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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年3月

2010年3月31日 (水)

アラン・ポーターの「世界の最新血統」

アラン・ポーターはイギリス生まれの血統評論家で、十数年前、私が当時関わっていた『週刊競馬通信』という血統専門誌に連載を持っていました(『Patterns of Greatness』『Patterns of Greatness II』の翻訳)。この人の配合研究の深さは一目置くところであり、昨年から『週刊競馬ブック』誌に不定期ながら新たな連載を持ったのは喜ばしいかぎりです。

ただ、素晴らしい連載だけに、残念なところもあります。文章の見せ方です。ページの制約があるのは分かるのですが、さかのぼった代の細かな血統を論じているのに、4代血統表が1つ掲げられているだけでは、おそらく一読して誰も内容を理解できないでしょう。「Throughbred Horse Pedigree Query」などの海外血統検索サイトを利用して、研究したい人は研究してください、ということなのかもしれませんが、文中の馬名がすべてカタカナ表記なので、初心者の方はそれをアルファベットに置き換えるのも一苦労だと思います。アルファベットがなければ血統表検索ができません。

補足の血統表を増やす、アルファベットを併記する、という改善がなければ、いいことが書いてあるのにほとんど読む人がいないという、じつにもったいない連載になってしまうと思います。

今週号の文中に登場する「スリーパーツ・シスター」という用語もどうでしょうか。一読してこの意味を理解できる人は少ないと思います。「4分の3同血」という血統用語が日本にあるのですから、それを使ったほうがいいのではないでしょうか。

厳しいことを書き連ねてしまいましたが、この素晴らしい連載を多くの人に読んでほしいという気持ちから出たものなのでお許しを。

2010年3月30日 (火)

ディープインパクトの牝系をクロスさせてみると

3月26日のエントリーの続きです。

ディープインパクトの牝系は、もともとイギリス王室が所有していました。5代母の Hypericum は、当時の国王ジョージ六世の愛馬として英1000ギニーを快勝。現女王が所有した3代母の Highclere は、英1000ギニーと仏オークスを勝ったあと、キングジョージ六世&クイーンエリザベスSで屈強な古馬を相手に2着と健闘しました。イギリスが誇る最高級の名血です。

ディープインパクトの2代母 Burghclere は、Nashwan(英二冠馬)の母 Height of Fashion と4分の3同血の関係にあります。この牝系の活力はいまだに衰えていません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/
http://www.pedigreequery.com/nashwan

ディープインパクトの血統表を見て、この牝系を強化したらおもしろいのではないか、と考えるのはごく自然な発想です。ディープインパクトを特別な存在たらしめた配合上のキーポイントは何かと考えたとき、この牝系をひとつの候補として見るのは当然でしょう。

「トラップファミリーの2008」はエルコンドルパサーを作った渡辺隆氏の配合馬です。詳しい説明は抜きでとにかく血統表を見ていただきたいと思います。また今年も『競馬王のPOG本』の取材でうかがう予定なので、この馬についてじっくりお話を聞いてこようと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105119/

「プラウドビューティーの2008」は山本英俊氏が所有し、角居勝彦厩舎に入るとのことです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

「ペトラの2008」はミッキーペトラ(弥生賞2着)の半妹で、池江泰郎厩舎に入るとのことです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101017/

こうした配合は、たしかに冒険ではありますが、やってみる価値はあると思います。ただ、牝系のクロスは作ろうと思ってもそう簡単に作れないという難点があります。もう少し汎用性の高い配合パターンはないかと問われれば、「母系に Aureole を持つ配合」をお勧めします。Aureole は英愛リーディングサイアーに2回輝いた名種牡馬で、セントクレスピンや St.Paddy の父、Vaguely Noble の2代父です。そして、ディープインパクトの5代母 Hypericum と4分の3同血の関係にあります。代は遠くなりますがこの関係は悪くないと思います。

     ┌ Hyperion
Aureole ―┤
     └○┐
       └ Feola

     ┌ Hyperion
Hypericum ┤
     └ Feola

2010年3月29日 (月)

お疲れさまアルティマトゥーレ

高松宮記念の本命はプレミアムボックスだったのですが、とうとう最後まで外伸びの馬場にならず、しかもスタートで大きく出遅れてしまい、その時点で万事休す。個人的には盛り上がる場面の少ないG1でした……。

スタートで躓いたアルティマトゥーレが勝ち負けに加わってきたのには驚きました。これで引退とのことですが繁殖牝馬としても期待大です。3代母 Ski Goggle は、社台ファームの総帥であった故吉田善哉氏が配合を考えた馬です。
http://www.pedigreequery.com/ski+goggle

若いファンのなかには「社台グループ=大量生産方式」というイメージから吉田善哉という人物を誤解されている方がいらっしゃるかもしれません。

彼が生産界の巨人となりえた理由はいくつも挙げられます。忘れてならないのは並々ならぬ血統知識があったこと。その水準は当時の生産界にあって群を抜いていました。欧米における父系・牝系の最新トレンドに精通し、どの血がどんな特徴を持っているのか細かなところまで把握していました。社台グループを発展させた「事業家としての吉田善哉」ばかりがクローズアップされ、「血統家としての吉田善哉」が過小評価されている気がするのは残念なことです。

Ski Goggle (父ロイヤルスキー)は、「名牝 Uvira 4×5」という、ピンポイントで狙ったとしか思えないクロスを持っています。この牝系に特別な力が備わったのはここからです。同馬は現役時代にNY牝馬三冠のひとつエイコーンS(米G1)を制し、繁殖牝馬としても大成功しました。娘のスキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)を制覇。そして孫のエアトゥーレは阪神牝馬S(G2)を勝ったほか、フランスに遠征してモーリスドゲスト賞(仏G1)で2着となりました。この馬がアルティマトゥーレの母です。4代連続で走っているわけですから素晴らしい名牝系です。

ちなみに、アルティマトゥーレの半弟で皐月賞を制覇したキャプテントゥーレ(父アグネスタキオン)は、ロイヤルスキー3×4というクロスを持っています。ロイヤルスキーはその生涯に2頭のG1馬を出しました。1頭は Ski Goggle、もう1頭はアグネスフローラ(桜花賞)です。ロイヤルスキー産駒は「素軽いけれど底力に乏しく、ローカルが得意なマイラー」といったイメージでしたが、Ski Goggle とアグネスフローラは違いました。アグネスフローラはアグネスタキオンの母なので、キャプテントゥーレはこの2頭の血を引いています。ロイヤルスキーのクロスはあまりいいイメージが湧かないのですが、キャプテントゥーレの場合、この2頭を経由したクロスだからこそG1を勝てたのだと思います。血統表を見るたびにささやかな感動を覚えます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102216/

アルティマトゥーレの子は、順調にいけば2013年にデビューします。初年度に何を付けるのか楽しみです。

2010年3月28日 (日)

ドバイ国際競走

長時間の中継でしたが楽しめました。日本は“島国”という地理的な制約があるため、諸外国と交わる機会は多くないのですが、決して孤立しているわけではなく、日々行われている競馬は確実に世界と繋がっているんだなと実感しました。日本のホースマンを勇気づける結果だったのではないでしょうか。

ドバイワールドCで馬群に沈んだレッドディザイアは、松永幹夫調教師によればハミを噛んで力んで走っていたとのこと。これも経験でしょう。勝った Gloria de Campeao はブラジル産馬で、Gioconda≒Farnesio 3×3という4分の3同血クロスを持ちます。鮮やかな配合です。
http://www.pedigreequery.com/gloria+de+campeao

ドバイシーマクラシック2着のブエナビスタは、やはり並の馬ではないですね。スローペースとはいえ2分31秒84の勝ちタイムですから力のいる芝でした。ヨーロッパやブリーダーズCでも十分やれるレベルにあるのは明らかです。ペリエ騎手が規定重量で乗っていれば勝っていたのでは?

タペタは芝馬向きという定説でしたが、ゴドルフィンマイルでグロリアスノアが4着ですから、一概にそうとも言い切れなくなりました。それなりに時計がかかる馬場なので、切れ味を必要としない展開になれば日本のダート馬でも通用するのかもしれませんね。

毎日杯のザタイキの事故を見たばかりなので、全馬無事でホッとしました。

月曜18時30分から『馬券師倶楽部2』再放送

以前放送された『馬券師倶楽部』は出演者2人による対決形式でしたが、今回の『馬券師倶楽部2』は栗山求の単独出演です(進行役は赤見千尋さん)。収録日は2008年5月24日。CS放送の“MONDO21”で観ることができます。

2010年3月27日 (土)

毎日杯はダノンシャンティ

まったくの横綱相撲でした。終始外を回り、上がり3ハロン33秒4、ゴール前では抑える余裕がありました。『web競馬王』の予想は◎△▲で3連単16440円的中。予想文を転載します。

「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。「ヘイロー3×3」だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味は非凡で、前走の共同通信杯2着は展開のアヤ。外回りコースなら持ち前の末脚を存分に活かせるだろう。」

母の父マークオブエスティームは、英2000ギニー(英G1・芝8f)、クイーンエリザベス2世S(英G1・芝8f)などの勝ち馬。ゴール前の爆発力が印象的な小気味好いマイラーでした。ダノンシャンティはそのイメージが重なります。『競馬王』ではNHKマイルCの本命馬と発言してきたので、これで一歩近づいたかなと思います。

○ルーラーシップは5着。出遅れてリズムが悪くなってしまいました。追い出されてからフワフワしていたので、順調さを欠きながら強行軍できたツケも多少あるのかなという気がしました。こんな馬ではないでしょう。

落馬した武豊騎手は、「左肩骨折疑い、右手関節亀裂骨折、頭部打撲傷、腰部打撲傷」とのこと。桜花賞のアプリコットフィズ、皐月賞のヴィクトワールピサの騎乗は難しそうです。アプリコットは横山典弘騎手、ヴィクトワールは四位洋文騎手でしょうか。

2010年3月26日 (金)

ディープインパクト産駒の成功する配合パターンとは?

怪物クラスの競走馬が必ずしも種牡馬として成功するわけではないことは歴史が証明するところです。しかし、その一方で、年度代表馬クラスのサンデーサイレンス産駒はたいてい種牡馬としても成功しているので、ディープインパクト産駒は走るのではないかと思っています。

新種牡馬産駒の配合評価ほど難しいものはありません。素軽さのレベルが分からないので、スピードとスタミナの配分をどの程度にすればよいのか、血統から類推して判断するしかないからです。ディープインパクトにもこれはいえます。

母系に Lyphard を持つサンデー系種牡馬は、バブルガムフェロー、メイショウオウドウ、ロサードなどの名前が挙がります。どれも種牡馬としてはスピードが足りません。ディープインパクトもこの配合パターンなので、大づかみの配合方針として、スピード面をしっかり強化することが必要だと思います。 Mr.Prospector などのアメリカ血統は合うと思います。

逆に、Lyphard はあまりいじらないほうがいいでしょう。クロスさせて実績のある血でもありません。ただ、成功するかどうかは別として、ダンシングブレーヴを母系に持つ配合には興味があります。ディープインパクトの母の父 Alzao とダンシングブレーヴはきわめて血統構成が似ているからです。スイープトウショウの半妹にあたるタバサトウショウの2008は Alzao≒ダンシングブレーヴ3×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100662/

個人的には、Alzao の母 Lady Rebecca あたりが配合の急所なのかなという気がします。Lady Rebecca は「Sir Ivor×Roman」という組み合わせで、母は名牝 Pocahontas です。ディープインパクトは、「Halo≒Sir Ivor(2×4)」と「Admiral Drake≒Roman(6×5)」を持つので、この血を最大限に活かしています。血統構成の急所を強化することは配合のセオリーです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

「Halo≒Sir Ivor」は、グッバイヘイローやジョリーズヘイローを出しています。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ――┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Mahmoud
       └○┘

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Mahmoud
Sir Ivor ┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Pharamond
       └○┘

「Admiral Drake≒Roman」は、ディープインパクト、ゼンノロブロイ、ブライアンズタイムなどを出しています。
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

Halo、Sir Ivor を継続したり、これらとよく似た構成の Drone を母系に入れた配合は好ましいですね。Sir Ivor の2代母 Athenia と4分の3同血の関係にある Menow とも相性がいいでしょう。

代は遠くなりますが、Roman と Admiral Drake の継続は地味ながら効果があると思います。また、Roman の娘 Pocahontas と、その母 How を強化した配合にも注目です。Tom Rolfe や Chieftain を母系に入れれば Pocahontas のクロスができますし、Ack Ack や Sham を入れれば How の全きょうだいクロスができます。

くどくどと細かい話を書きましたが、これはあくまでもオプションの話であり、この配合でなければ走らないというわけではありません。基本的な方針としてはワンポイントでもいいのでアメリカのスピード血統をしっかり入れる、ということです。兄弟や近親に活躍馬がいることも重要なポイントです。

ディープインパクトは柔らかい馬だったので、多少硬い血を入れても大丈夫でしょう。リルダヴァルとダノンパッション(ともに父アグネスタキオン、2代母ウインドインハーヘア)は、母の父がそれぞれサンダーガルチ、Woodman でした。いずれも Mr.Prospecotor 系の硬めの血です。このあたりはディープインパクト産駒の配合を考える上で大きなヒントになるような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/

2010年3月25日 (木)

POG準備作業まっただなかです

ゴールデンウィークが明けてしばらくするとPOG本が店頭に並び始めます。本を作る作業は早くも始まっています。私は配合担当なので、この時季に馬産地に行くことはありません。ひたすら2歳馬の配合を眺めるだけです。

サンデーサイレンスが生きていたころは、サンデー産駒を調べれば作業の約八割は完了でした。しかし、現在はそういうわけにはいきません。少なくとも主要種牡馬20頭ぐらいはみっちり調べなければなりません。1頭あたりの産駒が多いので(約100~200頭)、これは結構な作業です。

毎年やることは決まっています。「TARGET frontier JV」の産駒検索で2歳馬リストを表示し、父馬ごとに1頭ずつ5代血統表を吟味していきます。注目の配合馬がいればチェックし、種牡馬ごとに産駒の序列を決めます。たとえばアグネスタキオン産駒に10頭の注目配合があれば、それに1位から10位まで順位をつけます。

こうして種牡馬ごとの産駒順位作成が終わったら、こんどはオールスター戦に出場するメンバーを、各種牡馬の上位産駒から抽出します。このオールスターメンバーがその年のドラフト指名馬です。

今年はディープインパクト産駒から調べ始めました。新種牡馬から着手することは過去一度もなかったのですが、そのたぐいまれな存在感に敬意を表しました。最初に思ったのは繁殖牝馬のレベルが尋常ではないということ。いろんなタイプの配合が試されているので、これで失敗したら言い訳できないと思います。自身に似て比較的馬体が小型に出ているとのことなので、非力な産駒が多い場合、ダート適性が問題となってきます。しかし、芝で走るぶんには大きな問題はないでしょう。月並みな結論ですが、まともなら成功するのではないかと思います。

2010年3月24日 (水)

ベネズエラの女傑 Bambera が故障

命に別状がないのは不幸中の幸いです。3月17日と2月16日のエントリーで採り上げたベネズエラの女傑 Bambera が、アメリカ移籍初戦のランパートS(3月21日・米G2・ダ9f)のレース中に故障を発症。8頭立てのしんがりに敗れました。スタートで躓いて体勢を崩した際、肢の腱にダメージを負ったようです。レース映像は以下のURLで見ることができます。最内枠の青い勝負服が Bambera です。
http://www.youtube.com/watch?v=Pd97T1lrz7g

YouTube のコメント欄にスペイン語の書き込みがたくさんあります。ベネズエラだけでなくカリブ海沿岸諸国の期待を背負っての挑戦だっただけに、この結果は残念でならないでしょう。これで4月9日のアップルブラッサム招待Hは Zenyatta の独壇場。難なく16連勝を達成しそうです。

2010年3月23日 (火)

真性ステイヤーのジャミール2着

阪神大賞典は古豪△トウカイトリックが勝ち、◎ジャミールが2着。現在のこの路線のレベルが高くないことに加え、実績上位馬がそれぞれ死角を抱えていたので、準OPを勝ったばかりのジャミールにも十分チャンスがありました。5番人気と4番人気の組み合わせで馬連1820円。上位人気が割れていたので意外につきませんでした。『web競馬王』に掲載した予想文を再録します。

「◎ジャミールは『ステイゴールド×サドラーズウェルズ』という組み合わせ。これだけでもスタミナ万全だが、2代母の父レヴモスがウルトラ級のステイヤーで、自身が凱旋門賞(芝2400m)、アスコットゴールドC(芝20f)、カドラン賞(芝4000m)を制しただけでなく、種牡馬としてもアスコットゴールドC(G1・芝20f)を2連覇したアードロスを出した。前走の迎春S(準OP・芝2500m)は、前が残る流れを大外マクリの強い競馬でねじ伏せた。距離が延びてレースぶりが良くなっているので、3000mならさらなる変わり身が見込める。このメンバー構成なら通用する。」

レース前に、担当の調教助手が「前に出ると本気で走らない」とコメントしていたとおり、実戦でも「直線で並んできた馬には競り勝ったが、抜けて一回遊んだところを内の馬に交わされてしまった」(安藤勝己騎手/週刊競馬ブック)とのことです。

フォゲッタブルとトウカイトリックは勝負付けが済んでいるので、ひょっとしたら本番でジャミールが3番人気ぐらいに推されるかもしれませんね。気性面の弱点が矯正されないかぎり勝つのは難しいかもしれませんが、3200mならG1でも勝負になると思います。

2010年3月22日 (月)

アリゼオ鮮やか、しかし本番は

◎ローズキングダムはパドックでの雰囲気がもうひとつでしたね。もともと見栄えのするタイプではありませんが、朝日杯のときに感じられたキリッとしたオーラがなかったように思います。敗因は状態面に尽きるでしょう。ただ、馬体にあまり成長の跡が見られなかったのも事実で、本番での巻き返しに過大な期待をかけるのは危険ではないかという気がしました。

勝った○アリゼオは横山典弘騎手の好騎乗に負うところが大きいでしょう。シンボリクリスエス産駒は、キャリアの浅い時期に鮮やかな差し脚を披露しても信用できません。ストロングリターンやダノンカモンのようにクラスが上がると案外、というタイプが目に付きます。ちょうどこの馬のデビュー戦がそうでした。父シンボリクリスエスは切れ味を伝える種牡馬ではなく、サンデー系の一線級と対戦したときに、瞬発力比べでどうしても見劣ります。仮に上級のものを持っていても、最上級ではありません。最後の2ハロンが11秒2-11秒3で3着に競り負けた共同通信杯はまさにそんなレースでした。

2番手につけて早めに抜け出した2戦目のホープフルSこそこの馬の競馬です。あのレースは見た目が派手な初戦よりもはるかに高い価値がありました。今回は瞬発力勝負になりにくい中山芝1800m。先手を奪って後続を完封するという、ホープフルSの延長線上にある心憎いばかりの好騎乗でした。本番の皐月賞はヴィクトワールピサにマークされる展開でしょう。これを振り切るのは容易ではないと思います。シンボリクリスエス産駒はトライアルに強く本番に弱い、というイメージもあります。

△ゲシュタルトはデビュー前の調教で圧巻の動きを見せていた素質馬です。前走のこぶし賞(5着)は再三前が詰まって能力を出せなかったものなので参考外。ここで突っ込んでくる可能性は十分ありました。

昨年春に刊行された『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」という企画で、マンハッタンカフェ産駒の好配合馬を5頭挙げました。そのリストは以下のとおり。

ハンソデバンド ……… 共同通信杯(G3)
サンディエゴシチー … 札幌2歳S(G3)
ゲシュタルト ………… スプリングS(G2)2着
ブラックゼット ……… 福寿草特別(500万下)2着
サトノアーチ ………… 1戦0勝

131頭から選んだ5頭がこの成績なので悪くないと思います。

ゲシュタルトは、母系に Sadler's Wells を持つマンハッタンカフェ産駒。このパターンの馬には、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ヤマニンウイスカーといった活躍馬がいます。Sadler's Wells とドイツ血統(マンハッタンカフェの母系にあります)の相性の良さは抜群で、ヨーロッパでは多くの活躍馬が出ています。母の父エンドスウィープは Mr.Prospector 系なので血統全体が重くなるのを防ぐ役割を果たし、父方のサンデーサイレンスとはニックスの関係にあるので好感が持てます。フロック扱いされて本番では人気にならないと思いますが、配合的には高い評価を与えられるので必ず押さえたいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/

2010年3月21日 (日)

急坂で置かれたサンテミリオン

フラワーCの5ハロン通過タイムは62秒5。これは過去10年で最も遅いものです(重馬場だった04年でさえ61秒7)。オウケンサクラは距離ロスなく3番手を進んだことが勝因でしょう。展開に恵まれたのは確かだと思います。「バゴ×リアルシャダイ」という血統なのでオークスでは人気の一角となるはずです。ただ、サンデーを持つ馬に東京の瞬発力勝負で勝てるかというと、そこまでのイメージは湧きません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104509/

サンテミリオンはほぼ負けないだろうと思っていたのですが、意外なくらいアッサリ負けてしまいました。最後の2ハロンが11秒7-11秒3というラップなので、4コーナーで中団という位置取りではどう頑張っても苦しいですね。ただ、ほぼ同じ位置取りで斤量が1キロ重かったコスモネモシンに先着を許したのはいただけません。最後の急坂でコスモネモシンが力強く登坂したのに対し、サンテミリオンはモタついて置かれました。このあたりはキャリアの多寡だけでなく適性の違いもあると思います。次走、坂がゆるい東京コースで人気が落ちればおもしろそうです。

コスモネモシンは他馬よりも1キロ重い斤量で、展開も向かなかったのによく頑張りました。今回のメンバーのなかでいちばん強いレースをしたと思います。桜花賞でも侮れません。

2010年3月20日 (土)

ダービーへ一歩前進、ペルーサ

若葉Sは“横綱相撲で寄り切った”という内容で、一言でいえば完勝でした。勝ち時計の1分59秒9はレースレコード。毎日杯が芝2000mだった時代にクロフネが出した1分58秒6には及びませんが、当時はコース改修前で時計が出やすく、また今年は道悪競馬が続いたせいでやや馬場が荒れているので、単純比較はできません。

ペルーサについては、2月12日、13日のエントリーにも記したとおり、Hyperion 色の強い血が母系に入る、というゼンノロブロイ産駒の成功パターンに当てはまります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102705/

勝負どころで外からマクるようにスッと上昇するところは、父ゼンノロブロイが勝った山吹賞のレースぶりを思い出しました。脚さばきは父よりも柔らかいですね。これは母系に入ったアルゼンチン血統の影響かもしれません。

母アルゼンチンスターの全姉 Different は、アルゼンチンでチャンピオンに輝き、アメリカ移籍後もG1を勝った名牝です。同馬は、ハリウッドパークで行われた96年のブリーダーズCディスタフに出走し、1番人気で3着に敗れたのですが、私はこのときちょうど取材で同地を訪れていて、レース前日の調教時に同馬を観察する機会に恵まれました。均整の取れた明るい栗毛の馬体で、大柄ながら歩様がしなやかだったので芝でも走れそうだな、と思ったことを覚えています。伝統的なアルゼンチン血統は、ヨーロッパのステイヤー血統がベースとなっているので、総じて柔らかさがあります。ちなみに、サンデーサイレンスの柔らかさもアルゼンチン血統(母方の Montparnasse)の影響が大きいのではないかと考えています。

2代母ディフェレンテはややスピード感に欠ける配合なので、産駒のアルファフォーレスとシーディザーブスはダート向きに出ましたが、Candy Stripes が入るとちょっと違いますね。Candy Stripes の代表産駒の1頭 Leroidesanimaux は、ブラジル産馬ながらアメリカへ移籍して米芝牡馬チャンピオンに輝きました。Candy Stripes を母の父に持つ Candy Ride は、アルゼンチンとアメリカの双方でG1を制覇し、アルゼンチン時代は芝1600mで1分31秒01という好タイムでG1を勝っています。

今回の若葉Sは、ペルーサに長距離輸送の負担があるので、ホームグラウンドで戦うヒルノダムールが押さえ込むのではないかと考えたのですが、そんなことは関係ないとばかりにペルーサが能力の違いを見せつけました。次走の青葉賞は負けようがないと思いますし、ダービーでも勝ち負けでしょう。ヒルノダムールはもう少し脚をためて切れを活かすようなレースが向いているかもしれませんね。

『netkeiba』でアルゼンチンスターの血統表を見ると、4代母の父が「スノッブ」となっていますが、日本に入った馬ではないので「Snob」が正しいと思います。日本に種牡馬として入ったスノッブ(父 Mourne)とは別馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996110347/

2010年3月19日 (金)

母の父にサンデーサイレンスを持つと

父として偉大だったサンデーサイレンスは、母系に入っても偉大です。あらためて説明するまでもないでしょう。2007年からブルードメアサイアーランキングで首位を走り続けています。

では、主要な非サンデー系種牡馬が母の父にサンデーを持つ場合、そうでない場合に比べてどれくらい成績が向上するのか、1走あたりの賞金額で比較してみます。

          母の父SS以外 母の父SS   上昇率
ジャングルポケット  160万円  323万円  201%
タニノギムレット   171万円  234万円  136%
クロフネ       144万円  196万円  136%
フレンチデピュティ  171万円  216万円  126%
キングカメハメハ   161万円  199万円  123%
シンボリクリスエス  147万円  156万円  106%

最も上昇率が高いのはジャングルポケット。母の父にサンデーを持つ場合、それ以外の配合と比べて、1走あたりの賞金額が倍以上跳ね上がることがわかります。他の種牡馬と比較してもダントツです。トールポピー、フサイチホウオー、トーセンキャプテン、アプリコットフィズ、ジャガーメイルなど活躍馬が目白押しなので、この数字はうなずけるところです。POGでも、じっさいに馬を買う場合でも、「ジャングルポケット×サンデー」は大きな戦力として期待できます。

タニノギムレットはウオッカ1頭の影響が大きすぎるので、もしこれがいないとすると、「母の父サンデー以外」の賞金は152万円となるので、上昇率は153%となります。これも高いですね。

キングカメハメハはここ数ヵ月、ローズキングダムを筆頭に母の父サンデーの活躍が目立ちます。昨年12月以降に限定すると、「母の父サンデー」の1走あたりの賞金額は303万円とジャンプアップ。ただ、それでもジャングルポケットには届きません。

逆に、シンボリクリスエスは上昇率が低く、母の父にサンデーを持っていても持っていなくてもほとんど変わりません。この馬は1走あたりの賞金額そのものが低いですね。

昨年夏に行われたセレクトセール2009(当歳馬&1歳馬)で、「ジャングルポケット×サンデー」は4頭落札され、その平均価格は2137万円でした。一方、シンボリクリスエス産駒は20頭落札され、その平均価格は4095万円でした。

つまり、「ジャングルポケット×サンデー」は1走あたり323万円も稼いでいるのにセレクトセールの平均落札価格は2137万円。一方、シンボリクリスエス産駒は1走あたり147万円しか稼いでいないのに平均落札価格は4095万円。どちらがいい買い物をしているのか一目瞭然です。

“ロジ”の冠名で知られる久米田正明氏は、持ち馬の連対率が50%を超えるという驚異的な成績を挙げているのですが、昨年の同セールで「ジャングルポケット×サンデー」を1頭、しっかり落札しています。馬選びのうまいオーナーはやはりひと味違います。

2010年3月18日 (木)

ラストタイクーンと Mill Reef クロス

今週はスプリングS、若葉S、フラワーCが行われます。これが終われば本番の勢力図はほぼ明らかになります。馬場状態にもよりますが、現時点では大きな波乱はないのでは、と考えています。

スプリングSのローズキングダムとフラワーCのサンテミリオンは、配合構成がよく似ています。近い世代に、サンデーサイレンス、ラストタイクーン、Mr.Prospector、Mill Reef が共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103404/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102958/

            ┌ Mr.Prospector
          ┌○┘
        ┌○┤ ┌ラストタイクーン┐ ┌ Mill Reef
        │ └○┘        └○┘
ローズキングダム┤ ┌サンデーサイレンス
        │ │   ┌ Mill Reef
        └○┤ ┌○┘
          └○┘

          ┌サンデーサイレンス
          │   ┌ Mr.Prospector
        ┌○┤ ┌○┘
        │ └○┘
サンテミリオン―┤ ┌ラストタイクーン┐ ┌ Mill Reef
        │ │        └○┘
        │ │   ┌ Mill Reef
        └○┤ ┌○┘
          └○┘

ラストタイクーンは、キングカメハメハの母の父になったことで、このところまた存在感が増しているような気がします。芝向きのマイラーで小回りコースが得意、というタイプです。
http://www.pedigreequery.com/last+tycoon

現役時代はヨーロッパで走り、スプリンター(それも良績は5fのみ)として活躍していたのですが、何を思ったか3歳秋にブリーダーズCマイル(芝8f)に挑戦し、まったくの人気薄ながら鮮やかに抜け出して勝ってしまいました。サンタアニタの小回りコースを器用にこなした姿が印象的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=mMmZbFmYmDY

キングカメハメハのレースでいちばん好きなのはNHKマイルCです。マイルにおけるあのスピードは「ラストタイクーンっぽい」と感じたものです。ただ、種牡馬となって産駒が出てみると、東京コースに強く、ダートを苦にしないので、Kingmambo 的な要素も色濃くうかがえます。

ラストタイクーンは、La Troienne 牝系を凝縮した Sex Appeal を父方に持つにもかかわらず、ダートがまるっきり下手なので、母方から受け継いだものが多いのではないかと推察されます。したがって、母の父 Mill Reef を強調した配合は悪くないでしょう。Adlerflug(独ダービー、ドイツ賞)や Viva Pataca(香港年度代表馬、ドバイシーマクラシック-2着)、そして Alinghi(豪で4つのG1を含むGレース9勝の名牝)の母など、ラストタイクーンを含んだ Mill Reef クロス馬は、ここ数年活躍が目につきます。
http://www.pedigreequery.com/adlerflug2
http://www.pedigreequery.com/viva+pataca
http://www.pedigreequery.com/alinghi

ローズキングダムは Mill Reef 5×4、サンテミリオンは母が Mill Reef 3×3なので、このパターンに当てはまります。

サンデーサイレンスとラストタイクーンの組み合わせから誕生した最高傑作は、父フジキセキの豪州産馬 Sun Classique(ドバイシーマクラシックなどG1を4勝)。同馬は Mill Reef クロスこそ持っていませんが、その母 Milan Mill のクロス(5×5)を持っています。やはりラストタイクーンに関しては、Mill Reef 近辺の血を強化するのが有効なテクニックのひとつではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/sun+classique

ローズキングダムとサンテミリオンは、Sun Classique と配合が似ています(近い世代でサンデーとラストタイクーンが共通)。気の早い話ではありますが、洋芝適性はあるでしょうし、オールウェザーを苦にするタイプとも思えないので、来年はドバイに行ってほしいですね。今週の競馬だけでなくこの先どんな競走生活を送るのか興味深く見守りたいと思います。

2010年3月17日 (水)

世紀の女傑対決、お流れに

Rachel Alexandra と Zenyatta の世紀の女傑対決(4月9日、アップルブラッサム招待S-米G1)は、結局、お流れとなってしまいました。Rachel Alexandra が休み明け緒戦で思わぬ敗戦を喫し、陣営が回避を決めたからです。

オールウェザーを主戦場とする Zenyatta が、対決を実現するためにダートへの出走に踏み切るという歩み寄りを見せたのに、ホーム側の Rachel Alexandra がさっさと回避を決めたのでは、逃げているという批判が出ても仕方ありません。こうした姿勢は、直接対決で負けるよりも Rachel Alexandra の名誉を傷つけると思うのですが。

ただ、今回は負け方が悪かったのも事実です。いくら休み明けで体調がイマイチとはいえ、4コーナーでマクられて直線でねじ伏せられるという、力負けとしか思えないレースぶりでした。
http://www.youtube.com/watch?v=thcV_9NDqVA

勝った Zardana は、Zenyatta と同じジョン・シレフス調教師の管理馬。ライバルの実力を測ろうと僚馬を出走させたら思いがけず勝ってしまったわけです。驚くべきことにこれが初ダート。眠っていた能力が目覚めた可能性もあります。Sadler's Wells の孫にあたるブラジル産馬で、母の父はサザンヘイロー、2代母の父 Merce Cunningham は Caerleon の全弟です。配合を見てレッドディザイア(とジョーカプチーノ)を思い出しました。近い世代で Sadler's Wells、Halo、Caerleon(=Merce Cunningham)が共通します。
http://www.pedigreequery.com/zardan
http://www.pedigreequery.com/red+desire2

          ┌ Sadler's Wells
        ┌○┘
Zardana ――――┤   ┌ Halo
        │ ┌○┘         ┌ Nijinsky
        └○┤ ┌Merce Cunningham ┤
          └○┘         └ Foreseer

            ┌ Halo
          ┌○┘
        ┌○┘     ┌ Nijinsky
レッドディザイア┤ ┌ Caerleon ┤
        └○┤     └ Foreseer
          │ ┌ Sadler's Wells
          └○┘

一方の Zenyatta は、休み明け緒戦のサンタマルガリータ招待H(米G1)をいつもどおりの強さで快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=S0SwxIi11aI

4月9日のアップルブラッサム招待Hは、これで Zenyatta の独壇場かといえばそうでもなく、2月16日のエントリーで採り上げたベネズエラの女傑 Bambera(通算18戦16勝)が挑戦してきます。
http://www.pedigreequery.com/bambera2

Rachel Alexandra が回避し、総賞金が10分の1に減額されてもなお、興味深いレースには違いありません。

2010年3月16日 (火)

フィフスペトル復活

先週日曜日の東風S(OP・中山芝1600m)でフィフスペトルが復活しました。2歳夏の函館2歳S(G3)以来1年7ヵ月ぶりの勝利です。この馬の配合についての見解は、08年7月の新馬戦で◎を打ったとき以来ほとんど変わっていません。当時、『web競馬王』に掲載した予想を再録します。

「◎フィフスペトルは『キングカメハメハ×バーリ』という組み合わせ。キングカメハメハはトゥールビヨン-ジェベルのラインが母系の構成要素の核となっているので、ここを強化した配合は買える。本馬の母の父バーリは英マイルG1を2勝した名馬で、ジェベル5×5。配合相手に入る血脈としては好ましい。本馬はミルリーフ≒リヴァーマン5×3。底力に秀でた本格的な血で構成されており、新馬戦だけでなく先々まで楽しめそう。」

キングカメハメハは Never Bend と相性がいいだろう――ということは、産駒がデビューする前から赤本(POGの達人)などで指摘してきました。2月3日のエントリーでも触れた箇所なのでご参照ください。

新馬戦の予想をした時点ではうっかりスルーしてしまったのですが、フィフスペトルの母ライラックレーンには、Never Bend≒Nanticious 3×3があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a00fed6/
http://www.pedigreequery.com/never+bend
http://www.pedigreequery.com/nanticious

      ┌ Nasrullah
Never Bend ┤     ┌ Tourbillon
      │   ┌○┘
      │ ┌○┘
      └○┤
        └ Be Faithful

        ┌ Nasrullah
      ┌○┘
Nanticious ┤   ┌ Tourbillon
      │ ┌○┘
      └○┤
        └ Be Faithful

このほか、Nijinsky 3×3、My Babu≒Ambiorix 5×5、Bull Page≒Rerelea 5×4・5、Nasrullah≒Royal Charger 4・6×5・5・5など、眩暈がするような父母相似配合です。

こういう特殊な凝縮を持つ配合馬は、競走馬としてはダメでも、母や2代母となって真価を発揮することがよくあります。たとえばトキツダイヤなどはその一例です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0034f9/

この悪夢のような配合は孫の代で花開きました。70年代末から80年代前半にかけて地方競馬を賑わしたタガワ四兄弟(タガワエース、タガワキング、タガワテツオー、タガワリュウオー)は、トキツダイヤの孫です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1977102855/

フィフスペトルの母ライラックレーンは、Blushing K.D.(ケンタッキーオークス-米G1)や Electronic Unicorn(香港の名マイラー)の半妹でもあり、繁殖牝馬としてかなりの器かもしれないと考え、昨年のPOGではフィフスペトルの半弟ヴァルガリスを指名したのですが、いまだに仕上がらずデビューに至っていません。その全妹にあたる今年の2歳馬は早々と故障してしまいました。こういう配合なので体質的な弱さを伝えるのかもしれません(しかも2頭の父はアグネスタキオンです)。

東風Sを快勝したフィフスペトルは、次走、中2週でダービー卿チャレンジトロフィー(G3)か、中4週でマイラーズC(G2)に挑むはずです。そこからぜひ安田記念(G1)に駒を進めてほしいものです。

2010年3月15日 (月)

関口房朗氏が苦境に

3月14日付けの『東京スポーツ』によれば、先日、船橋のダイオライト記念(G2)を勝ったばかりのフサイチセブンが裁判所に差し押さえられたそうです。

数年前から苦境が漏れ伝わっていた馬主の関口房朗氏は、1990年代半ば以降、競馬界有数のスポンサーでした。本業や私生活に関してはうかがい知るところではありませんが、少なくとも競馬にまつわる活動については、ほかの誰にも真似できないことをなさった方だと思います。経済的に厳しくなってからは、セリで落札した馬の代金支払いに窮し、たびたびトラブルを起こしていました。

いまをときめくレッドディザイアは、じつは関口氏と深い関わりがあります。父マンハッタンカフェを最初にセリで落札(1億3000万円)したのは関口氏でした。その後、キャンセルとなったため西川清氏と吉田照哉氏の共同持ち馬となりました。イギリス生まれの母グレイトサンライズは、関口氏の名義で生産された馬です。しかし、自ら走らせることはなく、歌手でタレントのやしきたかじん氏の名義で走りました。数年後、この2頭が結びつき、レッドディザイアが誕生しました。

毀誉褒貶はさまざまですが、ファンサービスの姿勢は徹底していたので、関口氏のことを悪く言うファンは少なかったような気がします。

数年前、『それでも悲しき日本競馬』(東邦出版)という関口氏の著書の編集に関わったのですが、そのなかで関口氏は、フサイチペガサスが勝った2000年のケンタッキーダービーにおける“舞妓パフォーマンス”について触れています。ちょっと長いのですが引用します。

「私は生来パフォーマンスをするのが平気な性質で、もっと言えば目立つのが大好きな性分である。だからこれからもいろいろな場面で、さまざまなパフォーマンスをお見せすることになるだろう。だが、これだけは知っておいていただきたい。私はただウケたいためだけに、パフォーマンスをやっているわけではないということを。道化を演じる裏には、私なりのメッセージが隠されている。」

「ケンタッキーダービーの舞妓は、日本人のプライドを表現したつもりだった。所有馬であるフサイチペガサスが、ケンタッキーダービーで本命に推されるほど有力視されたことは、大げさに言えば、日本の誇りだと思ったのだ。そのオーナーである私が、チャーチルダウンズ競馬場で縮こまっているわけにはいかない。(中略)精一杯目立たなければならない。そのために、アメリカ人が日本と聞いてすぐに思い出す『ゲイシャ、フジヤマ』を連れて行こうと決意した。残念ながら、フジヤマをアメリカに持っていくことはできない。だったら、ゲイシャだろう。というわけで、私の傍らには舞妓たちが陣取ったというわけである。」

「舞妓はアメリカでは大ウケだった。ケンタッキーダービーの前夜祭では、ステージに上げて舞を踊ったり、私とタンゴを踊ったりして、大喝采を浴びている。それが、チャーチルダウンズ競馬場の場長の耳に入り、パーティーを盛り上げたお礼ということで、私は舞妓らとともにVIPルームに招待されているのだ。」

カッコイイですね。つねにド派手で、つねに豪快。これほどの傑物は関口氏のほかに二度と現れることはないと思います。

2010年3月14日 (日)

フィリーズレビューはサウンドバリアー

800mの通過は例年よりもやや遅め。ただ、今年は道悪競馬が続いた影響で馬場が荒れており、スローというよりむしろやや速めのラップだったと思います。

勝ったサウンドバリアーは、2走前の未勝利戦は強い内容で、前走は展開不向き。ラブミーチャンが速いペースで引っ張る今回は、好走してもおかしくない馬でした。ただ、印が回りませんでしたね~。

Mr.Prospector、Seattle Slew、Secretariat という70年代のアメリカの名血を集め、2代母は米年度代表馬。緩急のある競馬はともかく平均して速いラップを刻むレースには強そうです。△ぐらいはつけておくべきでした。リーチザクラウンの母クラウンピースと配合構成がよく似ています(Mr.Prospector、Seattle Slew、Secretariat、Six Crowns が共通)。気の早い話ですが繁殖牝馬としても楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101512/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1997103429/

◎を打ったレディアルバローザは3着。ゴール前数十メートルの地点では勝ったと思ったのですが……。残念。

2010年3月13日 (土)

ゼンノロブロイ×トニービン

土曜中山11RのアネモネSはギンザボナンザ、阪神9Rのゆきやなぎ賞はハートビートソングが勝ちました。この2頭はいずれも「ゼンノロブロイ×トニービン」という組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103127/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102887/

このブログで繰り返し指摘しているように、ゼンノロブロイの配合は、アメリカ血統過多といったところがあるので、重厚なヨーロッパ血脈のサポートが必要です。トニービンがフィットするのはそういう理由です。2月18日、1月25日、1月2日のエントリーでも触れていますのでご覧ください。

予想は、アネモネSは○◎、ゆきやなぎ賞は◎▲で的中。アネモネSで1番人気に推されたアニメイトバイオは休み明けで気負ってましたね。序盤に引っ掛かった分、追って弾けませんでした。

土曜日は「ゼンノロブロイ×トニービン」のほかにもうひとつ、「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」も走りました。中京記念を勝ったシャドウゲイト、中山の館山特別を勝ったクレスコワールドはこの組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100621/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103462/
日曜日の中山牝馬Sにはこれらと同じ配合のコロンバスサークル(土曜日の前売りでは単勝1番人気)が出走します。ちょっと怖いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103088/

2010年3月12日 (金)

マカニビスティー大井移籍の真相~~矢作調教師のブログから

3月5日のエントリーでマカニビスティーの大井移籍について採り上げました。昨日付の矢作芳人調教師のブログに詳しい事情が記されています。やはり中央に適レースがないことが原因でした。

「厩舎としては大きな損失となるが
馬やオーナーの幸せを考えると
このままここにいるよりは
南関に移籍して
羽田杯や東京ダービーなどで
活躍したほうがいいと
僕が決断しました。」
http://ameblo.jp/yahagi-ecurie/

大井でいくら活躍しても矢作厩舎に金銭的メリットはないのですから、なかなか真似のできることではありません。大井では戸崎圭太騎手が手綱を取り、時機が来たらまた中央に戻るようです。

『馬券師倶楽部』/半笑いVS栗山求(後編)

CS放送の“MONDO21”で放送されます。土曜日の15時30分から30分間です。どうぞご覧くださいませ。

2010年3月11日 (木)

ラブミーチャンの取捨

日曜日のフィリーズレビューには、笠松のラブミーチャンが出走します。ここまでダートばかり6連勝。水曜日のサンケイスポーツが1面で大きく採り上げたのにはビックリしましたが、各種媒体の想定出馬表を見ると、軽い印がチョボチョボといった感じで、予想者の方々はごく冷静に判断されているという印象です。

こと細かに説明するまでもなく、配合的にはダートのほうがいい馬でしょう。母ダッシングハニーは、アサティス、スラヴィック、クラウンドプリンスというダート向きの血で構成され、Busanda≒Striking 5・6×5、Flower Bowl≒Your Hostess 4×5。これに、さらにダート向きのサウスヴィグラスを交配しているのですからパワー満点です。芝で新たな持ち味を発揮するタイプではないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100269/

ただし今回は、舞台が“芝1400m”であることがポイントです。1月18日のエントリーで次のように書きました。

「芝1400mは追って味のない一本調子の馬が勝ち負けになるコースです。したがって、ダート血統であっても無視できません。中山芝1200mと似ていますね」

同じく笠松からやってきた無敗のライデンリーダーは、15年前の報知杯4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)で衝撃的な圧勝劇を演じました。
http://www.youtube.com/watch?v=8UJhXCWbfMo

しかし、同馬はその後、桜花賞やオークスで人気に推されながら負け続けました。ダート馬が通用しやすい芝1400mで中央唯一の勝ち星を挙げたのは偶然ではないと思います。

じっさい、フィリーズレビューは、ダートを得意とする馬が健闘するレースです。07年の2着馬アマノチェリーラン、08年の2着馬ベストオブミーは、若菜賞(500万下・ダ1400m)を勝って臨んできた馬たちでした。

ラブミーチャンを本命に推すことはできませんが、無印に落とすのも怖いところです。2、3着なら可能性はあるのではないでしょうか。仮にここで好走しても、本番は厳しいと思います。

2010年3月10日 (水)

「サンデーサイレンス×デインヒル」は海外向き

昨日のエントリーで採り上げた Raihana は、母 Esubooh が「サンデーサイレンス×デインヒル」でした。日本ではシックスセンスとメテオバーストが出た組み合わせです。この2頭はデインヒルの面影を感じさせる四角い馬体で、ジワジワと伸びる渋いタイプでした。

シックスセンスは香港ヴァーズ(G1・芝2400m)で2着。国際舞台でも十分に戦える馬でした。いや、むしろ海外の競馬のほうが向いていた可能性があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100476/

日本の軽い芝では、「サンデーサイレンス×デインヒル」は「ジワジワと伸びる渋いタイプ」なのですが、力のいる馬場ではそれがちょうどいいような気がします。「サンデー×デインヒル」の代表産駒は、AJCオーストラリアンオークス(豪G1・芝2400m)を勝った Sunday Joy。サンデーサイレンスが南半球で送り出した唯一のG1馬です。このときは2分32秒42と遅い決着でした。
http://www.pedigreequery.com/sunday+joy

Sunday Joy は繁殖牝馬としても才能を示しており、娘の More Joyous(父 More Than Ready)は現在、オーストラリアでG1を含めて重賞4連勝中と注目を集めています。「サンデー×デインヒル」は、海外で力強く血を広げています。
http://www.pedigreequery.com/more+joyous

2010年3月 9日 (火)

オールウェザーに適性を示すサンデーサイレンス

あまり話題にはなりませんでしたが、2月25日に行われたUAEオークス(リステッドレース・オールウェザー〔タペタ〕1900m)は、母の父にサンデーサイレンスを持つ Raihana(父 Elusive Quality)が勝ちました。オーストラリア産の牝3歳です。北半球の馬よりも生まれが半年早いので59.5キロを背負っての勝利でした。
http://www.pedigreequery.com/raihana

母 Esubooh は、おそらくその母フェリシテーションがサンデーサイレンスと交配するためにオーストラリアから北海道にやってきて、種付けしたあとまた戻って行って出産した馬でしょう。

レッドディザイアと Raihana の活躍を見ると、サンデーの血は高い確率でオールウェザー(タペタ)にフィットしているように思えます。ただ、注意したいのは、前者は Sadler's Wells を、後者はデインヒルを併せ持っていること。どちらもイギリスの深い芝に適応する血です。このあたりもオールウェザー適性のポイントのひとつかもしれません。

サンデーの血がオールウェザー向きだとしたら、これから数年、外国人が気づく前に、ドバイに遠征する日本馬を英ブックメーカーで狙い続けて大儲けできる……かもしれません。

2010年3月 8日 (月)

キンカメ・レヴォリューション

ドバイでウオッカが引退を表明し、中山ではヴィクトワールピサが弥生賞を快勝。そして、阪神のアルメリア賞ではルーラーシップが必敗の態勢から逆転勝ち。日曜日はまさに角居デイでした。

タムロスカイのタックルを受けた時点で、キャリアの浅い若駒ならレースを投げてしまってもおかしくありません。たしかに勝って当然のメンバー構成でしたが、そんなことは重要ではなく、あそこから態勢を立て直して闘志に火をつけ、差し切ったことに意味があります。母エアグルーヴのいちょうSを思い出された方も多いかと思います。この闘争心は、この先に待ち受ける厳しいクラシックレースで必ずモノをいうでしょう。ひ弱なお坊ちゃんでは勝てません。

「中間、アクシデントの連続で、ここはせいぜい七分のデキだが、500万下ならなんとかなる」と書いて◎を打ちましたが、2着ミヤジシェンロンはヌケてしまいました。結局、キングカメハメハ産駒のワンツーフィニッシュ。土曜日のチューリップ賞のワンツースリーフィニッシュ(3月6日のエントリーでは「ワンツーフィニッシュ」と書きましたが誤りです)に続く上位制圧で、これはもう“キンカメ・レヴォリューション”とでもいうべき勢いです。土日7勝は圧巻です。道悪で頑張れるのは、精神面の強さの証明でもあるでしょう。そう考えると、アクシデントにひるまないルーラーシップの根性もうなずけます。

レース後の様子についてはまだ情報が入ってきていませんが、接触の際のダメージや、不十分な体調でキツいレースをした反動がなければいいのですが。皐月賞を目指すとしたら、さすがに中1週の若葉SやスプリングSは無謀なので、中2週の毎日杯しか選択肢は残っていません。楽ではないですね。ダービーに狙いを絞ったほうがいいのでは、と個人的には思います。

2010年3月 7日 (日)

弥生賞はヴィクトワールピサ

序盤の位置取りは怖いなと思ったのですが、終わってみれば無駄なエネルギーを使わない余裕の勝利でした。武豊騎手の馬に対する信頼感が伝わってくる騎乗ぶりでした。もし馬の能力に疑念を持っていれば、ポジションを取りに行ったり、勝負どころで外の馬と一緒に動いていたでしょう。馬の能力が違うという確信がなければ今回の騎乗はできません。『web競馬王』の予想は◎○で的中でした。予想文を転載します。

「◎ヴィクトワールピサは『ネオユニヴァース×マキアヴェリアン』という組み合わせで、スウィフトカレント(小倉記念、天皇賞・秋-2着)の4分の3弟、アサクサデンエン(安田記念)の半弟にあたる。父ネオユニヴァースは鈍重なタイプなので、母系にミスタープロスペクターが入るのは歓迎。母ホワイトウォーターアフェアは、ロジユニヴァース(日本ダービーなど重賞4勝)の母アコースティクスと同じく『マキアヴェリアンとロレンザッチオ』を併せ持っている。したがって、同じネオユニヴァースを父に持つヴィクトワールピサとロジユニヴァースは配合構成がよく似ている。G1でも勝ち負けになる器だろう。母の父マキアヴェリアンは道悪の鬼。ヴィクトワールピサと配合構成がよく似たロジユニヴァースは極悪馬場の日本ダービーを勝った。雨で渋った馬場も苦にしないはず。」

01年に不良馬場の弥生賞を勝ったアグネスタキオンは、続く皐月賞も勝ったのですが、明らかに調子が落ちていました。道悪の競馬は良馬場よりも体力を消耗します。このあたりのケアが本番までの課題でしょう。

ウオッカ引退

昨年秋の毎日王冠は、東京競馬場のメインスタンドから離れた東門近くの場内テレビでレースを観戦していました。カンパニーがウオッカを差し切った瞬間、スタンド方面から「あぁ……!!」という大きな潮騒のようなため息が聞こえてきたのを思い出します。大本命馬が敗れただけではあのような響きにはなりません。ウオッカはファンに愛されているんだなぁと、そのときあらためて感じました。

欧米には「レモンは絞りすぎてはいけない」という格言があります。牝馬を競走に使いすぎると繁殖成績に影響が出てくることがあるので、余力があるうちに牧場に上げたほうがいい、という意味です。この点でウオッカには多少心配があるのですが、それを覆すような繁殖成績を挙げてほしいものです。

2010年3月 6日 (土)

チューリップ賞はショウリュウムーン

アパパネは仕上がりひと息。何かにやられる可能性はあったとはいえ、それがショウリュウムーンとは予測していませんでした。前走は確かに優秀でしたが、このメンバーに入ると印を回しづらいですね。

キングカメハメハは Nijinsky と相性が良好です。

■キンカメ産駒全体
全連対率 21.2%
芝連対率 20.4%
ダ連対率 22.5%

■キンカメ+Nijinsky
全連対率 22.7%
芝連対率 25.6%
ダ連対率 17.3%

このパターンからはフィフスペトル、キングストリート、キングスレガリア、エオリアンハープなどが誕生しています。芝の連対率が上がってダートは下がります。キングカメハメハの父 Kingmambo は、Sadler's Wells や Seattle Slew だけでなく、Nijinsky ともニックスの関係にあります。トップクラスの産駒は少なからぬ割合でこのパターンを持っています。

アパパネが2着に入ってキングカメハメハ産駒のワンツーフィニッシュ。先週のコスモセンサーに続いて2週連続重賞Vです。JRAのサイアーランキングでは現在首位。これで2位との差がまた開きました。

◎ベストクルーズは9着。3コーナーで立ち上がる不利があり、それから先は鞍上の安藤勝己騎手も無理をしませんでした。

『馬券師倶楽部』再放送

お約束の告知です。先週フライングで紹介してしまった『馬券師倶楽部』(「半笑いVS栗山求〔前編〕」)の再放送は、土曜日の15時30分からです(CS放送の“MONDO21”)。どうぞご覧くださいませ。

2010年3月 5日 (金)

レッドディザイア大外一閃!――ドバイ国際G2レース

痺れました。これほど鮮やかな勝ち方をするとは想像していませんでした。サンデー系の切れ味がオールウェザーにフィットしていることが明らかになったと思います。これは大きいですね。

もともとオールウェザー(メイダン競馬場は“タペタ”という種類)は、ヨーロッパの芝馬に向いているといわれていました。追い込みが決まるともいわれていました。レッドディザイアは、ヨーロッパの重厚な血統がベースとなっています。サンデー系+欧州血統のレッドディザイアが飛んできたのも、結果論ではありますがうなずけます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

オールウェザーは「ライトな洋芝」といったイメージですね。日本でいえば札幌・函館あたりの芝です。昨年の凱旋門賞3着馬 Cavalryman を、レッドディザイアは並ぶところなく差し切ってしまったのですから、ヨーロッパの芝よりも日本の芝に近いのかもしれません。

もしそうなら、気の早い話ですが、今後、日本馬はアメリカやドバイで安定して好成績を収められるかもしれません。1着賞金600万ドル(約5億5000万円)のドバイワールドCには、来年、日本のトップクラスがこぞって参戦を表明するでしょう。ブリーダーズCがオールウェザー開催の年には渡米する馬が出てくるかもしれません。そこで好結果を残すことにより、日本血統の評価も国際的に上がってくるはずです。

いろんな意味でわが国の競馬に地殻変動を促すきっかけとなるレースではなかったかと思います。本番でも頑張って欲しいものです。

逆転の発想、マカニビスティー大井移籍

その手があったか!と思いました。ダートの未勝利戦、500万下を圧勝した3歳牡馬マカニビスティー(父ゼンノロブロイ)が、この時期としては異例の大井移籍に踏み切りました。

中央所属のダート強豪は、3歳6月のユニコーンSが来るまで、言葉は悪いですが店ざらし状態です。OP特別はあっても重賞がひとつもありません。OP特別の数も少ないと思います。3歳1~6月のダートOP特別は、現在、ヒヤシンスS、伏竜S、端午S、昇竜Sの4つ。08年まで2回京都開催に組まれていたバイオレットSは廃止となり、ますます使えるレースが減りました。

クラシック前にダートの高額賞金レースをいくつも作ると、そこで賞金を稼いだダート馬が、芝のクラシックに出てきて出走枠を占めることになりかねません。そうした事態をJRAは恐れているのでしょう。

ダートの強豪は、出走できるレースがないために、意味もなく休養したり、芝のレースに出たりして、肩身の狭い思いをしています。マカニビスティー自身、前走は芝のアーリントンCに出走しました(10着)。そうした状況を眺めるうちに陣営の誰かが閃いたのでしょう。――いっそ地方へ移籍してしまえ!

その昔、“アラブの魔女”といわれたイナリトウザイが、3歳春に中央から大井へ移籍し、見事アラブダービーを制覇したことがありました。これとやや状況が似ています。

マカニビスティーを管理する矢作芳人調教師は、大井競馬の矢作和人元調教師(昨年5月に引退)のご子息です。また、馬主の備前島敏子さんは、大井競馬に何頭かの馬を預けています。そうしたコネクションから話が進んだものと推測します。

4月21日に行われる三冠の第一弾・羽田盃(ダ1800m)は1着賞金4000万円。6月2日の三冠第二弾・東京ダービー(ダ2000m)は4500万円。これは魅力的です。大井の馬場に慣れておけば、7月14日のジャパンダートダービー(ダ2000m・5000万円)も有利でしょう。ひょっとしたら羽田盃の前にトライアルの京浜盃(3月18日・ダ1700m・2500万円)を使うかもしれません。

昔は、いったん中央から地方へ移籍すると、再転入は認められませんでしたが、現在は地方で2勝を挙げれば戻ってこられます。マカニビスティーにとってはたやすいことでしょう。1月5日のエントリーで採り上げたように配合的に高く評価している馬です。活躍を期待したいですね。

2010年3月 4日 (木)

エリモマキシム引退

11歳馬エリモマキシム(父ブライアンズタイム)が3月5日付けで登録抹消します。2001年夏のデビューから足かけ10年、通算59戦10勝(うち障害20戦3勝)という競走成績でした。現役末期は同期のダービー馬タニノギムレット(同じブライアンズタイム産駒です)の子と一緒にレースを走ることもありました。

エリモマキシムといえば、史上初の10歳馬による中央重賞初制覇(09年新潟ジャンプS-J・G3)を記録した馬です。ただ、個人的に記憶に残っているのは“2着病”です。障害転向後、初勝利を挙げるまでに2着を10回重ねました。1戦ごとの着順を書き出してみます。

9→2→5→3→2→2→2→2→2→3→2→2→2→2→1

初勝利は入障後15戦目。その直前までの成績は〔0.10.2.2〕でした。記念すべき初勝利を挙げた2008年8月23日の障害未勝利戦は、ステイゴールドが初めて重賞を勝った目黒記念ほどではありませんが、エリモマキシムの苦闘を知る者にささやかな感動を与えてくれました。

引退後はオーナー一族が所有する北海道のエクセルマネジメント(旧・えりも農場)で乗馬になるとのことです。

2010年3月 3日 (水)

現代に待ち望まれる Orme

サンデーサイレンスには、サンデーズシス、ペニーアップ、マイライフスタイルという3頭の全妹がいて、すべて輸入されています。これらから大物が誕生する日を待ちわびていたのですが、3頭ともすでに高齢に達してしまい、ちょっと無理そうな雰囲気になってきました。

先日の中山記念を勝ったトーセンクラウンは、ペニーアップの孫。サンデーの全妹の血を引く初めての重賞勝ち馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004101623/

19世紀最大の種牡馬といえば St.Simon(1881年生)ですが、同馬には Angelica という全姉がいました。繁殖成績は優秀で、16戦全勝の三冠馬 Ormonde との間に、英リーディングサイアーの Orme(オーム・1889年生)を出しています。

Orme と St.Simon は、血統表上で出会うことで Angelica と St.Simon の全姉弟クロスが生じます。これは大きな効果を生み出し、Tracery など後世に優れた影響を及ぼした名馬を誕生させています。
http://www.pedigreequery.com/tracery

Orme の誕生から10年後、今度は St.Simon 直系の孫から Sceptre(セプター・1899年生)が誕生しました。どんな名馬物語集にも必ず登場するこの女傑は、英2000ギニー、英1000ギニー、英オークス、英セントレジャーを制覇。この馬の母 Ornament は、Orme の父 Ormonde の全妹です。Orme と Sceptre の関係は以下のようになります。
http://www.pedigreequery.com/orme
http://www.pedigreequery.com/sceptre

          ┌ Bend Or
    ┌ Ormonde  ┤
    │     └ Lily Agnes
Orme ―┤
    │     ┌ Galopin
    └ Angelica ┤
          └ St.Angela

            ┌ Galopin
      ┌ St.Simon ┤
    ┌○┘     └ St.Angela
Sceptre ┤
    │     ┌ Bend Or
    └ Ornament ┤
          └ Lily Agnes

このふたつの血が血統表上で出会うと、全きょうだいクロスがダブルで生じます(Ormonde=Ornament、St.Simon=Angelica)。

このほか、Orme と Desmond の関係もこれに近いですね(St.Simon=Angelica、Macaroni≒Carnival の4分の3同血クロス)。

興味のある方は、Orme と Sceptre、あるいは Orme と Desmond の関係を調べてみるといいでしょう。20世紀前半の血統を理解するための一本の補助線となります。

St.Simon は、もちろん単独でも時代を画す傑出した大種牡馬でしたが、
近親やそれに付随する血が全きょうだいクロスや4分の3同血クロスを作り、この増幅効果でより大きな果実を生産界に実らせました。

将来、サンデーの全妹がサンデーサイレンスと血統表上で出会うこともあるでしょう。そのとき、平凡なファミリーに成り下がった状態で出会うのと、活躍馬を通して高いテンションを維持したまま出会うのとでは、大きな違いがあると思います。

トーセンクラウンが将来種牡馬になれるかどうかは分かりませんが、一般論として、サンデーの全妹の血を引く馬が活躍し、種牡馬になることは、わが国の馬産にとって意義があることだと思います。その馬は現代の Orme となる可能性があります。

ひょっとしたら、マンハッタンカフェとアプリコットフィズ(母マンハッタンフィズがマンハッタンカフェの全妹)が、遠い将来、それに近い役割を担うかもしれません。

2010年3月 2日 (火)

すみれSはレッドスパークル

3歳のOP特別なので触れないわけにはいきません。勝った◎レッドスパークル(1番人気)は、スペシャリスト的な決め技を持っているわけではないのですが、どんな展開でも伸びてくる精神面の強さがあります。以下は『web競馬王』の予想文です。

「◎レッドスパークルは『ニューイングランド×ヘクタープロテクター』という組み合わせ。血統構成の4分の3をアメリカ血統で固め、名牝プレメイト3×4という力強いクロスを持つ。そして、残りの4分の1はハイペリン主軸のヨーロッパ血統による構成となっており、ここが底力とスタミナの担保となる。セオリーどおりの綺麗な配合だ。前走の京成杯3着は、ひと息入って太め(14キロ増)だった上に前残りの展開が災いしたもので、負けたとはいえ能力の高さを見せつけた。距離延長にも不安はなく連軸として信頼できる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103679/

力の要る馬場となってプレイメイト3×4のパワーが活きました。予想は◎○で本線的中。先々はともかく、現状ではトップクラスとは差があります。どんな条件でも精一杯走るタイプなので、対戦相手の物差しとして正確な指標になると思います。

2010年3月 1日 (月)

阪急杯はエーシンフォワード

勝った◎エーシンフォワード(2番人気)は、「Forest Wildcat×Cure the Blues」という組み合わせの外国産馬。父 Forest Wildcat は一本調子の Storm Cat 系なので、芝で走る場合、緩急の必要なマイル戦よりも一定のラップとなりやすい1400m戦に向いています。エーシンフォワードは、休み明けを除けば芝1400mで4戦4勝。おまけに得意の阪神コース。順当勝ちといえるでしょう。

配合的にも高く評価している馬です。母の父 Cure the Blues は、2代母 Speedwell が Secretariat と4分の3同血にあたる良血です。
http://www.pedigreequery.com/secretariat
http://www.pedigreequery.com/cure+the+blues

        ┌ Bold Ruler
Secretariat ――┤
        └○┐
          └ Imperatrice

        ┌○
Cure the Blues―┤
        └○┐      ┌ Bold Ruler
          └ Speedwell ┤
                 └ Imperatrice

Cure the Blues と Secretariat はニックスです。2008年の京阪杯を快勝したウエスタンダンサーは、2代母の父が Cure the Blues で、父デヒアに Secretariat が含まれています。したがって、Secretariat≒Speedwell 3×5という4分の3同血クロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004105048/

エーシンフォワードは、父方に Secretariat、母方に Cure the Blues があるので、Secretariat≒Speedwell 4×4。真っ向勝負のニックス配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005110172/

予想は、◎エーシンフォワード、▲サンカルロ(7番人気)で1着3着。2着のワンカラット(5番人気)が抜けてしまいました。詰めの甘い予想でした。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!