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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月

2011年4月22日 (金)

伊吹雅也著『WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!!』

今週から関東の競馬が復活します。と同時に、新しい馬券がスタートします。すでに新聞雑誌で盛んに取り上げられている「WIN5」。JRAが指定する5つのレースの1着馬をすべて当てたら的中、という馬券です。100円で最高2億円の払戻金!というキャッチは魅力的ですね。

どう買ったらいいのか。当てるにはどうしたらいいのか。誰もが抱くであろうこの疑問に明快に答えてくれる好著が刊行されました。それがタイトルにある『WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!!』(伊吹雅也著・競馬王新書)です。

単勝や複勝などと違い、当たりづらい高額配当系の馬券は、なによりも当てるための技術が要求されます。

「WIN5は既存の式別とまったく性質が異なる馬券です。『馬券であることに変わりはない』と鷹揚に構えている一般的な競馬ファンは、ほぼ間違いなく大損すると思います。(中略)しかし、だからといって『宝くじを買うようなもの』なのかと言えば、決してそんなこともないと思います。」(84頁)

WIN5を攻略するための賢い戦略が、数値をベースとした説得力のある論旨で展開されており、読んでいてびっくりするくらい目から鱗が落ちました。この本を読むと読まないとでは回収率において天と地ほどの差が出てくるでしょう。

2011年4月21日 (木)

ダノンシャンティ屈腱炎

海外に旅立ったヴィクトワールピサを別にすれば、今年の古馬戦線で最も期待していた馬でした。右前浅屈腱炎で9ヵ月以上の休養を要する、という診断です。

トレーナーの数だけ馬の仕上げ方があります。藤沢和雄、角居勝彦調教師が“強い調教を課さない派”の代表だとすれば、松田国英調教師はその逆、“ハードトレーニングを課す派”の代表です。

過去に松田国英調教師が管理した大物の多くが怪我に泣きましたが、ハードトレーニングを課さなければ栄光を手にしていたかどうかは分かりません。門外漢のわたしには判断のつかない難しい問題です。仕上げ方に関して対照的な考えを持つ角居勝彦調教師が、調教助手時代に松田国英厩舎に所属していたのはおもしろい事実です。

安田記念で走るところは見てみたかったですね。この春の楽しみのひとつでした。休養から復帰後、2000m以上を3戦して結果が出ませんでしたが、1600mの定量戦なら違うと思っていました。残念。

2011年4月20日 (水)

レッドセインツ復活

土曜阪神9Rのはなみずき賞(3歳500万下・芝1800m)は、後方に控えた▲レッドセインツ(8番人気)が直線で外から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=N0JsZPW1nII

昨年12月以来の実戦。休養前のラジオNIKKEI杯2歳S(G3)はしんがり15着と大敗しましたが、四位騎手のコメントを読むと、当時は状態が悪かったようです。しっかり休養を取って甦りました。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲◎で馬連3440円的中。

ディープインパクト産駒の配合としては以前から高く評価してきた馬です。『赤本』と『POGの達人』ではともに指名馬に挙げました。評価のポイントは、①Pocahontas≒River Lady 4×5、②Nothirdchance≒Revoked 5×5、③母サセッティの半姉で愛オークス馬 Winona(父 Alzao)の構成要素がそのまま含まれていること(父ディープインパクトの母の父が Alzao)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/
http://www.pedigreequery.com/winona3

だから走った……のかどうかは分かりませんが、この時期に2勝目を挙げられればまずまずでしょう。四位騎手曰く「まだ緩いところもあるから、秋になればもっといい馬になると思う」(週刊競馬ブック)。420キロの小柄な馬体で、パドックで見るかぎりまだまだ未完成。長い目で見たいですね。

ディープインパクト産駒は、ローテーションを詰めて使うより十分な間隔を空けたほうがいいと思います。桜花賞馬マルセリーナもエルフィンSから本番まで2ヵ月空けました。レースで全力を出し切るので1戦ごとの消耗が激しいのと、使い詰めでテンションが上がってくる、という心身両面のリスクが高まります。古馬になれば解消する傾向かもしれませんが、未成熟なうちは大事に使ったほうがいいと思います。

また、早期デビューも好ましいとは思えません。これまで2勝以上を挙げた同産駒は19頭いますが、6~8月にデビューした馬はわずか3頭。馬の素質という根本的な要素もあるかもしれませんが、デビュー前に有望と騒がれた馬でも、早い時期にデビューさせるとその反動があるのか、もうひとつ伸びがないような気がします。7月デビューのレッドセインツは、ラジオNIKKEI杯2歳Sでしんがりに敗れたあと、思い切って休ませたことが功を奏しました。

◎エーシンミズーリ(2番人気)は2着確保。予想文に記したとおりトレンドハンター(フラワーC)とよく似た配合構成で、詰めは甘いものの安定感は抜群です。

          ┌ マンハッタンカフェ
          │   ┌ Roberto
エーシンミズーリ ―┤ ┌○┘
          └○┤ ┌ Storm Cat
            └○┘

          ┌ マンハッタンカフェ
          │   ┌ Roberto
トレンドハンター ―┤ ┌○┘
          └○┤ ┌ Storm Cat
            └○┘
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101288/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100618/

2011年4月19日 (火)

ワンペースだが強い、ロードカナロア

土曜小倉10Rのドラセナ賞(3歳500万下・芝1200m)は、楽にハナを切った◎ロードカナロア(1番人気)が直線で後続を3馬身半突き放しました。ここでは力が違いましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=SA9clRHh9x0

予想文を転載します。

「◎ロードカナロアは『キングカメハメハ×ストームキャット』という組み合わせ。半兄ロードバリオスは現6勝馬で毎日杯(G3)5着などの成績がある。キングカメハメハ産駒は小倉芝1200mを得意としており、連対率23.5%は過去10年間に当コースで50走以上した種牡馬のなかでトップの成績。じっさい、本馬は昨年暮れに当コースで行われた新馬戦を6馬身差で圧勝している。これまで戦ってきた相手は強く、久々でもまず連は外さない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103552/

16頭中最低人気、単勝370倍のアスターウィングが2着に突っ込んできたので、単勝以外は不的中でした。勝ったロードカナロアは、ここまで先着を許したのがデルマドゥルガーとラトルスネークだけですから、このメンバーのなかでは能力が一、二枚抜けています。

2代母は米3歳牝馬チャンピオンのサラトガデュー(米G1を2勝)。母の父は Storm Cat。これにキングカメハメハですから、ダート向きに出てもおかしくない配合です。しかし、母レディブラッサムは Secretariat=Syrian Sea 3×4の影響か、意外に芝適性を伝えており、半兄ロードバリオス(父ブライアンズタイム)もダートが得意そうな血統に見えて芝で活躍しました。

兄弟ともワンペースなところがあるのは主に Storm Cat の影響でしょう。ですから、そうした特徴が強みとなる1200~1400mでは今後も期待できます。

2011年4月18日 (月)

マイラーズCはシルポート

最初の3ハロンが35秒0ですから落ち着いた流れ。ハナを奪ったシルポート(7番人気)は道中で後続を3~4馬身引き離していたので、2番手以下はスローだったと思います。勝ち馬に騎乗した小牧太騎手が「今までで一番楽な競馬ができました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っていたのはそのとおりでしょう。2番手追走のクレバートウショウ(14番人気)が2着に入り、結局行った行ったの決着となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=Zb7-N-xsqXk

好位を追走した◎ダノンヨーヨー(1番人気)は3着。いつもより積極的な競馬でしたが、これは音無調教師の意向を反映した部分があったのかもしれません。前週と同じく日曜日の芝は外差しの馬場となりつつあったのですが、前に行った馬がこれだけ楽をするとなかなか差せませんね。1、2着馬が無印なので馬券的には完敗。外差しということに気を取られて展開の読みが甘かったですね。

シルポートは正月の京都金杯(G3)に次いで重賞2勝目。これで16戦連続で逃げたことになります。「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」は過去24頭が出走して重賞勝ち馬が4頭(シャドウゲイト、アサクサキングス、シンゲン、シルポート)。1走あたりの賞金額は495万円。明らかなニックスです。ダンシングブレーヴの母の父 Drone と、サンデーサイレンスの父 Halo の血統構成がきわめて似ていることが好相性が鍵だと思います。昨年11月9、10日のエントリー「Halo≒Sir Ivor≒Drone(前・後)」をご参照ください。

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

2011年4月17日 (日)

Frankel 今季緒戦を快勝

デューハーストS(英G1・芝7f)など4戦全勝の Frankel が、4月16日に行われたグリーナムS(英G3・芝7f)を4馬身差で快勝。危なげなく今季緒戦をものにしました。昨年10月17日のエントリー「土曜日のレースあれこれ」に記したように、当時の段階ですでに英2000ギニー(G1・芝8f)の前売りオッズが1.8倍ですから、もし今回負けていたら大事件でした。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-0e86.html

「Galileo×デインヒル」という身も蓋もない主流血統同士の組み合わせ。母方には Rainbow Quest、Stage Door Johnny という重厚な血が並んでいるので、パッと見では12ハロンも大丈夫ではないかという気がします。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

問題は気性。母 Kind はスタミナ豊かな血統構成ながらスプリント路線を歩みました。テンションの高さを伝えているのかもしれません。管理するヘンリー・セシル調教師は、昨年秋にデューハーストSを勝ったあと、Frankel にマイル路線を歩ませる青写真を語りました。ところが、今季緒戦を前に、気性面の成長を理由に英2000ギニー→ダンテSという選択肢があることを示しました。もしダンテSのレース内容が良ければ英ダービーに向かうことになるでしょう。正直なところ、デューハーストSの走りっぷりを見ると、Danzig-デインヒルが強く出ているように感じ、距離がもちそうな匂いは感じられませんでした。セシル調教師のマジックが見ものです。
http://www.youtube.com/watch?v=N9LKFOMvCak

2011年4月16日 (土)

マニエリスム敗れる

南関東の3歳牝馬戦線は、川島正行厩舎の2頭、クラーベセクレタとマニエリスムがリードしています。3月23日に行われる予定だった浦和桜花賞は東日本大震災の影響で中止。今年は東京プリンセス賞と関東オークスの二冠しかありません。

2歳女王のクラーベセクレタ(父ワイルドラッシュ)は京浜盃(4月18日・大井・ダ1700m)を使う予定で、その後は決まっていませんが、中央の皐月賞に相当する羽田盃(5月11日・大井ダ1800m)にチャレンジするプランも当然あるでしょう。

桜花賞トライアルの桃花賞を勝ったマニエリスムは、4月15日にクラウンC(川崎ダ1600m)に出走し、6着と敗れました。スタートがイマイチで位置取りが悪くなり、1コーナーを曲がったところで前が詰まるアクシデント。参考外の一戦といっていいでしょう。後遺症がなければ次走の東京プリンセス賞(5月12日・大井ダ1800m)では勝ち負けになると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

父ゼンノロブロイは初年度産駒からサンテミリオン(オークス)、ペルーサ(青葉賞)、アニメイトバイオ(ローズS)、コスモネモシン(フェアリーS)、アグネスワルツ(オークス-3着)、マカニビスティー(東京ダービー)など多くの活躍馬を送り出しましたが、2年目の産駒は一転して不振。2勝馬はわずか3頭しかなく、いまのところ春のクラシックに出走できる可能性のある馬はルルーシュぐらいしかいません。繁殖牝馬の質が落ちた、というのがおそらく最大原因だろうと思いますが、それにしてもここまで大きな落差があるケースは珍しいと思います。

2011年4月15日 (金)

トレンドハンター骨折

桜花賞3着馬でオークスの有力候補と目されていたトレンドハンター(松田博資厩舎・父マンハッタンカフェ)が、右第1指節種子骨を骨折し、戦列から離れることとなりました。1年以上の休養を要するとのことなので症状としては軽くありません。血統的に距離が延びていいタイプだったので残念です。今年の3歳牝馬戦線はサバイバル戦の様相を呈してきました。オークスはマルセリーナとホーエルキャプチャの二強対決でしょうか。

もうすぐPOGの季節

毎年春はPOG関連の仕事で身動きが取れません。今年も例年と同じく2歳馬の血統表を見まくる生活が続きました。思わず過去形で書いてしまいましたが、これは締め切りが早い赤本(『POGの達人』)のヤマを越えたからです。締め切りが遅い『競馬王のPOG本』はこれからが本番。ひと晩寝て充電したら、またしばらく机にかじりつく日々が始まります。

自分が選んだオススメ30頭を見ると、14頭がディープインパクト産駒でした。ほかの方がどんな馬をリストに並べたのかまったく知りませんが、桜花賞を勝ったマルセリーナ効果もあって、今年はディープインパクト産駒中心のドラフトになるのではないでしょうか。

新種牡馬はダイワメジャー産駒を1頭入れました。同馬が種牡馬として成功するかどうかは別にして、とりあえず配合の腕試しをするつもりで好配合馬をピックアップしてみたというわけです。走ったら嬉しいのはじつはこういう馬だったりします。

2011年4月14日 (木)

ムーンリットレイクが経験馬相手のデビュー戦を快勝

■日曜阪神3Rの未勝利戦(芝1600m)は、関東から遠征してきてこれが初出走となるムーンリットレイクが快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=XD2BwEjTbqI

ディープインパクト産駒はこれだけ勝ち上がっているのに、まだこんないい馬が残っていたのか、というのが感想です。母ムーンライトダンスは愛インターナショナルS(G3・芝8f)の勝ち馬で、その半兄に愛ダービー(G1)など重賞を5勝した Grey Swallow がいます。母の父 Sinndar は凱旋門賞、英ダービー、愛ダービー(いずれもG1)などを制した名馬。その父 Grand Lodge はディープインパクトと相性のいい Danzig と Habitat を併せ持っており、ちょっと Zieten に似た構成です。「ディープインパクト×Zieten」といえばテンペル(先々週の未勝利戦を初出走ながら勝つ)の名が挙がります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103350/

ヨーロッパ系のスタミナと底力に恵まれた血統なので、気性的な問題さえなければ2000m以上で本領を発揮しそうです。菊花賞あたりでも楽しめそうです。

■日曜小倉4Rの未勝利戦(ダ1000m)は、ラディアーレが後続を7馬身引き離して逃げ切りました。相手に恵まれたといえばそれまでですが、ダ1000m戦でこれだけ離すのはなかなかのものです。

父はサクラバクシンオーで、母の父はウイニングチケット。バクシンオーの父サクラユタカオーはウイニングチケットと同牝系なので、本馬はサクラユタカオー≒ロッチテスコ2×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106717/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!