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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年6月

2010年6月30日 (水)

日本チーム残念でした

ここまで楽しませてくれてありがとうと心から感謝したいです。

試合中、惜しいシュートが飛んだり危ない場面をクリアするたびに、家の外で「ワーッ!」とか「ウォーッ!」とか大集団で騒ぐ声が聞こえたのはいままでにないことでした。若者たちがワンセグ視聴のパブリックビューイングでもしていたのでしょうか? こういう盛り上がりはなかなかいいものです。

2年前にイタリアへ行ったとき、ちょうどサッカーの欧州選手権(ユーロ2008)の真っ最中でした。ローマのホテルに投宿した晩に、ロシアVSオランダの試合が放送されていて、ロシアが点を入れるたびに屋外で大歓声があがりました。

この試合は決勝トーナメントの一回戦(準々決勝)で、勝者は次の準決勝でイタリアVSスペインの勝者と対戦することが決まっていたのです。イタリアとしては、強豪オランダと当たりたくないので、当然、格下ロシアの勝利を願います。

オランダ ―┐
      ├―┐
ロ シ ア ―┘ │
        ├― 決勝進出
スペイン ―┐ │
      ├―┘
イタリア ―┘

イタリア国民の熱い期待に応え、ロシアは3対1のスコアで勝ち上がりました。しかし、翌日行われたイタリアVSスペインは、スペインの勝利。延長戦まで進んで0対0の末、イタリアはPK戦で敗れました。せっかくカモが勝ち上がったと喜んでいたら、自分たちがそこへ行く前に負けてしまったというオチです。

翌日のローマは、沈んだ雰囲気になっているかと思いきや、街へ出てみると何ごともなかったかのような日常がありました。試合前は目一杯盛り上がり、負けてしまえば案外アッサリ受け止める、というのは世界共通の心理かもしれません。

2010年6月29日 (火)

ディープ産駒土日連勝

日曜福島5Rの新馬戦(芝1800m)をヒラボクインパクト(1番人気~)が勝ち、ディープインパクト産駒が土日連勝しました。『web競馬王』の予想コメントは以下のとおり。

「◎ヒラボクインパクトは『ディープインパクト×メジロライアン』という組み合わせ。母ドリームカムカムはシルクロードS(G3)5着などの成績を持つスプリンターだった。ハイペリカム≒オリオール6×6はおもしろい。父ディープインパクトが持つアドミラルドレーク≒ローマン6×5という相似な血のクロスを、本馬は母方にアドミラルドレークを持つことで継続している。なかなかよくできた配合だ。“母の父メジロライアン”は福島コースを得意としている。この点も心強い。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100579/

管理する国枝栄調教師は、「ディープインパクト産駒は造りが軽くて、真面目で手がかかりません」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。

配合的に手探り状態の今年は、鈍重さが表れることへの警戒心から、あまり重厚すぎる配合は推奨しませんでした。デビューした産駒を見ると思ったよりも軽く出ている感があります。これまでのサンデー系種牡馬でいえばアグネスタキオンに近いイメージでしょうか。ヨーロッパの本格的なスタミナを入れた配合馬がどんな感じに仕上がるのか、ちょっと楽しみになってきました。

7月12、13日にノーザンホースパークで行われる「セレクトセール2010」で、ディープインパクト産駒はこれまでの三割増しぐらいの価格がつくかも……?

2010年6月28日 (月)

羽生善治三冠が棋聖位防衛

“羽生世代”とひとくくりにされる一群の棋士たちがいます。しかし、気がつけば、トップで活躍しているのは羽生善治のみ。それ以外の棋士たちはここ最近、タイトル戦にからむことがめっきり減りました。

将棋は頭脳ゲームですから、年齢を重ねて脳の活動が衰えると勝てなくなります。二世代上の中原誠、一世代上の谷川浩司も不惑を迎えたあたりから徐々に成績が下降していきました。70年前後に生まれた羽生世代の棋士たちは、30代から40代の変わり目にさしかかっています。

成績を落とす同世代のライバルたちとは対照的に、羽生善治は快進撃を続けています。4月から始まった新年度の成績はこれで13勝2敗(勝率8割6分7厘)。4~5月の名人戦は三浦弘行を相手に4勝0敗、6月の棋聖戦は深浦康市を相手に3勝0敗と、連続ストレート防衛を果たしました。

羽生善治は、95年に空前絶後の七冠を達成したあと、将棋に対するスタンスを変えたといいます。ひと言でいえば、目先の勝ち負けにこだわらなくなった、ということです。ガツガツと目先の1勝にこだわると、必然的に穏当な手ばかり指してリスクを避けるようになります。目先の1勝は得られても、長い目でみると将棋の幅を狭めることになり、トータルでは決してプラスになりません。

「リスクを避けていては、その対戦に勝ったとしてもいい将棋は残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとっては大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。」(『決断力』羽生善治著)

重要な対局であっても守りに入ることなく、リスクを承知で実験的な手をどんどん指す。もちろん、それで負けることもあるわけですが、羽生善治はそれをよしとして受け入れてきました。その十数年の営みが、彼の将棋をいっそう豊かなものにし、結果的に棋士生命を延ばしたといえるでしょう。

将棋の手ではありませんが、昨年の名人戦第7局の昼食時、羽生善治は「にぎり寿司とジンジャーエール」を注文しました。この独創的な組み合わせは“羽生新手”として話題となりました。ジンジャーエールはおそらくガリの代用でしょう(いずれも生姜が原料なので)。誰も気がつかなかったこのアイディアに「これは案外アリかもしれない」「さすが羽生さん」と感心する声があがりました。食事においてもありきたりなメニューに満足せず、常識にとらわれず新しい味覚を追究する。そのフロンティアスピリットこそが羽生善治の真骨頂です。

希代の天才棋士であることはいうまでもありませんが、長期的な戦略を描くことのできる聡明さ、自らを律することのできる強い意志は、並の人間が容易に真似のできることではありません。日本のあらゆるジャンルを横断しても、これほどの人物はなかなか見当たらないと思います。

2010年6月27日 (日)

宝塚記念はステイゴールド産駒の2連覇

大一番の一発といえば Ribot 系ですが、母が持つ His Majesty 2×4の威力でしょうか。8番人気のナカヤマフェスタが差し切って優勝しました。父ステイゴールドは昨年のドリームジャーニーに続いての連覇です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/

道中のラップが締まると距離適性がはっきりと出ます。たとえば、長距離戦でラップが締まれば中距離馬は苦しくなりますし、中距離戦でラップが締まれば長距離馬は苦しくなります。今回は後者だったので、中距離適性の高い馬が上位を独占した形です。そして、雨の影響が残る馬場だったので、パワーの有無も問われました。ナカヤマフェスタはこうした条件にフィットするタイプだったのでしょう。母は Ribot 系の強いクロスを持ち、さらにデインヒルが入ります。高速馬場よりは多少渋ったほうがいいタイプです。

柴田善臣騎手は近畿圏で初のG1制覇。2着は過去5回(京都4回、阪神1回)ありました。阪神競馬場での連対は89年の桜花賞(ホクトビーナス-2着)以来21年ぶりです。

馬券は完敗。4歳牡馬は割り引いて考えていたので印を打てませんでした。もっと馬場が悪化すると読んでいたのでブエナビスタ(1番人気)も△どまり。◎を打ったジャガーメイル(2番人気)は8着。もう少し距離があったほうがいいのかもしれませんが、それにしても走りませんでした。

2010年6月26日 (土)

ディープインパクト産駒初勝利

土曜福島5Rでサイレントソニック(牝2歳)が勝ち上がりました。2歳の早い時期の短距離戦は、ディープインパクト産駒にとってそれほど向いている条件とは思えなかったのですが、見事な勝利でした。

母ムーンライトガーデンズはアメリカ血統で構成され、Mr.Prospector=Search for Gold 4×3・4というスピード配合。そして父が持つ Halo≒Sir Ivor 2×4を、母方の Halo によって継続し、自身は3・5×5という形で持っています。セオリーを踏んだ配合で悪くありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100343/

先日の競馬王公開ドラフトで、美野真一さんが「ディープインパクトは母系を出し過ぎる」と語っていました。馬産地を回って同産駒をじっくり観察された上でのコメントだけに説得力があります。

ディープインパクトのイメージに引きずられ、印を▲にとどめてしまったのは失敗でした。美野説を思い出してもう少し母方の特長を重視すべきでしたね。今後の予想に活かしたいと思います。

2010年6月25日 (金)

安田隆行厩舎のホーマン2騎

今週の新馬戦で注目してみたいのは、安田隆行厩舎のホーマン2騎、ホーマンフリップとホーマンルッツです。馬主、厩舎が同じだけでなく、父がフジキセキであること、母方に Deputy Minister を持っていることまで共通しています。前者は阪神土曜4Rの芝1400m、後者は阪神日曜4Rのダ1200mに出走予定です。

ホーマンフリップはアニメイトバイオ(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)の半妹にあたる良血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

稽古で素晴らしい動きを見せていた評判馬で、どこのドラフトでも上位で消えた馬だろう思います。6月11日のエントリー「母の父フレンチデピュティ」でもチラッと触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-c558.html

この配合パターンは好成績を残しており、今後とも注目していきたいところです。母レーゲンボーゲンは名繁殖牝馬と呼んで差し支えないでしょう。現1歳はアニメイトバイオの全弟。これも楽しみですね。

一方のホーマンルッツは、ダート王カネヒキリと血統構成がよく似ています。父がフジキセキで、母の父が Deputy Minister 系、2代母の父が Mr.Prospector 系。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106421/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100978/

         ┌ フジキセキ
ホーマンルッツ ―┤   ┌ Deputy Minister
         │ ┌○┘ ┌ Mr.Prospector
         └○┤ ┌○┘
           └○┘

         ┌ フジキセキ
カネヒキリ ―――┤ ┌ Deputy Minister
         └○┤ ┌ Mr.Prospector
           └○┘

同じく母方に Deputy Minister を持つ前出のホーマンフリップは、芝をこなすフレンチデピュティを母の父に持つので、芝適性への懸念はとくにありません。

ホーマンルッツの場合はダート向きのデヒアです。じつは「フジキセキ×デヒア」からデグラーティア(小倉2歳S)が誕生しており、一概に芝がダメとは言い切れませんが、ダートの新馬戦で下ろしたということはやはりフットワークがダート向きなのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109086/

2010年6月24日 (木)

シャダイソフィア再降臨?

ここ数年、JRAレーシングビュアーを愛用しています。これがないと予想ができません。02年以降のJRA全レース、04年以降のダートグレード競走、84年以降のG1レース、重賞出走馬や2歳馬の追い切り映像に加え、レース開催日には各レース終了後3分ほどで映像がアップロードされます。海外でも日本にいるときと同じように視聴可能。これほど利便性の高い競馬映像サイトが月々525円で利用できるのですから素晴らしいの一語です。
http://prc.jp/jraracingviewer/index.html

今週は宝塚記念なので、宝塚記念の過去映像を眺めていました。84年、85年と、私が大好きだったグローバルダイナ(父ノーザンテースト)が頑張っています。84年は10番人気で3着。85年は7番人気で5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101955/

ステートジャガー事件によって記憶される85年のレースは、リアルタイムでたった一度観たきりでした。最後の直線でグローバルダイナが先頭に立ったシーンを25年ぶりに目にした瞬間、当時の高揚感、友達と交わした会話、場所(後楽園場外でした)まで、芋づる式に甦ってきました。プルーストの『失われた時を求めて』ではありませんが、記憶というのは不思議なものです。
http://ahonoora.web.fc2.com/takaraduka_1985.html

話は脱線しますが、80年生まれはノーザンテースト牝馬が豊作でした。前出のグローバルダイナ(阪神牝馬特別、小倉大賞典、北九州記念)のほか、シャダイソフィア(桜花賞)、ダイナカール(オークス)、ダイナマイン(新潟記念、牝馬東タイ杯)、シャダイチャッター(小倉記念)と、クラシック馬2頭を含む5頭の重賞勝ち馬が出ました。現在と違って当時はトップクラスの種牡馬でも1世代に50~60頭の産駒しかいなかったので、活躍の“濃度”はかなりのもの。ノーザンテーストは当時の生産界にあって完全に別格の存在でしたね。

このうちダイナカールは、年度代表馬エアグルーヴの母となりました。そして、アドマイヤグルーヴ、オレハマッテルゼ、エガオヲミセテ、フォゲッタブル、ウォータクティクス、フラムドパシオン、ルーラーシップなど、多くの活躍馬の牝祖となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101983/

シャダイチャッターは、プレミアムボックス、ワンモアチャッター、アリゼオ、そして今週の宝塚記念に出走するスマートギアなどを子孫から送り出しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105204/

グローバルダイナの子孫から出た重賞勝ち馬はいまのところプリサイスマシーンだけ。今後の発展に期待です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999106907/

桜花賞馬シャダイソフィアには子孫がいません。5歳秋のスワンS(G2)で故障し、予後不良となったからです。母ルーラースミストレスは馬主の吉田善哉氏が自らアメリカのセリで購買した馬だったので、愛着はひとしおだったようです。

「毎年多くの馬を生産し、事故はよく起きるが、そのつど深刻に考えていては身が持ちません。ただ、あれ以来、目をかけた馬が走ると競馬を見ていてレースが怖くなることがありますね。シャダイソフィアぐらい、きれいで品のいいサラブレッドはまれです。私が育てた数ある牝馬の中で最も血統のいい、気に入った馬でした。今思い出しても惜しい馬を失ったものです」(『優駿』86年12月号)

同期のオークス馬ダイナカールがあれだけの大牝系を築いたことを考えれば、シャダイソフィアが無事だったら……と思わずにはいられません。ルーラースミストレスの牝系は、その唯一の牝駒であるシャダイソフィアの死によって断絶しました。

しかし、それから3年後の88年11月、吉田善哉氏とその息子照哉氏は、アメリカでアンティックヴァリューという名の牝馬を購買しました。2代母 Brazen はルーラースミストレスと4分の3同血の関係にあり、アンティックヴァリュー自身はシャダイソフィアと配合がそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000038/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980102040/

             ┌ Northern Dancer
アンティックヴァリュー ―┤
             └○┐ ┌ Bold Ruler
               └○┤
                 └ Amoret

               ┌ Northern Dancer
             ┌○┘
シャダイソフィア ――――┤ ┌ Bold Ruler
             └○┤
               └○┐
                 └ Amoret

アンティックヴァリューはシャダイソフィアだ、亡きシャダイソフィアを買い求めたのだ、と直感しました。

やがてアンティックヴァリューは二冠牝馬ベガの母となり、ベガはダービー馬アドマイヤベガの母となりました。亡きシャダイソフィアは、アンティックヴァリューの姿を借りて、再びこの世に降臨したのです。

……と書けば、ちょっとええ話やなぁ、となるわけですが、ベガが二冠を達成した直後、吉田照哉氏はインタビューにこう答えました。

「アンティックヴァリューの血統表を見たとき、すぐにソフィアの近親だなって気付いたけど、だから買ったというわけじゃない。いちいち1頭の血統にこだわってるヒマはありませんから」(『優駿』93年8月号)

これを読んだ瞬間、椅子からずり落ちそうになりました。まったく身も蓋もありません。外野が勝手に物語を紡いでも、それは想像の産物でしかなく、現実はたいていこんなところなのでしょう。

2010年6月23日 (水)

アローフィールドとスニッツェル

オーストラリアのアローフィールドスタッドのサイトを見ていたら、ニュース欄に「Snitzel two-for-two in Japan」という記事があるのを発見しました。スニッツェル産駒が日本で2戦2勝、という意味です。先週、函館の新馬戦で産駒が勝ち上がったスニッツェルは、現在、アローフィールドスタッドに繋養されています。
http://www.arrowfield.com.au/

同スタッドは、社台スタリオンステーションの種牡馬がオーストラリアへシャトル種牡馬として渡ったとき、その受け入れ先となった牧場です。フジキセキやクロフネやフレンチデピュティなどはここで供用されました。

現在は10頭の種牡馬が繋養されており、種付料が公表されている9頭のうち、スニッツェルは上から数えて6番目の価格(2万7500ドル=約220万円)。アローフィールドに繋養されているぐらいですから上級種牡馬であることは間違いありませんが、超一流という扱いではありません。スニッツェルの父 Redoute's Choice はなんと17万6000ドル(約1400万円)。1頭だけ段違いの価格です。

Redoute's Choice は、05/06年にデインヒルの7連覇を阻んでオーストラリアのリーディングサイアーに輝きました。デインヒルの息子なので、日本でいえばサンデーサイレンスに代わってアグネスタキオンがリーディングサイアーになったようなものです。
http://www.pedigreequery.com/redoutes+choice

その後は、3位→10位→2位と来て、09/10シーズンは現時点で2位。高額賞金レースはもう組まれていないので、おそらくこのままの順位でフィニッシュするでしょう。特長はなんといってもスピード。オーストラリアは世界一の芝短距離王国で、2歳戦も盛んです。こうした路線で好成績を挙げる種牡馬が好まれる傾向にあります。Redoute's Choice はまさにそうしたタイプの種牡馬といえます。

スニッツェルは、09/10シーズンの2歳種牡馬ランキングで現在4位。新種牡馬ランキングでは2位。計27頭が出走して8頭が勝ち上がっています。出世頭の Chance Bye はシルヴァースリッパーS(豪G2)を勝ちました。なかなか優秀な成績なので、種付料は今後さらに上がっていきそうです。
http://www.pedigreequery.com/chance+bye

09/10シーズンの豪種牡馬ランキング上位10頭は以下のとおり(6月20日現在)。

1位 Encosta de Lago(AUS)1993 by Fairy King
2位 Redoute's Choice(AUS)1996 by デインヒル
3位 Street Cry(IRE)1998 by Machiavellian
4位 Lonhro(AUS)1996 by Octagonal
5位 Testa Rossa(AUS)1996 by ペルジノ
6位 コマンズ(AUS)1996 by デインヒル
7位 More Than Ready(USA)1997 by サザンヘイロー
8位 Fastnet Rock(AUS)2001 by デインヒル
9位 Zabeel(NZ)1986 by Sir Tristram
10位 High Chaparral(IRE)1999 by Sadler's Wells

このうち、アローフィールドに繋養されているのは Redoute's Choice のみ。残り9頭の繋養先は以下のとおりです。

クールモア:3頭……Encosta de Lago、Fastnet Rock、High Chaparral
ダーレー:3頭……Street Cry、Lonhro、コマンズ
ヴァイナリー:2頭……Testa Rossa、More Than Ready
ケンブリッジ(NZ):1頭……Zabeel

かつてデインヒルやラストタイクーンを擁して栄華を誇ったアローフィールドも、クールモアやダーレーの勢いにやや押され気味といったところです。Redoute's Choice が健在なうちにもう1、2本、柱を育てたいところでしょう。スニッツェルにはその期待がかかります。

2010年6月22日 (火)

金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇

昨年10月の金沢転入初戦からこれで11連勝。2着に7馬身の大差をつけました。まだ伸び盛りの4歳馬。これから交流重賞にも顔を出してくる大器でしょう。

JRA在籍当時は、疝痛や骨折に見舞われるなど体質が弱く、3歳夏にデビューに漕ぎ着けたものの2戦連続で大敗。見切りを付けられ金沢に移籍しました。

ただ、血統的には素晴らしく、父はジャングルポケット、母サトルスマイルはマンハッタンカフェの半妹です。あれ? と思った方は鋭いですね。そうです、アプリコットフィズと配合構成がほとんど同じです。父が同じで、母同士が4分の3同血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102942/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌ ジャングルポケット
ジャングルスマイル ―┤   ┌ サンデーサイレンス
           │ ┌○┘
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

ジャングルスマイルの母の父はバブルガムフェロー。この部分がパワーの裏付けとなっています。ジャングルポケットとサンデーサイレンスの組み合わせはニックスと呼んで差し支えないと思いますが、残りの部分にサトルチェンジを持ってくる配合は要注目です。もちろん、いずれ現れるであろう「ジャングルポケット×マンハッタンカフェ」も……。

2010年6月21日 (月)

サンデーの曾孫世代で初の重賞制覇――ブライティアパルス

マーメイドSは、開幕週独特の前が止まらない競馬となり、行った行ったの決着。▲ブライティアパルス(3番人気)が念願の初重賞制覇を達成しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005104040/

じつはこれがサンデーサイレンスの曾孫世代としては初めての重賞制覇。血の流れを図にすると以下のようになります。

SS→フジキセキ→ダイタクリーヴァ→ブライティアパルス

父ダイタクリーヴァは現役時代、G1勝ちこそないものの、1600~2000mのG2、G3を5勝しました。ダイタクバートラム(重賞3勝)の半兄でもあり血統的な筋は通っています。

地味ながら種牡馬成績は優秀で、ブライティアパルスのほか、ルールプロスパー(現OP)、ベルウッドローツェ(ダイヤモンドS-2着)、それに地方競馬で重賞を勝ちまくっているエレーヌ(東海ダービーほか)などの活躍馬がいます。産駒数の少なさや繁殖牝馬の質を考慮すれば際だった成績といえるでしょう。

母スプリングネヴァーは、アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1とも表現できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1992108661/

          ┌ ネヴァービート
アンジェリカ ―――┤
          └○┐ ┌ ハロウェー
            └○┘

          ┌ ネヴァービート
ネヴァーイチバン ―┤ ┌ ハロウェー
          └○┘

6月12日のエントリー「強い牝馬クロス+Ribot 系」で以下のように述べました。

「名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。」

“アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1”を「名牝の強いクロス」と見立てれば、種牡馬ダイタクリーヴァの高い能力にも合点がいきます。06年以降、5年連続で産駒数は一桁。ぜひ見直すべき種牡馬ではないでしょうか。

マーメイドSで本命に推した◎ニシノブルームーン(1番人気)は4着。今回は位置取りがすべてです。進出すべき勝負どころで馬群に包まれ、逆に先頭から離されてしまいました。これで次走人気が落ちるなら狙い目でしょう。馬券は外れてしまいましたが、2着セラフィックロンプ(14番人気)に△を打ったのは自分のなかでは小さな勝利です。

2010年6月20日 (日)

日曜阪神4R新馬戦、アヴェンチュラ圧勝

ディープインパクト産駒の一番星として期待を集めた◎シュプリームギフト。幅のないコンパクトな馬体に、スタートの出遅れ。父親そっくりで感慨深いものがあります。残念ながら3着と敗れましたが、初戦としてはまずまずでしょう。今週の阪神は芝足が長く、力のいる粘っこい馬場だったので、捌きが軽くやや非力な印象のあるシュプリームギフトにとって向いている馬場とはいえなかったような気がします。

ディープインパクトは小柄な馬だったので、馬体の逞しさ(≒パワー)を補うことは配合を考える上でひとつのポイントでしょう。総じてアメリカ血統はパワーがあり馬体を大きく出すため、掛け合わせる血として悪くないと思います。シュプリームギフトの場合、母方にアメリカ血統が色濃く流れているのですが、馬体の逞しさを増すという効果においてはイマイチだったようです。阪神よりは京都向きでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103205/

勝った○アヴェンチュラは、フサイチホウオー、トールポピーの全妹にあたるおなじみの血統。パドック映像では、シュプリームギフトとは対照的なその力強い馬体に目が釘付けになりました。育成時代からトップクラスの評価を得ていた馬で、ダイナミックなフットワークで外からマクリ切ったのですからここではモノが違いました。前述のような力のいる粘っこい馬場だったこともプラスに働いたように思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103078/

全兄フサイチホウオーは、06~07年の『赤本』で全体の1位に指名した思い出深い馬です。新種牡馬の子は基本的にあまり取らないようにしているのですが(父ジャングルポケットはこの年の新種牡馬でした)、フサイチホウオーはあまりにも配合が素晴らしかったので、禁を破って1位に指名しました。翌年にトールポピー、そして2年置いてアヴェンチュラが出たことは驚くにあたりません。それぐらいの名配合です。Hornbeam≒Sunset 4×5が底力の源泉です。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/sunset3

      ┌ Hyperion
Hornbeam ―┤
      └○┐ ┌ Bois Roussel
        └○┤
          └ Point Duty

      ┌ Hyperion
Sunset ――┤ ┌ Bois Roussel
      └○┤
        └ Point Duty

2010年6月19日 (土)

スニッツェル産駒強し

いよいよ2歳シーズンが開幕しました。函館、福島、阪神で各1レースずつ新馬戦が組まれ、函館と福島で新種牡馬の産駒が快勝。

過去を振り返っても開幕初日はなぜか新種牡馬が強い傾向が見られ、過去5年間で4回勝っています。ただ、2頭勝ち上がったことはありませんでした。

函館……ルリニガナ(父スニッツェル)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104407/
福島……マルタカシクレノン(父スズカマンボ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101737/

函館で勝ったルリニガナ(2番人気)は、当ブログや『赤本』でプッシュしてきたスニッツェル産駒。産駒数は少ないながらも2歳戦で旋風巻き起こしてもおかしくない種牡馬でしょう。クラシック云々というタイプではありませんが、スピード、仕上がりの早さは抜群です。『web競馬王』の予想コメントを転載します。

「◎ルリニガナは『スニッツェル×キングマンボ』という組み合わせ。父スニッツェルは豪リーディングサイアーのリダウツチョイスの子で、デビュー戦をいきなりレコード勝ちして3連勝を飾り、芝1100mのG1を制したスピード馬。仕上がりは抜群に早いタイプだろう。すでにホッカイドウ競馬で産駒がデビューして勝ち上がっている。母はフラワーボウル≒マイホスト6×5で、本馬はヒズマジェスティ=グロースタークの全きょうだいクロス(その母はフラワーボウル)によってそれを継続発展させている。なかなかの好配合馬。仕上がりの早さとスピードで勝ち負けに持ち込めるだろう。」

予想は◎○で本線的中でした。これでスニッツェル産駒の2歳馬は、ホッカイドウ競馬も含めて2戦2勝です。

阪神の新馬戦を勝ち上がったマイネショコラーデ(父ロージズインメイ)は、6月16日のエントリー「水曜坂路の注目馬」で採り上げた馬です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-43c9.html

「◎マイネショコラーデは『ロージズインメイ×マイネルラヴ』という組み合わせ。母コスモヴァレンチは小倉2歳S(G3)の勝ち馬。父ロージズインメイは自己を主張するよりも母方の特徴を出すタイプなので、おそらく本馬も『マイネルラヴ×ブレイヴェストローマン』の母の特徴が強く表れているはず。2歳夏の芝1200m新馬戦はぴったりの条件だろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104913/

予想は◎▲△で3連単5540円的中でした。初日の予想は好調。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』では3場ともA評価の馬が勝ち上がりました。

2010年6月18日 (金)

Zenyatta、ヴァニティH(G1)を制して無傷の17連勝

今回はかなり危なかったですね。結果を知ってからレース映像を見たのですが、それでもヒヤヒヤしました。
http://www.youtube.com/watch?v=K-fJpTGaPH8

実況アナウンサーはゴール前で声が裏返り、「ゼニッ、ヤタァ、イエーーース!!!」と絶叫。中立性のかけらもありません(笑)。

ゴール直前まで粘っていた St Trinians はイギリス産馬で、アメリカ移籍後4連勝でサンタマリアH(G1・AW8.5f)を制した強豪。前走はサンタアニタH(G1・AW10f)で牡馬に挑戦したものの6着と敗れていました。父 Piccolo はナンソープS(英G1・芝5f)を勝ったスプリンターで、母の父 Classic Cliche はアスコットGC(英G1・芝20f)を勝ったステイヤー。こんな極端な配合はなかなかお目にかかれません。
http://www.pedigreequery.com/st+trinians3

今回は Zenyatta が St Trinians より9ポンド(約4キロ)重い斤量を背負い、4コーナーで外を回りすぎたこともあって思わぬ接戦となりました。これでヴァニティH(G1)は3連覇。
http://ahonoora.web.fc2.com/zenyatta.html

ただ勝つだけでなくドラマティックな演出をするあたり、さすが千両役者です。

2010年6月17日 (木)

関東オークスはシンメイフジ

http://www.chihoukeiba.jp/nar/meta/vod/21/2010/06/16/212010061610.asx
終わってみれば格の違いを見せました。「フジキセキ×ティンバーカントリー」という組み合わせですが、母レディミューズは芝で普通に走りましたし、シンメイフジ自身もティンバーカントリーが伝えるフットワークの重さは見られないので、本質的には芝向きだと思います。ダートは「苦にしない」といった程度ではないでしょうか。脚抜きのいい馬場(重馬場)になったのはプラス材料だったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103593/

以前、安田隆行調教師は「素直な気性」とコメントしていたと思うのですが、レースぶりを見るかぎり乗りやすい馬とは思えません。主戦ジョッキーだった岩田騎手も苦労していたように思います。内田博幸騎手に乗り替わった今回は、好位でぴたりと折り合い、勝負どころで自然に進出するという優等生の競馬。鞍上の技術なのか、ダートでは落ち着いて走れるのか、そのあたりは分かりません。こんな競馬ができれば秋は楽しみです。

2着ハーミア(大井)は、5月最終週の東京戦(500万下・ダ1600m)で2着に突っ込み大穴を開けました。ブロケードの曾孫。サンシャイン牧場の生産馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105461/

2010年6月16日 (水)

水曜坂路の注目馬

今週から待ちに待った新馬戦が始まります。水曜朝の栗東坂路で注目の走りを見せたのは、2歳全体の一番時計を出したサミットストーン(牡2・父ロージズインメイ・森秀行厩舎)と、二番時計で上がりを12秒2でまとめたエイシンモンジュー(牡2・父 Montjeu・西園正都厩舎)でしょうか。

サミットストーンは、後藤繁樹氏(サニングデール、アーバンストリート、シルポートなどの馬主)の持ち馬で、Devil's Bag 3×2という強烈なクロスを持っています。母タイキアプローズはタイキシャトルと血統構成がほとんど同じです。

          ┌ Devil's Bag
タイキアプローズ ―┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

          ┌ Devil's Bag
タイキシャトル ――┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

 タイキアプローズの母の父は Niniski、タイキシャトルの母の父は Caerleon。この違いだけですね。いずれも Nijinsky の子ですから血統構成はほとんど同じです。

ロージズインメイは自己を主張するというよりは、母方の特徴を素直に出すタイプなので、タイキシャトル(≒タイキアプローズ)の子に近い特徴が出てくるのではないでしょうか。しかも、仕上がり早のスピード血統である Devil's Bag 3×2。2歳夏の短距離戦は向いているでしょう。調教のラスト1ハロンが13秒7とかかったのは、バテたのか抑えたのかよくわかりません。バテたとしても序盤から飛ばしていたので仕方がないところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101041/

サミットストーンは今週の新馬戦に登録がありませんでした。同じロージズインメイ産駒なら土曜阪神4R(芝1200m)に出走を予定しているマイネショコラーデ(牝2・吉田直弘厩舎)がおもしろそうです。母は小倉2歳S(G3)を勝ったコスモヴァレンチ。全兄ドリームバレンチノも新馬戦3着→未勝利戦1着と仕上がりの早いタイプでした。早期の1勝を確実に計算できる馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104913/

エイシンモンジューはについては、少し前に『競馬総合チャンネル』で触れたので転載します。

「昨年9月、米ケンタッキー州キーンランドのセールで平井豊光氏が21万ドルで落札した。母 Santa Catarina はハリウッドオークス(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬で、ケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)など3つのG1で2着となっている。これに Sadler's Wells 系の凱旋門賞馬 Montjeu を交配して誕生したのが本馬。父はスタミナと底力に関しては高いレベルにあるものの、軽快なスピードに欠けるので、日本にやってきた産駒は鈍重なタイプが目に付く。したがって、アメリカのスピード血統で構成された母は交配相手として悪くない。母方の血がややパワー方向に傾いているので、ダートで本領を発揮しそうだ。」

2歳の早い時季は短距離戦が多く、行って粘るという単調なレースぶりでも通用するので、本質的にダート向きでも芝をこなすことは珍しくありません。残念ながら今週の登録はなく、デビューは来週以降になりそうです。どこで下ろすにしても勝ち負けになりそうです。

エイシンフラッシュのダービー制覇で意気揚がるエイシン軍団は、開幕週にエイシンピンキー(牝2・父デビッドジュニア・野中賢二厩舎)とエイシンオスマン(牡2・父ロックオブジブラルタル・松永昌博厩舎)の2頭がデビュー予定です。前者は土曜阪神4R(芝1200m)、後者は日曜阪神4R(芝1600m)。どちらも稽古の動きが良かったようで重い印が付きそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101555/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103390/

2010年6月15日 (火)

悲劇の名牝 La Prevoyante

昨日のエントリーで紹介した Proud Citizen。その2代母 Danseuse Etoile は、カナダとアメリカの双方で殿堂入りを果たした名牝 La Prevoyante の全妹です。

La Prevoyante は1970年にカナダで誕生しました。父は Buckpasser、母は Northern Dancer の全妹 Arctic Dancer というとびきりの良血です。
http://www.pedigreequery.com/la+prevoyante

通算39戦25勝。活躍ぶりが著しかったのは2歳時で、セリマSを14馬身差、メイトロンSを7馬身半差で圧勝するなど12戦全勝の成績を残しました。殿堂入りが認められたのは2歳時の走りが評価されたからです。

4歳暮れの1974年12月28日、ミスフロリダHで11頭立ての8着に敗れたあと、肺破裂により死亡しました。

生きて繁殖入りしていたらどんなに素晴らしい産駒を残していただろう、と想像を巡らしてしまう名牝が何頭かいます。Ruffian、テスコガビー、Go for Wand、そして La Prevoyante もその1頭です。

La Prevoyante は、トラマイベスト=El Gran Senor の全兄弟に血統組成が似ています。こうした血とリンクしつつ、現代血統のなかで血を広げる余地は大きかったと思います。
http://www.pedigreequery.com/el+gran+senor

        ┌ Buckpasser
La Prevoyante ―┤ ┌ Northern Dancer
        └○┤
          └ Natalma

          ┌ Northern Dancer
        ┌○┤
El Gran Senor ―┤ └ Natalma
        │ ┌ Buckpasser
        └○┘

Proud Citizen の代表産駒の1頭 Freedom Rings(2歳時に米G2で2着)は、母の父が Compliance(トラマイベストと El Gran Senor の全兄弟)なので、Danseuse Etoile≒Compliance 3×2という相似な血のクロスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/freedom+rings

La Prevoyante はわずか2年半の競走生活で39戦。明らかに衰えが見えてからも走り続けました。どうしてそこまで走らせたのか……と思わずにはいられません。

2010年6月14日 (月)

ロイヤルランドウィック競馬場

きのうのベッティングの結果は以下のとおり。

★アルジェリアVSスロベニア →→ ○
★セルビアVSガーナ →→→→→→ ×
★ドイツVSオーストラリア →→→ ×

オーストラリアはドイツにボコボコにされたわけですが(0対4)、0対2で前半を終えたあと、ハーフタイムにオーストラリアのスタジオにカメラが切り替わると、痛ましいぐらいのお通夜状態。後半が終わってもう一度カメラが戻ってくると、「退場者も出ちゃったし仕方ないね。今日のところはノーカウントってことで」みたいなノリでした。

そういえば、オーストラリアに帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のニュースもやっていました。ちゃんと「ジャパニーズスペースクラフト」と紹介されていたのでよかったです。

午前中にTABで払い戻しを受けてからロイヤルランドウィック競馬場へ。書き忘れていましたが滞在場所はシドニーです。セントラルステーションから出ている競馬場行きのバスは乗り場が分かりにくいので、もし行く場合はタクシーを利用したほうがいいですね。距離にして5キロ、料金はだいたい15ドル(約1100円)です。

ロイヤルランドウィック競馬場はAJCダービーなどオーストラリアの主要競走が行われます。スタンドはそれほど大きくなく、平日ということもあり場内は閑散としていました。年金生活のお爺ちゃんがメインの客層です。場内には「The Octagonal Bar」など、過去の名馬の名を冠した施設がいくつかありました。

昼の12時が第1R。天気は晴天。海外で馬券を買うときは単勝が多いのですが、今回は日本にいるときと同じく連勝複式(クィネラ Quinella)で勝負。これがなかなか好調で、第6Rまで利益を積み上げました。

最終の第8Rまでいると帰り道が混んでしまうので、第7Rで切り上げて競馬場を後にすることは当初から決めていました。オーラスの有り金勝負というクイズダービー方式です。

競馬場の片隅でノートパソコンを開き、「Thoroughbred Horse Pedigree Query」でカタカタと出走馬の血統を調べる怪しげな東洋人。1頭いい馬がいました。Proud Citizen 産駒の Patricians Glory という4歳牡馬です。Arctic Dancer=Northern Dancer 4×3という全きょうだいクロスを持ち、母は Dixieland Band×Vaguely Noble というパワー兼備のスタミナタイプ。第7Rはこの日のレースの最長距離(1800m)、しかも馬場が渋っていたのでいかにも合いそうです。
http://www.pedigreequery.com/patricians+glory2

レースは、目論見どおり Patricians Glory が突き抜けて圧勝。しかし、喜びもつかの間、ヒモがまったく来ず、馬券は惨敗。10頭立てで1頭軸から5頭に流しながら引っかからないとは……。

これでシドニーの旅は終わりです。競馬場は市街中心部から近く、馬券も買いやすいので、なかなか満足度が高かったですね。このトシになると“最寄りの駅から歩いて30分、タクシーもなし”といった競馬場はもういいや、という感じです。いま空港でこれを書いています。これから帰りの飛行機に乗るので日本VSカメルーンは見られません。

2010年6月13日 (日)

月曜11時30分から『馬券師倶楽部』再放送

『馬券師倶楽部』の「半笑いVS栗山求(後編)」です。CS放送の“MONDO21”で観ることができます。よろしかったらどうぞ。

TABでワールドカップを

現在、事情によりオーストラリアへ来ています。日本とは季節が逆なので寒風が吹いています。

道行く人はコートやオーバーといういでたちですが、なかにはTシャツ姿の大男もちらほら。幼少時からオージービーフを食べ続けるとこうなりますよという堂々たる体躯。こういう人たちを相手に日本人がスポーツで勝つのはどんなジャンルであれ大変だろうなぁ……と思います。

それはともかく、オーストラリアへ来たらまずはTAB。政府公認のブックメーカーです。競馬、ドッグレース、ラグビー、サッカー、オージーフットボール、クリケット、なんでも賭けの対象となります。残念ながら日本の競馬は扱っていません。ホテルのテレビをつけると、ラグビーとオージーフットボールが盛んに放送されていて、オーストラリアの人気スポーツであることが分かります。

TABの店内に入ると、競馬とドッグレースの中継がだらだらと放映されるなか、やはりラグビーとオージーフットボールの賭けは人気のようです。しかし、日本人的にはやはりワールドカップ。

今夜はドイツVSオーストラリア戦があります。おそらくオーストラリア人の多くは“オーストラリア勝ち”に賭けるでしょうから、“ドイツ勝ち”のオッズがかなり美味しくなるのではないか? 勝負するならこれしかない! と、意気込んでオッズを見たところ、“ドイツ勝ち”のオッズは1.5倍。メチャメチャ辛いです。オーストラリアの国民感情をこれっぽっちも考慮していません。イギリスのスポーツブックの最大手ウイリアムヒルと同じオッズなので、あるいは提携しているか何かで、オーストラリア独自のオッズというものはないのかもしれません。

そんなわけで、今夜の3試合を賭けてきました。

★アルジェリアVSスロベニア
   →→→スロベニア勝ち(オッズ2.25倍)
★セルビアVSガーナ
   →→→引き分け(オッズ3.25倍)
★ドイツVSオーストラリア
   →→→引き分け(オッズ4倍)

さて、どうなるか???

2010年6月12日 (土)

強い牝馬クロス+Ribot 系

6月8日のエントリー「仏ダービー、英ダービー」で、Machiavellian について触れました。それについて読者の方からご質問があったので、お答えしたいと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-f907.html

Machiavellian は、現役時代は3戦全勝で仏2歳チャンピオンとなり、3歳時の英2000ギニー(G1・芝8f)はラチ沿いに押し込まれる不利があり2着。スムーズな競馬ができていれば勝っていたかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=9e08GlaJuzo

この馬の成功は、母 Coup de Folie の配合パターンに負うところが大きいでしょう。偉大な繁殖牝馬 Almahmoud を3×3というクロスの形で持っています。
http://www.pedigreequery.com/coup+de+folie

Coup de Folie はオマール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬で、繁殖牝馬としては歴史的な成功を収めました。前出の Machiavellian のほかに、Exit to Nowhere(ジャックルマロワ賞-仏G1、イスパーン賞-仏G1)、Coup de Genie(モルニ賞-仏G1、サラマンドル賞-仏G1)、ハイドロカリド(アスタルテ賞-仏G2)、Ocean of Wisdom(ラロシェット賞-仏G3)といった優駿を送り出しています。

Coup de Folie の配合は、ある大種牡馬の構成と非常によく似ています。子孫が世界的に大繁栄しているデインヒルです。
http://www.pedigreequery.com/danehill

Coup de Folie は、Almahmoud 3×3で、母の父は Ribot 系の Hoist the Flag。一方、デインヒルは、Almahmoud の娘 Natalma の3×3で、母の父は Ribot 系の His Majesty です。

要するに、いずれも名牝の強いクロスを持ち(しかも双方がクロスさせた馬は親子の関係にあります)、底力に秀でた Ribot 系を母の父に持ちます。Coup de Folie もデインヒルも、サラブレッド生産界の歴史のなかで巨人といえる存在です。2頭が似たような配合パターンから誕生したことは偶然とは思えません。優れた能力をコンスタントに伝える何ものかがこの配合に秘められているのでしょう。ここから学べるものは少なくないと思います。

須田鷹雄さんが主宰する光文社POGの07-08年の大会で、私はダービー馬ディープスカイ(父アグネスタキオン)を指名して幸運にも優勝することができました。

ディープスカイの母アビは、Coup de Folie とデインヒルを連想させる配合パターンです。Miss Carmie 4×3という牝馬クロスを持ち、母の父は Ribot 系の Key to the Mint。“強い牝馬クロス+Ribot 系”という、まさに公式どおりの配合です。
http://www.pedigreequery.com/abi2

名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。
http://www.pedigreequery.com/seattle+slew
http://www.pedigreequery.com/ap+indy
http://www.pedigreequery.com/hyperion

ディープスカイは現在、日高町のダーレージャパンスタリオンコンプレックスに繋養されています。きっと成功するでしょう。

2010年6月11日 (金)

『競馬王』7月号

先日発売になりました。『競馬王のPOG本』で2歳馬ネタは出尽くしかと思ったらまだまだありました。最新情報が満載です。先日の公開POGの模様を描いたグラサン師匠の『鉄板競馬』は必読です。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

母の父フレンチデピュティ

昨年12月14日のエントリー「母系に入って輝く Deputy Minister 系」でも記しましたが、“母の父フレンチデピュティ”はなかなか優秀です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/deputy-minister.html

現時点の連対率は以下のとおり。

■母の父フレンチデピュティ
全連対率 23.1%
芝連対率 26.5%
ダ連対率 19.4%

スズカコーズウェイ、ブレイクランアウト、アニメイトバイオなどが代表格です。先日、ツルマルボーイ産駒の3歳馬ワンモアジョー(母の父フレンチデピュティ)が2勝目を挙げたのには驚きました。このクラスの種牡馬まで走らせてしまうのか、と――。

ちなみに、ブルードメアサイアーランキングで首位に立つ“母の父サンデーサイレンス”は以下の成績。現状では“母の父フレンチデピュティ”のほうが数字的に上です(連対率ベース)。

■母の父サンデーサイレンス
全連対率 18.4%
芝連対率 18.8%
ダ連対率 17.9%

今年の公開ドラフトで指名した10頭のうち、アソルータ(牝・父ゼンノロブロイ、母フレンチバレリーナ)とダノンハロー(牡・父ハーツクライ、母ペルヴィアンリリー)の2頭が“母の父フレンチデピュティ”でした。もちろん、狙って獲った馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103297/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103317/

6月10日(木)の栗東坂路で一番時計を出した2歳馬ホーマンフリップは「フジキセキ×フレンチデピュティ」。アニメイトバイオの半妹にあたる良血で、阪神2週目の芝1400m戦でデビューとのことです。期待できそうですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

2010年6月10日 (木)

馬の故障と高速馬場

この問題について触れた本が手元に2冊あります。

『競走馬の科学』(JRA競走馬総合研究所編・講談社・06年4月)
『コースの鬼!』(城崎哲著・競馬王新書・07年11月)

因果関係があるのかないのか議論を深める一助として、ちょっと長いのですが抜粋したいと思います。

~~~~

「記録と馬場の関係については、内・外のほかに『時計が速いのは馬場が硬いため』という考えがある。たしかに、硬い馬場は走行タイムが速い傾向にあるが、『時計の速い馬場=硬い馬場』とは必ずしもいえない。芝が密に生えそろって、クッションの効いた状態でも速いタイムを記録することがある。
 また、『硬い馬場は事故のもとになる』という考えもあるが、これも誤った認識である。実際に、時計の速いレースで事故が多発するという傾向はない。競走馬は馬場が硬ければ硬いなりの、軟らかければ軟らかいなりの走り方をする。これから肢を着こうとする場所の状態が、競走馬の予想どおりであれば、危険はさほど高くない。
 しかし、硬かったり軟らかかったり、また凹凸があったりした場合に、競走馬の肢は競走馬自身の予想とは違う動きをしてしまう。これがもっとも事故につながりやすい。
 馬場は競走馬にとって走りやすく、より安全でなければならない。重要になるのが、馬場の均一性である。」(『競走馬の科学』139頁)

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「馬場造園課の人々にとっての理想の馬場とは、馬・騎手にとって安全で、公平で、たくさんの馬主が自分たちの馬を走らせたいと感じてくれるような馬場である。
 それに対して馬場の速い・遅いは、ファンの関心の中心であっても、馬の故障やアクシデントの議論とかかわってくるため、馬場造園課としたら言いたくないし、聞きたくない。
 彼らは、日本の馬場は外国のそれに比べて路盤が硬い=時計が速すぎる、だから日本は競走馬の故障が多いのだ、というワンパターンの論調で、マスコミ等から長らく――20年以上も――攻撃され続けたために、速いという言葉にやたらと過敏な体質がすっかりできあがってしまっているのだ。
 といって馬場造園課がこの20年間マスコミの意見にまったく耳を傾けてこなかったわけではない。速い芝と言われることにうんざりしながら、それを何とかしたいといちばん思ってきたのは馬場造園課だったはずだ。そのため91年の阪神競馬場の馬場改造を初め、速いものを遅くしようといろんなことを試みてきた。だが結局、馬場の耐久性を犠牲にせずに、日本の馬場の物理的な特性――①アップダウンが少ない、②直線が長い、③労働集約的な管理によってコース面のデコボコが常に平らに修正されている、④洋芝よりも根の張った野芝が使われている――を越えられないというのが現実だった。
 そうやって紆余曲折を経て、ヘタに路盤を軟らかくするくらいなら、もっと芝自体を丈夫にして、全体に均一な、保持力のある馬場を作ったほうがかえって安全な馬場に近づくのではないか、その副産物としてある程度の速さはやむをえないのではないか、という考え方に最近は変わりつつあるようだ。そのところをJRA施設部馬場土木課課長の矢島輝明さんは、
『時計が速いというのと、競走馬の故障しやすさは別のことだと考えている。現実にコース面がデコボコで不均一で遅いよりは、速くてもコース面が平らで硬さが均一な、保持力が十分な馬場のほうが事故や故障が少ないことがわかっている。
 たとえば芝のレースの競走馬の故障率は1999年頃がいちばん高く、約2%だった(出走馬100頭中2頭という意味)が、最近はその半分強(1.1~1.2%)にまで下がっている。それに対してダートの故障率は現在でも1.4%程度だ。
 脚元に不安のある馬がダートに回ることが多いとしても、芝とダートを比べたらダートのほうが断然タイムが遅い。それでいてダートのほうが事故率が高いのは、走破タイムと故障率の間に直接の相関がないことを示している』と説明する。」(『コースの鬼!』28-30頁)

~~~~

日本と諸外国、過去と現在、馬場別・距離別・競馬場別・クラス別……といった故障率の比較データがあれば見てみたいですね。

2010年6月 9日 (水)

御神本訓史騎手が大井競馬復帰

以前書いた話題のフォローといえば、御神本訓史騎手の大井競馬復帰も挙げられます。内部でどのような政治的動きがあったのかは分かりません。今度関係者に会ったときにでも聞いてみます。

5月31日から6月4日まで騎乗し〔2・4・2・30〕という成績。ブランクが長かったわりには騎乗数が集まった印象です。ただ、人気馬に乗る機会はさすがに少ないですね。これから地道に信頼を回復していくしかありません。当面は大井競馬場のみの騎乗となるようです。

ウオッカ、三度目の正直で受胎

レース回顧などをしているうちにここまで後回しになってしまいましたが、ウオッカが無事受胎したという朗報はやはりスルーするわけにはいきません。5月19日のエントリー「ウオッカ、2回目の交配も不受胎」で示した懸念が杞憂に終わりホッとしています。

ウオッカは Northern Dancer も Mr.Prospector もサンデーサイレンスも持ちません。にもかかわらずあれだけの能力を発揮したのですから偉大です。交配相手の Sea the Stars は、Northern Dancer 系×Mr.Prospector 系で、さらにドイツ血統を抱えているので、ウオッカは自身にない新たな活力を取り込むことができるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sea+the+stars
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

Sea the Stars の2代父 Green Desert については、2月9日のエントリー「Green Desert 時代の幕開け?」、2月10日のエントリー「なぜか日本に入らない Green Desert 系」などで触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/green-desert-73.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/green-desert-73.html

Green Desert 系は、Never Bend クロスを持つ馬が成功しています。したがって、Mill Reef や Riverman(いずれも Never Bend の息子)が入る配合は悪くありません。

“Green Desert+Mill Reef”からは Oasis Dream や Desert Prince が出ましたし、“Green Desert+Riverman”からは Mandesha やメジロダーリングが出ています。
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
http://www.pedigreequery.com/desert+prince
http://www.pedigreequery.com/mandesha
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107035/

ウオッカは Riverman を持っているのでこのパターンに当てはまります。ヨーロッパの馬場にも対応できそうな本格派ですね。無事に誕生して育成も順調ならデビューは2013年です。

2010年6月 8日 (火)

仏ダービー、英ダービー

6月6日、パリ郊外のシャンティ競馬場で行われた仏ダービー(G1・芝2100m)は、2番手追走から最終コーナー手前で先頭に立った Lope de Vega が押し切り、仏2000ギニー(G1・芝1600m)と合わせて二冠を達成しました。前走の仏2000ギニーは後方で脚をためて大外一気という競馬。今回は一転して先行抜け出しという競馬でした。
http://www.youtube.com/watch?v=6cIPiZyMpfU

父 Shamardal、母の父 Vettori はいずれも仏2000ギニー馬で、配合的には Machiavellian 3×3。どちらかといえばマイル向きでしょう。ただ、Shamardal は仏ダービー馬でもあるので、距離が延びてまったくダメというタイプでもなかったようです。 Machiavellian は、ヴィクトワールピサの母ホワイトウォーターアフェアや、米・豪で大成功している Street Cry(Zenyatta や Street Sence が代表産駒)の父でもあります。最近ちょっと目立ってきたかなという気がします。
http://www.pedigreequery.com/lope+de+vega

Lope de Vega は、父 Shamardal 以来の仏二冠制覇です。Shamardal が仏ダービーを制したとき、外からクビ差2着まで追い詰めたのが Hurricane Run。後に愛ダービー、凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどを制した名馬です。じつは、Lope de Vega と Hurricane Run は、同じくドイツのアルメラント牧場が生産所有した馬です。かつて苦杯を舐めさせられた相手の子から新たに名馬をつくり出すのですから因縁めいています。

Shamardal は初年度産駒からいきなり大物を送り出すという幸先のいいスタートを切りました。Giant's Causeway 系はすっかりヨーロッパに根を下ろした感があります。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

Giant's Causeway は Storm Cat の子ですから、やや一本調子なところを伝えます。日本で走ったスズカコーズウェイやエイシンアポロンといった産駒を見ればお分かりになると思いますが、マイル前後を得意とするスピードタイプで、ヨーロッパではギニー系のレースで産駒の活躍が目立ちます。しかし、意外なことに Giant's Causeway 自身はギニーレースを勝てませんでした。英2000ギニー(G1・芝8f)、愛2000ギニー(G1・芝8f)はともに2着。

デビュー以来4戦全勝だった Giant's Causeway を、英2000ギニーで破ったのは King's Best です。ゴール前で末脚を爆発させて3馬身半差をつけました。
http://www.pedigreequery.com/kings+best

King's Best は、今年の日本ダービー馬エイシンフラッシュの父です。そして、6月5日に行われた英ダービー(G1・芝12f10yds)を制した Workforce の父でもあります。

King's Best は、希代の名牝 Urban Sea の半弟ながら、これまでの種牡馬成績はいまひとつでした。安定性に欠けるマイラー型種牡馬といった感じで、12ハロンのクラシックホースを出せるようなタイプには見えませんでした。現役時代、出走を予定していた英ダービーを筋肉痛により直前回避し、愛ダービーは骨折のため大差シンガリ負け。ダービーにまったく縁のない馬でもありました。それが、一挙に日・英のダービー馬を生み出したのですから分からないものです。

Workforce は、母 Soviet Moon が「Sadler's Wells×Alleged×Star Appeal×ヴィミー」という配合。12ハロンのクラシックに向いた底力とスタミナをここから補給しています。
http://www.pedigreequery.com/workforce

4月30日のエントリーで、ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さを論じましたが、まさにその通りの配合です。このパターンからはこれまでに、Galileo(英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)、Fame and Glory(愛ダービー、クリテリウムドサンクルー)、レッドディザイア(秋華賞、アルマクトゥームチャレンジラウンド3)、ジョーカプチーノ(NHKマイルC、ファルコンS)といった多くの活躍馬が出ています。基本的にクラシックディスタンスで強い馬が多いですね。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

父が Kingmanbo 系で母方に Sadler's Wells を入れ、Nureyev と Sadler's Wells の4分の3同血クロスを作るのは、エルコンドルパサー(ジャパンC、サンクルー大賞典)、Henrythenavigator(英・愛2000ギニー、サセックスS)、Divine Proportions(仏オークス、仏1000ギニー)、Virginia Waters(英1000ギニー)などと同じです。
http://www.pedigreequery.com/el+condor+pasa
http://www.pedigreequery.com/henrythenavigator
http://www.pedigreequery.com/divine+proportions
http://www.pedigreequery.com/virginia+waters2

3代母の父 Star Appeal はドイツ血統馬。最低人気で臨んだ75年の凱旋門賞を差し切った馬でもあります。Workforce は父方にも母方にもドイツ血統が含まれていることになります。この点も日本ダービー馬エイシンフラッシュと同じです。
http://www.pedigreequery.com/star+appeal

ラムタラのダービーレコードを1秒近く縮め、さらに後続に7馬身差をつける圧倒的な勝ちっぷり。スーパースター誕生か? という期待が否が応でも高まります。仏二冠馬 Lope de Vega はマイル路線に進むので対決は実現しそうにありません。現在、G1を2連勝中で古馬ナンバーワンと目されている Fame and Glory も、ドイツ血統と Sadler's Wells の組み合わせを持ちます。対決が楽しみです。
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

2010年6月 7日 (月)

競馬総合チャンネルで『おじゃ馬します!』公開

携帯サイト「競馬総合チャンネル」にて、本日から、POGに関連した栗山求のインタビュー記事が公開されます。聞き役は赤見千尋さん。POGだけにとどまらず、競馬や血統を始めたきっかけ、血統史、配合論、新種牡馬の話題など、思いつくまま縦横に語りました。かなりの長文なので読み応えがあると思います。よろしかったらご覧くださいませ。

安田記念はショウワモダン

G1レースの予想はたいてい、◎を打ちたい馬が複数いて、それをひとつに絞り込むのに苦労します。しかし、今回の安田記念は、◎を打ちたい馬が1頭もいませんでした。妥協に妥協を重ねてもピンとこない馬ばかり。悩んだ末に出した結論は以下のとおり。

◎ビューティーフラッシュ
○トライアンフマーチ
▲ショウワモダン
△リーチザクラウン
△スマイルジャック
△マルカフェニックス

ビューティーフラッシュに◎を打ったのは、冷静に考えて“逃避”だったかなと思います。未知の魅力に「期待する」というより「すがる」感じだったかなと。返し馬を見たときにややフットワークが重いような気がしました。

▲ショウワモダンはパドックで良く見えました。完全に本格化しています。エアジハード産駒は晩成型です。年齢別の連対率は以下のとおり。

2歳  12.2%
3歳  10.3%
4歳  14.7%
5歳  16.8%
6歳  21.0%
7歳~ 16.7%

5歳ぐらいから実が入ってきて、6歳が働き盛り。エアジハードのもう1頭の代表産駒アグネスラズベリが初めて重賞を勝ったのも6歳でした。ショウワモダン、アグネスラズベリはともに母の父にトニービンを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103318/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103044/

          ┌ エアジハード
ショウワモダン ――┤ ┌ トニービン
          └○┘

          ┌ エアジハード
アグネスラズベリ ―┤ ┌ トニービン
          └○┘

父エアジハードは、現役時代に安田記念を勝っているので親子制覇。その父サクラユタカオーは中距離のスピード王で、サクラバクシンオーの父でもあります。エアジハードは、母の父に軽快なロイヤルスキーが入って Nasrullah 4・5×5ですから、父よりも距離適性が短くなってマイルがベストでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103044/

サクラユタカオーがノーザンテーストとニックスの関係にあった理由は、ノーザンテーストが抱える Hyperion の強いクロス(4×3)が底力をサポートしたからです。エアジハードは、2代母がオークス馬シャダイアイバーで、その父がノーザンテースト。そして Hyperion 5・4×5。このあたりの頑強な血が支えていたからこそ、エアジハードの Nasrullah 4・5×5は活きたのだと思います。底力の裏付けのないスピードはマイルのG1を勝てません。グラスワンダーを差し切った安田記念は、Nasrullah と Hyperion が織りなす名配合の、まさに面目躍如といえるレースだったと思います。

エアジハード産駒の大物2頭は、いずれもトニービン牝馬から誕生しました。トニービンは、Gainsborough-Hyperion のラインを執拗にクロスさせたヨーロッパ血統です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/

シャダイアイバーとトニービンという同様の構成の血が結びついて大物感を醸し出していくという、オーソドックスな組み立てです。ただ、その一方で、トニービンは母系に潜ると渋さを出すので、アグネスラズベリのように本質的に洋芝向きだったり、ショウワモダンのように道悪の鬼だったりしたわけです。

ショウワモダンに▲を打った理由は2つあります。ここ2走のレースぶりに本格化の気配が見て取れたことがひとつ。もうひとつは、高速馬場の平均して速いフラットなラップが案外合うかもしれないと思ったことです。

道悪に強い馬は、大きく分けてふたつのタイプに分類できると思います。タイムの遅い決着が得意な馬と、一定のペースで粘り強く走る能力に秀でた馬です。前者は時計が速くなると用なしですが、後者は問題ありません。むしろ、一定のペースで粘り強く走れるので、ハイペースに強く、レコードが出るようなレースを得意とします。

約20年前にランニングフリーという馬がいました。道悪巧者で、一定のペースで粘り強く走る能力に秀でた馬でした。ホーリックスがレコード勝ちした89年のジャパンC(勝ちタイム2分22秒2)で、同馬は14番人気ながら7着と頑張り、2分23秒3というタイムを記録しました。当時は、勝ちタイムの別次元ぶりが話題を集めると同時に、「ランニングフリーがこんなタイムで走るなんて!(笑)」とネタにされましたが、非常に学ぶところの多いレースでした。

ショウワモダンはこのタイプでしょう。正確にいえば、本格化するにつれて徐々に速い時計に対応できる能力を身につけていったという感じです。

ただ、弱かったころのイメージをそう簡単に頭からぬぐい去れるものではなく、このメンバーに入って自信をもって本命に推せるほどの根拠は見いだせなかったので、評価は▲どまりでした。とはいえ、暴風のように吹き荒れるサンデー系旋風のなかで、古色蒼然たるテスコボーイ系が勝利を収めたのですから凄いことです。ぜひ種牡馬となって成功してほしいものです。

2010年6月 6日 (日)

月曜11時30分から『馬券師倶楽部』再放送

『馬券師倶楽部』の「半笑いVS栗山求(前編)」です。CS放送の“MONDO21”で観ることができます。よろしかったらどうぞ。

高速馬場とシンボリクリスエス

土曜東京11R・湘南S(準OP・芝1600m)は、勝ちタイムが1分31秒7。先日のNHKマイルCでダノンシャンティが出した日本レコードにコンマ3秒と迫る快時計でした。ここ2週、雨が降ったり馬場が使い込まれたりで、時計が掛かり始めたなと思ったら、今週は春開催が始まった当初のコンディションに戻ったようです。

土曜日の競馬で戦果を挙げたのがシンボリクリスエス産駒。芝レースで2勝、2着1回という成績。第9Rのロベリア賞(3歳500万下・芝1800m)でオリエンタルジェイが1着、第11Rの湘南Sでソーマジックが2着と、とくに特別戦でその走りが目立ちました。

シンボリクリスエスは「Roberto 系×Seattle Slew 系」という組み合わせ。Roberto も Seattle Slew も、一瞬の切れ味には欠けるものの持続力に秀でた血です。このタイプの配合は、荒れ馬場専用のパワー型に出ることが多いのですが、シンボリクリスエスのいいところは時計の速い決着にも対応できることですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999110099/

シンボリクリスエス産駒は東京芝1600mの鬼です。連対率は36.8%。この数字は、東京競馬場がリニューアルした03年4月以降、当コースで50走以上した種牡馬のなかでは断然トップです(2位はキングカメハメハの27.8%)。単勝回収率102%、単勝適正回収率120.5%ですから馬券的にも信頼できます。

この戦績を勝ちタイムで色分けするとおもしろいことがわかります。サンプルは良馬場のみで、2歳戦は除外します。

★1分34秒未満で決着したレース…………連対率50.0%
★1分34秒以上で決着したレース…………連対率22.2%

速いタイムで強く、遅いタイムでイマイチ、という傾向が表れています。一般的に、勝ちタイムの速いレースは道中のペースが緩みません。湘南Sのラップは以下のとおり。

12.4 - 11.1 - 11.5 - 11.2 - 11.3 - 11.3 - 11.1 - 11.8

11秒台前半のラップがフラットに続きます。おそらくシンボリクリスエス産駒はこういう展開に向いているのでしょう。

2代父 Roberto は、72年のベンソン&ヘッジズゴールドC(英G1・芝10.5f)で、アメリカ人のブラウリオ・バエザ騎手を背に、ハイペースで飛ばして逃げ切り勝ちを収めました。名馬 Brigadier Gerard の連勝記録を「15」で止めたことでも知られる歴史的なレースです。コースレコードを1秒7も短縮する快走でした。
http://www.youtube.com/watch?v=GNsATgJA50g

母の父の父 Seattle Slew は、アメリカ馬らしい先行力を武器とする米三冠馬。同じ三冠馬の Affirmed を相手に逃げ切った78年のマールボロC(米G1・ダ9f)は、Seattle Slew の持ち味が活きたベストレースのひとつでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=RBHczmcKS5M

こうした名馬から影響を受けたシンボリクリスエスは、決め手には乏しいもののハイペースへの耐久力とスピードの持続力に優れています。遅いタイムでイマイチ、というのは、おそらく道中のペースが緩んで決め手勝負に持ち込まれるケースが多いからでしょう。「ハイペースへの耐久力とスピードの持続力」を活かす展開になれば、シンボリクリスエス産駒は生き生きと躍動します。そうした競馬になりやすい高速馬場ではつねにマークが必要です。

2010年6月 5日 (土)

カウンテスアップ――86年東京大賞典

よく知られているように的場文男騎手は一度も東京ダービーを勝ったことがありません。すでに十数年前から「大井競馬の七不思議」といわれていたほどです(残りの六不思議は不明)。

イギリス史上最多の4870勝を挙げたゴードン・リチャーズ騎手(1904~88)は、騎手記録をほとんど塗り替え、あらゆる名誉を手に入れながら、長い間エプソムダービーだけは勝てませんでした。彼は28回目の挑戦で初めて勝利しました。

的場騎手は現在、東京ダービー29連敗中。ついにゴードン・リチャーズ騎手を超えてしまいました。トップジョッキーのダービー連敗記録でこれ以上のものはおそらく世界にもないでしょう。

年末の大一番である東京大賞典も、たった一度しか勝っていません。しかし、カウンテスアップで勝った86年の一戦は、個人的に的場騎手のベスト騎乗ではないかと考えています。

1番人気に推されたハナキオー(堀千亜樹騎乗)は、羽田盃(ダ2000m)を9馬身差、東京ダービー(ダ2400m)を1馬身差、東京王冠賞(ダ2600m)を4馬身差で勝って南関東三冠を達成したほか、1200mの東京盃(この年は内回りで施行)もレコード勝ちした怪物。父アラナスからスタミナを、母の父カリムからスピードを受け継いだ万能型でした。
http://ahonoora.web.fc2.com/hanakio.html

これを倒したカウンテスアップは、戦前から距離不安が囁かれていました。当時の東京大賞典は3000mの長丁場。カウンテスアップはスピードが持ち味なので、2500mの大井記念では2年連続で4着と敗れ、ロッキータイガー相手とはいえ2400mのダイオライト記念、2800mの帝王賞でも2着と敗れていました。さらには全盛期を過ぎたという印象もあり、ここではハナキオーの引き立て役になるだろう、というのが大方の見方でした。

カウンテスアップは好スタートからさっとハナに立ち、すかさずスローペースに落とします。後続馬群をコントロール下に置いた的場文男騎手は、カウンテスアップの使える脚を計算し、仕掛けどころを考えるだけだったはずです。「遅いぞこれ……」とスタンドがざわつくほどのスローペースは、2周目の3コーナーあたりから徐々にペースアップし、完全な上がり勝負に。こうなればスピードに優るカウンテスアップの独壇場です。ハナキオーも三冠馬の意地をみせて追いすがりますが、3着以下を大差に引き離したマッチレースはカウンテスアップに軍配が挙がりました。

“的場文男の腕でもぎとった勝利”と表現するしかない非常に印象深いレースでした。カウンテスアップは1円も買っていなかったので馬券は完敗。しかし、いいものを見せてもらったという気分でした。

カウンテスアップは「フェートメーカー×ドレスアップ」という組み合わせで、Khaled 3×3のインブリードを持ちます。
http://ahonoora.web.fc2.com/countes_up.html

これは80年代末に帝王賞、ブリーダーズGC、全日本サラブレッドCなどの大レースを勝ちまくったフェートノーザンと同じ組み合わせです。オグリキャップ記念を勝ったメーカーロッキーも同様です。父フェートメーカーも母の父ドレスアップもまったくマイナーな存在だけに、この組み合わせから立て続けに大物が出たのは驚きでした。マジックのようなニックスといえるでしょう。
http://ahonoora.web.fc2.com/fate_northern.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1988100678/

          ┌ フェートメーカー(祖父 Khaled)
カウンテスアップ ―┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

          ┌ フェートメーカー(祖父 Khaled)
フェートノーザン ―┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

カウンテスアップの半姉フドウゴールド(父モハビ)は、カウンテスアップと同じく Khaled 3×3のインブリードを持ち、重賞のしらさぎ賞を勝ちました。その孫にオリオンザサンクス(ジャパンダートダービー、東京ダービー、羽田盃)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979104965/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996103237/

          ┌ モハビ(祖父 Khaled)
フドウゴールド ――┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

的場文男騎手はこの年、自己最高の148勝を挙げ、桑島孝春騎手(190勝)、石崎隆之騎手(186勝)に次いで南関東の第3位に食い込みました。このあたりから名実ともに南関東を代表する名ジョッキーの仲間入りを果たしたと思います。

2010年6月 4日 (金)

的場文男騎手6000勝達成

佐々木竹見騎手は20代、30代と圧倒的な強さを誇りましたが、40代に入るとポジションを下げていきました。桑島孝春騎手は30歳前後が勝ち鞍のピークでした。石崎隆之騎手は31歳から15年連続南関東のリーディングジョッキーの座に就いたあと、徐々に勝ち星を減らしています。昨年は77勝でした。

的場文男騎手は86年から昨年まで24年連続で南関東の勝ち鞍順位のベスト3をキープしています。リーディングジョッキーに輝いたのは02、03年の2回。同じ1956年生まれの石崎騎手が年齢相応の下降線を辿っているのに対し、的場騎手は一向に落ちてきません。昨年は208勝。99年から11年連続で200勝以上を挙げています。

かつて通算7151勝を挙げた佐々木竹見騎手は“鉄人”と呼ばれました。的場文男騎手は何と呼ぶべきでしょうか? ちょっと形容する言葉が見つかりません。50代に突入しても衰えることなく毎年200勝以上を挙げ続けるのですから、もはやオカルトの領域です。

石崎騎手との通算勝利数の差は現在80勝余り。一時はかなり差が開いていたのですが、ここ数年でどんどん詰めています。このペースでいけばあと1年も経たないうちに逆転するでしょう。そして、佐々木竹見騎手の大記録を更新する可能性も現実味を帯びてきます。

6月4日の大井競馬第6Rで的場文男騎手は通算6000勝に到達しました。5000勝達成から4年しか経っていません。このままコンスタントに200勝以上を挙げていけば5~6年で新記録となる計算です。50代半ばにさしかかろうという騎手にこんな机上の計算が成り立たないことぐらい重々承知していますが、衰え知らずの的場騎手ならなんとかなるのでは?という気にさせられます。

2010年6月 3日 (木)

東京ダービーはマカニビスティー

当ブログでたびたび紹介してきたマカニビスティー(父ゼンノロブロイ)が、6月2日に大井競馬場で行われた東京ダービー(ダ2000m)を快勝、南関東3歳の頂点に立ちました。直線で大外から1頭だけ違う脚いろで突き抜けました。騎乗した戸崎圭太騎手は「一番強い馬だと信じて乗りました。羽田盃では慌ててしまい、皆さんに迷惑をかけてしまいました。今日は慌てなければ勝てると思って、じっくり仕掛けました。勝てて良かったです」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。
http://www.youtube.com/watch?v=fZN-UU57WaE

もともと栗東の矢作芳人厩舎に所属しながら、3歳春はダートOP馬が使えるレースが少ないという理由によって、3月に大井競馬の松浦備厩舎に転厩しました。このあたりの事情は、3月5日「逆転の発想、マカニビスティー大井移籍」、3月12日「マカニビスティー大井移籍の真相~矢作調教師のブログから」に詳述しておりますので、よろしければご参照ください。

「逆転の発想、マカニビスティー大井移籍」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-f4ea.html
「マカニビスティー大井移籍の真相~~矢作調教師のブログから」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-961a.html

ダートの強豪が3歳春にどのような進路をとるべきか、マカニビスティーの成功は今後の指針となる“事件”でしょう。もちろん、所属調教師の理解がなければできない選択なので、フォロワーが激増するとは考えづらいところです。しかし、ひとつの有力な選択肢として今後検討されることにはなるでしょう。なんといっても優勝賞金が魅力です(羽田盃=4000万円、東京ダービー=4500万円)。これで南関東2勝目となるのでいつでも中央に戻ることができます。

マカニビスティーの配合については2歳時から高く評価しており、1月5日のエントリー「マカニビスティー快勝」で解説をしています。

「マカニビスティー快勝」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-cfcf.html

要するに、サクセスブロッケンと構成が似ており、母サクセスウイッチは Graustark=His Majesty 3×4の全きょうだいクロス(=底力の塊のようなヨーロッパ血統)を持つので、アメリカ血統過多のゼンノロブロイのサポート役としては申し分ない、ということです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106231/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005106204/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘ ┌ Roberto
マカニビスティー ――┤ ┌○┘
           └○┤
             └ アワーミスレッグス

               ┌ Roberto
             ┌○┘
           ┌○┘
サクセスブロッケン ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ アワーミスレッグス

母方の Roberto-ブライアンズタイムが強く出ているのか、鋭いマクリ脚とパワーが持ち味です。父ゼンノロブロイは、サンテミリオン、ペルーサ、コスモネモシン、アニメイトバイオ、アグネスワルツなど、初年度産駒が芝で赫々たる戦果を挙げました。そして、ダートではマカニビスティーが出ました。この万能性は見事というしかありません。

ゼンノロブロイの母方がやや高級感に欠けるアメリカ血統で構成されているのは、ある意味で大きな欠落でしょう。しかし、そんな血統構成でありながら超一流の競走成績を収めたのですから、その欠落が逆に種牡馬としては大きなアドバンテージとなる可能性を秘めています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101517/

その父サンデーサイレンスが、まさにそんなタイプでした。母 Wishing Well は、Hillary、Montparnasse、Understanding と無名種牡馬を重ねられています。

このタイプがつねに成功するとは限りません。むしろ、大抵ダメです。しかし、いったん成功すれば、非主流血脈をたっぷり抱えているので、それが新鮮な活力となって血統全体に大きなインパクトを与えます。サラブレッドの歴史を振り返ると、レベルの飛躍をもたらした立役者は、往々にして非主流血脈であることに気づかされます。

ゼンノロブロイに欠けているのはヨーロッパ型の重厚さですから、これを補う配合は難しくありません。マカニビスティーはセオリーどおりの配合です。

2010年6月 2日 (水)

村本浩平さんに会う

ダービーの日は検量室前で村本浩平さんとお会いしました。毎年、ダービーとジャパンCには必ず競馬場にいらっしゃるので、今年もそれに期待して行ったところ、案の定いらっしゃいました。グリーンチャンネル「日高支局定期便」を観ても、村本さんはいつもニコニコしていて優しげなイメージがあると思うのですが、実際、そのまんまの方です。馬産地のことなら何でも知ってらっしゃるので、すかさず質問を……。

「スニッツェルはどうですか?」と、挨拶もそこそこに単刀直入にうかがったところ「いいですよ」というご返事。5月29日のエントリー「すでに始まっている地方競馬の2歳戦」でも採り上げましたが、ディープ祭の喧噪をよそに、新種牡馬のダークホースとして注目している馬です。「ただし」と村本さんは付け加えました。「絶対数が少ないですね」。

たしかに今年の産駒数は51頭。決して多いとはいえない数字です。門別の新馬戦を圧勝したフロレアルのように、地方競馬に入厩する産駒もそれなりにいるはずです。JBISのサイトで確認したところ、現時点で地方入厩が確定しているのは、カムインターコイズ(母スイートマイハート/北海道)、ナエマ(母タイキプレリュード/金沢)の2頭。まだ増える可能性があります。

現時点で中央デビューが確定しているのは以下の馬たち。

アポロフィオリーナ(母ベルビオラ/岩戸孝樹・美浦)
ニシノハピエン(母ニシノファイナル/伊藤圭三・美浦)
フランボワイヤン(母モスフロックス/松田国英・栗東)
マレオット(母ラフィンムード/武宏平・栗東)
母ベリンベルノ(相沢郁・美浦)
ルリニガナ(母ダムドコンパニー/伊藤大士・美浦)
ロジッツェル(母グリントウィーク/萩原清・美浦)
メテオガーデン(母シティオブライト/村山明・栗東)
ネオウーリボー(母スクリーマー/小崎憲・栗東)
母オーブアンディアンヌ(友道康夫・栗東)
ウルル(母タイキナタリー/宮本博・栗東)

このほか、母カツラドライバー(エフティマイアの半弟)は厩舎未定ながら、オースミドライバーという名前が決まっているので、おそらく中央に入厩するものと思われます。

村本さんは「育成で評判に上がっているものを選ぶのが確実ではないでしょうか」と、スニッツェル産駒の選び方のコツを伝授してくれました。このあたりはPOG雑誌を参考にするのがよさそうです。

先日の公開POGにおいて、栗山求がハズレ1位で指名した母ビーフェアー(父ディープインパクト)は、美野真一さんによれば「力馬っぽい」とのこと。それを含めて水を向けると、村本さんは「美野さんもそう見えたか……」と微妙な返答。

母はブラジル産馬で、芝のG1も勝っています。ただ、パワー型のアメリカ血統を多く含んでいるので、現状、このあたりが強く出ているのかもしれません。調教を重ねてシャープさが出てきてほしいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105595/

2010年6月 1日 (火)

北海優駿はクラキンコ

ホッカイドウ競馬のダービーにあたる北海優駿は、1番人気のクラキンコが4コーナーを回って先頭に立ち、そのまま押し切って優勝しました。北斗盃に続いて二冠達成です。

デビュー当時から話題になっていたのはその血統。父クラキングオー(北海優駿、道営記念、ステイヤーズC2連覇)、母クラシャトル(北海優駿、北海道3才優駿)は、いずれもホッカイドウ競馬を沸かせた名馬でした。つまりクラキンコは“夢の配合”によって誕生した馬だったのです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105398/

生産した倉見牧場は、血統に関して一風変わった信念をお持ちのように思われます。10年ほど前、地方競馬全国協会の『ハロン』誌に、クラカゲオーという種牡馬についてコラムを書きました。“道営史上最強馬”といわれたコトノアサブキの子で、北海優駿と王冠賞で2着となったのが主な戦績でしたが、生産した倉見牧場が種牡馬として供用しました。そして、無名種牡馬ヤクモセンショウを父に持つ繁殖牝馬との間に、重賞の旭岳賞を勝ったクラダイギンガを送り出したのです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996102342/

「クラキングオー×クラシャトル」という“夢の配合”が実現するまでには苦難の道のりがありました。父クラキングオーは現役最後となった一戦で殺処分寸前の故障を負い、倉見牧場の手厚い看護により生還しました。3年後、ようやく種牡馬となる目処が立ち、最初の交配相手に選ばれたのが牧場のナンバーワン牝馬のクラシャトル。そして、翌年誕生したのがクラキンコでした。このあたりの事情については「競走馬のふるさと案内所」のコラム(2009年10月19日付)に詳述されています。読み応えのある記事です。
http://www.uma-furusato.com/news.php?mid=1229&cid=1

父クラキングオー、母クラシャトル、子クラキンコは、いずれも北海優駿の勝ち馬。父母がいずれもダービー馬で、子もダービー馬という例が世界に存在するのかどうかは分かりませんが、きわめて稀なことであるのは間違いないでしょう。ディープインパクトとウオッカの子が日本ダービーを勝つようなものです。

ちなみにイギリスでは、Stockwell(英2000ギニー、英セントレジャー)と Blink Bonny(英ダービー、英オークス)の間に誕生した Blair Athol(1861年生)が、英ダービーと英セントレジャーを制したという記録があります。
http://www.pedigreequery.com/blair+athol

クラキンコはホッカイドウ競馬史上4頭目の三冠馬となるべく、8月19日の王冠賞(門別・ダ2600m)に挑みます。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!