コースバイアスに翻弄されるフェブラリーステークス

  こんにちは、ヒデです。ちょっと遅くなってしまいましたが、先週のフェブラリーSを振り返っていきたいと思います。カフェファラオの圧勝劇、その裏には!?

 得意コースならドンと来い。チークピーシーズもあいまって、一気に古馬を蹴散らしたカフェファラオ。人気に応えて見事な快勝劇、テレビを見ているファンも強さを再確認したことでしょう。しかし、2,3着には人気薄の高齢馬であるエアスピネルとワンダーリーゲルが差しを見事に決めて堂々馬券内へ飛んできました。この結果をひも解くとカフェファラオのとんでもない強さと、どうしようもない東京コースのトラックバイアスが浮き彫りとなってきます。今回はフェブラリーステークスウィークを例にそれをひも解いていくことにしましょう。

 前提として東京ダート1600mは前残りコースです。昨年と今年の1回まで、ダート1600mで行われた132レース中72レースが先行までで決着しています。にもかかわらず、オープン特別以上に限定すると、逃げ先行は7レース中3勝に留まっているのです。逃げ馬に至っては0勝というありさま。これほどまでにクラスによって脚質が変わるケースも珍しいことです。その理由は意外と簡単な所に落ちていると考えています。それはラップペースです。下記は古馬の1勝クラスと古馬オープンのレース比較ですが、これを見ると一目瞭然の結果となりました。

1勝クラス(500万下)

12.4-11.1-12.0-12.39-12.5-12.4-12.2-12.8

古馬OP

12.3-10.9-11.6-11.9-12.4-11.9-11.9-12.3

 以上のオープンクラスと1勝クラスとの比較で見えてくるのは、加速の持続率です。芝スタートでテンからのスピードが早いのはこちらで紹介したとおりではありますが、OPクラスでは世代戦古馬戦問わず2F目が10秒台の加速になっています。ちなみに、世代戦と決定的に違うのは後半のペース。世代戦や条件戦は必ずペースは落ち着く傾向にあります。12秒台中盤から後半のペースで走っていることが上記のタイムからも見て取れます。特に古馬OPではラスト3Fと2Fで11秒台を計測するなど、最後までペースが緩みません。結果として、前で残れる馬はタフな欧州血統を持っている馬だけで、大半は差し優勢となる展開が多いのがこのコースのOPクラスでよく見られる光景です。

 差し台頭をもう少し原因分析を行うと以下の二つが理由としてあげられると考えられます。

① ペースが淀みない

 これは簡単な話で、11秒台が半分の4Fで出現しています。これは2コーナーの奥、ポケット地点からスタートすることが大きな要因です。ただでさえ芝スタートでスピードが乗りやすいことに加えて、長い3コーナーまででさらに加速できてしまうのです。また、オープン戦という実力拮抗している状態では、直線でも攻防が激しくなる傾向があります。これらの要因を総合すると、結果として差しが台頭しやすくなっています。コーナーまでの長さと長い直線が織りなす淀みないペースは、東京のダート1600mのコースバイアスといっても過言ではないでしょう。

②先行馬が多い

 これは東京コースに限ったことではありませんが、ダートの上位クラス馬はやはり先行馬が多いです。ダートの名馬といわれる馬といわれるスマートファルコン、ホッコータルマエは先行メイン、ヴァーミリアンなども好位につくことが多かったと思います。それくらいダートというのは先行馬有利の馬場なのです。先週の重賞予想でも書きましたが、内に先行馬が集まると大変なペースになります。それが顕著だった2018年と内に逃げ馬がそこまでいなかった2019年のラップタイムと3着までの脚質を比べてみましょう。

2018年

12.2-10.7-11.2-11.7-12.5-12.6-12.3-12.8

1着12 ノンコノユメ 14-13

2着14 ゴールドドリーム 10-8

3着6  インカンテーション 7-6

2019年

12.4-11.5-11.9-12.2-12.2-11.6-11.4-12.4

1着6 インティ 1-1

2着3 ゴールドドリーム 6-6

3着2 ユラノト 6-6

 このように比較すると一目瞭然だと思います。淡々としたペースで流れた2019年は前にいた馬が一息つけられたのでインティが悠々逃げ切り勝ち。前に有利な展開となったことで6番手以下の馬はまったく競馬をすることができませんでした。一方で2018年は4コーナー3番手以内の平均着順が13着と総崩れになっています。ここからわかるのは先行馬が前半に競っていくためペースが上がりやすいということです。これは強い先行馬が揃う上級条件やオープン重賞などでよくおこるパターンでもあります。今年も2F目に10秒台を記録するなど、先行争いは激しくなり、結果として差し台頭の展開となりました。

 以上の原因から、トラックバイアスによって先行馬にとって東京ダート1600mのオープン以上は厳しいものだということがわかりました。競馬の結果を左右するのは展開という不確定要素の中にあるのかもしれません。それをどのファクターのフレームを入れていくのか。それを研究するのも競馬の醍醐味の一つではないでしょうか。

 この二つの原因を探った結果見えてくるものがあります。カフェファラオの強さです。前述の通り2F目に10秒台に突入することで、先行馬は非常に厳しい展開となってしまいます。しかし、カフェファラオは3番手で4コーナー通過したにもかかわらず直線も危なげなく勝ち切っています。ユニコーンSでもこの馬は同じようなラップタイムで逃げ切っています。父ファピアノ系はアメリカの超一流血統で、産駒からはサンタアニアダービー馬が出ているように中距離までこなせる血統。極端に中弛みしない展開がスピードが生きる最高の展開なのでしょう。今後もこの馬がダート界の中心にいることは間違いないでしょう。

 今回この話をしたのは3月発売の競馬王のテーマ、前か後ろか?内か外か?にて枠順と脚質について取り上げているからです。各執筆陣は恐れ多い人ばかりですが、興味深い内容も多く揃っています。馬券もうまくなること間違いなしなので、ぜひお手に取っていただけると幸いです。

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的中報告!!

フェブラリーステークスウィークから予想を始めさせていただきましたが、二週連続で重賞予想的中です!!

京都牝馬S

◎04.イベリス1着!(3人)

→はじめての重賞ということで、本当に緊張しながら編集部でレースを見ていました。見事な逃げ切り勝ち。本当に安心しました。この週の内回りはやはり先行でパワースピードをあわせもった馬が有利。完璧にはまって安心しています。

フェブラリーS

◎10.エアスピネル 2着(9人)

→東京ダートにキングカメハメハ産駒あり。展開を完全に読み切り的中できました。安心しました。直線で一瞬前が開かずはらはらする展開でもありながら鮫島騎手の落ちついた戦略でお見事、2着まできてくれました。

中山記念

◎04.ケイデンスコール 2着(5人)

→距離不安視を覆して岩田騎手の内突きが冴えました。対抗のヒシイグアスも勢いに乗って1着。馬単でいい思いをさせていただきました。見事ノーザンテースト持ちのケイデンスコールが傾向に合致して2着。1着のヒシイグアスも母系がスピード因子を持つノーザンダンサー系のストームキャット系と馬場傾向はスピードに偏っていたようです。来週は雨が予想されているので、この傾向は続くかはわかりませんが。

 これからも誠心誠意予想させていただきますので、ぜひ週末の重賞予想を参考にしていただければと思います。私の予想理論はこちらをご覧くださいませ。

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長々とありがとうございました。次回もお楽しみに!

ヒデ