【高橋学のオマケの消去法・函館2歳S】
「マルマル♪モリモリ♪ マルマル♪モッコリ♪ 明日も当たるかな~♪」
「なにやってんだ?オニ」
「見てのとおりっすよ。腕立て…、伏せ…。夏は体力勝負、っすからね」
函館記念12番人気②着マヤノライジン、小倉記念4番人気①着イタリアンレッドに◎を打って2週連続、好調の波に乗るアフター競馬評論家の鬼野谷が、流行りの水玉模様(今どきはドットというらしいが)のステテコというむさくるしい格好で、鼻歌まじりに腕立て伏せをやっていた。
「発情でもしてんのか」
「なんすか? 発情?」
「キノボリトカゲの雄は、発情すると求愛腕立て伏せをするっていうぜ。おだてると木に登るところなんかトカゲそっくりじゃないか」
「そんな~。それよっか、アラフォーになるとね燃焼効率が悪くなってね、なかなか締まらないんっすよ」
「まるで本塁打トップ、防御率トップ、打っても守っても勝てない鬼野谷ひいきのジャイアンツみたいじゃないか」
「確かに…。でも、それを言うなら、走っても走っても体重が絞れなかった、ラガービッグワンすよ」
平成7年の夏。鹿毛の大型馬ラガービッグワンがとんでもない記録を打ち立てた。
6月10日の札幌競馬をスタートに8月27日の函館競馬まで、なんと毎週毎週未勝利戦出走の12連闘という記録をつくり、S55年アキノライデンの11連闘を15年ぶりに塗り替えたのだ。
その12連闘の成績は⑧⑦❸❸⑨④⑤⑪⑧④⑥❸着。馬券になったのは3回だけだが、その間に稼いだ賞金は計1038万円。なんとも馬主孝行な…。
しかし、驚くのは、その体重だ。
連闘初めの6月10日に554㎏だった馬体重が、ひと夏を越え、連闘終わりの8月27日には560㎏になっていたのだ。わずか6㎏増加とはいえ、これだけ走っての体重増加、燃焼効率が悪いのか、よほどタフなのか。
ちなみに、体重が増えたといえば、S46年の7月にデビューしたサクラユタカだ。当初488㎏の体重が、4年後のS50年11月には550㎏、その差62㎏。同窓会で、アンタ誰?って言われた鬼野谷そのものだ。
「今度の函館2歳Sは、道営参加のステルミナートっすよ。すでにキャリア4戦、デビュー時476㎏が、前走で18㎏増加の494㎏②着。将来のタフマンっすよね
「たしかに、道営馬には要注意だな」
札幌と函館の開催が入れ替わったH9年以降、道営からの参戦馬は[3-1-1-2]。すべてラベンダー賞連対で出走権を手に入れての参戦だ。この7頭中6頭、ラベンダー賞が良馬場で行われた時の平均走破タイムが1分10秒87。
ステルミナートは、繰り上がりの②着で運もある。時計も1分11秒0なら、ぎりぎりセーフか。いや、上がり時計に注目したい。
ラベンダー賞(H21年の札幌開催を除く)で、上がり3Fを35秒台にまとめて連対していた馬の函館2歳S成績は、
(ラベンダー賞 前3F-後3F) (函館2歳S)
H12年 マイネルジャパン 1.10.8②着 35.3―35.5 3人気①着
H17年 モエレジーニアス 1.10.9①着 35.3―35.6 3人気①着
H20年 ナムラミーティア 1.10.0①着 34.7―35.3 1人気②着
H22年 マイネショコラーデ 1.09.5②着 34.5―35.0 1人気②着
と、すべて函館2歳Sでも連対をはたしていた。
今年のラベンダー賞で、メンバー最速の上がり35秒6を駆使して大外から突っ込んできたステルミナートの芝適性はかなり高く、フロックと言わせない力強さがある。
「やっぱ、函館はステルミナートっすよね」
「そう思うけど…?」
「波止場通りを左にまがりゃ♪ ああ~♪つらい恋をステル♪ミナ~トまち♪、函館♪、十三番地~♪つってね」
「美空ひばり?」
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