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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年2月

2011年2月19日 (土)

コース改修後の東京ダ1600m

昨年秋、東京ダート1600mにコースレイアウトの変更がありました。それまでは向正面右奥のスタート地点から1ハロンほど走ると、2コーナーを巻くように緩やかな左カーブがありました。新しいコースではゲートが奥に移動したため、そのカーブが無くなり、3コーナーまで一直線に走れるようになりました。

そのせいなのか、昨年の4回東京開催以降、東京ダ1600mの枠別連対率に変化が見られます。

     旧    新 
1枠  10.9%   3.9%
2枠  12.2%  12.5%
3枠  13.3%  10.7%
4枠  14.3%  13.8%
5枠  14.7%  13.3%
6枠  14.3%  15.6%
7枠  13.5%  17.4%
8枠  14.4%  17.4%

   #数字は連対率
    旧コース=03年4月~10年6月
    新コース=10年10月~

6、7、8枠と外枠の成績が伸びた一方、内枠が苦戦しています。とくに1枠は連対率3.9%という惨状。緩いとはいえ最初のコーナーが消滅したことで、外枠の馬は距離ロスが減ったというメリットがあります。外枠の馬が前に付けられるようになったことで、内枠の馬が窮屈なポジションに押し込められるようになった、ということなのかもしれません。ある程度先に行ける馬なら枠順による有利不利はないと思います。

脚質を見てみると、こちらにも変化が見られます。

     旧    新 
逃げ  26.6%  19.6%
先行  23.0%  25.3%
中団  11.9%  10.2%
後方   4.9%   5.8%

逃げが減って先行抜け出した増えました。中団、後方は大きく変わっていません。先行争いが激化して逃げ馬が残りづらくなっている、ということなのでしょうか。逃げ争いを見つつ好位につけた馬が勝つ、というイメージです。重・不良馬場では前に行った馬が止まらなくなるので、後ろからは届きづらくなります。

種牡馬に関してはまだサンプルが少ないですね。序盤のコースレイアウト変更程度で成績に影響があるのかと言われればそのとおりですが、一応、現時点で連対率の上昇が目立っているのは以下の4頭。

            旧    新 
プリサイスエンド   20.0%  44.4%
ブライアンズタイム  18.9%  35.3%
フジキセキ      17.7%  30.0%
ワイルドラッシュ   16.1%  28.6%

このデータを考慮しつつ、土曜9RヒヤシンスS、日曜11RフェブラリーS、日曜12R東京ウインタープレミアムの予想を組み立てたいところです。勝ちタイムが速くなるだろうと思われるので、とにかく持ち時計重視です。時計の裏付けのない馬は危険です。

2011年2月18日 (金)

船橋の天才少女? ボールドスマッシュ

ミルコ・デムーロ騎手の13歳下の弟、クリスチャン・デムーロ騎手が南関東で連日騎乗しています。まだ18歳ですが、昨年はイタリアで153勝を挙げて勝利数ランキング第2位。先週土曜日には中央でも騎乗しました。

さすがに上手いですね。鞍嵌りがよく、コースロスを押さえる意識が徹底し、鞭の持ち替えは自由自在、狭いところを抜ける技術もあります。一言でいって、そりゃ勝つでしょう、という感じです。もちろん減量恩典などありません。2月17日の大井競馬では2勝。第10Rの東風特別では9番人気のワールドベアハートを持ってきました。騎乗期間は1月17日から3月4日までの予定なので、あと2週間ほどで帰国します。

デムーロ家の家族構成はどうなっているんでしょうね? 詳しいことはまるで分からないのですが、ミルコの妹パメラが調教師をやっているらしいので、兄弟で少なくとも3人は競馬の仕事についています。ミルコとクリスチャンは13歳も離れているので、その間にいるのはパメラだけでなく、何人かいるのかもしれません。もしビッグダディ的な大家族だったりすると、第三、第四のデムーロが来日する可能性も……? そして彼らの息子たちもやがて騎手になり、将来、大挙して来日して、わが国の競馬がデムーロだらけになる可能性も……?

くだらない妄想はさておき、クリスチャン・デムーロ騎手が初めて騎乗した1月の船橋開催で、2着馬をはるか後方にちぎり捨てて話題になった3歳牝馬がいました。ネオユニヴァース産駒のボールドスマッシュ(岡林光浩厩舎)。同馬にとってこれがデビュー戦でした。

2011年1月21日 船橋第2R(ダ1200m)
http://www.youtube.com/watch?v=SUQnAH6wDKE

最後の1ハロンは手綱を抑えて流し、2着馬に3秒8もの大差をつけました。メジロラモーヌ、メイショウホムラ、サクセスブロッケンなど、デビュー戦で3秒以上の大差をつけて勝つ馬はたまにいるのですが、3秒8差は見たことがありません。もちろん、ボールドスマッシュは地方競馬所属で、しかも相手に恵まれたものなので単純比較はできません。ただ、楽しみな素材であるのは確かでしょう。

生産者は社台ファーム。馬主は吉田照哉氏の名義で、地方競馬オーナーズクラブの募集馬です。全兄アサクサハンター(中央未勝利)は当歳時にセレクトセールで6600万円の値がつきました。2代母はローミンレイチェル。したがって年度代表馬ゼンノロブロイの姪にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102774/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
ボールドスマッシュ ―┤
           └○┐
             └ ローミンレイチェル

           ┌ サンデーサイレンス
ゼンノロブロイ ―――┤
           └ ローミンレイチェル

今年の南関東3歳牝馬戦線は、元旦のエントリーで取り上げたクラーベセクレタがリード。先週、浦和競馬場で行われた桜花賞トライアルの重賞・ユングフラウ賞(ダ1400m)を、ほぼ持ったままで後続に5馬身差をつけました。このほか、桃花賞を勝って6戦4勝としたマニエリスムもかなりの器です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103178/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

少なくとも現時点においては、ボールドスマッシュがクラーベセクレタ、マニエリスムよりも上ということはないと思います。ただ、今後順調に成長し、5月の東京プリンセス賞や6月の関東オークスあたりに間に合えば、あるいはいい勝負になるかもしれません。現在の賞金では桜花賞には間に合いません。クラーベセクレタの馬主はサンデーレーシング、マニエリスムはボールドスマッシュと同じ地方競馬オーナーズですから、中央と同じように社台系強し、ですね。

2011年2月17日 (木)

サクラプレジデント産駒の現3歳は黄金世代

■日曜京都5Rの新馬戦(ダ1400m)は○グリッターテイル(6番人気)が大外をマクって突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=pB9QeMkt69E

8頭分ほどの大外を回した騎乗は大胆でしたね。さすがにやりすぎではないかと懸念したのですが、最後まで脚いろは衰えず。強い競馬でした。予想は○▲で馬連5860円的中。

母 Tadwiga は愛メイトロンS(G3・芝1600m)の勝ち馬。父 Tale of the Cat は Storm Cat 系の名種牡馬。ダート新馬戦には滅法強く、これで連対率は62.5%(16戦10連対)。今シーズンは3頭出走してすべて勝ったことになります。初戦駆けに関して特筆すべき才能を持っており、それについては重々承知していたのですが、稽古が動いていなかったので◎には推せませんでした。それでこの勝ちっぷりですから「参りました」というしかありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110006/

■日曜東京2Rの新馬戦(ダ1400m)は★アティロン(11番人気)が後方一気の差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=-17uahGXg9A

スタートで出負けして序盤は最後方。最後よく間に合いました。予想は★◎で馬連6180円、★◎○で3連複12500円的中。

先日、『競馬総合チャンネル』の「新着POG馬紹介」で取り上げたばかりの馬です。稽古は足りず動きも冴えず11番人気(単勝7200円)。ただ、好みの配合だったので押さえてみたところ正解でした。解説文を転載します。

「半姉ルナロッソ(父キングヘイロー)は1000万条件で堅実に走っている。2代母パルブライトは新潟記念(G1)、函館記念(G1)の勝ち馬。派手さはないものの良牝系だ。父がキングヘイローからサクラプレジデントに替わったので、芝中距離向きの適性が前面に出てくるだろう。“母の父フレンチデピュティ”は成功を収めており、スズカコーズウェイ、ブレイクランアウト、アニメイトバイオ、ビッグバンといった活躍馬が出ている。芝向きの中距離タイプ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104640/

Nijinsky=ミンスキー4×5という全兄弟クロスも光りますね。父サクラプレジデントは今年に入ってから新馬勝ち馬を4頭出しました。狂い咲きといっては失礼ですが、いままでにない絶好調ぶりです。しかも、サクラシオン、サクラフローレス、サクラゴスペル、アティロンと、高い素質を感じさせるものばかり。黄金世代ですね。

アティロンはダートで勝ち上がりましたが、解説文に書いたとおり本質的には芝向きでしょう。次走、芝に回ってきたときに人気が落ちるようならしめたものです。

■日曜東京6Rの3歳500万下(ダ1600m)はコルポディヴェント(4番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=AUr5lHlQl9U

これでデビュー2連勝。同日の古馬1000万特別と0秒1しか違わないのですからハイレベルです。当ブログの読者でいらっしゃるBS様が一口出資されているとのことで、2月2日のエントリー「大物感あり、リヴェレンテ」のコメント欄で触れた馬でした。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-5b5c.html

終いがしっかりしているのがいいですね。前途洋々です。

2011年2月16日 (水)

菊花賞で買いたいダノンシャーク

■土曜京都9Rのつばき賞(3歳500万下・芝1800m)はダノンシャーク(1番人気)が完勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=L98ncrqr6Gk

父はディープインパクトで、兄弟にターキー、ワキノパワー、スティルゴールドと3頭の準OP馬がいます。コンスタントに走るものの重賞クラスには届かない、というファミリーです。その原因は決め手の無さにあると思います。

以前、この兄弟のレッズフィールド(父アグネスタキオン)という馬を指名していたのですが、瞬発力に定評のあるアグネスタキオン産駒でありながら、どうにもこうにも終いの甘い馬で、全成績は〔1・7・3・8〕でした。ダノンシャークがデビュー戦から3戦連続で2着となったときは、ああやっぱり、と思ったものですが、今回の競馬を見るかぎり馬が目覚めてきましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105554/

ダノンシャークは Montjeu の近親です。Montjeu は現役時代にヨーロッパでG1を6勝し、仏リーディングサイアーにも輝いた名馬ですが、決め手に優れたタイプではありません。このあたりが影響している可能性があります。母カーラパワーは、Montjeu の代表産駒の1頭 Fame and Glory と血統構成が似ています。
http://www.pedigreequery.com/carla+power
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┘
        ┌○┘
カーラパワー ―┤ ┌ Shirley Heights
        └○┤
          └ Toute Cy

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┘
        ┌○┤
        │ └○┐
Fame and Glory ┤   └ Toute Cy
        │ ┌ Shirley Heights
        └○┘

ヨーロッパのクラシックディスタンスを得意とする名馬と似ているわけですから、底力やスタミナに関しては申し分ありません。問題は日本向きの軽い切れ味。今回のレースではその面でだいぶ改善が見られたので春に期待を繋いだといえるでしょう。トップクラスとは時計面でまだ差があるものの、成長力の期待できる血統なので、着実に差を詰めていくはずです。今年の菊花賞はディープインパクト産駒のどれかが勝つだろうと考えているのですが、本馬はその有力候補の1頭ではないかと思います。

■土曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)はリッチフロー(4番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=Bks0UxF9JoA

2月13日のエントリーでも少し触れたのですが、Hold Your Peace≒Yes Dear 3×5という4分の3同血クロスを持ちます。この2つの血の母 Blue Moon を刺激することは、フレンチデピュティ系の成功パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103007/

           ┌ Prince John
         ┌○┘
Hold Your Peace ―┤
         └ Blue Moon

         ┌ Prince John
Yes Dear ――――┤
         └ Blue Moon

リッチフローの叔父で、本馬と4分の3同血の関係にあるフレンドシップは、ジャパンダートダービー(G1・ダ2000m)の勝ち馬です。フレンドシップは Hold Your Peace≒Yes Dear 3×4。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102636/

基本的にこの血統はパワー型で、リッチフローも前肢を掻き込む走法です。今回は雨の影響で力の要る馬場になったことが功を奏しました。勝ちタイムは1分37秒5とかかっています。

2011年2月15日 (火)

京都記念はトゥザグローリー

日曜日の朝、東京競馬場に着くと、1コーナー方面に見える富士山があまりにも美しく、心が洗われました。フジビュースタンドから眺める冬の富士山は最高です。

思わずハッとするほど美しい富士山、ということでいまだに思い出すのは、ダイナガリバーが勝った共同通信杯4歳S当日。86年2月ですからちょうど25年前ですね。眺める自分は年を取りましたが、丹沢の山並みと雪を被った富士山はな~んにも変わりません。頭がキーンと冴えるような絶景でした。その日はたしか東京国際マラソンが開催されていて、場内テレビでその様子が放映されており、イカンガー選手の独走を眺める人々が鈴なりになっていました。当時なぜあれほどマラソン熱が盛んだったのか、いまから考えるとちょっと不思議ではあります。

それはさておき、京都記念。◎トゥザグローリー(1番人気)の単勝オッズは1倍台だろうと思っていたところ2.4倍。締め切り10分前までは2.8倍もありました。これは意外でした。
http://www.youtube.com/watch?v=ygUKE6nMqFs

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単1650円、◎△▲で3連単5390円的中。予想文を転載します。

「◎トゥザグリーリーは「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を2連覇したほか、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統で、有馬記念(G1)3着はフロックではない。今年はG1戦線の中心勢力となるだろう。稽古の動きを見るかぎり体調面に不安はなく、外回りコースも合っている。取りこぼすことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/

管理する池江泰郎調教師が定年で引退するため、次走から池江泰寿厩舎に転厩し、ドバイ遠征に向かう予定。この充実ぶりなら期待できそうです。再三書いているように有馬記念はフロックではありません。

レースぶりに注目していたのは○ダノンシャンティ(3番人気)。着順は4着でしたが、勝ったトゥザグローリーより2キロ重い斤量を背負い、守備範囲を超えた2200mで、道中再三引っ掛かりながら最後しぶとく脚を伸ばしてきたのですから、やはり相当強い馬です。休養から復帰後9、4着という成績なので、次走、多少でも人気が落ちてくれればしめたものですが……。

2着△メイショウベルーガ(5番人気)の京都外回りにおける強さはさすがというしかないですね。トゥザグローリーと同斤で4分の3馬身差まで迫るのですから頭が下がります。このあたりが母の父 Sadler's Wells の底力でしょうか。ちなみに Sadler's Wells 産駒は京都芝2200mで連対率80%、複勝率100%という成績(2・2・1・0)。ここは得意の舞台でした。

2011年2月14日 (月)

共同通信杯はナカヤマナイト

今年の3歳牡馬戦線は、抜けた馬が存在せず、トップクラスの力が拮抗しているのでおもしろいですね。こういう年にしっかり馬券を取れる人が上手いのでしょう。今回私はまったくダメでしたが……^^

△ナカヤマナイト(3番人気)は終始インにこだわった柴田善臣騎手のファインプレーですね。外に出していたら届かなかったでしょう。パドックではやや太めに見えたのですが関係ありませんでした。平均よりやや遅めのペースで、先に行った馬、インを突いた馬同士での決着。外側は伸びない馬場です。
http://www.youtube.com/watch?v=MPtuFZlNTZU

ナカヤマナイトは「ステイゴールド×カコイーシーズ×マルゼンスキー」という配合。鍵となる血はマルゼンスキーの父 Nijinsky です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105362/

父ステイゴールドはメジロマックイーン牝馬とのニックスが有名ですが、じつは Nijinsky とも好相性。シルクメビウス、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、フェイトフルウォー、エムエスワールドなどがこのパターンに当てはまります。このうち、シルクメビウス、マイネレーツェル、エムエスワールドは Nijinsky の息子マルゼンスキーを持っています。ナカヤマナイトはこれらと配合構成の一部が似ていることになります。詳しく調べたわけではないのですが、社台系の繁殖牝馬よりも日高の繁殖牝馬のほうが Nijinsky を持つ割合が高いような気がするので、社台系の繁殖牝馬と交配する機会が少ないステイゴールドの、これは数少ないメリットといえるかもしれません。

母の父カコイーシーズは、「Alydar×Jester」というアメリカ血統ながらヨーロッパでデビューし、名馬 Nashwan(英2000ギニー、英ダービー、キングジョージ)のライバルとして活躍しました。89年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)は、75年のグランディ対 Bustino を思い起こさせる素晴らしい一騎打ちでした。のちにジャパンCにも出走して3着となっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wWIwL0rNV8w#t=6m43s
http://www.youtube.com/watch?v=CkJ31MSXtSw

種牡馬としては、競走成績で示した芝の中長距離タイプという特徴は伝えず、「Alydar×Jester」という血統どおりダート戦が活躍の舞台となっています。コンサートボーイ(帝王賞)やエスプリシーズ(川崎記念)など地方競馬における強さには定評があります。

母フィジーガールの「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は相性がよく、ほかにラヴァリージェニオ(福島記念-3着)、ヘイアンショウグン(セントライト記念-5着)などが出ています。連対率と1走あたりの賞金額は、それ以外のカコイーシーズ産駒を大きく上回ります。ニックスと呼んでもいいでしょう。

カコイーシーズ×マルゼンスキー………………………連対率21.8%
                      1走あたり202万円
母の父マルゼンスキー以外のカコイーシーズ産駒……連対率14.2%
                      1走あたり112万円

マルゼンスキーは Flaming Page≒Buckpasser 2×2という強烈な父母相似配合の産物です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/

            ┌ Bull Dog
          ┌○┘
        ┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ―┤ └○┘
        │ ┌ Menow
        └○┤
          └○┐ ┌ Man o'War
            └○┘

          ┌ Menow
        ┌○┤ ┌ Bull Dog
        │ └○┘
Buckpasser ――┤   ┌ Man o'War
        │ ┌○┘
        └○┤ ┌ Blue Larkspur
          └○┘

「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は Tom Fool のクロスが生じます。Tom Fool はマルゼンスキーの父母相似配合の中心的な役割(Menow と Bull Dog を併せ持つ)を担っているので、そのあたりが好結果を生む秘密ではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996102218/

前述のとおり、ステイゴールドは Nijinsky 系と相性がよく、マルゼンスキーとの組み合わせでも好結果を生んでいます。母フィジーガールが持つカコイーシーズとマルゼンスキーはニックスは、マルゼンスキーの配合的エッセンスを継続するものなので、ステイゴールドとの相性の良さがさらに引き立つということなのかもしれません。カコイーシーズは大柄な馬で、産駒も総じて大きなサイズに出てきます。小柄なステイゴールドとのバランスが取れるのもいいのでしょう。

ナカヤマナイトは、前走のホープフルS(OP)で他馬よりも1キロ重い斤量を背負いながらベルシャザールのハナ差2着ですから、能力の高さは間違いないところ。ただ、カコイーシーズの血が引っ掛かって積極的に推せませんでした。こうして腰を据えて配合を眺めてみると、案外悪くないのかなという気がしてきます。勉強になりました。

◎ベルシャザール(2番人気)は4着。スタートで出負けしたのが痛かったですね。ペースが遅い序盤にジワッと位置取りを上げていったのは正解だったと思いますが、スパッと切れる脚がないので、上がり勝負となった今回は流れが不向きでした。

冒頭にも記したように、今年の3歳牡馬は実力拮抗の大混戦。同じメンバーで走っても、そのときどきの条件によってガラッと着順が入れ替わるでしょう。ですから、今回負けたメンバーを安易に評価下げするのは危険だと思います。その馬に合う条件が巡ってくれば上位争いをするはずです。

2011年2月13日 (日)

クイーンCはホエールキャプチャ

昨年暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)はレベルが高かったということでしょう。○ホエールキャプチャ(2番人気)が横綱相撲で押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0ktuZKaZ1Wc

◎ダンスファンタジア(1番人気)は直線で最内から外に出したロスが痛かったですね。この馬がどいたスペースに、2着の△マイネイサベル(5番人気)が突っ込んできて2着を確保。結果論ですが、動かずに前が開くのを待っていれば2着はあったと思います。ただ、それにしても動かなすぎた感もあるので、前走の反動があったのかもしれません。

ホエールキャプチャの配合はデビュー戦から高く評価してきました。昨年7月3日の新馬戦(函館芝1200m)に出走した際、いまはなき『web競馬王』に異例の長文予想を書いたのですが、それを再録します。

「◎ホエールキャプチャは『クロフネ×サンデーサイレンス』。この組み合わせでチヨダマサコの牝系を汲む配合といえばベストクルーズ(阪神ジュベナイルF-G1・3着、ファンタジーS-G3・2着)がいる。フレンチデピュティ系の配合で重要と思われるひとつのパターンは、同馬が持つブルームーンという血を刺激すること。ブルームーンとよく似た配合構成の血を母系に入れた馬はよく走っている。本馬の場合、それはサンデーに含まれるバニッシュフィアであり、ラバージョンの2代母であるブルーグロット。これらを併せ持つ配合はベストクルーズと同じなので高い期待が掛けられる。全兄は初勝利を挙げるまでに11戦を要したが、本馬は牝馬ということもあり仕上がりが早そう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100544/

Blue Moon は、フレンチデピュティの母の父の母。
Blue Grotto はラバージョンの2代母で、Blue Moon の全妹。
Banish Fear は Halo の母の父の母。
http://www.pedigreequery.com/blue+moon2
http://www.pedigreequery.com/blue+grotto
http://www.pedigreequery.com/banish+fear

          ┌○┐
        ┌○┤ └ Herodias
        │ └○┐
Blue Moon ―――┤   └○┐
(=Blue Grotto)│     └ Bathing Girl(=Over There)
        │ ┌ Blue Larkspur
        └○┘

       ┌ Blue Larkspur
Banish Fear ―┤ ┌ Over There(=Bathing Girl)
       └○┤
         └ Herodias

つまり、ホエールキャプチャには、Blue Moon=Blue Grotto≒Banish Fear というクロスがあります。フレンチデピュティ系の配合としては文句なしのA級です。

厳密にいえば Hail to Reason の母 Nothirdchance も Blue Moon に似ています。また、ホエールキャプチャの血統とは関係ありませんが、Nothirdchance と相似な血の関係にある Revoked や、Bluehaze、Blue Banner、Blue Eyed Momo といった「Blue」がつく一連の血脈、それから Busanda、Alondra などもこれらの仲間ですが、詳しく説明を始めると長大なものになるので割愛します。フレンチデピュティやクロフネ産駒の活躍馬はこのパターンが非常に多いですね。

土曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)を勝ったリッチフロー(父フレンチデピュティ)は、Hold Your Peace≒Yes Dear 3×5という4分の3同血クロスを持つのですが、この2つの血の母は Blue Moon です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103007/

望田潤さんのブログを読んだら、水曜日に同じような内容のエントリーがありました。私と望田さんは配合の共同研究をしたことはないのですが、もともと同じ競馬通信社の仲間でしたから、アプローチの仕方は似ていて、血統を掘り下げていく過程で似たような結論に達することはしょっちゅうあります。ご参考までに。

ホエールキャプチャ≒ベストクルーズ≒レジネッタ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d7f6472ac0ed4ca142cd202b7aa530e8

トーセンレーヴ初戦突破

鞍上のリスポリ騎手、管理する池江泰寿調教師が口を揃えて「ソラを使った」と語っているように、残り300mで先頭に立ったあと、フワッとして走りに集中していませんでした。しかし、ゴール前で外から2着馬が迫ると、再びグッと首を下げて加速しました。
http://www.youtube.com/watch?v=fBzN1M0biCI

首が低くフットワークがシャキシャキと素軽いですね。機動力と瞬発力にいいものがありそうです。見ているうちにふとタイキシャトルの走りがオーバーラップしました。どちらも Halo 系で母の父は Caerleon です。もちろん、こちらはディープ産駒なので、タイキシャトルのようなマッチョ体型ではありませんが。

今回のレースでは、抜け出すときだけ本気を出した感がありますが、その一瞬に垣間見せた加速には光るものがありました。

一応、予想を載せておきます。

「◎トーセンレーヴは『ディープインパクト×カーリアン』という組み合わせで、ブエナビスタ、アドマイヤオーラ、アドマイヤジャパンの半弟にあたる。最高の父と最高の母の組み合わせから誕生した注目の1頭。ディープインパクトの母の父アルザオは、その母レディレベッカがサーゲイロード≒ポカホンタス2×1なので、これらを継続した配合には注目したい。トーセンレーヴは母方にサーゲイロードを持つので好感が持てる。血統的なポテンシャルの高さが圧倒的。ここで連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

池江泰寿調教師は、爪に関してはトーセンジョーダンで散々苦労されたので、その経験がトーセンレーヴに活きてほしいものです。無事ならばクラシック路線に乗るでしょう。ただ、レーススケジュールに合わせて馬を仕上げるということはないと思います。調教師自らが語っているように、あくまでも爪の具合次第。これだけの良血ですから慎重になるのは致し方ありません。

2011年2月12日 (土)

トーセンレーヴが土曜京都でデビュー

うっかり紹介し忘れていたのですが、『競馬王』3月号が発売になりました。巻頭特集は「社台系馬券論」。社台対策なくして馬券もPOGも勝てない時代だけに、社台グループにまつわる各種データを手際よく整理した今回の企画は興味深いものがあります。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

日曜日の東京メインレースは共同通信杯(G3・芝1800m)。『競馬王』で毎月担当している「重賞スクランブル」というコーナーの、共同通信杯の項を転載してみます。血統面を中心に好走パターンを抽出するという企画です。

「クラシック登竜門だけに、実績を伴った評判馬が出走しれくれば、そう簡単には崩れない。過去5年間を振り返ると、サダムイダテンが飛んだ08年を除けば、馬連配当は2000円未満に収まっている。昨年は1、2、3番人気馬が4着以下を2馬身離して写真判定の大接戦を演じた。奇をてらわず素直に人気馬から入るのがセオリー。
 血脈的に注目したいのはミスタープロスペクター。過去5年間の連対馬10頭のうち、半数以上の6頭がこの血を持っている。サダムパテック、ダノンバラード、ベルシャザールなどのトップクラスが出走してくれば、当然中心的存在となる。とくにベルシャザールは過去5年間で3頭の連対馬を出している松田国英厩舎の所属馬なので怖い。このレースで好走させるノウハウを持っているはず。
 ディープインパクト産駒は東京コースで実績を残しているので要注意。あとはアグネスタキオン、キングカメハメハの両産駒。」

原稿執筆は1月中旬なので何が出てくるか分からないまま書いています。内容を要約すると、人気のダノンバラードとベルシャザールはそれなりに信頼できて、ディープインパクト産駒は基本的に悪くないですよ、ということ。あくまでも傾向なので、もちろんこれが最終結論ではありません。

今年は降雪の影響で予想が難しくなりました。降雪や凍結のおそれがあるときは、芝コースにシートが被せられるといいますが、それがどれぐらいの面積なのか、いつから被せていていつから取り外すのか、そういったことが分からない以上、土曜日の競馬を見てから馬場状態を判断するしかないですね。内伸びなのか外伸びなのかも把握しておきたいところです。現時点では何とも言えません。

土曜日の京都競馬で注目したいのは、今シーズンのPOGで1番人気率が最も高かったであろうトーセンレーヴ。第6Rの新馬戦(芝1800m)で初陣を迎えます。父はディープインパクト、母はビワハイジ。つまり年度代表馬ブエナビスタの半弟です。私も赤本で指名し、「栗山ノート」でも取り上げました。昨年の10月以降、爪の異状で二度デビューが延期されたので、ようやくという感じですね。今回のレースはほかにも好配合馬が揃っており、レベルが高いのではないかと感じます。2月7日のエントリーに記したように、京都芝1800mはディープインパクト産駒が得意とする舞台。連対率56.5%を誇ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

2011年2月11日 (金)

カラー画像で見る1950年代の阪神競馬場

「Flickr」という画像共有コミュニティサイトがあります。ここには世界各国の人々が撮った膨大な画像がアップロードされており、眺めていると時間がいくらあっても足りません。検索機能があるので興味に沿った画像を探すことができます。
http://www.flickr.com/

競馬関係で良かったのは、Herbert T. Gouldon(1923~2006)という方が撮った1950年代の阪神競馬場(キャプションでは「Nigawa Racetrack」)。カラー画像なのできわめて貴重だと思います。

1955年
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138799649/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4139559382/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138796903/

1956年
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142982386/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142981174/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142980170/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142223111/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142218439/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142217203/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142972030/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142970734/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142969244/

下から4番目の画像などは、年代と馬番と勝負服が分かっているので、調べようと思えば人馬を特定することも可能でしょう。枠の帽色が現在のとおり決められたのは1957年。それ以前の時代なので1番ゼッケンなのに赤い帽子を被っています。

ちなみに1955年のダービー馬はオートキツ、56年はハクチカラ。アラブの怪物セイユウがデビューしたのは56年夏で、第1回有馬記念が行われたのは56年暮れです(当時のレース名は中山グランプリ)。55、56年のリーディングサイアーは内国産のクモハタです。

Gouldon 氏はカメラマンではなく実業家。ここに挙げた以外の画像を見ると、1950年代半ばに神戸あたりにお住まいだったようです。家族で出かけたときに写したスナップ写真のコレクションを、「Flickr」にアップロードされています。おそらく競馬が好きだったんでしょうね。

名所旧跡よりも日常風景を主体に収めている点がいいですね。1950年代の素顔の日本がカラーで切り取られています。これなどはなんともいえず郷愁にかられる風景です。
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138708293/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4145543981/

あの時代に惜しげもなくカラーフィルムを使っていることから分かるように、経済的にかなり恵まれた方だったようです。世界各国を旅されている写真があります。当時のアメリカの豊かな国力が伝わってきます。
http://www.flickr.com/photos/herb450//

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!