今年の3歳牡馬戦線は、抜けた馬が存在せず、トップクラスの力が拮抗しているのでおもしろいですね。こういう年にしっかり馬券を取れる人が上手いのでしょう。今回私はまったくダメでしたが……^^
△ナカヤマナイト(3番人気)は終始インにこだわった柴田善臣騎手のファインプレーですね。外に出していたら届かなかったでしょう。パドックではやや太めに見えたのですが関係ありませんでした。平均よりやや遅めのペースで、先に行った馬、インを突いた馬同士での決着。外側は伸びない馬場です。
http://www.youtube.com/watch?v=MPtuFZlNTZU
ナカヤマナイトは「ステイゴールド×カコイーシーズ×マルゼンスキー」という配合。鍵となる血はマルゼンスキーの父 Nijinsky です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105362/
父ステイゴールドはメジロマックイーン牝馬とのニックスが有名ですが、じつは Nijinsky とも好相性。シルクメビウス、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、フェイトフルウォー、エムエスワールドなどがこのパターンに当てはまります。このうち、シルクメビウス、マイネレーツェル、エムエスワールドは Nijinsky の息子マルゼンスキーを持っています。ナカヤマナイトはこれらと配合構成の一部が似ていることになります。詳しく調べたわけではないのですが、社台系の繁殖牝馬よりも日高の繁殖牝馬のほうが Nijinsky を持つ割合が高いような気がするので、社台系の繁殖牝馬と交配する機会が少ないステイゴールドの、これは数少ないメリットといえるかもしれません。
母の父カコイーシーズは、「Alydar×Jester」というアメリカ血統ながらヨーロッパでデビューし、名馬 Nashwan(英2000ギニー、英ダービー、キングジョージ)のライバルとして活躍しました。89年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)は、75年のグランディ対 Bustino を思い起こさせる素晴らしい一騎打ちでした。のちにジャパンCにも出走して3着となっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wWIwL0rNV8w#t=6m43s
http://www.youtube.com/watch?v=CkJ31MSXtSw
種牡馬としては、競走成績で示した芝の中長距離タイプという特徴は伝えず、「Alydar×Jester」という血統どおりダート戦が活躍の舞台となっています。コンサートボーイ(帝王賞)やエスプリシーズ(川崎記念)など地方競馬における強さには定評があります。
母フィジーガールの「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は相性がよく、ほかにラヴァリージェニオ(福島記念-3着)、ヘイアンショウグン(セントライト記念-5着)などが出ています。連対率と1走あたりの賞金額は、それ以外のカコイーシーズ産駒を大きく上回ります。ニックスと呼んでもいいでしょう。
カコイーシーズ×マルゼンスキー………………………連対率21.8%
1走あたり202万円
母の父マルゼンスキー以外のカコイーシーズ産駒……連対率14.2%
1走あたり112万円
マルゼンスキーは Flaming Page≒Buckpasser 2×2という強烈な父母相似配合の産物です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/
┌ Bull Dog
┌○┘
┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ―┤ └○┘
│ ┌ Menow
└○┤
└○┐ ┌ Man o'War
└○┘
┌ Menow
┌○┤ ┌ Bull Dog
│ └○┘
Buckpasser ――┤ ┌ Man o'War
│ ┌○┘
└○┤ ┌ Blue Larkspur
└○┘
「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は Tom Fool のクロスが生じます。Tom Fool はマルゼンスキーの父母相似配合の中心的な役割(Menow と Bull Dog を併せ持つ)を担っているので、そのあたりが好結果を生む秘密ではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996102218/
前述のとおり、ステイゴールドは Nijinsky 系と相性がよく、マルゼンスキーとの組み合わせでも好結果を生んでいます。母フィジーガールが持つカコイーシーズとマルゼンスキーはニックスは、マルゼンスキーの配合的エッセンスを継続するものなので、ステイゴールドとの相性の良さがさらに引き立つということなのかもしれません。カコイーシーズは大柄な馬で、産駒も総じて大きなサイズに出てきます。小柄なステイゴールドとのバランスが取れるのもいいのでしょう。
ナカヤマナイトは、前走のホープフルS(OP)で他馬よりも1キロ重い斤量を背負いながらベルシャザールのハナ差2着ですから、能力の高さは間違いないところ。ただ、カコイーシーズの血が引っ掛かって積極的に推せませんでした。こうして腰を据えて配合を眺めてみると、案外悪くないのかなという気がしてきます。勉強になりました。
◎ベルシャザール(2番人気)は4着。スタートで出負けしたのが痛かったですね。ペースが遅い序盤にジワッと位置取りを上げていったのは正解だったと思いますが、スパッと切れる脚がないので、上がり勝負となった今回は流れが不向きでした。
冒頭にも記したように、今年の3歳牡馬は実力拮抗の大混戦。同じメンバーで走っても、そのときどきの条件によってガラッと着順が入れ替わるでしょう。ですから、今回負けたメンバーを安易に評価下げするのは危険だと思います。その馬に合う条件が巡ってくれば上位争いをするはずです。