【札幌記念・オマケの消去法】
「今年はやけにアンフェア―が目立つような気がするけど、気のせいっすかね」
「飲み会の勘定でアンフェア―なオニが言うセリフかよ」
アフター競馬評論家の鬼野谷が言うには、桜花賞週にリーディング4位の川田騎手が、天皇賞週にやはりリーディング4位の福永騎手が、そして夏競馬が佳境の時に期待の三浦騎手がそれぞれ騎乗停止の処分を受けていて、どうも競馬が締まらない気がして仕方ないらしい。
「その昔、ミスター競馬といわれていた故・野平祐二師が嘆いてましたよ、日本ではどうやれば勝てるかを教える調教師はいても、フェアープレイを教える人がなかなかいないねぇー、ってね」
「そうだな、現調教師の柴田政人騎手が、H5年、年間616回騎乗して、戒告ゼロ・減点ゼロ、野平祐二以来36年ぶりの特別模範騎手賞受賞、なんていうフェアー精神の塊みたいな騎手はもう出ないかもな」
「どんなに勝ち星を積み上げても、どんなにG1を勝っても、アンフェア―ひとつでかたなしっすからね。九仭の功を一箕に欠く、ってやつっすよ」
「なんだい、そのキュウジンのコウをイッキにカクって」
「多くの努力や苦労もわずかなことで無駄にすること、っすよ」
「合コンでオダをあげてふられる鬼野谷みたいなもんか」
「……」
フェアープレイにこだわって今週の札幌記念は、ヤングアットハートの藤田騎手に注目するという鬼野谷。
藤田騎手は、H3年に最多勝利新人騎手賞を獲った翌年から4年連続で、また、H9年から9年連続でフェアープレイ賞を受賞している数少ない“誇りを持った”騎手だ。
その藤田騎手が手綱をとるヤングアットハート。
前走中山芝2000mを快勝(次週の中山G3七夕賞勝ち時計より1秒1も速い)しているが、札幌記念がハンデ戦から別定戦(現在は定量戦)に変わったH9年以降、3カ月以上の休養馬を除き、前走芝2000m良・稍重で勝っていた馬あるいは負けても0秒2差内3着内好走していた馬は[2-2-4-11]。このうち、
(a)7歳以上の高齢馬は×
(b)2000mを4戦以上して0~1勝は×
(c)前走10㎏以上の体重減または当日10㎏以上の体重増減は×
(d)前走上がり3F37秒0以上は×
(e)前4走内にG1以外で6着以下が2回以上ある馬は×
以上の5項目をクリアしていた馬は、レースで1馬身以上の致命的な出遅れがあった馬を除き[2-1-3-0]。
「でもなぁ鬼野谷。ヤングアットハートって馬名の由来は?」
「‘53年ビルボード・ヒットチャート2位、フランク・シナトラの歌う曲名からっすよ」
「だけど、そのヤングアットハートっていうミュージカル、若手音楽家と美しい姉妹との恋愛三角関係物語だろ。なんかアンフェア―な匂いがしないか」
「……」
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