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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年2月 9日 (水)

切れ味炸裂、ディープインパクトの近親アフロディーテ

■日曜京都6Rの3歳500万下(ダ1800m)はグレープブランデー(1番人気)が6馬身差圧勝。3着はさらに9馬身離しました。勝ちタイムは1分53秒4。同日、同距離で行われた古馬1000万条件が1分54秒1ですから、0秒7上回っています。非常に優秀です。
http://www.youtube.com/watch?v=SMpJpbvKDIY

父マンハッタンカフェは芝向きですが、母ワインアンドローズはダートで準OPまで出世したパワータイプ。本馬の半兄にはダート得意の準OP馬ワインアドバイザーがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103069/

馬体重が530キロという大型馬。道中で機敏に動けない鈍さはあるものの、バテることを知らない重戦車のような走りで後続をちぎりました。母の父ジャッジアンジェルーチは、種牡馬としては大失敗でしたが、母の父としてはエガオヲミセテ、オレハマッテルゼ、エノクの兄弟、地方競馬で大活躍したアジュディミツオーなどを出し、悪くありません。雄大な馬格を伝えるのもひとつの特徴で、本馬もそのあたりの影響を受けているのもかもしれません。ただ、母はワインアンドローズは現役時代400キロそこそこの小型馬でした。

パワー型の母は、What a Pleasure と Pleasant Colony の組み合わせを持つので、ワンダーアキュートに似た雰囲気が感じられます。底力の補給源として Ribot 系の血を入れるのは、マンハッタンカフェ産駒において成功しているパターンでもあります。同産駒のダート馬で最も出世したエーシンモアオバーを超えるかもしれません。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝2000m)は○アフロディーテ(2番人気)が快勝しました。超スローペースで上がりだけの競馬。ラスト2ハロンが11秒1-11秒3というラップをスパッと抜け出し、最後は手綱を抑える余裕がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=EOA5zL7CcZ8

アグネスタキオン産駒は切れ味勝負になるとやはり強いですね。脚の回転速度が違います。しかも、母はレディブロンド。ディープインパクトの半姉で、現役時代に6戦5勝という成績を残した快速馬です。これまでにデビューした2頭の産駒、ラドラーダとゴルトブリッツはそれぞれOP、準OPまで出世しており、繁殖成績も優秀です。

ウインドインハーヘアの孫で、父がアグネスタキオンという配合。これはダノンパッション(デイリー杯2歳S-3着)、リルダヴァル(NHKマイルC-3着)と同じ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103372/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/

          ┌ アグネスタキオン
          │   ┌ Mr.Prospector
アフロディーテ ――┤ ┌○┤ ┌ Buckpasser
          └○┤ └○┘
            └ ウインドインハーヘア

          ┌ アグネスタキオン
          │   ┌ Mr.Prospector
ダノンパッション ―┤ ┌○┤ ┌ Buckpasser
          └○┤ └○┘
            └ ウインドインハーヘア

          ┌ アグネスタキオン
          │     ┌ Mr.Prospector
リルダヴァル ―――┤   ┌○┘
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ ウインドインハーヘア

3頭とも切れ味豊かな中距離馬で、“母の父が Mr.Prospector 系”という点まで一致しています。アフロディーテとダノンパッションは、母の父が「Mr.Prospector×Buckpasser」の組み合わせ。さらに似ています。まず外れはないだろうという配合なので「栗山ノート」でも推奨しました。あまり体質が強くないとのことですが、ぜひクラシック路線に乗ってほしい馬です。

余談ですが、レディブロンドは2年前の5月に死亡しました。アフロディーテの全妹(現1歳)が最後の産駒です。牝馬を3頭残したことで牝系が繋がっていきそうなのはせめてもの慰めです。レディブロンドの血は将来的に非常に大きな価値を持つと思います。

■日曜小倉10Rのあすなろ賞(3歳500万下・芝2000m)はカフナ(1番人気)が好位追走から2馬身突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=lxzV3BsEzDc

昨年暮れに中山で行われたホープフルS(2歳OP)はレベルが高く、3着フェイトフルウォーは京成杯を勝ち、5着プレイは同3着と健闘しました。それらとの比較から4着だった本馬は重賞で勝ち負けする能力があると思います。

ローズキングダムやトゥザグローリーと同じ「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。フットワークがシャープでいいですね。近親のベッラレイアやワイルドラズベリーと同じく切れ味が非凡です。

Kingmambo は Nijinsky を含む繁殖牝馬と好相性を示したのですが、息子のキングカメハメハもその特徴を受け継いでいます。特に芝の成績が良好。芝連対率、1走あたりの賞金額は、キングカメハメハ産駒全体の成績を上回ります。先週の東京新聞杯(G3)2着馬キングストリート、先々週の京都牝馬S(G3)勝ち馬ショウリュウムーンと、最近このパターンの配合馬がよく頑張っているのも目に付きます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103281/

次走は、坂のあるコースで強いメンバーと当たることなると思いますが、今回のレースぶりならかなりやれそうな感触があります。ローカル帰りでも侮れません。

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コメント

私はキトゥンブルーの一口馬主なんですが、アフロディーテがいるので難しいかなと思っていましたが、その通りになってしまいました。トーセンレーヴが抽選に漏れてラッキーと思いましたが、やはり強い馬は沢山いますね。競走馬の世界も厳しいと今更ながら思っています。でもキトゥンブルーも頑張って欲しい!

キトゥンブルーをお持ちとは慧眼でらっしゃいますね。見てのとおり初戦は参考外のレースでした。出遅れてあのスローペースではどうにもなりません。ダンスインザダーク産駒の配合としては文句なしのA級ですし、稽古の動きから素質があるのは間違いないわけですから、先々とても楽しみな馬ではないでしょうか。オークスに間に合ってほしい馬ですね。

アフロディーテを一口持っております。
血統の裏づけ通り緒戦から切れ味をみせて快勝となり、大変喜んでおります。
栗山さんにも評価いただきうれしいです!
今後も期待しております。

ご質問なのですが、距離はどのあたりがベストとお考えでしょうか?
某競馬雑誌で切れ味はマイル前後ならもっと生きるとの評価でしたが、私的にはスローで流れるオークスで好位からの「よーいドン」がチャンスがあるのでは?と存じております。

ありがとうございます。「オークスに間に合ってほしい馬」力強いお言葉頂き、俄然元気になりました。可愛い娘のようなものなので温かく見守っていきたいと思います。

>toshi 様

アフロディーテをお持ちとはいい買い物をされましたね~。何の問題もなければ重賞クラスで活躍するのでは、と思います。ベストディスタンスは、純粋に血脈だけを見ると2000mだと思うのですが、母レディブロンドにはスピードが強く表現されていたので、これを考慮すると1800mぐらいでしょうか。距離の融通性はあると思いますよ。オークスで直線バッタリ、ということはないと思います。

栗山先生こんばんわ…。

土曜8Rに出走した、アフロディーテですが…
今朝…後脚大腿骨を骨折し、安楽死処分されました。


新馬戦で勝ったあとに、先生に記事で取り上げて頂いた
愛すべき馬でした。


昨日、ゴール直後に北村騎手が下馬した際は…
まさか、ココまでの怪我だとは思いませんでした。


繁殖入りを楽しみにしていただけに、本当に残念ですが、
前向きに考えて…また、アフロディーテのような綺麗な馬に
出資したいと思います。

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