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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年3月 3日 (木)

ハブルバブルとブサック血統(前)

日曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、ディープインパクト産駒の○ハブルバブル(2番人気)が後続を5馬身ちぎって快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=3UZVnUZ4NQk

牝馬限定戦ではありましたが強かったですね~。勝ちタイムは1分48秒0。上がり3ハロン34秒1はメンバー中1位で、2位を1秒2上回っています。同日、同コースで行われた3歳未勝利戦(3R)は、ほとんど同じようなラップを刻んで1分48秒6。個人的にこの未勝利戦はそこそこレベルが高いと考えているので、これを上回ったのですから価値はあると思います。リスポリ騎手によれば、レース中に落鉄し、ステッキは使っていないとのこと。

母ラヴアンドバブルズはバブルガムフェロー(天皇賞・秋、朝日杯3歳S)と同じ一族で、現役時代にクロエ賞(仏G3・芝1800m)を勝っています。母の父 Loup Sauvage はイスパーン賞(仏G1・芝1850m)など3つの中距離重賞の勝ち馬。ドバイワールドC(首G1・ダ2000m)3着という成績もあるので、軟弱な芝馬ではありませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104879/

母ラヴアンドバブルズは一見してアガ・カーン的な匂いを感じさせる配合ですね。Never Bend と Akarad がその象徴です。

アガ・カーン四世殿下はかつて「わたしは Never Bend の熱烈な信者である」と語ったくらい、Never Bend の血を高く評価しています。その母の父 Djeddah がフランスの伝説的な名生産者マルセル・ブサックの生産馬であることも大きな理由でしょう。Durban=Heldifann 3×2というブサックらしい全きょうだいクロスが施されています。こうした特殊な配合が代を経ても素晴らしい活力を伝えることを、アガ・カーンは理解していました。
http://www.pedigreequery.com/djeddah

マルセル・ブサックは78年に破産。20世紀半ばに栄華を誇ったブサック帝国の遺産はアガ・カーンに受け継がれました。Akarad はそのなかに含まれていた1頭です。凱旋門賞を勝った名牝 Akiyda の全兄、日本に輸入された仏ダービー馬アカマスの半弟にあたる良血で、現役時代にサンクルー大賞典(仏G1・芝2500m)を勝ちました。スタミナと底力、道悪適性は抜群ですが、スピードに欠けるところがあります。その産駒のナトルーンが種牡馬として日本に入りましたが成功しませんでした。

配合にはブサックらしい意匠が凝らされています。Cordova≒Arbar 3×3(あるいは Caravelle≒Arbar 4×3)で、Cordovilla≒Gloriana 2×3でもあります。Delleana≒Carissima 5・4×5も見逃せません。ブサック血脈はそれぞれ互いに近い関係にあるので、自然にこのようなクロスが生じるという側面もあるでしょう。ブサック流の特殊な凝縮は主流血統に対して異系の活力をもたらす働きがあります。昨今のドイツ血統の流行はこれと同じ理屈ですし、アガ・カーンが主流から外れた血の導入を心がけて牝系を育てているのも、主流血統と出会った際のインパクトを期待してのものでしょう。
http://www.pedigreequery.com/akarad

Never Bend と Akarad を併せ持つ母ラヴアンドバブルズには、Djeddah≒Tourzima 5×6という4分の3同血クロスがあります。アガ・カーンが愛してやまない Darshaan にはこのクロス(5×5)があり、また、世界的によく知られた Sadler's Wells と Darshaan のニックスは、これを継続していることが成功要因でしょう。前述のナトルーン産駒で最も賞金を稼いだエスジーフラット(中山金杯-3着)は、ラヴアンドバブルズと同じく Never Bend と Akarad を併せ持っています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/darshaan
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1990106875/

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ハブルバブルとブサック血統(前)を参照しているブログ:

コメント

種牡馬株などその辺の事情のことはよくわからないのですが、テイエムオーシャンにディープインパクトやキングカメハメハを付けるといい配合なのかなあと架空血統表を作って思いましたがどうでしょうか?
答えれない質問でしたらスルーしてください^^

ハブルバブルのエントリ、ありがとうございます!
さすがに高度すぎて(笑)難しいですが、少しでも理解できるよう精進します。

さて今日、園田競馬場にてプニプニヨークンがB2戦(以前B3と記したのは誤りでしたすみません)、2角からハナを奪って逃げ切り、見事一番人気に応えて快勝しました!
前走控えても大崩れしなかったあたり、地力を増しています。まだまだ奥がありそうで楽しみです。鞍上の松浦政騎手も一度鞭を置き、再度騎手復帰された苦労人で、こちらも合わせて応援に力が入ります!

>たくぼん様

どちらも非常にいいと思いますよ。「ディープインパクト×ダンシングブレーヴ」は Alzao≒ダンシングブレーヴ3×2になるわけですが、初年度のこの配合馬はタバサトウショウの08(スウェアトウショウ)のみ。その走りが見てみたいのですが、もう少し時間がかかるようですね~。

>ダンディ“ゲッツ”さっさん様

このクラスでも人気に推されてしっかり勝てるわけですから、これはまだまだ行きそうですね。前走4着は控える競馬が原因でしたか。これだけ使っているのに自己最高馬体重更新とは。丈夫が何よりです。松浦政騎手の引退→復帰の事情は分かりませんがご苦労をされたのでしょう。感情移入したくなるコンビですね~。

なるほど。Alzao≒ダンシングブレーヴになるのですか。相似な血を血統表を見て判断するのは難しい(笑)
タバサトウショウという事はスイープトウショウの妹になるわけですね(あの強烈な追い込みファンでした)。要チェックしておきます。


追伸;私も今日プニプニヨークンでお世話になりました^^今日は一段と強かった!

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