高額馬は血統的にどうなのか!? セレクトセール落札馬徹底考察!

 116億3800万円(税抜き)。数か月に及ぶ東京五輪聖火リレーにかかる費用が一日で動きました。2021年のセレクトセール1歳セクション。本日242頭が上場され1億円超えは28頭、2億円超えは8頭となるなど、昨年の一億円超え18頭を上回る盛況で終了しました。落札率は93.4%、一頭当たりの平均落札価格は5150万円と過去最高レベルの平均になっています。DMMバヌーシーや長谷川祐司氏、サイバーエージェント社長の藤田晋氏そして毎年恒例「ショウナン」の国本哲秀氏らが良血馬を競り合いは目の離せない戦いでしたね。今日競り落とされた注目馬を5頭紹介していきたいと思います。(価格は税抜き)



<目次>

1.最高額、3億円で競り落とされた一頭「ゴーマギーゴーの2020」

2.ウマ娘効果!?最高額3億円もう一頭は「ファイネストシティの2020」

3.2歳戦効果!?シルバーステート産駒最高額の「ギエムの2020」

4.良血の初仔は相馬眼の持ち主へ!「クイーンズリングの2020」

5.牝馬の最高額はエタリオウの半妹「ホットチャチャの2020」


1.最高額、3億円で競り落とされた一頭「ゴーマギーゴーの2020」

父:ディープインパクト

母:ゴーマギーゴー

母父:Ghostzapper

 本日の最高額馬3億円で落札された馬は2頭いましたが、そのうちの一頭は上場番号1だった「ゴーマギーゴーの2020」(父ディープインパクト)です。半姉も昨年のセレクトセールにおいて4,840万円で落札されましたが、それを大きく上回ることになりました。その半姉ロジマギーゴーは初仔ながら期待感は高く、4月ごろに入厩した際には管理する須貝調教師が「ハーツ産駒にしては成長が早い」とその素質を評価されていたように、早熟血統のディープインパクトと変わったことでより早い時期からの活躍が期待できそうです。

 母ゴーマギーゴーは 米国のガルフストリームパークオークス(G2)を勝利するなど米国G2を2勝するなどの実績馬。ディープインパクト×母父Ghostzapperの組み合わせは今年の金鯱賞を12人気で勝利したギベオンと同じ血統構成になっています。母母父系はロベルト系とストームキャット系という違いがあるため、ギベオンと比べるとよりマイル特化になりそうです。マイルで落札額に見合う活躍ができるかどうか、楽しみですね。



2.ウマ娘効果!?最高額3億円もう一頭は「ファイネストシティの2020」

 本日のセレクトセール最高額3億円で落札されたのがファイネストシティの2020です。落札者さんはウマ娘のサイバーエージェントの藤田晋氏が落札した馬です。

 母のファイネストシティーは米国のBCフィリー&メアスプリント(G1、ダート7ハロン)を制し、エクリプス賞牝馬チャンピオンスプリンター(2016年)に輝きました。ダートの名牝といえるファイネストシティの2番仔がファイネストシティの2020です。半兄のダノンアーリーは管理する安田隆行調教師は「スプリンターだろうという印象」と評価するように、母系のスプリント気質が良く遺伝しているようです。

 今回のファイネストシティの2020は名スプリンターのロードカナロアとの組み合わせとなり、よりスプリンターに向いた血統になっていると言えるのではないでしょうか。また、ロードカナロアとの組み合わせになったことでキングマンボ3×4、ミスプロ4×4×5とかなりミスプロのクロスが強くなりました。特に注目なのはキングマンボの3×4というのは魅力的で、似たような「キングマンボ≒ジェイドロバリー」2×3というクロスを持っていたレッツゴードンキは桜花賞を制覇するなどスプリント~マイルを芝ダート問わず活躍したことからも、この馬も十分期待できるでしょう。



3.2歳戦効果!?シルバーステート産駒最高額の「ギエムの2020」

父:シルバーステート

母:ギエム

母父:Medaglia d'Oro

 今年産駒がデビューしたにも関わらず現在2歳リーディング1位に位置するシルバーステート産駒の一頭「ギエムの2020」は2億6000万円で国本哲秀氏が落札しました。上場されたシルバーステート産駒の他2頭は共に4000万円だっただけに、一頭だけ異彩を放つ価格で落札されました。

 母ギエムは父Medaglia d'Oro、母オーサムフェザー、母父Awesome of Courseという血統。本馬も母母にあたるオーサムフェザーはBCジュヴェナイルフィリーズ(G1)を制するなど、G1を2勝を挙げた良血。母の半弟にあたるスーパーフェザー(父ディープインパクト)は青葉賞で3着に入るなど、日本での活躍も期待できる牝系ということができそうです。

 本馬にスポットを当ててみると父、父母父、母父、母母父の内3系統で芝血統が入るなど芝コースでも活躍が見込めそうです。シルバーステートとの組み合わせになったことで芝の中距離が主戦場になりそうです。ローカルでも主場でも可能性を秘めた馬ですね。




4.良血の初仔は相馬眼の持ち主へ!「クイーンズリングの2020」

父:ロードカナロア

母クイーンズリング

母父マンハッタンカフェ

 近年の競馬をけん引したディープインパクト、キングカメハメハ、クロフネ、三冠馬のアパパネなどを引き当てた門外不出の相馬眼を持っている金子真人氏(名義は金子真人HD)が2億2000万円で落札したのが「クイーンズリングの2020」です。母クイーンズリングは16年のエリザベス女王杯1着馬。引退レースの有馬記念はキタサンブラックの2着のように中距離で活躍した馬です。しかし、3歳時にはフィリーズレビューを制するなど距離の守備範囲は広そうです。

 血統構成的にはアーモンドアイと似たような馬でG1勝つことは至上命令のような馬です。血統をもう少し見ると本馬の母父となったマンハッタンカフェは非根幹距離の鬼で、クイーンズリングも勝利したレースはすべて非根幹距離でした。非根幹距離得意がこの馬にも引き継がれると面白そうです。また、父ロードカナロアは「牝系の格」を強く要求する種牡馬で、母が現役時代に3勝クラス以上に昇級していると活躍馬を出しやすい種牡馬。アーモンドアイの母フサイチパンドラはエリザベス女王杯、サートゥルナーリアの母シーザリオはオークスを制するなどG1馬との配合はG1馬を生み出しやすい傾向があります。この馬も期待できそうですね。



5.牝馬の最高額はエタリオウの半妹「ホットチャチャの2020」

父:ロードカナロア

母:ホットチャチャ

母父:Cactus Ridge

 牝馬のなかで一番高値で落札されたのがこの「ホットチャチャの2020」。この馬を落札したのも長谷川祐司氏で落札価格は1億6000万円。2着の鬼、エタリオウが半兄にいる血統になっています。母ホットチャチャの仔は勝ち上がり率80%を誇るなど、しっかり勝ち上がれる期待が高まる一頭といえるでしょう。今回はそんなホットチャチャとロードカナロアというはじめての組み合わせになりました。

 母ホットチャチャはクイーンエリザベス二世チャレンジC(G1)を制するなど海外6勝の実績馬。ロードカナロアとの組み合わせになることで、ストームキャットの3 x 4、ミスプロの4 x 5という組み合わせになり、ややスプリントに向きそうな血統構成になっています。同じく母父系にヘネシーが入っているモズアスコットは安田記念で1着となっているようにスプリントからマイルで活躍しそうな馬ですね。芝ダートも両方こなすこともできそうですね。

 こちらも母「3勝クラス以上」の基準をクリアしていることから勝ち上がりと考えるとこの馬も十分に期待値は高くなりそうです。



※ロードカナロアの勝ち上がりに関する記事はこちら「血統登録過去最高!POG注目のロードカナロア産駒!


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 途中から見ていましたが、おお!価格が上がっている!!と思うとエピファネイア産駒やロードカナロア産駒であることが多かった印象です。馬主さんたちはポスト主流血統についてこの2頭で考えているのかなという印象でした。それは面白いですよね。ラストクロップのディープインパクト産駒や1歳には産駒がいないキングカメハメハ産駒が抜けた後、まだどの種牡馬がポストを掴むかはまだわからない所謂「種牡馬戦国時代」に突入しました感じがしています。来年の今頃の勢力図はどうなっているか気になります。

それでは!

ヒデ