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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年5月23日 (月)

オークスはエリンコート

パドックの周回を重ねるうちに雨脚が強くなり、ロジユニヴァースが勝ったダービーデイを彷彿させるような強い雨となりました。レースの発走時刻まであと20分ちょっとの段階です。本馬場に入り、返し馬をする馬たちの脚もとに、軽く水しぶきが上がっているようにも見えました。結果的にこの雨がレース結果を左右しました。

ペースは平均よりも微妙に遅いぐらい。逃げ粘るピュアブリーゼ(8番人気)に好位追走のエリンコート(7番人気)が襲い掛かり、最後に▲ホーエルキャプチャ(2番人気)が差を詰めたところがゴール。3連単54万円の大波乱となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=J6WThs6FtkI

偏見かもしれませんが、パンパンの良馬場なら「Monsun×パントレセレブル」のピュアブリーゼがあそこまで粘ることはなかったのでは、と思います。2分25秒7という時計は速かったのですが、これはもともとかなりの高速馬場だったからで、雨の勢いが強いといっても本格的な雨脚になってから20分やそこらのことですから、積算雨量はさほどではなかったはずです。路盤はしっかりした状態ながら、降り始め独特の滑る馬場だったため、それをこなせるタイプが台頭し、なおかつ時計が速かったのだと思われます。雨が降り始めのころは、馬場が滑るので意外に道悪適性が問われるものです。大トビの馬や切れ味を身上とする馬にとってはつらい馬場です。氷結した道を大股で歩けば転んでしまうのと同じ理屈ですね。ディープインパクト産駒が苦戦した原因のひとつはここにあると思います。

逆にエリンコートはこうした馬場に高い適性があったのでしょう。4月13日のエントリーに記したとおり、前走の忘れな草賞(OP・芝2000m)は全体時計も上がりも物足りなく映りました。この時点で深く考えることなく馬券の買い目から外してしまったのは失敗でした。前走後1ヵ月半の成長も大きかったはずです。

父デュランダルは2年連続で最優秀短距離馬に選ばれた名馬で、マイルチャンピオンシップ(G1)[2回]、スプリンターズS(G1)などを制しました。短い距離を得意としたのは、肉体的な適性というよりも激しい気性のなせる業であり、こうした特徴が産駒に伝わらなければ、距離をこなす子が出てきてもおかしくありません。名マイラーのサッカーボーイが長距離馬を次々と送り出したのと同じことです。じっさいのところ、デュランダル産駒は気性の激しい子が多く、エリンコートも折り合いにやや難があるのですが、まぁ許容範囲内といったところ。忘れな草賞を勝つようなタイプに距離の不安はありません。

母エリンバードは伊1000ギニー(G2・芝1600m)の勝ち馬。このときは重馬場でした。その父 Bluebird は現役時代にスプリンターとして活躍した一本調子のスピードタイプで、産駒にはパワー型のスピードを伝えました。このあたりにエリンコートの道悪適性の一端がうかがえます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102805/

◎マルセリーナ(1番人気)は道悪適性に問題はなかったと思いますが、やはり切れ味を身上とする馬なので、切れ味を殺される馬場であの位置取りは結果的に厳しかったですね。桜花賞ではマルセリーナが馬群に突っ込み、ホエールキャプチャが大外を回りました。今回はその逆。どちらのレースもリスクを取ったほうが先着しています。大外回しの横綱相撲で勝てるほど実力に開きはないということでしょう。

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コメント

こんばんは。
エリンコートは父は短距離馬
母父も短距離馬ですが
牝系はスタミナ血統と聞いたのですが

短距離種牡馬×牝系スタミナ系
の成功パターンの1つと考えていいんですかね?

いつもお読みいただきありがとうございます。「スピード×スタミナ」の配合は、母自身がスタミナ型であることが条件です。母エリンバードは3代遡ればたしかにスタミナ型ですが、自身にそうした匂いは希薄だと思います。ですから、わたし自身は「スピード×スタミナ」というイメージではとらえていません。

なるほど。勉強になります。

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