オーストラリアのスピードクイーン Black Caviar(前)
オーストラリアで注目を集める女傑スプリンター、Black Caviar が無傷の9連勝を飾りました。2月19日に豪フレミントン競馬場で行われたライトニングS(G1・芝1000m)を3・1/4馬身差で快勝。すでに歴史的名牝との評価を獲得しています。
http://www.youtube.com/watch?v=J6QktlVEydw
オーストラリアの芝短距離は世界ナンバーワンの水準。そこで抜きん出た強さを誇っているので、いま世界で一番速い馬かもしれません。
http://www.pedigreequery.com/black+caviar
父 Bel Esprit は前肢に難があるため、1歳時のセールでわずか9000ドル(当時の邦貨で約55万円)の値しか付きませんでした。しかし、競走馬としては何の問題もなく、2つのG1を含めて重賞6勝という成績を収めました。Nijinsky 系のロイヤルアカデミー産駒で、重賞勝ち距離は1000mから1350mです。
http://www.pedigreequery.com/bel+esprit2
昨シーズンの豪種牡馬ランキングは21位。今シーズンは現時点で10位。Black Caviar のほかにロバートサングスターS(豪G1・芝1200m)を勝った Bel Mer などを出しています。
http://www.pedigreequery.com/bel+mer
Black Caviar と Bel Mer は、いずれも「Vain 3×4」というクロスを持っています。Bel Esprit 産駒のこの配合パターンは要注目です。
僕が海外競馬に興味を持ち始めた頃の豪州は、まだ独自の血脈がありました。Vain も確かリーディングサイヤー級でした。
90年代以降、Sir Tristram を除くと他は細々というか(笑)。本流だったStar Kingdom 系は欧州、北米、そして日本でも一時賑わしてましたね。
より速く強い血脈に主導権を奪われるのは世の常ですが、父系だけみてると寂しさは感じます。
振り返って我が国は、30年以上続いている父系がようやくふたつ3つ。それだけでも大したものと思いますが、まだまだ続いてもらいたいと願っています。
投稿: うまポーロ | 2011年2月24日 (木) 16:19
シャトル種牡馬が盛り上がる前は、オーストラリアにもさまざまな系統が残っていたんですよね~。デインヒルなどが大挙してやってくるようになってから、土着系統は文字通り一掃されてしまいました。
昨シーズン、種牡馬ランキング50位以内に Star Kingdom 系はわずか2頭(Show a Heart、Canny Lad)。もはや風前の灯火です。Sir Tristram 系は50位以内に4頭ですが、10位以内に2頭いるので頑張っているほうでしょう。Vain 系は……ゼロです。土着の血統が新しいものに駆逐されていく様は、たしかに一抹の寂しさを感じます。
ただ、海外から新しくやってきた種牡馬が主導権を握るということは、競走馬の水準がアップしている証拠でもあるので、オーストラリア産馬はここ20年間でかなり強くなったはずです。香港やシンガポールに買われていった馬や、イギリスに遠征した馬の活躍がそれを証明しています。オーストラリア産馬のブランドイメージが向上することで、馬が一層売れるようになるのですから、シャトル種牡馬事業は正解でしたね。
日本はテスコボーイ→サクラユタカオー→サクラバクシンオーの系統がどうなるかですね。バクシンオー産駒のグランプリボスには期待しているのですが……。
投稿: 栗山求 | 2011年2月25日 (金) 01:00