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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月25日 (月)

皐月賞はオルフェーヴル

スプリングSの勝利騎手インタビューで、池添騎手は「お兄さん(ドリームジャーニー)と比較するのはかわいそう」とコメントしていましたが、今回のオルフェーヴルのレースぶりをみると、どう見ても同時期の兄より強いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=KMYtO_7ptz0

恥ずかしながら馬券は1円も買っていませんでした。兄の東京適性、そして自身の京王杯2歳Sの惨敗(10着)を見ると手を出しづらく、外を回して追い込んでくる脚質も現在の馬場では厳しいように思われました。

直線半ばで馬群を割ってグンと突き抜けたとき、いつもなら馬券が外れた悔しさに舌打ちのひとつでもするところですが、今回はなぜかレースの興奮から離れて感心していました。気性の成長をうながす、と口で言うのは簡単です。しかし、じっさいには一朝一夕にできるものではなく、道中うまく折り合って馬群を縫って抜け出すという垢抜けたレースぶりを実践できるまでに、スタッフや池添騎手の多大な苦労があったはずです。見事な勝利というしかありません。

9Rの石和特別から芝コンディションは良馬場に回復しました。とはいえ、雨の影響は明らかに残っており、9Rも10R(メトロポリタンS)も時計の掛かる決着でした。皐月賞はエイシンオスマンが大逃げを打ち、好位勢も崩れたことから、ラップの内容以上に消耗戦といえるレースだったと思います。そのなかで上がり34秒2という抜群の決め手を披露したオルフェーヴルの力は完全に抜けていたといえるでしょう。

父ステイゴールドは、土曜日のフローラSの勝ち馬バウンシーチューンもそうですが、力のいる芝で強さを発揮するタイプです。ナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着となったのも、この適性と無関係ではありません。中央競馬全10場の芝で最も相性がいいのは、最も馬場が重いことで知られる函館です。しかも馬場が荒れたり渋ったりすると強いタイプで、函館芝の重・不良では連対率37.5%。洋芝向きのパワーを秘めています。オルフェーヴルはピッチ走法の兄よりもフットワークが大きいですね。これが東京コースでビューンと伸びた要因かもしれません。

母の父メジロマックイーンは、娘のオリエンタルアートを通じて血を残すことに成功したようです。なにも父系をつなげるだけが血を残すことではありません。オルフェーヴルの血統を見ると、ディクタスやメジロマックイーンといった異端の血が入っているところが魅力です。ファッショナルブルとはいえない血を取り込んで活力に転化していく、というアガ・カーン四世殿下の馬産哲学にも通じる配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

皐月賞で3馬身以上の差をつけて勝ったのは、94年に三冠を達成したナリタブライアン(3馬身半差)以来17年ぶり。東京コースの皐月賞では76年のトウショウボーイが5馬身差をつけて勝ちました。こうした名馬の列にオルフェーヴルも加わることができるかもしれません。

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皐月賞はオルフェーヴルを参照しているブログ:

コメント

お疲れさまです。土曜日の東京競馬場がステイゴールド産駒やブライアンズタイム等スタミナがある血が目立って活躍していた為、急遽オルフェーヴルに○を打ちましたが…◎がノーザンリバーだった為に惨敗。距離延長が合わないのか直線向いてからが案外でした。とにかく池添騎手の騎乗、お見事でした。

わたしの自信の本命馬カフナは直線でどこかに消えてしまいました(笑)。土日とも能力比較よりも馬場読みに費やした時間のほうが長かったような気がします。池添騎手は豪胆さと緻密さを併せ持つところが大レースに強い秘密でしょう。今回も直線に向くまで距離ロスを抑えて馬場のいい内ラチ沿いを走らせていました。これは好プレーですね。

こんにちは。
昨日は個人的にトーセンラーを応援しながら見ていたのですが、最終コーナーのあの位置取りで尚且つ大外へ持ち出したのを見て、こりゃダメだと・・・
(少し共同通信杯のサトノオーを思い出しました)
展開から見てもあそこからは届くわけが無いので、きさらぎ賞のデムーロのようにもっと早めに動けなかったのかなー?とも思うのですが、枠順などの条件もあり実際にはなかなか難しいのでしょうね。
(蛯名ジョッキーは「直線は物見してまともに追えなかった」みたいなコメントをしていますが、その割には最後伸びていたような・・・)
また、それ以上に驚いたのが、リベルタスの惨敗です。
昨年末からすると少し想像ができない姿でして、やはりディープ産駒は一度調子を落とすとなかなか厳しいようですね。

いつも楽しく勉強になるブログをありがとうございます!

池添騎手は、まだ私の心にあのオークスの一件と今年のきさらぎ賞後のコメントが引っかかりがあり、兄とはタイプが違うとは分かっていながら◎を打てませんでした。

今、栗山さんのエントリーを読んで、やはりここ一番の騎手と馬との二人三脚、主戦騎手との成長、最近の外国人騎手の席巻と対比して、なるべくしてなった皐月賞馬だなあ、と改めて思いました。

またダービーまでの過程で勉強します。

オルフェーヴル完勝でしたね。デビュー戦からすべて池添騎手とのコンビでクラシック制覇は素晴らしいですね。最近はこういった人馬一体を感じる馬が少ないので、なにかホッとしました。
しかしステイゴールド産駒はパワーありますね。現役時代に海外のレースで頑張っていたのも、いま考えれば納得できますね。このパワーは血統的影響なのは分かるんですが、軽い芝を得意とするタイプと重い芝が得意なタイプでは何が違うんですか?筋肉の質なのか脚から伝わるパワーなのか、脚の回転速度なども関係しているのですか?知識不足で分からないので栗山さんに聞いてみたいです。

>まさねろ様

こんにちは。4コーナーで外に回した馬はまったく伸びませんでしたね。上位はいずれも馬群を縫ってうまく伸びてきました。トーセンラーは当初本命にしていた馬で、前予想を発表した『FLASH』でも◎でした。しかし、16番枠を見て決意が揺らぎました。ただ、これでダービーはおもしろくなったんじゃないでしょうか。人気が落ちればしめたものです。

リベルタスは直線入口で横山典弘騎手が追うのをやめましたね。体調がよくないことを分かっていたのでしょう。年末に間隔を詰めて使った反動でしょうか。じっくり休養して好調時のフォームを取り戻してほしいものです。

>ダンディ“ゲッツ”さっさん様

こちらこそいつもお読みいただき感謝します。池添騎手はこれまでG1を12勝していますが、1番人気での勝利はたった1回。勝って当然、という馬での勝利がほとんどなく、12個もタイトルを積み上げているのですから、これはもう実力以外の何物でもありません。こういう騎手をG1で無印にするのは危険だとあらためて学びました。ダービーはスカッと当てたいです。

>ユウ様

エスポワールシチーなどもそうでしたが、問題を抱えた馬を人間たちが根気よくケアし、うまく導き、タイトルを取らせるというストーリーはいいものです。おっしゃるとおりホッとするものがありますね。

重い芝に向いた馬、というのは筋肉の質、骨格、フットワークなど、総合的に少しずつ関係しているのではないでしょうか。

パワーというとアメリカ的な筋骨隆々なタイプをつい想像してしまうのですが、伝統的にヨーロッパで活躍した名馬にはそうしたタイプは少ないように思います。思いつく名前を挙げると、Hyperion、Ribot、Mill Reef などは小柄でしたし、産駒がヨーロッパを中心に大活躍した Northern Dancer も小柄でした。ナカヤマフェスタも大柄というわけではありません。さまざまな要素のうち、筋肉の質という面が大きいと思います。

フットワークについていえば、昨年秋にロンシャン競馬場で馬を眺めていてつくづく思いました。ヴィクトワールピサのようなトビの大きな馬はいない、と。どちらが良い悪いではなく、ヨーロッパの深い芝で効率よく走るためには、フットワークは自然とピッチ走法に近くなっていくのでしょう。ステイゴールド産駒はもともとそうしたフットワークであったり、走法をカスタマイズする能力が高いのかもしれません。

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