セントジェームズパレスS展望
同じ3歳のリアルインパクトが安田記念を制し、グランプリボスのイギリス遠征がいっそう盛り上がってきました。海外遠征、とくに欧米などの遠隔地で戦う場合は、馬場やレーススタイルが違う上に、対戦する馬との力量比較がつかず、体調維持も難しいわけですから、負けてもともとです。
今回出走するセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)には Frankel という怪物が出走します。当ブログでは過去のエントリーでたびたび取り上げているのでご参照くさだい。
★Frankel 今季緒戦を快勝(4月17日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/frankel-b005.html
★衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝(5月1日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html
★活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」(5月26日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html
死角は折り合いだけ。といっても前走の英2000ギニーは、ペースメーカーを追い越して暴走したにもかかわらず6馬身差圧勝です。今後のことを考えて今回はペースメーカー役の Rerouted を先に行かせ、なんとしても抑える競馬を試みるでしょう。折り合いがつけば敵はないと思います。もし仮に前走で暴走癖がついてしまい、アンコントローラブルとなった場合にのみ付け入る隙が出てきます。
それを衝く筆頭候補は Excelebration でしょう。現在ブックメーカー各社のオッズでは2番人気となっています。休み明けの前々走グリーナムS(英G3・芝7f)は Frankel から4馬身差の2着。着差は大きいのですが競馬にはなっています。3着以下はさらに6馬身離されています。
http://www.youtube.com/watch?v=1nptRQkCaYk
前走の独2000ギニー(G2・芝1600m)は7馬身差で圧勝。ゴール前の決め手は強烈です。走りっぷりを見るとグリーナムSより重心が下がり、首の使い方もよくなって、明らかにフットワークが変わっていました。相手が弱かったのは確かですが、ハマれば一発があっても不思議はないという気にさせられます。
http://www.youtube.com/watch?v=l0S2KwXTPiE
父 Exceed and Excel はオーストラリア産馬。現役時代にドバイレーシングクラブC(豪G1・芝1400m)、ニューマーケットH(豪G1・芝1200m)を含めて12戦7勝。オーストラリアの芝短距離のレベルは世界一なので、この実績は信頼できます。堅い馬場で決め手が活きる展開になればあるいは……といったところです。
http://www.pedigreequery.com/excelebration
ちなみに Exceed and Excel 産駒は、2歳世代に現時点で2頭登録があり、そのうちの1頭エクセルシオール(美浦・池上昌弘厩舎)は今週土曜日の中山新馬戦(芝1200m)でデビューします。モハメド殿下の所有馬で、母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)の勝ち馬。それなりの血統背景を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102680/
グランプリボスにとって懸念材料は馬場状態。12日(日)にロンドンでは8ミリの雨が降りました。13日は天候が回復し、レース当日の14日もおおむね晴れるだろうという予報です。同じくロンドン近郊に位置するウインザー競馬場は、現時点(13日の第1レース)で稍良(Good)、ところにより稍重(Good to soft)という状態です。14日まで晴れ続けるとするなら、稍良か、うまくいけば良(Good to firm)まで回復するかもしれません。
もとより日本に比べてタフな馬場ですから、水を含んでスタミナが要求されるとさらにハードルが高くなります。なるべく乾いてほしいところです。冒頭に記したように負けてもともと。チャレンジャーですから失うものなどありません。現在、ブックメーカー各社のオッズは9頭中6番人気ぐらい。存分に暴れてきてほしいですね。
――――――――――――――――――――
血 統 屋 http://www.miesque.com/
――――――――――――――――――――
後継馬としての大目標は達成したとは言え、今回この不利な条件での挑戦はGボスにとって何のメリットもないと言えます。
あるとすれば結果を度外視した高揚感。好走が難しい状況でどこまで通用するか抵抗できるのか?!という一体感にも似た皆の熱い気持ちでしょうか。
栗山氏の言うように敗れて失うものなどありません!祖祖父も走ったその地で思う存分駈けてください。
投稿: うまポーロ | 2011年6月14日 (火) 18:48
パドックではイレ込んでいましたね。慣れない環境に戸惑ったのでしょう。頑張りましたが力が足りませんでした。
投稿: 栗山求 | 2011年6月15日 (水) 10:48