めませんでした。

社台ファーム代表の吉田照哉氏は次のように語っています。

「我々も正直言って、相場が元に戻るなんて思ってもいませんでした。高く売れた馬も出たんですが、たとえば1000万円クラスの馬でも相当な競り合いになっていました。新規参入者が10%ぐらいいて、お客さんが多かったというのもありましたね。慣れた人だと値段が上がると降りたりするんですが、新しく参入してきた人というのは、買いたい馬がいるときは買うまで競らないと気が済まないというところがあるのかなと。そういう相乗効果が起きたんじゃないかと思いますね。競馬の売り上げが落ちているなかで、セリがこれだけ盛り上がったということは、競馬の将来のためにはよかったんじゃないかと思いますね」

セールの主役はなんといってもディープインパクト産駒でしょう。1歳市場で3億6000万円の値がついたエアグルーヴの2010を筆頭に、軒並み高値で落札されました。産駒がデビューしたてだった昨年は、まだ購買者側も半信半疑でした。しかし、種牡馬能力に関してまず間違いないだろうという確信が得られた今年は、かつてのサンデーサイレンス全盛期と同じように、安心して高値まで競り上げていくというシーンが繰り広げられました。この信頼感こそが名種牡馬の証しです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104053/

ディープインパクト産駒が安定して高値で取引されたことで、セール全体が活性化された側面もあったと思います。その意味ではセレクトセールの救世主といえるかもしれません。

2011年7月13日 (水)

栗山求・望田潤の一口馬主好配合馬ピックアップ

春競馬が終わり、POGドラフトも終わりました。となると、クラブ法人への出資を考える季節がやってきます。

『血統屋』では新企画として「栗山求・望田潤の一口馬主好配合馬ピックアップ」を開始することになりました。商品解説を転載します。

「クラブ法人の新規募集馬について栗山求と望田潤が評価します。値段のわりに期待できそうな好配合馬を、各クラブの募集馬からピックアップして解説します(全頭評価ではありません)。

高額募集馬が必ずしも好配合馬とは限りませんし、価格の高さゆえにリスクは小さくありません。クラブ法人に投資する醍醐味は、お手頃価格の募集馬から掘り出し物を見つけることでしょう。プロの眼でキッチリ判断いたします。もちろん、高額募集馬でも、高確率でリターンが見込めそうな馬は取り上げます。

※代金のお支払いが済みますと2012年3月末までブログをご覧いただけます。」
http://www.miesque.com/c00006.html

当初は社台系のクラブもやる予定でしたが、募集開始→即日完売で、しかも目当ての馬になかなか出資できない状況では出る幕がありません。現在、社台系以外で2010年生まれの募集を開始しているのは、ラフィアンなどわずかなクラブです。

栗山求と望田潤が「これは見込みがありそう」と思った馬を、評価用のブログに取り上げて配合面から論評する、というスタイルです。多くのクラブが存在するので、募集が開始されたものから順々に評価をしていくことになります。現時点でブログに書き込みをしているのはラフィアン募集馬のみです。ただ、ラフィアンもまだ完了したわけではなく、空いた時間を利用してちょこちょこリストを増やしていきたいと考えています。すでに満口になってしまった馬は取り上げません。

よく言えば着々と、悪く言えばダラダラとやっていく企画ですので、お目当てのクラブの募集が始まったらお入りいただくという形でもまったく問題ないと思います。もっとも、早く入っても遅く入っても料金は変わりません。当初は4980円にしたいと考えていましたが、初年度ということで特別に2000円割引し、2980円で来年の3月までブログが見放題です。

出資候補馬の絞り込みに大きな役割を果たすことができると自負しております。ぜひお試しくださいませ。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!