東京芝1600mに強い種牡馬
ダノンシャンティが勝った昨年のNHKマイルC(G1・芝1600m)は1分31秒4のレコードでした。道中のラップは以下のとおり。
12.1-10.4-10.9-11.4-11.5-11.5-11.6-12.0
ペースに緩みがなく、またラストまでほとんど落ちることなく、ハイペースのままゴールになだれ込みました。馬に負荷が掛かりづらい高速馬場なので、少々ハイペースで行ってもバテないのでしょう。
マイル戦では瞬発力が大事、とは昔から聞き慣れた文句です。しかし、馬場コンディションが良くなると、必然的に道中の平均ラップが上がり、短距離戦のような緩みのない競馬になっていきます。その究極のレースが昨年のNHKマイルCです。起伏の少ない高速ラップが平均的に刻まれるわけですから、ここで問われるのは瞬発力ではなくスピードの持続力です。馬場が改修された03年以降、東京芝1600mで30走以上した種牡馬を連対率順に並べると、以下のようになります。
1位 シンボリクリスエス 30.8%
2位 キングカメハメハ 28.3%
3位 サンデーサイレンス 22.2%
4位 フジキセキ 22.0%
5位 ゴールドアリュール 21.9%
スーパーサイアーのサンデーサイレンスは別として、残りの4頭はいずれもダートにも高い適性を見せている種牡馬です。1位シンボリクリスエスはサクセスブロッケンの父で、「Roberto 系×Seattle Slew 系」という典型的な持続力タイプの種牡馬。2位キングカメハメハも芝・ダート兼用タイプです。4位フジキセキは連対率ベースで見ると芝よりもダートが上回っており、ダート王カネヒキリの父としても知られています。5位ゴールドアリュールはエスポワールシチー、スマートファルコン、オーロマイスターの父で、最近はダート種牡馬のイメージしかありません。
高速化しているのにダートOKの種牡馬が台頭しているのは矛盾するじゃないか、と思われるかもしれませんが、前述のとおり高速化したマイル戦は速いラップが平均的に刻まれ、瞬発力よりも持続力がモノをいいます。芝・ダート兼用型の種牡馬は総じて持続力に秀でています。高速馬場のマイル戦でシンボリクリスエスやキングカメハメハの子が強いのはこうした理由です。
ディープインパクトは完全に芝向きの種牡馬です。サンデー系らしい伸びやかな瞬発力が持ち味なので、長い直線は歓迎ではあるものの、高速ラップが平均的に刻まれるマイル戦は向いていないような気もします。対応するには母方の血のサポートが必要ですね。本質的にはもう少し長い距離で緩急のある競馬が合っているでしょう。
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