炎の国のスターヨカヨカ物語~後編~令和を駆けた名馬たち

この記事は後編です、前編はこちら をご覧ください

 颯爽と現れ熊本産馬初の重賞タイトルをプレゼントしてケガで突然の引退。まさに疾風のようにやってきた九州産の星、火の国のスターヨカヨカ。颯爽と先行し差し切るその凛々しさは九州のみならず日本中のファンを魅了しました。



4.狙いはクラシックからスプリントへ

 年をまたぎ3歳となったヨカヨカは冬の放牧を挟んで春の初戦、桜花賞トライアルのフィリーズレビューに出走することになります。ここまで騎乗してきた福永騎手が同日に中京で行われる金鯱賞のブラヴァスに騎乗するため乗り替り、同じ九州(鹿児島)出身の幸英明騎手が手綱を任されることになりました。重賞勝ち馬の出走がなかったものの、1番人気はファンタジーSで敗れているオパールムーン(同馬は2着、ヨカヨカは5着に譲りました。それでもヨカヨカはオープン2勝の実績を評価され単勝2人気に推されています。レースでは先行策を取り、直線では最内から粘るアンブレラデートを外から抜かしてラスト1Fで先頭へ。しかし、その外から差して来たシゲルピンクルビーに最後交わされクビ差の2着に終わりました。それでも幸騎手が「惜しかったです」とコメントしたように、強い競馬をしたヨカヨカ。このレースを受けて谷潔調教師は「直線で先頭に立った時は勝ったと思ったけどね。でも、いい位置につけて、一番強い競馬をしていた。レース後もカイバ食いがいいし、桜花賞に向かう予定でいます」(スポーツ報知2021年3月17日13:27『【注目馬動向】報知杯FR2着の熊本産馬ヨカヨカは引き続き幸とのコンビで桜花賞へ』より引用)と優先出走権を得た桜花賞へ参戦することとなりました。

 迎えた牝馬クラシック初戦桜花賞は異例の超高速馬場の中開催されることになりました。直前に行われた大阪-ハンブルクC(OP、芝2600m)でもレコードが記録された馬場でしたが、夏のスプリントオープン戦で連勝したヨカヨカは11人気に留まっています。レースでは出遅れから挽回して先行しました。勝ち馬のソダシと同じ3番手近辺を追走したものの、直線で後方勢に飲み込まれ直線半ばで最後方に。最終的には17着と大敗を喫しています。鞍上の幸騎手も「外からまくられて手ごたえがなくなってしまった」と悔しさを口にしていました。ここで陣営はオークスに進むことはせずスプリント戦に目を向けます。そこで次走は最後の3歳最後のスプリント重賞でダービーの前日に行われる葵Sへと進むのでした。



5.スプリントでも苦戦、善戦マンに・・・

 京都競馬場改修の影響で中京開催となった葵S(重賞)では昨年8月のフェニックス賞以来、久々のスプリント戦への出走となりました。単勝人気も当然のように低く、新馬戦以来の対決となるモントライゼ、開催前半の橘Sで勝利したダディーズビビットに次ぐ3人気でレースに出走します。スプリント戦に短縮ということもあってか、このレースでは先行することはできず、馬群の中団を進む形に。そのまま中団の待機で迎えた直線では外へ。そこから猛追を開始し、上り34.0の脚を繰り出しながら前に迫ったもののレイハリアに並んだところがゴール板、その後写真判定に持ち込まれますが、結果2着に惜敗。最後は出遅れが響いた形となり、またも勝利から見放される形になってしまいました。

 続くレースは7月に行われたCBC賞、ここでヨカヨカは小倉競馬場へ「凱旋」を果たしました。鞍上は和田竜二騎手が担当。このCBC賞が行われた週の小倉競馬は例年にないほどの超高速馬場に変貌しており、この週は3歳未勝利戦に臨んできたエスコーラが3歳以上芝1800mのレコードを更新するなどタイムは平均から常にマイナス2秒以上というような状態でした。そんな中ヨカヨカは51キロの斤量なども相まって押し出されるような形の1人気に。レースでは前目から4コーナーにかけて進出していく競馬を見せていきますが5着とここでも掲示板は外さなかったものの格上挑戦で1着となったファストフォースに約2馬身差をつけられた結果に終わりました。鞍上の和田竜二騎手も「1200mに慣れてくれば」と期待を口にしていましたが、結果的にこれが次走への「伏線」となります。



6.悲願の重賞初勝利、そして突然の引退

 CBC賞敗戦後、ヨカヨカは短期放牧を挟んで北九州記念へと挑むこととなります。ここでヨカヨカにとっては「恵み」というべき雨が。パンパンの良馬場ではなく稍重馬場になったのです。鞍上は再び幸騎手に戻りました。今回も51キロという斤量を背負っていたのですが、前回敗れたファストフォースを筆頭にスプリントG1馬のモズスーパーフレアなど豪華メンバーが集まったため単勝人気は5人気とG1を除くと過去最低の人気となりました。ゲートの不安、勝ち切れない競馬など様々な要因が重なってヨカヨカは次第に評価が下降線と言った雰囲気が流れるなかでの5人気は「もう終わりなのかな」そんな声さえ聞こえてきます。そんな評価に一番燃えるのがこのヨカヨカという馬。2人気に下がった新馬戦のように3番手に控えたヨカヨカは4コーナーで遠心力を使って外へ。直線では内で粘るモズスーパーフレアを芝の綺麗な外から鮮やか差し切り勝ち。ついに熊本産馬初の重賞勝利を挙げることとなったのです。

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北九州記念を制したヨカヨカ(撮影:橋本健)

 ついに重賞勝利を達成したヨカヨカの次なる目標はもちろん秋の電撃王決定戦、スプリンターズステークス。次なる目標、「G1タイトル」に向けて調教を重ねていた9月22日。ヨカヨカにとっては最大のアクシデントが突然襲います。

「左第1指節種子骨骨折、競走能力喪失。」

 それはあまりに突然であまりにショッキングな内容でした。「九州産馬初のG1タイトル」という彼女そしてファンの夢の続きは彼女が生むであろう仔たちに託されることとなったのです。



颯爽と現れ流星の様に去っていく。突然現役生活の幕を閉じた火の国のスターヨカヨカ、その短くも濃い競走馬生活の足跡は日本競馬界に「熊本産馬初の重賞勝利馬」として燦然と輝き続けることでしょう。



・ヨカヨカ全競走成績

令和2年(2020年)

06/13  新馬 芝1200m 1着(2人気)

08/15 フェニックス賞 芝1200m 1着(1人気)

08/29 ひまわり賞 芝1200m 1着(1人気)

11/07 ファンタジーS(G3) 芝1400m 5着(2人気)

12/13 阪神JF(G1) 芝1600m 5着(10人気)

令和3年(2021年)

03/14 フィリーズレビュー(G2) 芝1400m 2着(2人気)

04/11 桜花賞(G1) 芝1600m 17着(11人気)

05/29 葵S(重賞) 芝1200m 2着(3人気)

07/04 CBC賞(G3) 芝1200m 5着(1人気)

08/22 北九州記念 芝1200m 1着(5人気)

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