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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年2月

2010年2月28日 (日)

道悪の中山記念はオペラハウス丼

昨日のエントリーに「日曜日の中山記念でも Sadler's Wells には注意したほうがいいかもしれません」と書きました。結果は Sadler's Wells 系のオペラハウス丼。道悪では押さえなければいけない血統です。

予想は◎テイエムアンコール(12番人気/2着)。『web競馬王』では印を絞らなければいけないので馬連不的中でしたが、ウマニティでは5頭に△を散らし、そのうちの1頭がトーセンクラウン(13番人気/1着)だったので的中しました(馬連18,080円)。予想文は以下のとおり。

「◎テイエムアンコールは『オペラハウス×ブライアンズタイム』という組み合わせ。小回り&急坂の中山コースで一変しそうな配合だ。デリングドゥー≒エイワン4×4なので中距離向きのパワフルなスピードが持ち味だろう。道悪は間違いなく巧い。ハイペースとなりそうな今回は得意のマクり差しが決まるはず。」

ドロドロの道悪だった昨年のダービーデイ、最終レースの目黒記念(芝2500m)を勝ったのはオペラハウス産駒のミヤビランベリでした。こうした馬場になると Sadler's Wells 系は水を得た魚です。母系に入った馬も同様で、母の父に Sadler's Wells を持つエルコンドルパサーは、極悪馬場の凱旋門賞(芝2400m)で2着に逃げ粘りました。

日曜日の中山では、5Rの未勝利戦(芝2000m)でオペラハウス産駒のマイネルウーノ(7番人気)が2着、9Rの潮来特別(1000万下・芝2500m)では母系に Sadler's Wells を持つクロカンブッシュ(9番人気)、ジェイケイラン(12番人気)が2、3着と、馬券にからみまくっていたので、中山記念の◎テイエムアンコールは内心かなり自信がありました。これから菜種梅雨の季節がやってくるので、また道悪競馬になることもあるでしょう。そのときには忘れずに Sadler's Wells を狙いたいと思います。

2010年2月27日 (土)

『馬券師倶楽部』放送は来週と再来週です

昨日のエントリーで告知した内容は誤りでした。正しくは以下のとおり。

3月6日(土)15:30~16:00
  半笑いVS栗山求(前編)
3月13日(土)15:30~16:00
  半笑いVS栗山求(後編)

勘違いしていました。スイマセン!

アーリントンCはコスモセンサー

1番人気のザタイキは、楽勝した前走でも4コーナーの手応えがイマイチでした。今回は、前半4ハロン通過48秒4という超スローペースで、中間点から急激にペースが上がり、4コーナー付近で11秒1という最速ラップを刻む展開。これでは先を行く馬との差は容易に詰められません。さすがに最後の1ハロンは12秒7とラップが落ち、地力の違いで2番手に上がりましたが、全体的に見ればコスモセンサー=石橋脩騎手の術中にハマった一戦といえるでしょう。悲観する内容ではなかったと思いますが、現状では世代トップクラスとの差を感じさせるものでした。

勝ったコスモセンサーは、母系に Riverman を持つキングカメハメハ産駒。配合については2月3日のエントリー「キングカメハメハ+Never Bend 血脈」で触れていますのでご覧ください。予想は△◎で的中です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101398/

不良馬場で行われた中山9Rの水仙賞(3歳500万下・芝2200m)は、1、2、4着が Sadler's Wells 系。力の要る馬場で浮上してくる血であるとあらためて認識させられました。日曜日の中山記念でも Sadler's Wells には注意したほうがいいかもしれません。

2010年2月26日 (金)

土曜15時30分から『馬券師倶楽部』再放送

「半笑いVS栗山求(前編)」がCS放送の“MONDO21”で再放送されます。収録日は2008年3月29日です。再放送していただけるのは大変ありたがいのですが、土曜日のメインレースの時間帯に競馬番組をやるのはいかがなものか……と思わないでもないです。半笑いさんとは昨年秋に東京競馬場でばったり出逢いました。また飲みたいものです。

もう1頭のスーパー牝馬 Hasili

2月24日のエントリーで Urban Sea について触れましたが、現代にはそれと双璧をなすもう1頭のスーパー牝馬が存在します。1991年生まれの Hasili です。これまでに5頭のG1馬と1頭のG2馬を送り出しました。G1馬の数を比べると Urban Sea(4頭)を上回ります。産駒は以下のとおり。

★Dansili(牡.1996.デインヒル)ミュゲ賞(仏G2)、他

★Banks Hill(牝.1998.デインヒル)BCフィリー&メアターフ(米G1)
      ジャックルマロワ賞(仏G1)、コロネーションS(英G1)

★Heat Haze(牝.1999.Green Desert)メイトリアークS(米G1)
                  ビヴァーリーDS(米G1)

★Intercontinental(牝.2000.デインヒル)メイトリアークS(米G1)
                BCフィリー&メアターフ(米G1)

★Cacique(牡.2001.デインヒル)マンハッタンH(米G1)
                マンノウォーS(米G1)

★Champs Elysees(牡.2003.デインヒル)カナディアン国際S(米G1)
                ノーザンダンサーターフS(米G1)
                   ハリウッドターフC(米G1)

このなかで唯一G1を勝てなかった Dansili(G1では2着2回)は、種牡馬として成功し、凱旋門賞馬 Rail Link をはじめ多数の活躍馬を送り出しています。
http://www.pedigreequery.com/dansili

Hasili の父 Kahyasi は、Nijinsky と Red God のニックスを持ち、無敗で英・愛ダービーを制しました。種牡馬としてはスピードに乏しかったため、期待ほどの成績は挙げられませんでしたが、母の父としては優秀で、Hasili が産んだ上記の産駒群のほかに、世紀の女傑 Zarkava を送り出しています。
http://www.pedigreequery.com/zarkava

Hasili の配合は「Kahyasi×High Line×Roberto」ですから、重厚なスタミナ血統です。
http://www.pedigreequery.com/hasili
配合のキーポイントは Seven Seas=Heliopolis 6×6でしょう。この血は侮れません。サンデーサイレンス産駒の配合で最もポピュラーな成功パターンは、これとよく似た Gulf Stream≒Heliopolis の4分の3同血クロスです。Heliopolis は米リーディングサイアーで、その全妹に英1000ギニー馬 Sun Stream、半姉に英1000ギニー馬 Tide-way がいる超良血です。

Heliopolis はダービー卿が生産し、名牝 Canterbury Pilgrim 4×3というクロスを持ちます。
http://www.pedigreequery.com/heliopolis
20世紀前半にこのクロスは大成功しました。Heliopolis と Gulf Stream のほかに、Aurora、Lavendula、Lady Angela、Barley Corn、The Squaw、Selim Hassan といった優駿がこのクロスから誕生しています。重要なのは、どの馬も単体はもちろん“クロスさせることで優れた効果が得られる”ということです。ノーザンテーストは Lady Angela 3×2でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000258/
サンデーサイレンス産駒の Gulf Stream≒Heliopolis が大成功したように、Hasili の Seven Seas=Heliopolis も効果が大きかったはずです。

Hasili が送り出した上記の6頭のうち、5頭が父デインヒルです。デインヒルは Heliopolis を持っているので、母 Hasili が持つ Seven Seas=Heliopolis を継続することになります。

Dansili の代表産駒 Rail Link は、ディープインパクトを破って凱旋門賞を制しました。Hasili の血は、子世代だけでなく孫世代にも優れた影響を及ぼしているようです。一日も早い日本導入が待たれます。

2010年2月25日 (木)

エスポワールシチーがドバイWC回避

海外遠征は、その馬を応援するファンにとっては純粋に“夢”ですが、馬主サイドにとっては“夢であり現実”です。その現実の部分に越えられないハードルがあったのでしょう。

エスポワールシチーが春に国内2戦2勝(かしわ記念、帝王賞)なら賞金は1億3000万円。これ以上の賞金をドバイで稼ぐとなると、2着以上が必要となります(1着賞金600万ドル、2着賞金200万ドル)。馬の適性や体調を含めて現実的に考えると、チャレンジするにはリスクが大きすぎると馬主サイドが判断したわけです。ただ、エスポワールシチーの遠征に夢を紡いでいたファンのなかには、この決定に納得できないという方も当然いるでしょう。

フェブラリーS2着のテスタマッタは骨折。幸い、全治3ヵ月と軽症なので、秋シーズンには復帰できそうです。フェブラリーS3着のサクセスブロッケンはゴドルフィンマイルを回避することが決定。昨年暮れのジャパンCダート2着のあと休養していたシルクメビウスはアンタレスS(4月25日・京都)で復帰するようです。帝王賞でエスポワールシチーとの対決が見られるかもしれません。

2010年2月24日 (水)

名牝 Urban Sea 2×3

昨年3月に20歳で死亡した Urban Sea は、近年における傑出した牝馬といえるでしょう。凱旋門賞を勝った競走成績もさることながら、Galileo、Sea the Stars、Black Sam Bellamy、My Typhoon、Urban Ocean、All Too Beautiful、Melikah を送り出した繁殖実績は歴史に残るものです。

ある馬主の方にうかがった話では、Urban Sea がジャパンCに出走した際(93年)、同馬の関係者から売却のオファーがあったそうです。値段が高すぎて話は流れたそうなのですが、もし購買していれば競馬の歴史は変わっていました。Galileo や Sea the Stars が誕生しないかわりに、父サンデーサイレンスの Urban Sea 産駒が産まれていたわけです。

活力を秘めた血をクロスによって強化するのは馬産の常識といっていいでしょう。Urban Sea のクロスは早晩試みられるはずですが、すでにそのプランが持ち上がっています。

2月10日付けの『RACING POST.com』によれば、アイルランドのジム・ボルジャー調教師(エイダン・オブライエン調教師の師匠)が新種牡馬 Sea the Stars のもとへ8頭の繁殖牝馬を送ったそうですが、そのなかの2頭――Lush Lashes(コロネーションCなどG1を3勝)と Cuis Ghaire(6fのG3を2勝、英1000ギニー2着)――は Galileo の娘とのことです。
http://www.pedigreequery.com/lush+lashes
http://www.pedigreequery.com/cuis+ghaire

Galileo は Sea the Stars の半兄なので、この配合によって Urban Sea 2×3という強度のクロスが生じます。

         ┌○
┌ Sea the Stars ┤
│        └ Urban Sea
│              ┌○
│        ┌ Galileo ―┤
└ Lush Lashes ―┤      └ Urban Sea
         └○

         ┌○
┌ Sea the Stars ┤
│        └ Urban Sea
│              ┌○
│        ┌ Galileo ―┤
└ Cuis Ghaire ―┤      └ Urban Sea
         └○

Lush Lashes と Cuis Ghaire は、母の父が Danzig 系なので、同系統の Sea the Stars との交配では、Urban Sea 以外にも Danzig クロスが生じます。

「父」と「母の父」が異父兄弟、という例はめったに見られるものではありません。それなりに実績を挙げたものとなると、Lizzie G.(Domino の2代母、Hamburg の3代母)と Russell(Wise Counsellor の母の父)ぐらいでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/lizzie+g
http://www.pedigreequery.com/russell

狙いはいいとしてもちょっとキツすぎるのでは、という意見はボルジャー調教師も想定しているようで、強度のクロスで成功馬を送り出したマルセル・ブサックを例に挙げて予防線を張っています。そして、これがうまくいかなかったら次はもうちょっと緩くするし、産まれてくるのが牝馬なら将来いい繁殖牝馬になるかもしれないね、と述べています。

2010年2月23日 (火)

水野麗奈さん結婚

相手は渡辺薫彦騎手と聞いて、関西在住の知り合いが「エッ!(絶句)」と衝撃を受けておりました。長年『DREAM競馬』とつき合ってきた関西圏の方はそういう反応になるのかもしれません。「関東で言ったら井森美幸が結婚するようなもん?」と言ったら「それは違う」と完全否定されました。

東京に住んでいると関西圏の競馬番組を観る機会がありません。関西に遠征するときは当然競馬場に行くわけです。したがって、競馬を始めて30年近く経ちますが、いままで関西圏の競馬番組を一度も観たことがありません。関西重賞の際に登場する杉本清さん、大坪元雄さんのネタならついて行けますが、関東のテレビに映らない宮川一朗太さん、水野麗奈さんとなるともうダメです。蚊帳の外です。

ただ、水野麗奈さんについては、話題にする方すべてが褒めるので、いい子なんだろうなぁと思っていました。どうぞお幸せに。

2010年2月22日 (月)

フェブラリーSはエスポワールシチー

あまりに強すぎて何も書くことがないという勝利でした。予想は◎▲で的中。◎エスポワールシチーは完全に本格化してますね。まるで1000万クラスにOP馬が走っているような手合い違いの一戦でした。定量戦で走るかぎり今後しばらくは負けないでしょう。

ドバイのオールウェザーでウオッカとエスポワールシチーのどちらが先着するのか興味が尽きません。オールウェザーはダートよりも芝に近い、という意見が支配的なようですが、百聞は一見にしかず、3月27日のレースで答えが出ます。オールウェザー推進議論にも影響を与えることになりそうです。

オッズチェッカー(http://www.oddschecker.com/)というサイトで英ブックメーカーの人気を見てみると、若干エスポワールシチーが上に見られているようです(RACING BETTING ODDS→Ante-Post Racing の「Flat」から Dubai World Cup をセレクト)。エスポワールは単勝10~14倍、ウオッカは12~16倍。大きな差はありません。

2010年2月21日 (日)

甦るオールド・グローリー

『栗山求 Official Website』(http://www.miesque.com/)の「Works」に作品を追加しました。例によって血統専門誌『週刊競馬通信』に連載したコラム「血統SQUARE」の復刻掲載です。

今回は「甦るオールド・グローリー」(初出は1994年9月~11月)。アメリカ土着のヒムヤー系の歴史をたどりながら、レキシントンからドミノ、そして現代へと至るアメリカ血統の基礎を解説したものです。

最終章で Holy Bull と Waquoit の共通性について解説しましたが、アラン・ポーターが『Patterns of Greatness II』(1995)において同様の指摘をしています。初出を見ていただければ分かるように「血統SQUARE」のほうが早く、おそらく世界初の論考だったはずです。

2010年2月20日 (土)

クイーンCはアプリコットフィズ

見てのとおり出走メンバーのなかでは完全に力が上でした。追い出しに入ってからの豪快なフットワークはほれぼれします。勝ちタイムの1分34秒4はレース史上2番目の速さでした。◎を打ったので単勝は的中。2着のプリンセスメモリーは無印でした。

アプリコットフィズの父はジャングルポケット、母マンハッタンフィズはマンハッタンカフェの全妹です。ドイツ牝系のこのファミリーには勢いがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/
ちなみに、京都記念を勝ったビエナビスタは、アプリコットフィズと同じ Santa Luciana にさかのぼるファミリーです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/
当然のことながら、アプリコットフィズもブエナビスタも、将来、繁殖牝馬としての価値は天井知らずでしょう。

アプリコットフィズの半姉コロンバスサークル(父ホワイトマズル)は、先々週、早春S(1600万下・東京芝1600m)を勝ってOP入りを果たしました。母マンハッタンフィズの繁殖能力は素晴らしいですね。今年の2歳はタニノギムレットの牡馬。POGで人気になりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103013/

2010年2月19日 (金)

ケヤキの向こう 笠雄二郎 Official HP

いまでこそ親しくさせていただいていますが、80年代の後半、ひとりで血統を研究していたころ、“笠雄二郎”といえばまさに雲の上の存在でした。『日本サラブレッド配合史』はいつ読んでも、何度読み返しても凄いと思わされる傑作です。

その笠雄二郎さんが数年前に個人サイトを開設されました。
http://www.tescogabby.com/index.htm

トップページの左下、「更新履歴≒日記」は、笠さんの日々の思考が綴られています。かつて笠さんが競馬の執筆から離れたころ、その新作を何年も心待ちにしていたことを懐かしく思い出します。いまや無料で毎日読めるのですからいい時代になったものです。

2010年2月18日 (木)

サンデーサイレンス/トニービン/ノーザンテースト

ただの偶然ではありますが、先週重賞を勝ったネオヴァンドーム(きさらぎ賞)とフォゲッタブル(ダイヤモンドS)は、血統構成がかなり似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102913/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103168/

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ネオユニヴァース―┘
ネオヴァンドーム┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ダンスインザダーク┘
フォゲッタブル―┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

いずれも母が「トニービン×ノーザンテースト」で、父がサンデー系です。まさに“ザ・社台”という血統ですね。

今週、これらと似た血統構成の馬が重賞に出走します。クイーンCのギンザボナンザです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103127/

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ゼンノロブロイ――┘
ギンザボナンザ―┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

ネオヴァンドーム、フォゲッタブル、ギンザボナンザの3頭は、血統構成の8分の5までが同一です。

3頭の母は「トニービン×ノーザンテースト」ですが、この2つの血の共通点は、血統構成の核が Hyperion であるところです。トニービンは Hyperion 5×3・5。ノーザンテーストは Hyperion 4×3(その娘 Lady Angela 3×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000258/

ブリティッシュトラッドの最高峰ともいうべき名血 Hyperion は、スタミナと底力があるので、ごまかしの利きにくいタフな東京コースを得意としています。「トニービン×ノーザンテースト」の組み合わせから誕生したG1馬はエアグルーヴ、サクラチトセオー、テレグノシスの3頭。勝ったレースはすべて東京コースでした。

「トニービン×ノーザンテースト」のコース実績を「TARGET frontier JV」で調べてみると、中山芝コースの連対率20.3%に対し、東京芝コースは30.1%と、大きな差がついています。この組み合わせを持つ馬は基本的に東京コースではプラス評価でいいでしょう。

ギンザボナンザが勝った前走ひいらぎ賞(500万下・中山芝1600m)は、枠順と展開に恵まれた部分もあったと思います。ただ、東京替わりは好材料なので、クイーンCでも軽く見ることはできません。

2010年2月17日 (水)

芝路線からフェブラリーSに参戦してくる馬たち

フェブラリーSの馬券検討をする際の最も重要なポイントは「芝で走ってきた馬をどう評価するか」。バッサリ切る、というのもひとつの見識だと思います。少なくとも過去の傾向をみればそれで間違いはありません。

しかし、それを重々承知の上で、あえて狙ってみるのもまたひとつの見識でしょう。クロフネは初ダートの武蔵野Sで9馬身差の圧勝劇を演じました。強い馬には条件など関係ありません。“芝を使ってきた馬=芝馬”というわけでもないと思います。

昨年はダイワスカーレットが出走を表明しながら故障のため1週前にリタイアしました。もしそのまま無事にレースを迎えて、外枠を引いていたら◎を打つつもりでした。

配合的裏付けと、基礎能力と、脚質と、フットワークと、枠順。これらをクリアする馬がいれば侮ることはできません。リーチザクラウンとレッドスパーダには印を回そうと考えています。

2010年2月16日 (火)

女傑の時代

09年のアメリカ年度代表馬の座を争った女傑2頭、Rachel Alexandra と Zenyatta が、4月9日にオークローンパークで行われるアップルブラッサム招待S(G1・ダ9f)で対決するようです。

このところ、耳目に触れるニュースは牝馬にまつわるものが多く、世界各地で強い牝馬が牡馬を打ち負かしています。

わが国のウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、レッドディザイアについてはあらためて説明するまでもないでしょう。

ベネズエラの Bambera(通算18戦16勝)は、同国の牝馬三冠と牡馬二冠を制覇しました。
http://www.pedigreequery.com/bambera2
そして昨年暮れ、プエルトリコに遠征し、カリブダービーの異名を持つクラシコデルカリブ(ダ1800m)に出走。メキシコの牝馬三冠馬 Vivian Record を一騎打ちの末に破りました。プライドをかけた女傑2頭が死力を尽くて戦う姿は感動的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=J-XSIzZTQ0A
Bambera はアメリカ移籍が決定したようで、今年はフロリダを本拠に走るようです。Rachel Alexandra と Zenyatta の戦いに加わってきたらおもしろいですね。

インドでは Jacqueline(通算10戦8勝)が話題です。
http://www.pedigreequery.com/jacqueline18
印1000ギニー、印2000ギニー、印オークスを制したあと、2月7日に行われた印ダービー(芝2400m)もインから鋭く抜けてレコードタイムで快勝。最後の直線、真正面からの映像が入るところはインド流でしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=CsxofxYVAjM

チリでは Casablanca Smile(通算12戦5勝) が昨年暮れのオークスに続き1月31日に行われたダービー(芝2400m)も勝ちました。
http://www.pedigreequery.com/casablanca+smile
道中の接近映像がないので位置取りがわかりづらいのですが、中団を追走し、最終コーナーでインをすくうように伸びてきました。後続に6馬身差をつける圧勝です。勝ちタイム2分23秒92はレース史上2番目に相当する速いものです。
http://www.youtube.com/watch?v=YvNxZPP8exY

ニュージーランドでは昨年秋に Katie Lee(通算15戦7勝)が2000ギニーと1000ギニーを連勝しました。
http://www.pedigreequery.com/katie+lee2
この2レースを連勝した馬は史上初。連闘での快挙でした。
http://www.youtube.com/watch?v=_-KePejYPW8

世界中のあちこちで女傑が台頭している現象は、本当に単なる偶然なのだろうか……と思わずにはいられません。とりあえず今週は京都記念のブエナビスタに注目です。

2010年2月15日 (月)

ダイワソウルのミスアシヤガワ≒健宝4×4

日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったダイワソウルはユニークな配合構成の持ち主です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105538/
どこがユニークなのかというと、父スペシャルウィークの3代母ミスアシヤガワと、自身の4代母健宝がほとんど同じ血統構成なのです。「ミスアシヤガワ≒健宝4×4」という近似血脈のクロスが生じています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955100581/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a003277/

        ┌ヒンドスタン
ミスアシヤガワ―┤    ┌プリメロ
        └シラオキ┤
             └○┐
               └スターカップ

        ┌ヒンドスタン
健宝 ―――――┤      ┌プリメロ
        └トキノタカラ┤
               └スターカップ

両馬の母シラオキとトキノタカラが4分の3同血で、いずれもヒンドスタンと交配しているため、ミスアシヤガワと健宝はきわめてよく似た血統構成となっています。

ミスアシヤガワは、皐月賞馬シンツバメの全妹、年度代表馬コダマの半妹にあたります。健宝は、現役時代にケンホウの名で走り、桜花賞を制しています。両馬の牝祖スターカップは帝室御賞典(天皇賞の前身)と農林省賞典競走を勝った女傑です。

この牝系は、百数十年に及ぶわが国の馬産のなかでも、有数の良血といっていいでしょう。クロスをさせて悪いわけがありません。ちなみに、1月のフェアリーS(G3)で4着となったメジロオードリーは、ミスアシヤガワ≒メジロボサツ4×4なので、ダイワソウルと似ています。

たとえばアメリカでは、La Troienne から出たファミリーのように、似たような配合パターンからハイレベルな競走馬が幾頭も出現し、それらが代を経て交配されることによって、さらに大きな活力を生み出しているという好循環がよく見られます。トライマイベストと El Gran Senor を産んだ Sex Appeal(Busanda≒Mr.Busher 2×3)や、Seattle Slew と Lomond を産んだ My Charmer(Striking=Busher 3×3)などがそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a008298/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a008080/

馬産の厚み、そして知性を感じさせるこうした配合を眺めるにつけ、やはりアメリカ生産界は偉大だと思わずにはいられません。

日本ではバブル期以降、大量の輸入馬によって血統が更新され続け、在来牝系がどんどん淘汰されています。そのため、ある名牝系を基軸とした近似血脈のクロスというものがほとんどなく、あったとしても外国で作られたものを借りる形となっています。血統の更新によってレベルが上昇したのは確かですが、それだけではいつまで経っても欧米の後追いでしかありません。近づくことはできても追い越すことは難しいでしょう。

名牝系をさらなる高みへ押し上げ、ひいてはわが国の馬産水準を上昇させるには、意匠を凝らした配合デザインによって、メイド・イン・ジャパンの“名牝を組み込んだ近似血脈のクロス”を作っていくことが重要なのでは、と思います。

『web競馬王』の新馬戦予想では、もちろんダイワソウル(6番人気)に◎を打ちました。◎▲で馬単8000円的中です。予想文を転載します。

「◎ダイワソウルは『スペシャルウィーク×ドクターデヴィアス』という組み合わせ。ミスアシヤガワ≒健宝4×4はおもしろい。本馬とよく似た血統構成のヒシポジション(母の父の部分が違うだけ)は新馬戦を勝ち上がっている。スペシャルウィークは芝1800m以上の新馬戦で連対率25.9%と好成績。抜けた馬が見当たらないここなら勝ち負けになる。」

2010年2月14日 (日)

きさらぎ賞、ヒヤシンスS

京都11Rきさらぎ賞(G3・芝1800m)のレースレベルは高くもなく低くもなく、ごく平均的なものだったと思います。勝ったネオヴァンドームは熱発明けだったので狙いづらかったですね。ネオユニヴァース産駒は京都芝1800mでは連対率37.0%と抜群の成績を挙げています。このコースでは無視できません。東京スポーツ杯2歳S(G3)2着のトーセンファントムと同じ「ネオユニヴァース×トニービン×ノーザンテースト」という組み合わせ。デムーロ騎手の絶妙の立ち回りが光りました。

◎レーヴドリアンはズブいですね。そして不器用です。あの位置取りからではディープインパクトでないと差し切れません。エンジンが掛かってからの迫力はさすがでした。中山芝2000mで勝つイメージは湧きませんが、東京芝2400mは合うと思います。皐月賞で4着ぐらいに負けてダービーで激走、というパターンは可能性としてあると思います。

東京9RヒヤシンスS(3歳OP・ダ1600m)は△バーディバーディが快勝。「ブライアンズタイム×Seeking the Gold」という血統から小回り向きかも?という懸念があったのですが、前々からうまく粘りこみました。松岡騎手のファインプレーです。ベルウッドローツェを2着に粘らせたダイヤモンドS、カフェレジェンドで勝った最終レースの騎乗もそうですが、冴えてましたね。配合に関しては1月31日のエントリーをご参照ください。

◎マカニビスティーは、前2走と同じくマクって行きましたが、相手もそろっており、それで勝てるほど甘いレースではありませんでした。道中の距離ロスも大きすぎましたね。現状ではマクリが利きやすい小回りのほうが向いているのかもしれません。

2010年2月13日 (土)

ペルーサ完勝

昨日のエントリーで採り上げた東京7Rの3歳500万下(芝2000m)は、断然の1番人気に推されたペルーサが押し切りました。最後はブルーグラスに差を詰められましたが、まだまだ余裕十分。休み明けであることを考えればこの勝ち方で十分でしょう。重賞でも即通用です。

ゼンノロブロイ産駒はこれまで、コスモネモシン、アニメイトバイオ、サンテミリオン、ギンザボナンザ、アグネスワルツと、牝馬の活躍馬が目立つ一方、牡馬はダートのマカニビスティー以外にこれといった馬が出ていませんでした。ペルーサという真打ちが登場したことで、ゼンノロブロイ軍団は芝の牡・牝、ダートと駒が揃いました。春の総攻撃でどれぐらいの戦果を挙げられるか楽しみです。

2着ブルーグラスについては、昨年秋の新馬戦を勝った直後、『web競馬王』のコラムに「来年の菊花賞で買ってみたい馬」と記しました。やはりただ者ではありません。この時期の東京で高い能力を示したダンスインザダーク産駒といえばトーホウアランを思い出しますが、能力比較ではブルーグラスのほうが上ではないでしょうか。

6着に敗れたヒシカツジェームスは、出遅れて最初のコーナーで馬鹿つく不利。向正面では蛯名騎手が制御に苦労していました。この気性では春は厳しいでしょう。

2010年2月12日 (金)

3歳500万下の芝平場戦に注目

東京の土日に組まれた3歳500万下の芝平場戦(2000m、1600m)は、クラシックを狙うダークホース的な素質馬が集まってきており目が離せません。昨年はアプレザンレーヴとレッドスパーダが勝ち上がりました。レベルの高さは推して知るべしです。

土曜東京7R(3歳500万下・芝2000m)はペルーサ、ヒシカツジェームス、ブルーグラスが激突します。どれも好きな馬なので困ります。あえて挙げればペルーサでしょうか。Hyperion 色の強い血が母系に入る、というゼンノロブロイ産駒の成功パターンに当てはまる配合で、デビュー戦はまったくの楽勝。ボディバランスの優れた好馬体も魅力です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102705/

日曜東京6R(3歳500万下・芝1600m)はダイワファルコンといいたいところですが、感冒明けでは微妙なところです。稽古の動きがどうだったのか見極めたいところです。

2010年2月11日 (木)

ルーラーシップがフレグモーネに

2月21日(日)のセントポーリア賞(500万下・東京芝1800m)を目指して調整していたルーラーシップ(父キングカメハメハ)がフレグモーネを発症。今後のスケジュールが白紙となりました。症状が軽度であれば早期復帰は可能ですが、日程的にそれほど余裕があるとはいえない状況でのアクシデントは痛いですね。

500万下からトライアルを使って本番、という穏やかなローテーションはもう厳しいでしょう。スプリングS(3月21日)で3着以内、毎日杯(3月27日)か若葉S(3月20日)で2着以内、という形しか選択肢はないと思います。ただ、いずれにしろフレグモーネ明けの馬にとっては負担が大きいため、皐月賞を捨ててダービー一本に目標を切り替えるのでは、と思います。血統的にも走法的にも明らかに東京向きなので、この進路を取るとしたら、案外、怪我の功名となるかもしれません。現在休養中のリルダヴァルともども、なんとかダービーのスターティングゲートにたどり着いてほしいですね。

2010年2月10日 (水)

なぜか日本に入らない Green Desert 系

昨日のエントリーで採り上げた Green Desert。世界的にそれなりの地位を占めるこの系統が、なぜか日本には入ってきていません。これは不思議なことです。

以前、シンコウフォレスト(父 Green Desert)という競走馬がいました。母は愛チャンピオンS(G1)を勝った良血馬で、自身は高松宮記念(G1)など3つの重賞を制しました。「Green Desert×Ahonoora」という組み合わせは Cape Cross(Sea the Stars や Ouija Board の父、ロジユニヴァースの母の父)と同じ。血統・競走成績ともに注目すべきものがありました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109763/

この馬は、引退後、生まれ故郷のアイルランドから種牡馬オファーを受け、日本を後にしました。かの地で種牡馬として成功し、アイルランド、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、香港で重賞勝ち馬を送り出しています。

Green Desert 系の種牡馬は、海外から日本に輸入するどころか、逆に輸出している始末です。これは痛いですね。

Green Desert の良さは、まずスピードがあること。そして馬場を選ばないことです。マイル以下であれば、芝でもダートでも晴れても降っても強い。これが世界各国で成功している理由でしょう。

血統的にも日本向きです。母の父 Sir Ivor は、Halo や Drone と相性抜群。サンデーサイレンス(父 Halo)やダンシングブレーヴ(母の父 Drone)の血が浸透している日本においては、カウンター血脈としてかなり重宝するのではないでしょうか。

Green Desert の有力な後継種牡馬である Oasis Dream は、母の父がダンシングブレーヴなので、Sir Ivor≒Drone 3×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a010d4f/
ロジユニヴァースは、Halo≒Sir Ivor 3×5・5です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/

もし私が海外から種牡馬を買ってくるとしたら、この系統を第一候補に考えると思います。

2010年2月 9日 (火)

Green Desert 時代の幕開け?

1月22日のエントリーで、2009年の英愛サイアーランキングが Northern Dancer 系の圧倒的な支配下にあることを書きました。上位10頭中9頭がこの系統です。

では、Northern Dancer 系のなかでどのラインが活発に枝葉を伸ばしているかというと、Danzig と Sadler's Wells が双璧です。昨年の英愛サイアーランキングのベスト10に、Danzig 系は5頭、Sadler's Wells 系は3頭ランクインしています。

Danzig 系といえばデインヒルの名前が真っ先に挙がります。イギリスとアイルランドではここ十数年、Sadler's Wells とデインヒルの激しい角逐が繰り広げられてきました。13年連続リーディングサイアーだった Sadler's Wells を、2005年に王座から引きずり下ろしたのはデインヒルです。昨年の英愛リーディングサイアーに輝いた Danehill Dancer もデインヒルの子です。

しかし、英愛サイアーランキングのベスト10に入った Danzig 系5頭が、すべてデインヒルの子かというとそうではありません。デインヒル系の種牡馬は Danehill Dancer(1位) と Dansili(8位)だけで、残りの3頭――Cape Cross(2位)、Oasis Dream(4位)、Invincible Spirit(9位)――は、いずれも Green Desert を経由しています。

つまり、Danzig 系のくくりで見ると、多数派は Green Desert のラインで、デインヒルのラインは少数派なのです。

この Green Desert の躍進を、一時的な突風と見るか、あるいは新たな盟主誕生の胎動と見るかは人それぞれでしょう。現時点ではなんともいえません。Cape Cross は昨年のカルティエ賞年度代表馬 Sea the Stars の父。今年から種牡馬入りする Sea the Stars が成功すれば、大きな流れは Green Desert 系に傾きます。種牡馬勢力図の変化は10年単位のゆっくりしたものです。すぐに結論は出ません。
http://www.pedigreequery.com/sea+the+stars

2010年2月 8日 (月)

わかりやすい初歩の血統

『栗山求 Official Website』(http://www.miesque.com/)の「Works」に新作を追加しました。新作といっても書き下ろしたわけではなく、かつて『週刊競馬通信』誌上に連載したコラム「血統SQUARE」の復刻掲載です。

今回は「わかりやすい初歩の血統」(初出は1994年2月~3月)。一言でいえば「配合を読めるようにするための方法」を解説したものです。「サイアー・ライン」「ファミリー」「配合」という3つの柱から成っています。

細かく19のパートに分かれていますので、最初から読み通すのはシンドイという方は、気になったところを拾い読みするのがいいと思います。

2010年2月 7日 (日)

共同通信杯はハンソデバンド

ハンソデバンドはスローの2番手につけた蛯名騎手の好判断が大きく、位置取りのアドバンテージを最後まで守りきりました。馬も一戦ごとに成長していますね。ギアチェンジをしてトップスピードに乗った際の豪快なフットワークに凄味が加わっています。1月6日のエントリーにも書きましたが、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」では、マンハッタンカフェ産駒ベスト5に採り上げています(151頁)。コメントは以下のとおり。

「父が柔らかいのでアフリートのような硬質のスピード血脈は好感が持てる。ミスプロとノーザンダンサーを併せ持つマンカフェ産駒の成功パターン。牝系の質も申し分ない」

同誌「渡邊隆オーナーインタビュー」の取材で渡邊さんにお話をうかがった際、ハンソデバンドを、07年生まれの所有馬のなかで「一番の期待馬」と位置づけていらっしゃいました。ドイツ血統という切り口でマンハッタンカフェを語るオーナーは日本広しといえども渡邊さんだけでしょう。すでに数年前、ドイツの大種牡馬モンズンをわざわざドイツまで観に行っているというのですから驚きです。エルコンドルパサーに続く渡邊さんの名作誕生です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102537

惚れ込んだ配合馬なので心情的には◎を打ちたかったのですが、現時点ではまだ力を付けきっていないと判断して予想は▲でした。◎はダノンシャンティ。『web競馬王』に提供した予想を転載します。

「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。『ヘイロー3×3』だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味はアリゼオよりも上だろう。」

今回は出負けして位置取りが悪くなり、しかも頭を上げるシーンもありました。それでいて、あのスローペースでハナ差まで追い込むのですから力があります。素晴らしい切れ味でした。

日曜日は『web競馬王』に提供した特別・重賞予想が3戦3勝と好調だったのですが、萌黄賞、共同通信杯、シルクロードSと、◎を打った馬がいずれも2着。喜びも半分といった結果でした。

2010年2月 6日 (土)

エルフィンSはエーシンリターンズ

時計的には5Rの未勝利戦と大差ないわけですが、上がりの競馬だったので致し方ありません。ポルトフィーノやエアメサイアが勝った年もこんな感じでした。

11番人気だったエーシンリターンズ(父キングカメハメハ)の勝因は、レースの流れにうまく乗って距離ロスなくコーナーを回れたことでしょう。脚を溜めれば弾けるのは前走の未勝利戦で証明済み。同じような展開となったのはラッキーでした。キングカメハメハ産駒らしい立ち回りのうまさが武器で、馬ごみを苦にしない点は多頭数のクラシックでは大きなアドバンテージです。ハイペースの競馬となった際にどう対応するかが今後の課題でしょう。予想は、2着ヴィクトリーマーチに◎を打ったものの、エーシンリターンズには印が回りませんでした。残念。

それにしても3歳世代のキングカメハメハ産駒は素晴らしいですね。去年の今頃は、勝ち上がり率はいいものの2勝目が遠く、500万クラス以上はフィフスペトル、スガノメダリスト、キングスレガリアの3頭だけ。“大物を出せる種牡馬”としてうなぎ登りの評価だったネオユニヴァースとは対照的に、うっすらと失望感が漂い始めていました。今年はすでに9頭が2勝以上を挙げています。産駒の傾向が1年でこれほど激変するとは驚きです。

2010年2月 5日 (金)

中京ハンデ重賞の鬼、秋山真一郎騎手

土曜日の中京メインは小倉大賞典(G3・芝1800m)。ドリームサンデーに騎乗する秋山真一郎騎手は、タイトルのとおり中京ハンデ重賞の鬼です。

この条件では過去21戦して7連対。連対率は33.3%(!)、複勝率は47.6%(!!)、単勝回収率は1128%(!!!)というすさまじさです。全4勝の記録は以下のとおり。

98年 愛知杯  カネトシガバナー 1着(1番人気)
04年 中京記念 メイショウキオウ 1着(16番人気)
04年 愛知杯  メモリーキアヌ  1着(9番人気)
09年 中京記念 サクラオリオン  1着(15番人気)

単勝人気がとんでもないことになっています。今回は7番ドリームサンデー(父タイキシャトル)に騎乗予定。私は別の馬に本命を打ちましたが……。

2010年2月 4日 (木)

インペリアルマーチ猛時計

来週のきさらぎ賞(G3・京都芝1800m)に出走するインペリアルマーチ(父ネオユニヴァース)が、木曜朝の栗東坂路で一番時計を叩き出しました。

50.8-37.9-25.8-13.1(馬なり)は出色。ローレルゲレイロが出した前日の一番時計と同タイムです。1月17日に初戦を勝ち上がった際の馬体重は548キロと、まだまだ絞れる余地がありました。上積み十分でしょう。母キョウエイマーチ、半兄トライアンフマーチ。新馬戦を勝ち上がったばかりですが怖いですね。

きさらぎ賞はほかに、ダイワバーバリアン(朝日杯FS-3着)、レーヴドリアン(福寿草特別)、シャイン(シンザン記念-2着)などが出走を予定しています。

2010年2月 3日 (水)

キングカメハメハ+Never Bend 血脈

キングカメハメハは Never Bend 血脈と相性がいい。これは初年度産駒がデビューした当初から言い続けてきたことで、昨年春に刊行された『負けないPOG入門』(競馬王新書)でも、「キングカメハメハの母系はトゥールビヨン-ジェベルの影響が強いので、ネヴァーベンド、ダマスカス、ラジャババ、リュティエ、パーソロンといった血が入るのは好ましい。」と記しています。

マンファスに入る Djeddah と Hugh Lupus には、フランス血統の強い凝縮があります。

Djeddah はフランスのマルセル・ブサックの生産馬。現役生活を引退後、アメリカへ渡り、Never Bend の母の父となりました。Durban≒Heldifann 3×2という強度の全姉妹クロスを持っています。Durban は Tourbillon の母です。
http://www.pedigreequery.com/djeddah

一方、Hugh Lupus は、マルセル・ブサックの生産馬ではないものの、Tourbillon 2×3という強度のクロスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/hugh+lupus

やや強引ながら、キングカメハメハの母マンファスは Djeddah≒Hugh Lupus 6×4といえます。それぞれが強い凝縮を持った特殊な配合なので、並のクロスよりもはるかに影響力が強いはずです。

キングカメハメハの交配相手に Tourbillon-Djebel 血脈を持ってくると、マンファスが持つ Djeddah≒Hugh Lupus を強化します。これが『負けないPOG入門』に記した部分の真意です。

Never Bend は2頭の傑出した種牡馬を送り出しました。1頭は Mill Reef。もう1頭は Riverman です。2頭ともキングカメハメハと好相性を示しています。

「キンカメ+Mill Reef」はローズキングダムとアドマイヤテンクウが、「キンカメ+Riverman」はフィフスペトルとコスモセンサーが代表産駒です。成績を示してみましょう。

■キンカメ産駒全体
全連対率 20.9%
芝連対率 20.2%
ダ連対率 22.2%

■キンカメ+Mill Reef
全連対率 25.3%
芝連対率 25.4%
ダ連対率 25.0%

■キンカメ+Riverman
全連対率 27.1%
芝連対率 21.9%
ダ連対率 33.3%

 いずれもキングカメハメハ産駒全体の成績よりも上昇しています。母系に Mill Reef または Riverman を持つキングカメハメハ産駒は今年のPOGでも要注目です。

 Mill Reef と Riverman は血統構成がきわめてよく似ているため、仮にある血脈と Mill Reef が好相性を示した場合、たいてい Riverman との組み合わせでもうまくいきます。その逆もしかり、です。
http://www.pedigreequery.com/mill+reef
http://www.pedigreequery.com/riverman

      ┌ Never Bend
Mill Reef ―┤ ┌ Princequillo
      └○┤ ┌ Count Fleet
        └○┘

      ┌ Never Bend
Riverman――┤   ┌ Princequillo
      │ ┌○┤ ┌ Count Fleet
      └○┘ └○┘

 Mill Reef は、母 Milan Mill が「Princequillo×Count Fleet」。Riverman は、母の父 Prince John が「Princequillo×Count Fleet」です。

 じつは、キングカメハメハの父 Kingmambo は、4代母 Neriad がこれらと同じ「Princequillo×Count Fleet」です。

http://www.pedigreequery.com/milan+mill
http://www.pedigreequery.com/prince+john
http://www.pedigreequery.com/neriad

       ┌ Princequillo
Milan Mill ―┤ ┌ Count Fleet
       └○┘

       ┌ Princequillo
Prince John ―┤ ┌ Count Fleet
       └○┘

       ┌ Princequillo
Neriad  ―――┤ ┌ Count Fleet
       └○┘

 キングカメハメハの母系に Mill Reef または Riverman が入ると、マンファスが持つ Djeddah≒Hugh Lupus を強化するだけでなく、「Neriad≒Milan Mill」または「Neriad≒Prince John」が生じることになります。これも相性の良さの補強材料です。

2010年2月 2日 (火)

ライ麦畑の山田太郎

 先週、『ライ麦畑でつかまえて』の作者J・D・サリンジャーが91歳で亡くなりました。『ライ麦畑――』の原題は『The Catcher in the Rye』。血統屋の悲しさでデインヒル系の種牡馬 Catcher in the Rye をすぐに頭に浮かべてしまいます。08年の独オークス馬 Rosenreihe が代表産駒です。
http://www.pedigreequery.com/rosenreihe

発表されてから半世紀以上が経過したいまも読み継がれ、そのタイトルが馬の名前にまでなってしまうのですから小説は傑作なのでしょう。私は読んでいません。いや、正確には3分の1ぐらいまでは読みました。

たしか高校生ぐらいのときに友達に勧められて本を手に取りました。小説は一人称形式で、主人公がフリーダムな語り口で大人社会の欺瞞を斬っていくのですが、「~ということなんだな」とか「~と思うんだな」といった語尾が頻繁に出てくることに引っ掛かりを覚えました。そのため、最初は神経質そうな白人少年だった主人公のイメージが、だんだん裸の大将に変貌していったのです。

さらに、別の友達が「これって原題を直訳すると『ライ麦畑の捕手』だよね」といったのを耳にした瞬間、ランニングシャツを着てリュックサックを背負った山田太郎にしか思えなくなり、静かに本を閉じました。何年か前に出た村上春樹の新訳ではあの語尾は直ったのでしょうか? 気になります。

2010年2月 1日 (月)

レッドスパーダがフェブラリーSへ?

先週土曜日の東京新聞杯を勝ったレッドスパーダが、次走、フェブラリーS(2月28日・G1・東京ダ1600m)を視野に入れているとのこと。05年の優勝馬メイショウボーラーと同じ「タイキシャトル×Storm Cat」、従兄弟に米年度代表馬 Curlin、530キロを超える雄大な馬格。もし出走してくれば相当怖いと思います。リーチザクラウンに続く芝戦線からの刺客登場でエスポワールシチーもうかうかできません。俄然盛り上がってきました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105511/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!