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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年6月13日 (月)

エプソムCはダークシャドウ

抜け出すときだけ本気を出して、セーフティリードを奪うと、あとは流して楽勝。◎ダークシャドウ(1番人気)の力は2着以下と二階級ぐらい違っていました。この脚力はG1級ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=j9dG9qpaQqo

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ダークシャドウは『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、2代母ユーセフィアがスピードタイプの名種牡馬グリーンデザートの全妹という良血。半兄にユノナゲット、ダノンブライアン、チョイワルグランパという活躍馬がいる。母方に速いアメリカ血統を入れ、ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4というクロスを持っているため、ダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがある。前走後、トモに違和感があり休ませたとのことだが、超ハイレベルだった大阪杯2着馬であり、ここに出てくる以上は勝ち負けになるデキと考えたい。能力的には抜けている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

父ダンスインザダークはPOG界ではほとんど空気に近い存在となっています。じっさい、3歳春までに活躍する産駒はほとんど見られません。わたしもPOGでは取ろうという気にはなりませんが、好きか嫌いかでいえば割と好きです。配合による絞り込みがしやすいというのも理由のひとつです。10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」ではその一端を述べました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

ダンスインザダークの母ダンシングキイは、似たような構成のアメリカ血統が幾重にも重ねられており、この特殊な凝縮が繁殖牝馬として成功した要因だと思います。この部分を刺激する配合はいいですね。スピードタイプとして成功したダンスインザダーク産駒はたいていこのパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0062c2/

予想文に「Dinner Partner≒Buckpasser 5×4」とありますが、ダンシングキイは Flaming Page≒Dinner Partner 2×3なので、「Flaming Page≒Buckpasser 4×4」としても構いません。Raise a Native、Flaming Page、Buckpasser など、ダンシングキイの核心部分を刺激する血はどれも好相性です。

ダークシャドウの母方には Raise a Native-Mr.Prospector が入っていないので、マルカフェニックスやダノンヨーヨーほどスピードタイプに傾いておらず、戦績どおり中距離ベストです。

このあとは休養に入り、秋は毎日王冠から天皇賞・秋、というローテーションが有力のようです。

ダークシャドウの半弟にあたる2歳馬(父ハーツクライ)は、栗山ノートのハーツクライ編で真っ先に取り上げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105977/

もはや名繁殖牝馬と呼んで差し支えない母マチカネハツシマダは、Iron Reward≒Tulle 5×4、Menow≒Athenia 5×5など凝ったクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108850/

       ┌ Beau Pere
Iron Reward ―┤ ┌ War Admiral
       └○┤
         └ Betty Dear

       ┌ War Admiral
Tulle ――――┤ ┌ Beau Pere
       └○┤
         └ Betty Dear

     ┌ Pharamond
Menow ――┤
     └ Alchbiades

     ┌ Pharamond
Athenia ―┤
     └○┐
       └ Alchbiades

名馬を近親に持ち、なおかつ配合的な意匠を凝らした牝馬はいいですね。競走馬としてはイマイチでも繁殖に上がってから楽しめます。

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エプソムCはダークシャドウを参照しているブログ:

コメント

さっき、競馬学の冒険をちらほら読み返してたんですが、
あとがきを読んでびっくり!
校正をなさったのは栗山さんなんですね!
いやなんか感動です・・

この世界に入って馬齢を重ねているうちに、振り返ればいろいろな仕事をしていたという感じでしょうか(笑)。

初めてコメントさせて頂きます。血統屋にて笠氏の書籍を購入させて頂きました。第三版も持っていますので二回目の購入ということになります。さて、その中に「血統表にキズがない」という表現が複数回出てくるのですが、具体的にはどういうことがキズになるのでしょうか?本来は笠氏に直接尋ねるべきこととは承知しておりますが、ツイッターのアカウントを持っていないため、こちらにコメントした次第です。栗山様のご見解も合わせて頂けると、一競馬ファンとしては嬉しい限りです。ご多忙の折りとは存じますが、何卒宜しくお願い致します。

はじめまして。お買い上げ誠にありがとうございます。「二回目の購入」を笠雄二郎さんが聞けば喜ぶと思います。重ねて感謝申し上げます。

「血統表にキズがない」という表現は、わたしの理解では「おかしな血が入っていない」ということです。笠さんの言わんとしていることがそうだとは限りませんが、わたしはそう解釈しています。

たとえば、2代母の父あたりに、あまり水準が高いとはいえない、癖の強い血が入っていたりすると、それはキズになると思います。父、母の父が優秀でもリカバリーするのは難しいですね。それほど有益でもないけれど足を引っ張ったりもしない、という血はキズにはなりませんが、おかしな個性を植え付けてしまったり、発展性を阻害するような血は、牝系に入るとキズになります。

配合を見るうえで、こういう血が入っているといい、という話題はよく出ますが、こういう血が入るとダメ、という話題はあまり出ません。じつはこちらも大事です。もっとも、それを発言すると、生産者の方々に迷惑を掛けてしまう場合があるので、実際に配合のアドバイスをするとき以外は胸のなかにしまってあります(笑)。

丁寧なご返答ありがとうございます。公にしにくいが非常に重要であることが良く理解できました。一般論としては、父系をつなげることができなかった馬、BMSとして成功出来なかった馬、極端な気性難等を伝える馬が「キズ」に該当する可能性が高いという理解で正しいのでしょうか?
重ねての質問で大変恐縮ですが、宜しくお願いします。

ケース別にお答えします。

>父系をつなげることができなかった馬

質が悪くて父系をつなげることができなかった馬はたしかにそうですが、なかには優れた血でありながら父系をつなげる力は弱かった、というタイプがいます。このケースは当てはまりません。

>BMSとして成功出来なかった馬

(A)父としてはイマイチでも母の父としては意外に悪くない、という血と、(B)父として悪くなかったけれど母の父としてはイマイチ、という血があるとします。警戒すべきは(B)だと思います。

>極端な気性難等を伝える馬

これはそのとおりです。

早速のご返答ありがとうございます。非常に勉強になりました。これまでクロスにばかり気をとられていて、大事なことを見落としていたことが改めて認識できました。
年に一度の血統表をじっくり見る時期(一口馬主の出資時期)ですので、ご教授頂いたことを念頭に検討していきたいと思います。
今後とも宜しくお願いします。

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