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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年6月

2011年6月20日 (月)

マーメイドSはフミノイマージン

マーメイドSが毎年荒れるのは、抜けた馬がいないメンバー構成のハンデ戦だからです。しかし、終わってみれば、▲フミノイマージン(2番人気)の力が抜けていましたね。想像以上に馬が強くなっていました。
http://www.youtube.com/watch?v=vm7EIvMtrBM

3歳時からオークスに出走するなど、それなりの素質を垣間見せてはいましたが、骨折による長期休養があり出世が遅れていました。5歳を迎えてのこの上昇ぶりは母の父 Dixieland Band の影響だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105593/

現役時代の Dixieland Band はアメリカでG2を勝った程度で、当初は種牡馬としてもそれほど期待された存在ではありませんでしたが、アスコットゴールドC(英G1・芝20f)2連覇のドラムタップスを皮切りにコンスタントに活躍馬を送り出し、やがて名種牡馬と評価されるに至りました。
http://www.pedigreequery.com/dixieland+band

母 Mississippi Mud は Alibhai 3×4、その父 Hyperion 4×4・5。Hyperion は底力、成長力、スタミナといった要素を伝えます。こうした血を受けた Dixieland Band は重厚さが前面に出ています。

こうしたタイプが母の父として成功する伝統がアメリカにはあります。スピードタイプの種牡馬が多いので、「スピード×スタミナ」という成功パターンを量産できるからでしょう。Princequillo とその系統、Ribot とその系統が典型例です。
http://www.pedigreequery.com/mississippi+mud

傾向どおり Dixieland Band は母の父としてきわめて優秀です。04年には米リーディングブルードメアサイアー(母の父ランキング首位)に輝いています。6月11日のエントリーで取り上げた Street Sense も母の父が Dixieland Band でした。日本ではデルタブルース、アメリカンボス、アクシオン、ブラックバースピン、サブジェクトなどがこのパターンで、レッドデイヴィス(シンザン記念、毎日杯)は2代母の父にこの血を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103389/

フミノイマージンの配合については、4月24日のエントリー「福島牝馬Sはフミノイマージン」で解説しています。よろしかったらご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-dcbe.html

WIN5は4レース的中でハズレ。難易度はこれまでの回に比べて格段に低かったと思いますが、それでもあと一歩届かないのが難しいところですね~。ただ、頭数がそろわない夏のローカルで、一度ぐらいは当てられそうな予感はしました。

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2011年6月19日 (日)

今週のWIN5はチャンス!?

4月24日から始まったWIN5。先週まで8回行われました。1回ぐらいは当てたい!という方(わたしもその1人ですが)にとって、今週は大きなチャンスかもしれません。というのも、今週は指定された5つのレースがいずれも少頭数だからです。

阪神10R=8頭
中山10R=10頭
函館11R=10頭
阪神11R=13頭
中山11R=12頭
――――――――――
     計53頭

過去8回の1日あたりの平均出走頭数は75頭。最多は5月15日の79頭で、最少は6月5日の65頭でした。今週の「53頭」がいかに少ない数字であるかお分かりいただけると思います。

WIN5は単勝を当てる馬券ですから、確率的な一般論として、頭数が多くなればなるほど当てづらくなります。逆に頭数が少なくなればなるほど当てやすくなります。今週はチャンスです。

今週のヤマ場はなんといっても阪神11RのマーメイドSでしょう。5レース中最も頭数が多く、ハンデ戦で、しかも雨の影響が残る馬場。簡単ではありません。

マーメイドSがハンデ戦に生まれ変わった06年以降、一度として本命決着がなく、勝ち馬の単勝人気は9、2、12、9、3と派手に荒れています。1番人気馬は4着が最高、トップハンデ馬は3着が最高です。過去5年間の連対馬10頭のうち9頭がハンデ53キロ以下。最高でも54キロですから、軽ハンデ馬の伏兵が台頭するレースといえるでしょう。切れ味を必要としないレースになりがちなので、パワー兼備で粘り強いタイプが狙い目です。

最初の3レースをうまく切り抜けて、マーメイドSでしっかり穴馬を仕留めることができれば、的中が見えてきます。ちなみに、過去最も出走頭数が少なかった6月5日の配当は687万8430円。安田記念のリアルインパクト(9番人気)が買いづらい馬で、5レースすべて1番人気が敗れたので高配当となりました。

さて、今週は?

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2011年6月18日 (土)

新馬戦開幕日は新種牡馬に注目

出馬投票が行われるのは毎週木曜日。その日の夕方4時台には「TARGET frontier JV」で出走馬を確認することができます。

3月半ばから3ヵ月間は新馬戦がないのですが、ようやく今週から新たなステージが始まります。木曜日の夜に新馬戦出走馬の配合をチェックする生活が戻ってくると、なんとなくホッとするというか、また楽しい1年が始まるという高揚感で身が引き締まります。栗山求の新馬戦予想は「ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト」で見ることができます。
http://www.blood-b.com/

例年に比べて今年は、物凄い調教タイムを叩き出した馬もなく、いつになく穏やかな滑り出しという印象ですね。新馬戦開幕日はなぜか新種牡馬の子が毎年活躍しています。新馬戦が3場同時開幕となった02年以降の9年間で、新種牡馬の子が勝てなかった年はわずか2回しかありません。昨年は3レース中2レースを新種牡馬の子が制しました(スニッツェルとスズカマンボ産駒)。

今年は以下の新種牡馬4頭が計5頭の産駒を開幕日に走らせます。

・ケイムホーム(2頭)
   サンレイホーム(函館5R)
   フランスギャル(中山5R)
・スタチューオブリバティ
   スリーリバティ(中山5R)
・フォーティナイナーズサン
   ハルピュイア(中山5R)
・アサクサデンエン
   ビゼンファイト(阪神5R)

函館5R(芝1000m)に出走するサンレイホームにはそこそこ印がついていますが、それ以外はほとんど真っ白です。これで勝ったら「新馬戦開幕日は新種牡馬の子が強い」というジンクスはかなり強力なものになります。

開幕週の注目レースといえば、毎年大物がデビューすることで知られる阪神の芝マイル戦。日曜日の第5Rに組まれています。ここには新種牡馬ダイワメジャーの子が2頭スタンバイ(エピセアローム、ダローネガ)。今年の新種牡馬戦線の大本命馬ですから、産駒がどんなレースを見せてくれるのか興味津々です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106109/

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2011年6月17日 (金)

POGドラフト終了しました

今週火曜日は某POGのドラフトでした。1人10頭持ちで13人が参加したので、規模としてはやや大きめの部類でしょうか。

計130頭が指名され消えていきます。上位で指名したいと願った馬がそのとおりに取れることはまずありません。しかも相手は業界の猛者ばかり。ドラフトの最中に牧場や育成場に直接電話を掛けて候補馬の状態について尋ねているですから、こりゃ勝てんわ……です。昨年は、レッドデイヴィス(重賞2勝)を指名して1億6000万円を稼いだ方が、なんとチョコレートを差し出す側でした。ハイレベル過ぎて笑ってしまいます。

わたしは1位指名の抽選に敗れ、その後もうまく立ち回ることができず、ガッツリと消化不良感の残るドラフトでした。8位以降はあらかじめ用意していた指名候補馬のリストが尽きて、ほとんどその場の勘で決めるという始末。10頭のなかにG1馬が引っ掛かってくれていることを祈るのみです。

13人の指名馬の、1位から5位までの父馬を集計すると以下のようになります。

32頭 ディープインパクト
12頭 アグネスタキオン
 4頭 シンボリクリスエス
 3頭 ハーツクライ
 2頭 キングカメハメハ、ステイゴールド
 1頭 ウォーエンブレム、タニノギムレット、アドマイヤムーン、
    キングヘイロー、ゴールドアリュール、ダイワメジャー、
    ネオユニヴァース、デュランダル、クロフネ、Street Sense

ディープインパクトが断然で、大きく離されてアグネスタキオンが2位。この2頭が飛びぬけています。そのあとに繁殖牝馬の質が並はずれているシンボリクリスエスが3位で続きます。

サンデーサイレンスが健在だった時代のように、ベタな評判馬が素直に走る傾向が見られるので、あまりひねりすぎないほうがいいかもしれません。ただ、それだと指名候補馬がほかの方と被ってしまうので、ホームラン狙いは1、2頭にとどめて、あとは高望みせず堅実な評判馬を確実に獲っていくのが賢いやり方かもしれません。

2011年6月16日 (木)

サラブレッドの多様性は馬場の多様性から生まれる

セントジェームズパレスSを見て感じたのは、欧州マイル路線のレベルの高さ。このカテゴリーはデインヒルや Galileo の縄張りで、これらの種牡馬は現在のヨーロッパ競馬を牽引する役割を果たしています。その優秀さがマイル路線の水準を押し上げているように思います。ここに割って入るのは並大抵のことではありません。しかし、だからといって、この差を埋めるために日本の馬場をヨーロッパ仕様にすべき、という意見にわたしは与しません。

大前提として、高温多湿の気候、馬場の使用頻度の高さから、日本においてヨーロッパと同種の洋芝コースを作ることは不可能です。ただ、もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう。

世界各国の競馬にそれぞれ特色があり、さまざまな馬場で競馬が行われているからこそ、サラブレッドの多様性は維持されています。逆にいえば、サラブレッドの多様性を守るには、世界各国でさまざまなスタイルの競馬が行われる必要があります。

サラブレッドの発展の歴史を振り返ればそれは明らかです。スピードを第一義とするアメリカのダート競馬があればこそ、ヨーロッパには見られなかったハイレベルなスピード型遺伝子がサラブレッドに芽生えました。異なる環境で、それに適した血統が発展していくことはきわめて重要です。一芸に秀でたスペシャリストの血はそれほど得がたいものです。自国のサラブレッドが、他のどの国にも見られない優れた個性を獲得したなら、それは大きなアドバンテージです。欧米の後追いによって得られるものよりも重要だと思います。

速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コースでは、サンデーサイレンス系が圧倒的な勢力を誇っています。この個性はアメリカともヨーロッパともオセアニアとも違います。日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています。高速馬場やそれに適応する日本馬の個性を、批判的な文脈でのみとらえる一部風潮にはやや違和感を覚えます。

高速馬場については昨年6月10日のエントリー「馬の故障と高速馬場」で取り上げています。ご参照くさだい。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-bef1.html

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2011年6月15日 (水)

セントジェームズパレスSは Frankel

グランプリボスは最後の直線に入ってガソリン切れ。鞍上は勝負を諦めて追うのを止めました。海外遠征で重要なのは“適性”です。グランプリボスはここで好走するために求められる能力を、残念ながら持ち合わせていませんでした。結果は残念ですが、恥じる必要はないと思います。昨日のエントリーに記したように負けてもともと。同じメンバーが東京競馬場で走れば、グランプリボスは上位に食い込むでしょう。

勝った Frankel はゴール前で後続に詰め寄られました。2着 Zoffany とは4分の3馬身差です。これだけを見れば大したことがないようにも映りますが、能力的には抜けていたと思います。ペースメーカーの Rerouted があまりにも速いペースで飛ばしたのが誤算の始まりで、これを射程圏に入れて競馬をするために、序盤は2~3番手を仕掛け気味に追走。いったん走りのリズムが出来てしまうと気性的にペースダウンさせることは難しく、結局、短距離戦のようなハイペースのまま早め先頭に立つ厳しい競馬となりました。無理がたたって残り1ハロンで完全に脚が上がり、後続の追撃を許しました。
http://www.youtube.com/watch?v=FwKNwdkhH7Q

2着 Zoffany は最後方追走で展開がハマりました。昨年8月のフィーニクスS(愛G1・芝6f)の勝ち馬で、今季緒戦のバリコーラスS(愛G2・芝7f)は2着ですから、今回見くびられていたとはいえ決して弱い馬ではありません。展開が最高に向いた Zoffany に先着を許さず、実力馬 Excelebration も押さえ込んでいるのですから、Frankel は強かったと思います。

次走は7月27日のサセックスS(英G1・芝8f)で古馬と初対決でしょうか。そうなればおそらく Canford Cliffs が1番人気でしょう。セントジェームズパレスS(英G1・芝8f)の同日に行われたクイーンアンS(英G1・芝8f)の勝ち馬です。女傑 Goldikova を一騎打ちの末に破ったレースぶりは圧巻でした。
http://www.youtube.com/watch?v=LVd3qQvghlI

ただ、Frankel の評価が急落するなら、わたしはあえて逆張りで賭けてみたいですね。今回の辛勝は、チームの連携ミスと騎手の過信が原因であり、道中仕掛けなければ十分抑えて競馬ができるように見えました。無謀なペースで飛ばすことなく、好位で折り合うことができれば Canford Cliffs に引けを取らないはずです。

2011年6月14日 (火)

セントジェームズパレスS展望

同じ3歳のリアルインパクトが安田記念を制し、グランプリボスのイギリス遠征がいっそう盛り上がってきました。海外遠征、とくに欧米などの遠隔地で戦う場合は、馬場やレーススタイルが違う上に、対戦する馬との力量比較がつかず、体調維持も難しいわけですから、負けてもともとです。

今回出走するセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)には Frankel という怪物が出走します。当ブログでは過去のエントリーでたびたび取り上げているのでご参照くさだい。

★Frankel 今季緒戦を快勝(4月17日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/frankel-b005.html
★衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝(5月1日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html
★活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」(5月26日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html

死角は折り合いだけ。といっても前走の英2000ギニーは、ペースメーカーを追い越して暴走したにもかかわらず6馬身差圧勝です。今後のことを考えて今回はペースメーカー役の Rerouted を先に行かせ、なんとしても抑える競馬を試みるでしょう。折り合いがつけば敵はないと思います。もし仮に前走で暴走癖がついてしまい、アンコントローラブルとなった場合にのみ付け入る隙が出てきます。

それを衝く筆頭候補は Excelebration でしょう。現在ブックメーカー各社のオッズでは2番人気となっています。休み明けの前々走グリーナムS(英G3・芝7f)は Frankel から4馬身差の2着。着差は大きいのですが競馬にはなっています。3着以下はさらに6馬身離されています。
http://www.youtube.com/watch?v=1nptRQkCaYk

前走の独2000ギニー(G2・芝1600m)は7馬身差で圧勝。ゴール前の決め手は強烈です。走りっぷりを見るとグリーナムSより重心が下がり、首の使い方もよくなって、明らかにフットワークが変わっていました。相手が弱かったのは確かですが、ハマれば一発があっても不思議はないという気にさせられます。
http://www.youtube.com/watch?v=l0S2KwXTPiE

父 Exceed and Excel はオーストラリア産馬。現役時代にドバイレーシングクラブC(豪G1・芝1400m)、ニューマーケットH(豪G1・芝1200m)を含めて12戦7勝。オーストラリアの芝短距離のレベルは世界一なので、この実績は信頼できます。堅い馬場で決め手が活きる展開になればあるいは……といったところです。
http://www.pedigreequery.com/excelebration

ちなみに Exceed and Excel 産駒は、2歳世代に現時点で2頭登録があり、そのうちの1頭エクセルシオール(美浦・池上昌弘厩舎)は今週土曜日の中山新馬戦(芝1200m)でデビューします。モハメド殿下の所有馬で、母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)の勝ち馬。それなりの血統背景を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102680/

グランプリボスにとって懸念材料は馬場状態。12日(日)にロンドンでは8ミリの雨が降りました。13日は天候が回復し、レース当日の14日もおおむね晴れるだろうという予報です。同じくロンドン近郊に位置するウインザー競馬場は、現時点(13日の第1レース)で稍良(Good)、ところにより稍重(Good to soft)という状態です。14日まで晴れ続けるとするなら、稍良か、うまくいけば良(Good to firm)まで回復するかもしれません。

もとより日本に比べてタフな馬場ですから、水を含んでスタミナが要求されるとさらにハードルが高くなります。なるべく乾いてほしいところです。冒頭に記したように負けてもともと。チャレンジャーですから失うものなどありません。現在、ブックメーカー各社のオッズは9頭中6番人気ぐらい。存分に暴れてきてほしいですね。

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2011年6月13日 (月)

エプソムCはダークシャドウ

抜け出すときだけ本気を出して、セーフティリードを奪うと、あとは流して楽勝。◎ダークシャドウ(1番人気)の力は2着以下と二階級ぐらい違っていました。この脚力はG1級ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=j9dG9qpaQqo

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ダークシャドウは『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、2代母ユーセフィアがスピードタイプの名種牡馬グリーンデザートの全妹という良血。半兄にユノナゲット、ダノンブライアン、チョイワルグランパという活躍馬がいる。母方に速いアメリカ血統を入れ、ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4というクロスを持っているため、ダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがある。前走後、トモに違和感があり休ませたとのことだが、超ハイレベルだった大阪杯2着馬であり、ここに出てくる以上は勝ち負けになるデキと考えたい。能力的には抜けている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

父ダンスインザダークはPOG界ではほとんど空気に近い存在となっています。じっさい、3歳春までに活躍する産駒はほとんど見られません。わたしもPOGでは取ろうという気にはなりませんが、好きか嫌いかでいえば割と好きです。配合による絞り込みがしやすいというのも理由のひとつです。10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」ではその一端を述べました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

ダンスインザダークの母ダンシングキイは、似たような構成のアメリカ血統が幾重にも重ねられており、この特殊な凝縮が繁殖牝馬として成功した要因だと思います。この部分を刺激する配合はいいですね。スピードタイプとして成功したダンスインザダーク産駒はたいていこのパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0062c2/

予想文に「Dinner Partner≒Buckpasser 5×4」とありますが、ダンシングキイは Flaming Page≒Dinner Partner 2×3なので、「Flaming Page≒Buckpasser 4×4」としても構いません。Raise a Native、Flaming Page、Buckpasser など、ダンシングキイの核心部分を刺激する血はどれも好相性です。

ダークシャドウの母方には Raise a Native-Mr.Prospector が入っていないので、マルカフェニックスやダノンヨーヨーほどスピードタイプに傾いておらず、戦績どおり中距離ベストです。

このあとは休養に入り、秋は毎日王冠から天皇賞・秋、というローテーションが有力のようです。

ダークシャドウの半弟にあたる2歳馬(父ハーツクライ)は、栗山ノートのハーツクライ編で真っ先に取り上げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105977/

もはや名繁殖牝馬と呼んで差し支えない母マチカネハツシマダは、Iron Reward≒Tulle 5×4、Menow≒Athenia 5×5など凝ったクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108850/

       ┌ Beau Pere
Iron Reward ―┤ ┌ War Admiral
       └○┤
         └ Betty Dear

       ┌ War Admiral
Tulle ――――┤ ┌ Beau Pere
       └○┤
         └ Betty Dear

     ┌ Pharamond
Menow ――┤
     └ Alchbiades

     ┌ Pharamond
Athenia ―┤
     └○┐
       └ Alchbiades

名馬を近親に持ち、なおかつ配合的な意匠を凝らした牝馬はいいですね。競走馬としてはイマイチでも繁殖に上がってから楽しめます。

2011年6月12日 (日)

『競馬王』7月号発売

自宅に見本誌が届きました。話題沸騰のWIN5や、ドラフトが佳境を迎えているPOGなどの話題が盛りだくさん。

人気漫画「グラサン師匠の鉄板競馬」は大盛り上がりだった公開ドラフトの模様を描いています。なぜ盛り上がったかは漫画をご覧ください。ドラフトが終わったあと、居酒屋での打ち上げシーンがありますが、わたしは体の具合がイマイチだったので参加できませんでした。

『競馬王のPOG本』からひと月経っているので、かなりぶっちゃけた情報も載っています。わたしも来週ドラフトがあるのですが、その対策を練るために思わず熟読してしまいました。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

『血統屋』で販売中の「種牡馬別好配合馬リスト」もPOGの心強い味方になると思います。こちらも何卒よろしくお願いいたします。

■ディープインパクト編
http://www.miesque.com/c00005.html
■アグネスタキオン編
http://www.miesque.com/c00004.html
■マンハッタンカフェ編
http://www.miesque.com/c00003.html

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月11日 (土)

水曜日の栗東坂路1番時計ストリートハンター

早いもので来週から2歳戦が始まります。2歳馬の調教もだんだん熱を帯びてきました。今週水曜日の栗東坂路1番時計は角居勝彦厩舎のストリートハンター。父 Street Sense の持ち込み馬で、馬主はサンデーレーシングです。

netkeiba の5代血統表が間違っているので(2代母の血統内容)、父母それぞれの血統表を示します。
http://www.pedigreequery.com/street+sense
http://www.pedigreequery.com/quick+little+miss

Street Sense の子、というと軽い驚きがあります。Street Sense は日本でいうところのウオッカ世代で、ついこの前まで走っていたような気がします。同馬は史上初めてブリーダーズCジュヴェナイルとケンタッキーダービーをダブルで制した馬です。

ケンタッキーダービーは楽勝。その勝ちっぷりと堂々たるクラシック血統を見て、思わず旅行代理店に電話を掛けました。そして、ニューヨーク行きのチケットとホテルを押さえました。三冠の最終関門ベルモントSを観戦するためです。Street Sense は三冠を達成するだろう、Affirmed 以来久々の米三冠馬誕生の瞬間はぜひライブで見なければ、というわけです。

ところが、二冠目のプリークネスSでアッサリと2着に敗れ、三冠目のベルモントSは回避。豪快にハシゴを外されました。ベルモントSは仕方なく観に行きましたが、出発前にあれほどテンションが下がった旅は後にも先にもありません。

今年の2歳馬が初年度産駒です。2歳の早い時期に短いところでバリバリ走るような血統ではないので、1番時計はそのまま素質の高さと見ていいと思います。母クイックリトルミスはハリウッドスターレットS(G1・ダート8.5f)の2着馬。構成している血は Freud(Giant's Causeway の全弟)、Unbridled、General Assembly ですからパワー型です。

ストリートハンター自身には Beautillion≒Bramalea 6×6がありますが、それよりもおもしろいのが Shamardal(仏ダービー、仏2000ギニー、セントジェームズパレスS、デューハーストS)と配合構成が酷似していること。
http://www.pedigreequery.com/shamardal

             ┌ Street Cry(=Helsinki)
           ┌○┘
ストリートハンター ―┤ ┌ Freud(=Giant's Causeway)
           └○┘

           ┌ Giant's Causeway(=Freud)
Shamardal ――――――┤
           └ Helsinki(=Street Cry)

デビュー戦はダート1200mを予定しています。目標は全日本2歳優駿でしょうか。芝で緩急のきくタイプではありませんが、自分のペースで走れれば相当な破壊力がありそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!