セレクトセール2022(2日目)

 今年の当歳セッションは展示こそ朝の8時スタートは同じだったが、セリ開始は例年より30分早められて9時30分から。初日ほどセリが活性化しない時間帯はあるものの、頭数も揃っており、バシバシ進めないと終わりが見えなくなってしまう。初日とは違い午後には帰宅する馬主も増えるので、18時までに全てを収めたいという主催者の強い意思が窺える。
 この日のトップバッターチェリーコレクトの2022(牡、父レイデオロ)。レイデオロ産駒は筆者が知る限り、評判が分かれていた。キングカメハメ系の良さを持っているということを主張する馬産地関係者もいれば、それだったらサートゥルナーリアの方が全然上だという説もある。そのようなことも馬主などに伝播しているのか意外と競りは盛り上がらず8600万円でジュンの河合純二氏が落札(それでも高いが……)。どうやら友道厩舎に預託される方向となりそうだ。
 初日とは違いバンバンとセリは進んでいったのだが、この日も相当高い。310番コールバックの2022(牡、父ドゥラメンテ)は2億6000万円での落札となった。同馬は3月15日産まれなので、たかだかだ4カ月の仔馬に信じられない額がついている。ちなみに落札したビクトリーサークルはラウンドワンの杉野公彦氏(エムズレーシング)らの集団。こちらもひょっとすると友道厩舎かも……。当歳セッションではドゥラメンテ、エピファネイア、モーリスといったところの実績を残している種牡馬たちの仔以外にもサートゥルナーリア、ブリックスアンドモルタルは比較的高値で取引されている。サートゥルナーリア産駒はカゼルタの2022が1億4000万円、ラルケットの2022が3億円、ミカリーニョの2022が2億2200万円とミリオンホースを連発。ブリックスアンドモルタルは当歳ではアウェイクの2022が3億1000万円、1歳セッションでは1頭が億超えを果たしている。
 アウェイクの2022を競り落とした国本氏は「ブリックスアンドモルタルもまた、日本競馬向きの種牡馬だと思っています。この馬に関わった関係者の方々や、競馬ファンの皆さんと共に夢を追える馬、そして実現できる馬になってもらいたいです」とのコメントを残した。
 終わってみれば当歳セッションも落札率が1歳セッションと同じ95・3%。236頭が上場され225頭が落札されたことになる。当歳セッションのレコードにもなったし、販売総額も昨年の109億2300万円を大きく更新する128億9250万円。平均価格も5730万円と、会場に陳列してあったアストンマーティンの新車(約2500万円)が2台も買えてしまうほどにバカ高かった。2日間を通じてみれば257億6250万円というとんでもないスケールのセールとなり、ほとんどの個人馬主は例年以上に苦戦していた雰囲気。それもそのはずで、売却総額のうち約20%を占めるのはダノックス関係、藤田晋氏、金子真人氏の3名義である……。どちらにしても化け物セールなのは間違いないしこのセールを見ているだけでも競馬の勉強になるのは確かだろう。また、競馬王でお馴染みの武英智調教師もメイケイの名古屋競馬さんと1歳セッションで2頭落としていたようでもある。この辺りは競馬王本誌や来年のPOG本で詳細が明らかにされるはずだ。(文/野中香良)

393kantei この日の最高価格となったのがシャンパンエニワンの2022。3億2000万円でレッドホースが落札。筆者が見ていた感じではラ・メール関係者による落札の模様。

Photo 2日間を総括して吉田照哉氏のインタビュー。ノーザンFだけではなく今年は社台F生産馬も軒並み高く、「売却率を考えれば究極のセリと表現できると言って良いのではないか」と総括していた。