競馬王9月号チラ見せ企画 コースの鬼『秋の中山・阪神で絶対に知っておかねばならない重要な特徴とは?』 後編
いつも競馬王をご愛読いただき、誠にありがとうございます。最新刊の競馬王9月号から、気になる記事・企画をチラ見せしていく当企画。今回は前回に引き続き、コースの鬼『中山・阪神競馬場編』を特別に公開いたします。
『とにかく速くて前が止まらない開幕週の芝を期待すると裏切られる可能性もある』と指摘する城崎哲氏の独占取材をご堪能ください。
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前述したように9月はどちらの競馬場も野芝100%の開催で、年間を通じて芝の状態が一番いい。見栄えがよくて速いだけでなく、年間で一番軟らかい可能性もある。
「最近は『バーチドレン』(写真①)や『トレマー』(写真②)などの機械を使って根を切ったり路盤を掘り起こしたりすることで、20年前まで120Gくらいだった芝の硬度を90G以下に抑えて管理できるようになった」(中山競馬場の二村啓介馬場造園課長)という。その作業は夏の張替え更新作業と並行して行われるが、阪神はスケジュールの関係で、その作業から秋開催までの期間が短いのだ。
写真① バーチドレン。芝に穴をあけてほじくるようにして土を軟らかくする。
写真② トレマー。青竜刀のような回転する刃で芝の根に切れ目を入れていく。ここ2~3年の間に徐々に各場に導入された新兵器。
だから「とにかく速くて前が止まらない開幕週の芝」を期待すると裏切られる可能性もある。というのは騎手も普段より前に行こうとするし、ペースも速くなりがち。その上路盤が普段より軟らかめだとしたら前の有利さは半減するだろう。
9月阪神のA→Bはまだほとんど傷んでない段階でのコース移動であり、A、Bコースの状態の差はまだ見えない。4回阪神が終わると休んでいる間にAコースもBコースも多少回復し、洋芝も伸びる。そこまではまだ意識する必要はないが、それ以降5回阪神後半のBコース開催になると阪神特有の癖が出てくる。単に外有利というだけではなく、極端に外に持ち出した馬がぶっ飛んでくるのだ。
そうなる理由は写真③を見直してもらえばわかる。阪神で張り替えているのはBコース部分だけだ。どんなレースでも直線に入ると馬群はある程度バラけるから、Aコースを走るときにもBコースの最内は走る。つまり開催がある限りBコースの最内は走っているのに対して、Aコースの最内はBコースを走っているときは休んでいる。その差が蓄積して、最終的にBコースの最内に傷んだベルトができてしまう。
そのためBコースの競馬は単純に内が悪くて外がいい一方的な傾斜になる。しかも外に持ち出せば持ち出すほど芝がよくなる。こうなると先行馬有利の展開でもかなり離れた大外に持ち出した差し馬が脈絡なくぶっ飛んでくる。これぞ「阪神パターン」というべき決まり手だとぼくは思っている。たぶんあまり器用じゃない馬がそういうルーズな競馬をすることで変わったりするのだろう。これは阪神の馬券を買う上で絶対知っておかねばならない鉄則である。
文・写真/城崎哲、 取材協力/中山・阪神競馬場 馬場造園課
7日(土)20時には「コースの鬼」筆者・城崎哲氏が、「競馬王×netkeiba.comコラボコーナー」でガチ馬券勝負に挑みます。予算1万円、買い目は2点以内という馬券サバイバーでいくら儲けるのか? 開幕週だからこそ登場する城崎哲氏の勝負馬券にご注目ください!
コースの鬼・完全版を読んでみたいという方は、競馬王9月号掲載の『コースの鬼』でお楽しみください。ブログでは掲載しない中山・阪神の具体的な狙い方などを掲載しております。
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