【有馬記念・オマケの消去法】
「ねぇ、今年一番笑ったことってナンすか?」
聖しこの夜、クリスマス寒波襲来の夜、汚しこの野郎、アフター競馬評論家の鬼野谷がシャンパン片手に奇襲してきた。
「笑いおさめか…、有馬まで取っておくつもりだけど。鬼野谷は何?」
「ダイテ、係長ダイテください。今忙しいから後にしてくれ、っすかね」
「?」
今週のテレビの特番『トレビアの泉10周年』のなかで、銀行が3時にシャッターを降ろすと、行内のあちらこちらで「ダイテください」がささやかれるという放映があった。なんのことはない、代金取立て手形の略で「ダイテ」が使われるのだが、その女性行員と係長とのやりとりシーンで鬼野谷が今年最大のお笑いをしたのだとか。
「そんなことで大口開けて大笑いしてるからツキが逃げるんじゃないの?」
阪神JF、朝日杯FSと2週続けてアダマイヤ「ムーン」産駒を狙い撃ちしてツキに見放された鬼野谷。
「ツキなら、オーラス有馬で出ます! これ見てください」と鬼野谷がおもむろにスマホを取り出してマル秘?データを見せた。
『ウサギ年の有馬記念は、ツキが出る』
「何?この見出しは。どこで仕入れた怪文書なの」
ウサギ年に行われた有馬記念はこれまで4回あるが、その4回の連対馬には必ずツキが含まれている。
S38年①着リユウ(龍)フオーレル、S50年②着フジノ(藤野)パーシア、S62年②着ユーワ(有和)ジェームス、H11年①着グラス(硝子)ワンダー。
ウサギ年は有馬記念の『有』と連動して、馬名を漢字変換したときに、漢字に月を含む馬名馬がツキを呼ぶのだという。
「ってことは、今年のウサギ年は、ヴィクトワール(勝利)ピサで決まり!なんて言うんじゃないだろうね」
「いや、月は出ないっす。有馬記念の日は朔で、満月の反対っすよ、闇夜」
「じゃあ、何が来るの」
「隠れた月を探せってことっすよ」
ジャガーメイルに照準を当てるのだと鬼野谷は言う。
「母の母の父ノーザンテーストの母がレディヴィクトリア、月を含む『勝利』の女神っすよ」
「ノーザンテーストの母Lady Ⅴictoriaなら、オルフェーブルにもトーセンジョーダンにもアーネストリーにもルーラーシップにも含まれているけど」
「ウサギ年の有馬記念は、もうひとつ前走③着以内の天皇賞馬に注意せよって指令も出てるんすよ」
過去4回のウサギ年有馬記念のうち、前走③着以内だった天皇賞馬は3回参戦しているが、その3回とも連対をはたしていた。
「それじゃ、トーセンジョーダンだって残るんじゃない」
「ジョーダンは秋の天皇賞馬っす」
「?」
グレード制開始のS59年以降、春の天皇賞を3/4馬身差以上で制していた馬のうち、有馬記念の前走G1戦で①~⑤着に入っていた馬は[4-3-0-0]。
「でもなぁ~、ジャガーメイルが天皇賞を勝ったのって去年の春だけど」
「ノーザンテーストの血をもつ子は三度変わるって名言があるっすっよ。もうひと花咲かせたっておかしくないす」
「でもなぁ~、ジャガーメイルの前々走がなぁ~。ジャパンカップ③着で巻き返して勝ったのは5例あるけど、ジャパンカップ③着の前走、日本のレースで連対を外していた馬は[0-0-1-3]。ジャガーは、前々走⑨着だけど」
「でもでもって、ジャガー滅入る、っすよ」
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!