【マーメイドSオマケの消去法】
「今回のマーメイドS、消去法で2頭しか残らなかったんですってね。大丈夫っすか」
「余計なお世話だ!」
頭を抱え込んでいると、きまって土足でドヤドヤやってくるのが競馬王アフター競馬評論家・鬼野谷(おにのや)の習性だ。
確かに悩んでいた。残った2頭はアスカトップレディとイタリアンレッド。アスカはともかくイタリアンが「重馬場だとまったく馬が動かない」という陣営のコメント。梅雨どきの関西地方、木曜から金曜にかけては大雨情報だ。1頭予想にすべきかどうか…。
「こないだ、後楽園場外に行く途中の丸ノ内線で向かい側に座ったオヤジがさ、はりあな協会会報なんてのを読んでたんすよ。はりあなってなんすかね。穴馬券情報誌っすかね」
「ピンホールのことだろ」
「どこの馬っすか。弱そうな名前っすね」
「ピンホール写真のこと!小学生の時やっただろ
「なんだ。写真ですか。馬の写真かぁ…」
どこまでわかったのか。鬼野谷の穴だらけのオツムには弱った。
「そうそう、マーメイドS、穴ならラフォルジュルネっすよ。父が特別の一週間で、母が大盛り上がり、その子がフランス語で熱狂の一日だなんて、スペシャルフィーバーっす」とこぶしを突き上げる鬼野谷。
芝2勝以上の5歳以下馬、しかもハンデ55㎏未満のうち、a.前走1600m以上の準オープン戦以上使用、b.1800~2200mの中距離戦で3着内率が6割以上、このa・bともに満たしていた馬はハンデ戦なったH18年以降[1-3-1-0]。ラフォルジュルネは4歳ハンデ54㎏、該当の中距離戦績は[4-0-2-4]で3着内率6割ちょうどだ。鬼野谷、オツムの針治療にでも行ったのか、少しはまともになったか。
「それとね、人気馬のフミノイマージンは危ないかもよ。マーメイドっていえば、デンマークの海辺にいるやつっすよね。デンマーク、そう、出んマーク。馬名に『マ』が含まれてる馬は『出ん!マ』っすよ」
たしかに、ハンデ戦後、1~3番人気になった馬で、H18年ヤマニンシュクル7着・マイネサマンサ4着、H19年コスモマーベラス8着、H20年ブリトマルティス4着・ザレマ6着、H21年リトルアマポーラ3着・ザレマ10着、H22年ヒカルアマランサス5着とことごとくマを馬名に含んだ人気馬が撃沈している。
鬼野谷のいつものこじつけ予想、クチグルマに乗っていいものかどうか、梅雨空を恨めしそうにしていたら、
「こないだ、酔っ払って駅改札前の柱の脇で寝転がっちまってね、終電間近で駅員に、お客さん、お客さん乗り遅れますよって肩たたかれて目を覚ましたら、口車乗って目に入ったんすよ。なに!クチグルマ乗り!その手に乗るかって駅員にからんじまってね。乗車口っすよね…」
「その手に乗るかって…犬も転ぶウソ話だろ。鬼野谷のこじつけ予想とおんなじだ」
「犬が転ぶんっすか?」
「ワンパターン」
「……」
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