好敵手?ロードカナロア×カレンチャン~安田厩舎物語~

 こんばんは、ヒデです。4/15の12:00よりウマ娘 プリティーダービーで追加されることになったカレンチャン。生まれてから秒で可愛さに気づいたということですが、モデルとなったカレンチャンも多くのファンを「速さ」で魅了した名スプリンターでした。そしてその陰には、同きゅう舎で1歳下の「龍王」ロードカナロアとの壮絶なスピード決戦とその後の絆があったのでした。本日はそんな二頭にフォーカスを当て、その物語を見ていきたいと思います。

カレンチャン

通算18戦9勝(海外2戦0勝)

父クロフネ

母スプリングチケット(母父トニービン)

1.カレンチャンの才能が開花した4歳
 カレンチャンも最初からトップランナーではありませんでした。2歳の12月に中山ダートでデビューしたカレンチャンはそのレースで2着。3歳も2連勝しましたがフィリーズレビュー8着、葵賞2着と勝ち切れず1000万条件(現2勝クラス)を勝って休養に入ってしまいます。そんなカレンチャンに転機が訪れたのは明け4歳になってから。1600万条件(現3勝クラス)を叩き2戦で突破すると続く阪神牝馬Sで重賞初制覇。カレンチャンはスプリントに照準を合わせ、夏のサマースプリントシリーズに臨むことになるのです。

2.スプリントの女王、登場。
 休養を挟んで迎えたサマーシリーズでもカレンチャンの快進撃は続きます。函館スプリントステークスでは上り最速で勝利。勝ち時計はレコードタイ記録でした。続くキーンランドカップでは単勝オッズ1.9倍に推されましたが先行策を取って難なく勝利。これで4連勝。カレンチャンの先団から伸びてくる姿にファンは釘付けになっていました。そんな中迎えた2011年のスプリンターズステークス。秋のセントウルステークスを制したエーシンヴァーゴウが1倍台の1番人気、同レース3着のダッシャーゴーゴーが2番人気となり、カレンチャンは3番人気でした。そんな人気に怒ったのか、カレンチャンは6番手から上り3F33.8を記録して堂々抜け出しスプリント女王に。それはスプリントの1流香港の王者ロケットマンを破っての勝利でした。陣営はさらなる夢「香港スプリント」制覇のため香港遠征を決め出走したものの5着。夢には届きませんでした。ただ日本馬が大敗する時代に十分善戦したとも言えるでしょう。

3.同きゅう舎の後輩、ロードカナロアと対峙。
 開けて2012年。ついにロードカナロアと対峙しました。この年の初戦はオーシャンステークス。状態が上向いて一叩きと参戦しましたが、微妙な伸びを欠いて4着。不安が残る中迎えた高松宮記念ではついに、龍王・ロードカナロアと初顔合わせになります。ロードカナロアは3歳のドラセナ賞(500万下・現1勝クラス)から5連勝で一気にG1制覇を狙っていた超新星でした。レースはカレンチャンがいつも通りの先行策から直線で抜け出す「横綱レース」でした。迫るロードカナロアやダッシャーゴーゴーを後ろに見ながら優雅にゴール版を横切るのです。スプリントG1完全制覇。スプリント女王はその強さを見せつけたのです。ロードカナロアは3着に惨敗。ロードカナロアとの初対決はカレンチャンの勝ちで幕を閉じたのです。

4.スプリント女王ついに敗北、そして引退。
 スプリント女王カレンチャンは夏にじっくり休養する方針で放牧へ。そしてスプリントG13連覇を狙うべく9月のセントウルステークスに出走しました。しかし、ファンの前に現れたのは一回り大きくなったカレンチャンでした。前走+22キロ。結局この競争では3番人気に推されるものの、先行して4着。ただそこまで悲観されることもなくスプリンターズSへ。当然のように1番人気に推されます。後輩ロードカナロアもスプリンターズステークスに出走。このレースではロードカナロアがカレンチャンを差し切りカレンチャンは2番手に敗れたのです。どうだいと誇らしげにレイを掛けるロードカナロアを横目にカレンチャンには香港スプリントを花道に引退することが決まりました。そしてその香港スプリントではロードカナロアが日本馬初の優勝を勝ち取り先輩の引退に花を添えました(自身は7着)。

5.先輩思いのロードカナロア。一途な恋が叶いました。
 引退後お母さんとなったカレンチャン。そして2年目にはスプリント龍王のまま引退したロードカナロアが種牡馬入りとなり、スプリンターを夢見てスプリント王同士の配合が実施されました。そこで生まれた愛の結晶が今走っているカレンモエなのです。実はロードカナロア、12年のスプリンターズステークスあたりから同きゅう舎の先輩カレンチャンに恋をしていたそうなんです。調教助手もカレンチャンを意識するロードカナロアに手を焼いたと言われています。香港スプリントに出走するときも馬っ気を出さないかひやひやしていたというので驚きです。そんなロードカナロア長年のアタックが実った文字通り「愛の結晶」がカレンモエでした。そんなファンだけではなく同じスプリンターも恋に落としてしまう可愛さを持ち合わせていたのがカレンチャンなのです。カレンモエが出走しているのを見かけたときはこのエピソードとかわいい二人を思い出して応援してみるのもまた面白いのかもしれません。


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馬同士のドラマも楽しめる、それが競馬のいいところなのかもしれませんね。

今後も不定期的にまとめられるものが書きたいと思います。

それでは!

ヒデ